えええ〜・・・・・・
駅から降りた俺達を待っていたのは花火や音楽隊で歓待してくれる人々だった。
『リアスお嬢様お帰りなさいませ!!』
声を掛けてきたのは道の両脇に並ぶ騎士や使用人?の人達だった。
何事!?
「みんなただいま、今帰ったわ。」
リアスはみんなの歓待に平然と応えていた。
「なあ祐斗、これ何事?」
「ああ、部長が正式に帰る時はいつもこんな感じなんだ。僕も最初見たときは驚いたけどね。」
祐斗が苦笑しながら答えてくれた。
これは想像以上にとんでもない人と付き合ってしまったのでは?まあ、それ位で別れるとか無いけども。
などと考えていると正面にいたグレイフィアさんの後ろから小さい子供が出て来てリアスに声を掛けてきた。
「リアスお姉様お帰りなさい!」
「ただいまミリキャス、大きくなったわね。」
そう言ってその子を抱きかかえる。
弟さん?・・・リアスって弟なんかいたっけ?
「みんな、この子はミリキャス・グレモリー。お兄様の子供よ。挨拶して。」
ああ、甥っ子さんか。あ、挨拶しないと。
「俺は兵藤一誠です。リアス様の兵士をしています。」
俺に続いてみんなも挨拶している。
「えと、この方が赤龍帝で、お兄様ですか?会えて嬉しいです。」
お兄様!?
「お兄様って?」
「リアスお姉様の彼氏さんなんですよね?」
「あ、ああ。そうだけど・・・。」
それでお兄様?展開早くね?
「ごめんなさいね、イッセー。両親に話したら大きく広がってしまって。」
リアスも苦笑している。
「広がるのはまあ、この際仕方無いと思いますけど、展開早くないです?付き合ってまだ10日位ですよ?」
「そうねぇ、でもライザーとの件があるから仕方無い面もあるのかしら?」
そう言われると何も言えないな〜。
「お嬢様、そろそろよろしいでしょうか?」
「ああ、ごめんなさいねグレイフィア。とりあえずみんな馬車に乗りましょうか。イッセー、イリナ、朱乃、アーシアは私と一緒に乗りましょう。他のみんなもそれぞれ馬車に乗ってちょうだい。」
リアスの言葉でみんなそれぞれ馬車に乗り込む。荷物はいつの間にか運び込まれていた。至れり尽くせりだな〜。
馬車に揺られ風景を眺めながら、風光明媚でいい所だな〜とか思っていると朱乃が話してきた。
「イッセーも大変な人と付き合う事になったわね〜。」
「確かにここ迄とは考えて無かったな〜。」
「イッセーが貴族とか似合わないわね。」
イリナも苦笑しながら言う。
「俺もそう思う。リアスと付き合う時にこの辺も考えてはいたんだけど想像を遥かに超えててぶっちゃけどうしていいかわからん。」
「イッセー、私と付き合って後悔した?」
リアスが不安になったのか聞いてくる。
「覚悟が足りなかったことには後悔してるな〜。リアスと付き合った事は後悔どころかむしろ感謝してるよ。」
「感謝?」
「端から見たら複数の女の子と付き合ってるだらしない奴にしか見えないからな〜。そういう意味だとそんな奴にと付き合ってくれてる3人には感謝しかないよ。」
こういう事は照れくさいから言いたくないんだけど、たまにはいいかな?
「ふ〜ん、そんな風に考えていたのね〜。」
「初めて聞いたわね。」
「こんな事照れくさくてそうそう言えるか!」
「照れてるイッセーも可愛くていいわね。」
「お兄ちゃん顔真っ赤で可愛いです〜。」
やめてくれ〜!
みんなにからかわれているとグレイフィアさんが
「そろそろ付きますよ。」
言われて外を見ると前方に大きな城が見えた。
「え、もしかしてあれが?」
「そうよ、あれが本邸よ。」
リアスの言葉に絶句した。でかい!綺麗!すごい!
「スケールがでかすぎる!ちょっと後悔したかも?」
「ふふふ、もう遅いわよ?」
俺の言葉にリアスが悪戯っぽい笑顔で答える。
「小市民の俺に対応出来る自身がないっす。」
「ゆっくり慣れていけばいいわ。あんまり構えなくても大丈夫よ。」
門をくぐり本邸の扉の前にみんなが馬車から降りて集まる。しっかし全てがデカイ、ファンタジーな世界に迷い込んだ感じだ。エリスティン城もでかかったけどあそこは国の城だったからな〜。個人で城とかさすがに無かったしな。
「みんな行くわよ。」
リアスの言葉で扉が開きみんな中に入る。
「リアスお帰りなさい。」
入って最初に声を掛けてきたのは亜麻色の髪色をしたリアスによく似たお姉さんだった。
リアスのお姉さん?ちょっと目付きがキツイ印象があるがよく似ている。あとは雰囲気が落ち着いているかな?
「ただいまお母様。」
『お母様!?』
若い!みんなも同じ様に思ったのか同時に声を上げていた。
「悪魔はある一定の年齢以上になると見た目を変えられるのよ。お母様はいつもこれ位の年の見た目よ。」
そうだったのか。それにしても並んでいると姉妹にしか見えないな〜。
「みんな、こちらが私の母親でヴェネラナ・グレモリーよ。挨拶してちょうだい。」
「リアス様の兵士をやっています、兵藤一誠です。」
みんなも次々に挨拶しているが・・・聞きながらも俺の方を見ている。絶対何か言われるよな〜、付き合ってるの話してるって言ってたし。
「みなさんよろしくお願いしますね。これからもリアスの為に力になってあげてください。移動してきてお疲れでしょうから部屋に案内しますね。」
メイドさん達が俺達の荷物を運んでくれている。
「夕食には当主のジオティクス様もお戻りになられるので一緒に食事をしましょう。それと一誠さん。」
やっぱりきたか。
「少し残ってお話しいいかしら?」
「はい、かまいませんよ。」
朱乃とイリナは意地悪な眼差しを俺に向けて、リアスは少し心配そうな表情で部屋に移動していった。
みんなが移動して2人きりになってからヴェネラナさんが話してきた。
「兵藤一誠さん。リアスと付き合っている事は本人から聞いています。この度の事は本当にありがとうございます。」
お礼!?
「ちょ、ちょっと待ってください。お礼されることなんて何もしてないですよ。」
「そんな事は無いですよ。ライザーとの件やそれまで貴方と一緒に過ごしているうちにリアスは貴方に惚れていました。ただ、貴方には朱乃さんとイリナさんという彼女がいて、リアスは遠慮していました。」
何となく分かってはいたけどこうして改めて聞かされると想うものがある。
「諦めようとも考えたみたいですが、それも難しかったみたいで・・・リアスの想いを受け入れてくれて親として感謝してます。」
「そんな立派なものじゃないです。体裁とか格好を気にして自分の気持ちを誤魔化していましたから。リアスの気持ちを聞いて、朱乃やイリナが背中を押してくれなかったら俺から付き合うとか出来なかったと思いますから。単なるヘタレですよ。」
「それは人間として生きてきた貴方にとっては当然だと思いますよ。悪魔の社会だとハーレムは普通にありますけど。なのでこれからもリアスの事よろしくお願いしますね。」
「はい!こちらこそお願いします。」
おお〜、緊張するな。
「滞在中にグレモリーや悪魔社会の勉強をしていただくことになると思いますが焦らなくてもいいので覚えて下さいね。それから私の事はお義母さんと呼んでくれてもいいですよ。」
「さすがにそれは・・・ヴェネラナさんでお願いします。」
「あらあらちょっと早かったかしら?でもいずれは・・・うふふ、その時が楽しみね〜。」
「あはははははは。」
ヴェネラナさんの言葉に俺はかわいた笑いで誤魔化すのが精いっぱいだった。
ヴェネラナさんに挨拶、それからイッセーの想いとか。
この章は賛否両論出そうだな~。