あれから直ぐ後にソーナさんの眷属も到着し、壊れた部屋も修復され挨拶のし直しとなった。
ゼファードルを除いた5人でテーブルを囲みそれぞれ挨拶している。
他の眷属もそれぞれの主の後ろで待機していた。
「イッセー、無様は見せられないぜ?」
「わかってるよ、ここに来る前に散々言われたからな。」
「それに俺たちが来る前に一戦やらかしたんだろ?」
「それは流れでそうなっただけだよ。」
「なんであれ一眷属が他の所の主を倒したんだから更にだよ。」
「ああ、わかってるよ。」
匙とそんな会話をしながら改めてテーブルに座っているメンバーを見渡す。
グレモリー家次期当主、シトリー家次期当主、大王バアル家次期当主、大公アガレス家次期当主、アスタロト家次期当主。なんんというか錚々たるメンバーが揃っている。大公、大王、それから魔王を輩出している家。なんか悪魔の頂点の縮図みたいだ。
「グラシャラボラス家は先日御家騒動があったらしくて次期当主だった者が不慮の事故死をとげ先ほどのゼファードルが次期当主候補になる。」
サイラオーグさんが説明する。御家騒動か、貴族になるとこういうのは普通なんだろうな。転生前では国レベルで貴族と王家が戦争とかして巻き込まれたしな。どうして平和に解決出来ないのかね?
と、考えていると扉が開き使用人が入ってくる。
「皆様、大変長らくお待たせ致しました。魔王様方がお待ちです。」
さて、ここからが本番だな。
俺たちが案内された所は異様な雰囲気のする部屋だった。
正面の高い所に席があり、一番上に魔王様方、その下に重役っぽい人達がおり、その人達が上から俺達を見ているというなんか嫌な感じの状態だ。
俺達眷属はリアスの後ろで控えている。
「本日は良く集まってくれた。次代を担う若手達の顔を見たくて集まってもらった。これは定期的に行う期待されている若手悪魔達を見定める会合である。」
初老の男性が威厳ある声で言う。
「さっそくやってくれたようだがな・・・。」
皮肉っぽく隣の男性が言う。
「君達は家柄、実力共に申し分ない悪魔だ。だからこそデビュー前にお互い競い合い力を高めてもらいたいと思う。」
サーゼクス様はおっしゃられる。
アザゼルさんが言っていたゲームの話しだろう。
「我々も『
サイラオーグさんが直球に尋ねる。すでに俺達は関わってるから当然の質問かな?
「それはまだわからないが、出来れば若手悪魔は投入したくないと考えている。」
サーゼクス様の言葉に納得行かないのかサイラオーグさんが更に問う。
「なぜですか?我々も悪魔の一角を担う者、これまで先人の方々から厚意を受け、その上で何も出来ないなんて──」
「サイラオーグ、君の気持ちはわかる。だがこれからまだ成長するであろう若手を戦場には送り出したくはないのだよ。次世代を担うであろう君達を失うわけにはいかないのだ。君達が思うよりも我々にとっては大事なのだよ。だからこそ段階を踏んで成長していって欲しい。」
「わかりました。」
納得はしたみたいだけど不満は隠せていないな。
その後、魔王様やお偉いさん達の話が延々続いた。仕方無いんだろ~けどさすがにしんどい。
「長い話に付き合わせて申し訳なかったね、我々は君達の事が大事なのだよ。それは理解して欲しい。君達は冥界の宝だからね。」
サーゼクス様の言葉に全員聞き入っていた。嘘偽り無いと聞いてても分かる。本来は優しい魔王様って感じだしね。
「さて、それでは最後に君達の目標を聞かせてもらえないだろうか?」
最初に答えたのはサイラオーグさんだった。
「私の夢は魔王になることです。」
おお、凄いなこの人!よどみなく言い切った。
「大王家から魔王が出れば前代未聞だな。」
「俺が魔王になるしかないと冥界の民が思えばそうなるでしょう。」
凄い自信だ、お偉いさんの言葉にも引かないんだから。
次はリアスだ。
「私はグレモリーの次期当主として生き、レーティングゲームの各大会で優勝することです。」
リアスらしい目標だ。その後も続き、最後にソーナさんの番になった。
「私はレーティングゲームの学校を建てることです。」
そんな事考えていたのか。しかし
「学校ならもうあるじゃないか。」
それにソーナさんが反論する。
「今の学校は上級や一部の特権階級の方たちだけしか入れません。なので私は下級や転生悪魔でも学べる学校を作りたいと思ってます。」
お偉いさん方はしばらく沈黙し
「あはははははは、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは!ここが顔合わせの場でよかったというものだ。」
変革しているとはいえまだまだ階級社会の差別は消えないみたいだな。
「私は本気です。」
「ソーナ殿、下級悪魔や転生悪魔は上級の者に仕え才能を見出されるのが常。変革の時期に入っているとはいえ、そのような施設を作っては旧家の顔をつぶすことになりなすぞ?全く関係ない下級悪魔の養成などと・・・」
馬鹿にした口調で言う。それに反論した奴がいた、匙だ。
「なんでそんなに馬鹿にするんすか!そんなのおかしいじゃないですか!俺達は本気なんスよ!」
「口を慎みたまえ下級の転生悪魔。ソーナ、躾がなってないんじゃないのか?」
「申し訳ございません、あとで言ってきかせますので。」
なおも食い下がろうとする匙を俺は止めた。
「兵藤!」
俺は前に出て言う。
「ソーナ様はただ夢を語っただけだろ?それをあんたらが馬鹿にする権利はないんじゃないか?それに関係ないとか言ってたけど下級悪魔も転生悪魔もいないと冥界は回らないんじゃないのか?その上で下級悪魔や転生悪魔を養成するなら冥界としてはいいことだと思うけどね。そんな事もわからないで馬鹿にしてたのなら俺は許さないぜ?」
そう言って殺気をお偉いさん方に向ける。
「下級悪魔の分際で何を偉そうな事を言うな!」
「確かに下級悪魔でもあるけど、俺は赤龍帝だ、今の言葉は天龍の一角としての言葉だと思って覚えて置けよ?」
更に殺気を向けるとお偉いさんは黙ってしまった。やりすぎたかな?
「兵藤一誠君、それまでにしてくれないかな?みなさんもソーナはただ夢を語っただけだ。これ以上は魔王としても止めなくてはいけなくなるからね?」
サーゼクス様の言葉で俺は殺気を放つのをやめ、お偉いさん方もそれ以上は何も言わなくなった。
「イッセーちゃんありがとね~。私もこれ以上ソーナちゃんの事馬鹿にしたらお仕置きしちゃうんだから!」
セラフォルー様のお仕置きだと滅ぶんじゃ?
「リアス、ソーナさんすいませんでした。」
俺は下がりながら小声で二人に謝る。
「ほんとよ。でもスカっとしたわ。」
「兵藤君、ありがとうございました。」
後ろに下がってから匙が言ってくる。
「兵藤、ありがとな。」
「気にすんな、俺が気に入らなかったから反論しただけだよ。」
サーゼクス様がここで突然提案を出した。
「そうだね、せっかくだからゲームをしようか。ソーナとリアスでどうだい?」
おお、初戦がソーナさんと匙達か!
「ええ、いいですわ。負けないわよ?リアス。」
「それはこっちこそよ、絶対負けないわよ、ソーナ。」
早くも2人の間に火花が散っている。
「ふふふ、早くも始まってしまったね。元々若手同士でゲームを開催する予定だった。アザゼルの提案で各勢力のレーティングゲームのファンを集めて観戦させる名目もあったものだからね。まずはリアスとソーナのゲームから始めよう。」
ただゲームするじゃなくてそういう思惑もあったのか。
「ゲームは8月20日に開催する。それまでの日程は各自自由に割り振るといい。」
初戦は匙たちとか。リアスは誰を出してどんな作戦で行くのかこれからが楽しみだな。
次回から修行編です。