母さん達から開放されて一旦部屋に戻り入浴の用意をして部屋を出る。
このお城には(家じゃねぇよ)温泉があるらしくグレモリーの温泉は結構有名らしい。
温泉は好きなので楽しみだな~、露天風呂もあるらしいのでゆっくり出来そうだ。
浴場に入って体を洗って温泉に浸かる。
「あ~、極楽だ!」
「イッセー君も来たんだね。」
「祐斗も入ってたんだな。」
「話しは終わったのかい?」
「ああ、なんとかな。今後の事とか覚悟とか色々聞かれて疲れたよ。」
「ははは、まぁ、部長と付き合うんだからこれから大変だと思うけど頑張ってね。」
「そうだな~、覚悟はしてたけど実際ここに来て想像を遥かに超えるスケールで戸惑ってるよ。それになんだか俺達というか俺がメインなんだけど有名になってるらしくてこれは予想以上に大変だな~とか実感してるよ。」
祐斗に冥界の新聞の事を説明したが知っていたらしく
「僕もいくつか新聞とかメディアの報道とか見たけど本当にヒーローみたいな扱いだったね。明日の若手悪魔の会合では無様な所は見せられないよね。」
「本当だよ。話が勝手に一人歩きしてる感じで全然実感沸かないわ~。」
俺の言葉に祐斗は笑う。
「でもメディアじゃないけれどイッセー君のしてきた事は普通じゃありえないくらいの事だからね、実際に戦った僕でも信じられないよ。しかも魔王クラス相手に生還してるしね。」
「こっちはみんなを守るのにやっただけだからな、他で勝手に盛り上がってもらっても困るよな。」
「そうかもだけど、イッセー君のしてきた事はそれくらいの事だってもう少し自覚持った方がいいかもね、これから周りは放っておかないと思うよ?部長の事だってそのうちバレるだろうから今から覚悟しておいても問題は無いと思うよ。」
「さっきも同じような事言われたな。俺は平和に平穏に過ごしたいのに。」
「しばらくは無理じゃないかな?明日の会合でも僕らは間違いなく注目されるだろうし。」
「勘弁してくれ、目立つのは好きじゃないんだよ。」
「それも分からなくも無いけどね。さて、そろそろ僕は上がらせてもらうよ。」
「おう、俺はもう少しゆっくりしていくわ。」
そう言って祐斗は戻って行った。
「注目されてるか~、めんどくさい。」
俺がつぶやいたら答えがかえって来た。
「それは仕方ないな。」
「アザゼルさん!」
いつの間にか酒をお盆に載せてアザゼルさんが来ていた。
「さっきも言ったがお前は好む好まざるに関わらずそれだけの事をしなんだからな。」
「諦めるしかないのか!」
「そうだな。有名税だと思って諦めろ。」
「ひでぇ。」
「それに会合で公開されるがお前達は若手同士でゲームすることになる。ゲームも注目されるだろうからこれからは更に注目されるだろう。」
やっぱりゲームするのか。
「俺達はやっぱり制限付くんですか?」
「ああ、細かい事は後で話すが前に言ったような内容だな。」
「なるほど~。俺は出ないでみんなに任す!ってのは駄目だろうな~。」
「お前な~、そういう訳にもいかんだろ。特にサイラオーグはお前抜きだと勝てない可能性が高い。あいつは若手の中でも別格だからな。」
「そんなに強いんですか?」
「ああ、その辺は明日の会合で実際に会って実感して来い。その方が分かりやすいだろう。」
アザゼルさんが言うなら間違いないのだろう。
「そろそろ俺上がりますね。」
「ああ、そうだイッセー。」
「なんですか?」
「温泉に来たんだから。」
ガシッ!と腕をつかまれる。
「え?」
「混浴して来い!!」
なんだそれ!という突っ込みをする間もなく女風呂に投げ込まれる!
「あああああああああぁぁぁ・・・」
ドボーン!
「ゲホッ、ゲホッ、なにしやが───」
お湯から顔を上げた瞬間に固まった。
「あら、イッセー。」
「イッセー何してるの?」
「ていうかお父さんはまったくもう!」
リアス、イリナ、朱乃が全裸で目の前にいた。
「うわ!ごめん!」
急いで後ろを向く。
が、
「お兄ちゃん!」
今度はアーシアが目の前に!
とりあえず目を閉じてタオルで前を隠してしゃがむ。
「ごめん!みんな!」
「まあ、会話聞こえてたし・・・お父さん!」
「あ、朱乃?」
あせったアザゼルさんの声が聞こえた。
「雷光!!」
バリバリバリ!
「ぎゃあああああああ!」
アザゼルさんの断末魔の声が聞こえた。
自業自得だろう。で、だ、俺はどうしようか?
「イッセーとりあえずみんなタオル巻いてるから大丈夫よ。」
イリナに言われとりあえず目を開け振り向く。
「ごめん、咄嗟で対応出来んかった。直ぐ戻る。」
「このまま一緒にでもいいんじゃない?」
リアスさん?それは・・・
「私もお兄ちゃんなら大丈夫です!」
アーシアまで!?
「この時間なら他に誰も来ないでしょ。」
「そうね。イッセーも被害者だし。」
そういう問題じゃないんじゃ?
「いや、それでもさすがに・・・ね?」
「お、イッセー大胆だな、女湯に入ってくるとは。」
「朱璃さん!に母さんも!」
朱璃さんと母さんも入ってきた。
「イッセーちゃんとお風呂なんて何年振りかしら?」
「なんで2人ともそんなに落ち着いてるの!?」
「大方アザゼルの仕業だろ?イッセーが自分から女湯に来るとか無いだろうからな。」
「いや、そうなんだけど・・・気にする所そこじゃなくね?」
「イッセーちゃん!」
「な、何?母さん。」
「気にしちゃ負けよ?」
「意味わかんねぇよ!」
「いいじゃない、みんな気にしてないみたいだし。」
リアス~、そういうことじゃない!俺の理性が!!
「こんなイッセー初めてね。」
「うんうん、これはいじって遊ぶしかないわね。」
イリナさん、朱乃さん勘弁してください!
「お兄ちゃんとお風呂って・・・ちょっといいかもです。」
アーシアまでええええええ!
そうこうしてる内にみんなに囲まれ俺は理性で無理矢理抑えながらしばらくいじられたのだった。
温泉で疲れるとかおかしいだろ!
翌日の昼過ぎに俺達は列車に乗って会合に参加する為移動していた。
「昨日私も夜に温泉いけばよかったにゃん。」
「私も参加したかったです。」
列車では何故か昨日の話になり黒歌と小猫ちゃんが残念そうに話していた。
「いや、もう勘弁してください。」
「姉様、機会があったらこっちから行きましょう。」
「それいいアイディアにゃん!」
「いいアイディアじゃねぇ!」
そんな感じでワイワイしながら3時間位で都市に到着した。
「ここは魔王領の都市ルシファード。旧魔王ルシファー様がおられたと言われる冥界の旧首都なんだよ。」
都市に魔王の名前とか凄いな。
「表からだと騒ぎになるから地下鉄で移動するわよ。」
騒ぎ?あれか。
ホームには大勢の悪魔の人達がいて歓声が聞こえる。
「リアスさまああああ!」
「赤龍帝ってどの方かしら?」
「祐斗く~ん!」
等々。祐斗はイケメンだからやっぱモテるな。
とはいえ俺もやっぱり注目されているのか。
「騒ぎが予想以上ね。急いで地下に行きましょう。専用の電車もあるのよね?」
リアスがSPらしき人に聞いている。
「はい、こちらに付いて来て下さい。」
要人並みだなSPとか。
それから電車に乗り数分で都市で一番大きなビルの地下のホームで降りた。
エレベーターの前でSPと別れ俺達は乗り込んだ。
そこからエレベーターでかなり上がり扉が開く。
「お待ちしておりました、グレモリー様。こちらへどうぞ。」
そこからしばらく通路を進んで行くと───
「リアス!」
「サイラオーグ!」
複数いた人影から一人の男性がリアスに気付いて声を掛けてきた。
てか、サイラオーグ!?
この人がサイラオーグか。短髪で野生的な顔をしている。体格も良く服を着ていても鍛えられた体は隠せないらしくぱっと見でも直ぐ分かる。
この人強いな、アザゼルさんが言っていたのも良く分かる。
「リアス、久しぶりだな。」
「久しぶりね、いつ以来かしら?えと、初めての者もいるわね、彼はサイラオーグ。母方の従兄弟でもあるわ。」
「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ。」
大王家の次期当主か。大物じゃないか!
「それでこんな所でどうしたの?」
「ああ、くだらないから出てきた。」
「くだらないって?」
「ああ、アスタロトやアガレスもすでに来ている。それにゼファードルも来ていてな、付いた早々にアガレスとやり合い始めた。」
やり合い始めたって・・・まさか!
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
すぐそこで爆発音と振動が!
リアスは音のした扉を開けた。
部屋は魔法でも撃ったらしくボロボロになっていた。
「こうなるだろうから開始前の若手の会合なんていらないと言ったんだ。」
嫌そうにサイラオーグさんが言う。
中央には二手に分かれて複数の悪魔が睨み合っていた。
片方はガラが悪いというか、魔物までいるな。もう片方は普通な感じだ。
部屋は殺気で満ちていて一触即発って雰囲気だ。あ~、もうやらかしてるんだった。
「ゼファードル、こんな所で戦うなんて常識も知らないのかしら?いっぺん死んでやり直したらどうかしら?」
見た目おとなしそうなのに毒舌だな~。
「ハッ、俺がそっちの部屋で一発しこんでやるって言ってんだよ!ガードが固すぎるんじゃね?そんなんだからいつまでも処女なんだよ!処女臭いッたらありゃしねえ!」
どう見ても一昔前のヤンキーだよな。こんな奴が会合出て来るとかひどいな。
「ここは会合前に若手同士で待機する間だったんだがな、お互い挨拶とかして待つはずだったんだが血気盛んな若手悪魔同士で挨拶を始めたらこれだ。」
挨拶で戦うとか血気盛んすぎだろ。
「おらあああああああああ!!」
ゼファードルが魔法をばら撒いた!こいつ!
俺は身体強化をして直ぐに飛び出し魔法をすべて弾く。
「あぶねぇな、周りの被害も考えたらどうだ?」
「あ?なんだ貴様!邪魔すんのか?」
「別に邪魔するつもりじゃなかったんだけど、こっちにも被害が及びそうだから防いだだけだよ。」
「下級悪魔の分際で俺の邪魔すんのか?名を名乗れ!」
ああ、やっちまった。まぁ、仕方ないか。
「俺はリアス・グレモリーの兵士、兵藤一誠。今代の赤龍帝だ。」
俺の名乗りに周りがザワ付く。
「お前が最近話題の赤龍帝か、調子乗ってんじゃねぇぞ?下級悪魔の分際でええええ!」
叫びながら拳に魔力を込めて突っ込んでくる。
身体強化80まで上げてゼファードルのパンチを受け止める。
「こんなもんか?」
「貴様ああああああ!」
もう片方の手で殴ってくるがそれを避けボディーブローを打ち込む!
「うぜえ!」
ドゴオオオオオオオオ!
そのまま吹っ飛び壁にめり込み気絶する。
「貴様!」
眷属らしき悪魔達が俺に向かって魔法を飛ばしてくる。
それに対応しようとした俺の前にサイラオーグさんが立ちすべて弾く。
素手で全部弾いたよ。俺も似たような事したけど。
「お前ら!こっちより先に主の介抱したらどうだ?」
サイラオーグさんの言葉で眷属の悪魔達はゼファードルの所に向かう。
「兵藤一誠、すまなかったな。本来なら俺が相手したんだが。」
「いえ、仲間に当たりそうだったんで咄嗟に動いちゃったんですよ。」
「そうか、礼を言う。」
「いえ、気にしないで下さい。それからえ~とアガレスの・・・」
「シーグヴァイラよ。」
「シーグヴァイラさん、余計な事してすみませんでした。それから大丈夫でしたか?」
「え、ええ。変わりに倒してくれて助かったわ、ありがとう。」
そう言って隣の部屋に眷属と一緒に移動して行った。
あ!
「ごめん、リアス!やっちまった。」
俺はリアスの所に行って謝る。
「まったく、でも仕方ないわね。これでまた注目されるわよ?」
「あ!しまったぁ~・・・。」
「もう遅いわよ。」
「ほんとにね。」
イリナと朱乃の言葉にヘコむのだった・・・。
無意識に目立ってます。
次回は会合。腹立つおっさん達が。