怜奈さんが迎え入れられ、夕食を食べて、イリナと朱乃とでソファでゆっくりしていたらアザゼルさんに声を掛けられた。
「おい、そこのバカップル共、ドーナシークの事情聴取が終わって報告が来た。」
「お父さんだってお母さんとべったりの時ってもっとすごいじゃない。」
「ちょ、おま、それ言うんじゃない!」
「バカップル共とか言うからよ。」
朱璃さんとアザゼルさんがべったりとか想像つかないんだけど。でもちょっと見てみたい。
「ああ、もう、わかったよ!それでだな!さっきの話の続きだ。
「お父さん、名前とか写真は無いの?」
「ああ、写真は無いが名前はアーシア・アルジェントだ。」
「アーシア・アルジェント・・・堕ちた聖女。」
「「「!!」」」
「イリナ、知ってるのか?」
「パパに聞いたことがあるくらいだけど、どんな傷も癒す少女がいたらしいわ。その子は孤児で教会で保護して育ててたらしいのだけど、どんな傷も癒す力があって次第に聖女と祭られていったらしいのよ。それがある日傷ついた悪魔をも癒してしまって、今度は教会から魔女と呼ばれ追放されてしまった。という話しよ。勝手よね!自分達の都合で追放なんて!」
「それは、
「なるほど。トウジさんに聞いたら他にも何かわからないかな?」
「そうね、パパに連絡入れてみましょう。」
しばらくしてトウジさんと連絡がとれた。
「イリナ、それにみんなも久しぶりだね。元気でやってるかい?」
「みんな元気でやってます。それと聞いてると思いますが、俺達は悪魔に転生しました。トウジさんは複雑かもしれませんが俺達は後悔してません。事後報告みたいな形になってしまって申し訳ないです。これからもよろしくお願いします。」
今の言葉はトウジさんに話しておきたいことだった。
「ははは、気にすることなんて無いよ。娘の幸せが一番だからね。娘をこれからも頼むよ。」
「ありがとうございます。それとちょっと聞きたいことがあって連絡したんですが。」
「なんだね?」
「パパ、前に話してくれた堕ちた聖女、アーシア・アルジェントについて知ってることを教えて欲しいの。」
「どうしてアーシアさんのことを?」
「ちょっと事情というか事件がありまして、アーシアが明日駒王町に来るので私達で保護するということになったんです。」
「それは本当かい?朱乃ちゃん。」
「本当です。それでアーシアさんについて知ってることを教えて欲しいんです。」
「なるほどね。彼女が追放されたのは神のシステムに影響が出る恐れがあったからなんだよ。」
「トウジ!それは・・・」
「ああ、この子達なら話しても問題ないと思うんだが?」
「そうか、そうだな。お前ら今から話すことは心して聞けよ。」
「まず、神、悪魔、堕天使の三つ巴の戦争があり、その戦争で魔王は死んだ。それはみんなも知ってると思う。それでこれは絶対に秘密にしていて欲しいのだが、その時に一緒に聖書の神も死んでいるんだ。」
「「「っ!」」」
全員今の話に息を飲んだ。イリナには衝撃的だったろう。今は悪魔になったし、前もそれ程信仰深くは無かったとはいえ、トウジさん達と仕事の手伝いなんかもしていたからな。
「続きは俺が話そう。神の奇跡、という言葉があるが今トウジが言ったシステムというのがそれに当たる。そのシステムの制御は神がやっていた。そして神が滅んだ時にシステムを維持するためにミカエル達天使が代行しているんだが、あまりにも複雑すぎて今は最低限のシステムしか動いてない状態だ。最低限とはいえシステムを動かしているんだからミカエル達はよくやっているよ。だが、問題は出てくる。信仰に少しでも影響のあることは排除しないとシステムにどんな不具合が出るかわからない。だから教会としてはアーシアの様に影響を出しそうな人達は追放するしかないのさ。」
う~ん理解はできるが納得はできないな。勝手すぎるんじゃないか?
「君達の考えや気持ちは理解できる。私もどうにか出来ないか努力はしているが限界はある。アーシアさんのことも何とかしたかったがうまくいかなかった。そんな私が言うのもどうかと思うのだが、どうかアーシアさんのことをよろしく頼むよ。」
「わかったわ。パパはそれを知ってて大丈夫なの?」
「ああ、上層部の人達しか知らない事実だが私はちゃんと許可を得ているからね。」
「そう、安心したわ。アーシアさんのことは私達で保護するから落ち着いたらまた連絡するわね。」
「ああ、よろしくお願いするよ。」
トウジさんそう言って通信を切った。
「イリナは神の不在をしっても大丈夫なのか?」
「ええ、元々神とか信じてなかったし、信仰もあまりしてなかったわよ。それに今は悪魔だもの。」
そう言ってイリナは笑っていた。
イッセー神の不在を知る。
話しの順番が逆になったのでここで説明回に。
次回アーシアちゃん登場です。設定ちょこっといじってます。