ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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ブイズにとってあまりに重すぎるカミツルギ先輩です。スカーフカミツルギとかお手上げです。

一応この間非ログインでも感想できるようにしておいたので気軽にコメントしてくださいませ。誹謗中傷などでなければなんでもお受けいたします。



……ん?今なんでもって?


鋭いヤイバ!切り裂くツルギ!

メレメレ島に続きアーカラ島に出現したUBの捕獲に成功したウルトラガーディアンズたち。残るはウラウラ島のマリエ庭園とハイナ砂漠を残すのみである。

 

マリエ庭園はウラウラ島にあるマリエシティの中に存在し、庭園という名の通り大きな庭である。元々観光地としても有名なマリエシティだが、現在はUBの存在が危険であると判断され一般人の立ち入りは禁止されており住民たちも街からは避難している。そのため普段賑やかなマリエシティも今では人がいないため静かである。

 

そこにやってきたのはウルトラガーディアンズのメンバーであり元スカル団のボスと幹部であるグズマとプルメリである。

 

「……チッ、俺一人でも充分だっていうのに、なんでお前までいるんだよ。」

「まぁそう言うなってグズマ。これはエーテル財団で決まったことなんだから仕方ないさね。さっさと終わらせちまえばなんてことないだろう?」

 

文句を言うグズマにそう言い聞かせ宥めるプルメリ。このやり取りを見ればお互い仲が悪いように思えるかもしれないが、彼らにとってはいつも通りのやり取りである。喧嘩するほど仲がいい、ということである。

 

先ほどは舌打ちをしながら軽口を叩いたグズマだが、その表情は柔らかくどことなく緩んでいるようにも思えた。口にしたこととは裏腹に彼自身も久しぶりにプルメリと戦えることが嬉しいのかもしれない。それはプルメリも同じようである。

 

「ところでよ。例のUBはどこにいんだよ。」

 

しかしマリエ庭園にやってきたはいいものの、見渡してもUBの姿は見当たらない。UBは異形な姿をしており、グズマはかつてウツロイドの姿を目の当たりにしているためどのような存在なのかは知っている。

 

しかもマリエ庭園は建物はあるものの障害物自体はほとんどなく隠れられる場所もない。見渡しもいいためそのような目立つ姿をしたポケモンであればすぐ目に入るはずである。それでも見つからないというのであれば、考えられる理由は水中に身を潜めているか、それとも既にここにはいないか、そもそもここにUBは出現していないかであろう。

 

UBをどうやって炙り出そうかとグズマが考えていると、静かなマリエ庭園に通信機が鳴り響きビッケからの通信が入る。

 

「あぁ?」

『グズマさん、プルメリさん。マリエ庭園に現れたUBに関するデータをそちらに転送しました。確認してくれぐれも注意して対処してください。』

 

ビッケからデータが送られてくるものの、そういったデータや資料を読むことが嫌いなグズマは、それらの確認をプルメリに押し付ける。プルメリも『仕方ないね』と半ば分かっていたかのように溜息を吐き自分が資料を確認する。

 

「……これはちょっと厄介かもしれないね」

「あぁ?どうしたんだよ」

 

プルメリがそう呟くとグズマが何があったのかと尋ねる。プルメリはマリエ庭園に出現したUBの詳細を読み上げた。

 

そのUBのコードネームは“UB04 SLASH”。エーテル財団に付けられた呼称はカミツルギである。タイプははがね・くさタイプで、素早い動きからの強力な近接攻撃、特にその鋭い刀を思わせるような手足から繰り出される斬撃には注意が必要だそうだ。

 

しかしプルメリが驚いた点は他にある。それはカミツルギにサイズであった。

 

「……チッ、なんだよこいつぁ」

 

グズマが確認すると、そこに書かれていたのは驚くべき表記であった。それはカミツルギの高さが0.3mなのである。一般的なポケモンと比較するとあのキャタピーとほぼ同サイズであるといえば分かりやすいだろうか。

 

それだけ小さなポケモンであればマリエ庭園をいくら見渡しても見つからないのも仕方ないであろう。

 

だがその時であった……

 

「っ!?」

 

グズマの所持しているモンスターボールの一つが勝手に揺れ、その中から彼の相棒であるポケモンが勝手に飛び出してきた。

 

『シャ……』

「……グソクムシャ、どうしたんだよ?」

 

突然出てきたグソクムシャに困惑するグズマだが、グソクムシャはある一点だけを見つめゆっくりと歩きだす。その場所にはぱっと見草むらしかなく、他には何もない。グソクムシャはそんな草むらをアクアブレイクで切り裂いた。

 

「ハッ、ようやくおでましかよ!」

 

グソクムシャが切り裂いた草むらから小さな影が飛び出してくる。その容姿は紛れもなく送られてきた資料に載っていた情報と一致しており、小さいながらも異質な威圧感を感じさせるものであった。

 

「あんなところに隠れてたとはね。全く、よく見つけたねぇ。」

 

ようやく姿を現したカミツルギを確認したプルメリはモンスターボールを構え、自身も戦うために相棒ポケモンを繰り出した。

 

「行ってきな!エンニュート!」

『ニュート!』

 

プルメリの相棒、エンニュートはほのお・どくタイプ。どくタイプの技は全く効果がないものの、ほのおタイプの技であれば効果抜群である。

 

対してグズマのグソクムシャはみず・むしタイプ。くさ・はがねタイプのカミツルギに対してはほぼ五分五分の相性である。しかし相手はUB、油断などできるはずもない。

 

「カミツルギ……てめぇをぶっ壊してさっさと終わらせてやる!」

「グズマ、カミツルギを捕まえることが本来の目的ってことも忘れてない?」

 

プルメリの小言に『分かってる!』とだけ答えグズマはグソクムシャに攻撃の指示を出す。しまキングになっても相変わらず荒っぽいねぇ、と思うプルメリはグズマがやりすぎないようにサポートしようと自分たちも動き出す。

 

「グソクムシャ!であいがしら!」

『ムッシャ!』

 

グソクムシャはであいがしらを繰り出す。であいがしらは戦闘に出てすぐにしか使用できないが、その分素早い動きで相手より先に攻撃することのできる技だ。

 

カミツルギはグソクムシャの一撃を鋭い刀に似た腕で防御する。見た目が紙のようにペラペラでその小さな体から非力にも見えるが、カミツルギは大きな体を持ち太い腕から繰り出されるグソクムシャの強力な一撃を悠々と耐える。

 

「エンニュート!はじけるほのお!」

『ニュット!』

 

エンニュートははじけるほのおでふわふわと浮かんでいるカミツルギに追撃を仕掛け狙い撃つ。カミツルギはその攻撃を更にふわりと浮かび上がり回避するも、着弾した炎が周囲に飛火しカミツルギにも僅かにヒットする。

 

はじけるほのおは着弾地点から周囲にも僅かながらダメージを与えることができる追加効果を持っている。ほのおタイプが弱点であるカミツルギに対して確実にダメージを与えられるためこれは的確な判断であろう。

 

その攻撃を受けたカミツルギは攻撃対象をエンニュートに向け、横に体を傾けて回転しながら突進してくる。マリエ庭園にある小さなオブジェクトすらも切り裂きながら接近してくるその姿から、カミツルギの切れ味が相当なものだということが伺える。間違いなく食らったらただでは済まないだろう。

 

カミツルギの腕が緑色に光りだす。これはくさタイプの技であるリーフブレードだ。

 

「躱しな!」

 

エンニュートはそのしなやかな体と素早い動きを活かしカミツルギの攻撃を回避する。しかしカミツルギの攻撃はそれで終わりではなかった。

 

カミツルギは一切勢いを落とさず、まるでブーメランのようにUターンして戻ってくる。その攻撃にエンニュートは反応しきることができず、背中に直撃してしまう。

 

「!?なるほどねぇ、中々やるじゃないか。」

 

油断していたつもりはないが、さすがはUBとプルメリは認識を改める。そんなプルメリをよそに、グズマはグソクムシャと共に前に歩み出る。

 

「グソクムシャ、アクアブレイク!」

 

グソクムシャは懐から水でできた刀で居合斬りをする。グソクムシャのアクアブレイクに対抗し、カミツルギは再び横回転し手足の先端を伸ばして切りかかってくる。今度はかくとうタイプの技、せいなるつるぎだ。

 

グソクムシャのアクアブレイクとカミツルギのせいなるつるぎがぶつかり合う。どちらも強力な一撃で、互いの全力と言ってもいい攻撃が交じり合い金属音のような甲高い音が庭園内に鳴り響く。まるで本物の刀で鍔迫り合いでもしているような感覚だ。

 

「そのまま弾き飛ばせ!」

 

グソクムシャは強引にアクアブレイクを振り切りカミツルギを振り払った。カミツルギはその反動で飛ばされ、上手く態勢を立て直せずに空中で浮遊していた。

 

「ミサイルばり!」

『ムッシャ!』

 

グソクムシャはそのまま背中から無数の針をカミツルギに向かって撃ち放った。グソクムシャのミサイルばりはカミツルギに命中し、カミツルギはその勢いで地面にミサイルばりごと打ち付けられた。

 

「油断するんじゃないよ。相手はUBなんだからね。」

「分かってる。」

 

プルメリの忠告にそう答えるグズマ。ミサイルばりの衝撃で発生した土煙でカミツルギの姿が見えないが、それでも今の連続攻撃を浴びてしまえばさすがのUBと言えどただでは済まないだろう。

 

しかし次の瞬間、土煙から1つの影が勢いよく飛び出してきた。紛れもなくカミツルギである。

 

カミツルギは一瞬でグソクムシャの背後を取り、上空から叩き伏せるように切りかかった。

 

「チッ!グソクムシャ!」

『ムシャ!』

 

グソクムシャはグズマの呼びかけに答え、カミツルギの攻撃に反応してその太い腕を盾にし防ぐ。カミツルギの攻撃も強力ではあるが、グソクムシャの耐久力もまた一級品。かなり手痛い一撃ではあったが、それでもグソクムシャは踏ん張り耐えしのいだ。

 

「隙だらけだよ!エンニュート!りゅうのはどう!」

『ニュトォ!』

 

エンニュートのりゅうのはどうがカミツルギを襲う。カミツルギの攻撃対象は完全にグソクムシャに向いていたが、エンニュートの技に反応しすぐさまその攻撃を避けエンニュートの元へと飛びかかった。

 

カミツルギはエンニュートとの間合いを詰め切りかかる。しかしその時、プルメリは口角を上げてニヤリと笑みを浮かべた。

 

「エンニュート!ジャンプして躱しな!」

 

エンニュートは柔軟な体つきを利用した跳躍力でカミツルギの遥か頭上までジャンプする。一瞬の出来事でエンニュートの姿を見失ってしまったカミツルギは辺りを見渡しエンニュートの姿を慌てて探す。

 

「今だよ!はじけるほのお!」

『ニュート!』

『!?』

 

はじけるほのおが放たれた直後に上空にいたエンニュートの姿を察知したカミツルギははじけるほのおの直撃を寸でのところで回避する。しかし先ほどよりも反応が遅れてしまったため、はじけるほのおでの追加効果を多く被弾する。

 

その影響でカミツルギの動きが鈍り、その場で動きを停止してしまう。その隙を狙ったグズマとグソクムシャがすかさず最後の追撃にはいった。

 

「グソクムシャ!アクアブレイク!」

『ムッシャ!』

 

グソクムシャはアクアブレイクでカミツルギに追撃する。今度ははじけるほのおによる追加ダメージが予想以上に大きく防御の態勢に入れなかったため、カミツルギはグソクムシャのアクアブレイクでマリエ庭園の池まで吹き飛ばされてしまう。

 

カミツルギは見た目と同じく体重も非常に軽いため戦闘不能状態となったまま水面まで浮かんできた。それを確認したグズマがウルトラボールをカミツルギに投げつける。

 

カミツルギはウルトラボールの中に収納され、水面に浮かびながら赤い光を点滅させ僅かに揺れる。そしてウルトラボールの揺れは収まり、UBであるカミツルギの捕獲に成功したのであった。

 

「グソクムシャ」

『ムシャ』

 

グズマの指示に従いグソクムシャは池まで歩き出し水面に浮かんだウルトラボールを回収する。それを確認したプルメリはエンニュートをモンスターボールへと戻しグズマに近づいた。

 

「なんとかなったみたいだねぇ。」

「……ハッ、UBと言っても大したことなかったな。」

「あたいとあんたが組んだんだ。このくらい当然だろう?」

「……ふんっ、違いねぇな」

 

グソクムシャからカミツルギの入ったウルトラボールを受け取るグズマ。するとタイミングを計ったかのようにビッケからの通信が入った。

 

『ウルトラオーラの消失を確認。お疲れ様です。捕獲したUBはバーネット博士の元まで届けてください。』

 

最後の任務だけを伝えビッケは通信を切る。

 

人に頼まれて行動するのはあまり趣味じゃないと初めは僅かながら嫌がっていたグズマであったが、偶にはこういうのも悪くないかもしれないと心のどこかで思い、最後に鼻を鳴らしてプルメリとマリエ庭園を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―コードネーム“UB04 SLASH”捕獲完了―

 

 

 

 




アニポケサン&ムーンも完結おめでとうの意味も込めてか最近アニポケDPに続きAGも見直しました。今はXY見てます。BWも見直さなきゃ(使命感)

ポケモン剣盾発売まであと一週間です!アローラ図鑑も完成したしトレーナーパスのスタンプも集め終わったので後は発売を待つばかり。間違いなく神ゲーなので原作をやめてしまった方も復帰待ったなし。

多分次回作ではダイマックスはあるもののメガシンカ、Z技や過去の準伝が無くなる関係上恐らく現在のようなインフレは収まると思うので丁度いい環境にはなると思います。ブイズにとってゲロ重だったレヒレとかUB勢、メガリザードンがいなくなるのは救いだと思いたいです。

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