「朱乃えげつないな。」
「とはいえ結界解かれるまで耐えた匙も良くやったんじゃないか?」
確かにそうなんだけど・・・。
「手加減してましたからね~。」
「手加減しなかったら灰になってたんじゃないか?」
朱璃さんも同じ感想みたいだ。
──『朱雀業炎』── 本気だと鋼鉄すら溶かすからな。
「匙が命使ってまで戦ってたから早めに決着付けたかったのは分かるけどね。」
会長の為、夢の為か。ほんと熱いやつだよ。
「あの小僧はまだまだ伸びる。だがああいう力の使い方は禁止したほうがいいのぅ。」
オーディンの爺さんが言う。
ちなみにVIPルームに居るのは俺達の他に北の主神オーディン、そのお付きでヴァルキリーのロスヴァイセさん、サーゼクス様、セラフォルー様だ。
「しかしリアスちゃんの所は粒揃いだのう。実力も申し分ない上にまだ赤龍帝と猫魈の嬢ちゃんが残っているからの。それに見た目も抜群にいいしのう、ほっほっほ。」
スパーン!
オーディンの爺さんがハリセンで叩かれる。
「なにするんじゃ!ロスヴァイセ!」
「オーディン様!そういういやらしい発言はお控え下さい!」
「それぐらい許容せんか、それだから英雄の一人も物に出来んのじゃ。」
「それは関係ないじゃないですか!私だって好きで独り身な訳じゃないんですよおおおぉぉぉぉぉ。」
うお!ヴァルキリーのお姉さんが泣き出した!
「しまった!そうだ!赤龍帝、こいつもらってくれんか!真面目すぎる堅物じゃが器量はいいぞ!」
困ったオーディンの爺さんが俺に振る。
「いきなり何言ってるんですか!それから俺の彼女と眷属のみんなををいやらしい目で見ないで下さい!神様でも容赦しませんよ!」
「ま、まて!殺気全開で来るんじゃない!あ、謝る!謝るから!」
慌てるオーディンの爺さんをみて溜飲を下げる。
「とはいえイリナが副会長倒してからは一方的でしたね。」
ギャスパーを追いかけていた2人は匙と同じ方法で倒された・・・さすがに業炎ではなくショップから持ってきた小麦粉で粉塵爆発だったけど・・・結界で覆って中で爆発とかえげつないな。
「さすがに残り3人じゃどうしようもないだろ。それにラストでソーナがリアスと1対1に持ち込もうとした時に使った水の結界破られたんじゃなぁ。」
最後は屋上にいたソーナさんがリアスと1対1に持ち込もうとして水の結界で他のメンバーの介入を防ごうとしたがイリナの
「イリナの最後に作った聖剣は異常だったな。まだ安定してないみたいだがあの結界をやすやすと切り裂いてたからな。」
「あ~、あれは───。」
この間のヴァーリとの事を話す。
「ということはぶっつけ本番で使ったのか!?」
「そうだと思います。多少は試したかもしれないけど実戦は初めてでしょうね。」
「イリナちゃんのセンスと才能はすごいわね~。」
まぁ、それだけじゃなくて努力も凄いしてるからな。
「アザゼル、イリナちゃんの
オーディンの爺さんが聞く。
「あれは名前の通り伝説の聖剣の創造だよ。情報があれば作れる。現物見たほうが精度は格段に上がるがな。現状だとエクスカリバーとアスカロンとデュランダルがほぼ完成で
「そんなことが可能なのか?」
サーゼクス様も知らなかったみたいだ。
「イリナの
「それにしても・・・・そういうことなら出来る限り聖剣の情報をイリナ君に渡そうか。戻ったら手配しておくよ。」
おお!それはイリナが喜びそうだ!
「サーゼクス、グレモリーもシトリーもいい眷族達じゃの。こういう若いのが今後伸びてくるだろうから大事にせい。では、そろそろ帰るとしようか。」
そう言ってオーディンの爺さんは帰って行った。
「そろそろ俺もみんなの所に行ってきます。」
「わたしも行くにゃん。」
俺と黒歌はみんなの所に向かった。
みんなの所へ行って色々話した後俺は病院に来ていた。
ある部屋の前に行きノックする。
「どうぞ~。」
俺は部屋に入り挨拶する。
「よう、大丈夫か?」
入ってベッドの上にいるのは包帯だらけになった匙だった。
「見ての通りボロボロだよ。手も足も出なかったよ。」
「そうでもないだろ、朱乃に本気出させたんだから。」
「でもさ~、加減してたよな?」
匙がやや不満そうに言う。
「最後のやつか?あれ加減してなかったら今頃おまえ灰も残ってないぜ?」
「マジでか!」
「ああ、修行中にあれやって鋼鉄溶かしたって言ってたよ。」
「俺よく生き残ってたな。」
匙の顔色がみるみる青くなっていく。
「ああ、匙の根性に敬意を表して大技使ったとか言ってたな。」
「ははは、光栄・・・なのか?」
「そう思っとけばいいんじゃないか?ただ、あんな戦い方はもうするな、あれで本当に死んでたら目も当てられないからな。これからはあんな力の使い方しなくても良い様に強くなれよ。」
「ちょっと焦ってたのかもな。会長の夢を馬鹿にされて、その上今色々活躍してるお前等とゲームだったからな。」
それでも文字通り命張るとかやりすぎだろうよ。それだけ必死だったってのもわかるけどな。
「今後その力の使い方は禁止にするとか言ってたな。俺もそれには同意だ。そんな事考えるならもっと別の方法で強くなる事考えた方がマシだ!修行だったら付き合うぜ。」
「今度頼もうかな。まあ、俺だけじゃなくみんなで強くなりたいってのもあるけどな。それに何回かお前等の修行に参加したけどあんなの付いていけない。」
そういえば何回かシトリー眷属で参加してたっけ。
ちょっと思案顔で匙が言う。
「でもよ、あの時と今のお前らって随分違ってねーか?いくら合宿してたからってあそこまで一方的に負けるとは思わなかったんだけどな。」
そう言われるとそうなのかもだけど。
「それな、合宿前から試してた事とか使えなかった力が実戦段階で使えるようになったからだと思うぜ?」
「使えなかった?」
「ああ、分かりやすいのが朱乃の朱雀とイリナの
俺の修行中の力を感じて気合入ったとかも言ってたしな。
「制御できるようになったって、この短期間であんなに使いこなせるものなのか?」
そんなわけない。
「だからさっき言ったろ?前から試してたって。それの経験もあって今あれだけ使えてるんだって。積み重ねあっての制御だよ。」
そもそも積み重ねが無かったら匙は今頃灰になってる可能性もあったわけだ。
「お前等凄いな。とはいえ俺達も負けてらんないよな。」
「まあ、俺と朱乃とイリナは小さい頃からスパルタ教師が2人いたからな・・・。」
「2人?」
「ああ、母さんと朱璃さん。たまにトウジさんもか。」
「兵藤の母さんて朱音さんだよな?おっとりした優しい感じだと思ってた。スパルタなのか?」
授業参観の時の母さんしかみてないからな~。
「ああ、普段はそうなんだけどな、笑顔で強制転移させてサバイバルナイフ1本で山で一週間過ごせとか平気で言う。しかも小学生相手にな。ある意味朱璃さんより恐ろしい。」
思い出して震える俺を見て匙もちょっと引いている。
「よく生きてたな・・・。」
「死に掛けたよ!イリナと2人で熊と戦ったんだぞ!そのときに
あれは本当に死に掛けた。倒した後に気絶して母さんに回収されなかったらマジでやばかったな。まあ、監視してたみたいでそれで回収されたんだけども。
「小学生にさせる修行じゃねぇよ、普通死んでるって。」
匙の顔が引きつっている。
「だろ?まあ、他にも色々あったな・・・。ただ、強くなるって気持ちは大事だからな。それがあればまだまだ強くなれるんじゃね?」
「そうだな。怪我治ったら鍛えなおさないとな。」
気合の入った顔で匙が答える。
「そんじゃそろそろ俺もみんなの所に帰るわ。じゃあな!」
出て行こうとする俺に匙が声を掛けた。
「兵藤!強くなったら戦ってくれ!」
「ああ、もちろんだ!それじゃあな。」
そういって病室から退出した。
この章もあと1話です。