ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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今回はウルトラビースト回であると同時に重要回でもあります


超速のUB!強き絆の証明!

メレメレの花園に出現したUB、マッシブーンの捕獲に成功したヨウとハウ。彼らが花園にてマッシブーンと交戦している時、リーリエとミヅキはキャプテンであるイリマの案内で茂みの洞窟へと向かっていた。

 

「へえ~、リーリエはカントーでトレーナーとして頑張ってきたんだね。久しぶりに見たら見違えたもんね!」

「はい!今では皆さんに守ってもらっていた時とは違って自分でも戦えるようになりました!」

「カントーリーグでベスト4に入るくらいだもんね。もう立派なポケモントレーナーって訳だね!」

「お二人とも。久しぶりの再会で話したいことがあるのは分かりますが、これからUBとの戦いが待っています。気を引き締めて挑んで下さいね。」

 

リーリエとミヅキが懐かしの再会からそのような会話をしていると、イリマが2人にそう忠告した。2人もイリマの言葉にハッとなり、心でこれからの戦いに向けて気を引き締め心構えを新たにする。

 

「さて、着きましたよ。私が管理する試練の場、茂みの洞窟です。」

 

イリマの案内で辿り着いたメレメレ島の試練の舞台となっている茂みの洞窟。イリマは2人を先導し、3人で洞窟の奥へと入っていく。

 

ミヅキは2年前に島巡りの際に試練を受けるために立ち寄ったことがあるが、リーリエは茂みの洞窟内部へと入るのは初めてである。洞窟と言うだけあり、光が差し込んでいるものの薄暗く、外に比べ当然視界はあまりいいとは言えない。UBがいつどこから襲ってくるか分からないため警戒が必要である。

 

「……?なんだか少し様子が変ですね。」

「イリマさん?どうしましたか?」

「いえ、ただ茂みの洞窟の雰囲気がいつもと違う気がしたので。気のせいかもしれませんが。」

 

イリマがそう呟くと、リーリエはどうしたのかと彼に尋ねる。イリマは茂みの洞窟の異変に気が付いたようだが、確証はまだ得られていないので強くそうだとは言い切れない。

 

異変を感じるものの、イリマの後について行き3人は洞窟の奥へと進んでいく。すると目の前に何者かが倒れている姿があった。

 

「ん?あれは!?」

 

イリマはその正体に気が付くと傍まで駆け寄る。本来落ち着いている彼が慌てる様子が珍しいと思ったリーリエとミヅキは彼について行く。

 

「ラッタ!デカグース!」

 

近くによって確認すると、その正体は通常よりもサイズの大きいアローラの姿をしたラッタとデカグースであった。試練の場である茂みの洞窟に存在する大きなポケモンという事は、詰まるところ彼らは試練に挑戦するトレーナーを迎え撃つために鍛えられたぬしポケモンという存在である。

 

島巡りのトレーナーに与える試練。その相手となるぬしポケモンは通常のポケモンよりも強力で、並のポケモンでは歯が立たないことさえある。

 

しかし彼らの容態は酷く、普通のバトルに負けたとは思えない程傷付いている。幸い命に別状はなく、気絶しているだけのようでイリマは溜息をつき安心する。

 

イリマはこの場に置いておくわけには行かないとすぐに彼ら専用のモンスターボールに戻した。

 

「ラッタさんとデカグースさん……酷く傷ついてましたね。」

「うん。あれだけの怪我をするってことは、間違いなくUBが近くにいるってことだよ。」

「そうですね。早く探して捕獲しなくては、他のポケモン達もラッタやデカグースの二の舞となってしまいます。」

 

イリマの言葉にリーリエとミヅキは頷き周辺の探索を開始する。しかし茂みの洞窟内部を探してもそれらしいポケモンの姿は全く確認できない。

 

「UBさん、どこにいるんでしょうか?」

「まさかもうこの辺りにはいないとか?」

「いや、ラッタとデカグースの傷は比較的新しいものでした。こんな短時間で僕たちの眼を盗み洞窟を出たとは思えません。」

 

UBを見つけることが出来ず路頭に迷う一行。どうするべきかと悩んでいると、彼らの腕についている通信機に着信があった。3人がその通信に応答すると、エーテル財団代表の秘書であるビッケが通信に出た。

 

『皆さん、茂みの洞窟に出現したUBの詳細が判明しました!今データを転送します!』

 

通信機を通してビッケからUBの詳細なデータが送られてくる。そのUBの正体を3人は読み上げる。

 

コードネームは“UB02 BEAUTY”。ビッケたちはこのUBの名をフェローチェと呼んでいるようだ。

 

フェローチェはむし・かくとうタイプ。姿がほとんど白で統一されており、全体的に細い容姿をしている。まるで人類の天敵が2足歩行で歩いているような姿をしているようである。

 

だが重要なのはそこではなく、フェローチェの身体能力に関する詳細である。耐久力は低いが、フェローチェ自身のスピードが異常で肉眼で追う事がほぼ不可能だそうだ。捉えてしまえば楽になるだろうが、そこまでが苦難の道であるのは言うまでもないだろう。

 

3人がどうやってフェローチェを捕まえるかと考えていると、彼女たちの横を一閃の激しい風が吹き抜ける。一体洞窟内で吹き抜けたあまりに不自然な突風に一つの答えに辿り着く。

 

「!?今のはもしかして!?」

 

イリマの言葉と同時に全員が風の吹き抜けた方向へと目を移す。するとそこには先ほど送られてきたデータに載っていた特徴と合致するポケモンの姿があった。紛れもなくこのポケモンが今回のターゲットであるフェローチェである。

 

フェローチェは立ち止まりすれ違ったリーリエたちへとゆっくり視線を移す。その眼はどこか冷たく、まるで彼女たちのことを見下しているようであった。

 

「あのスピードは非常に驚異的です。充分に注意してください!」

『はい!』

 

イリマの忠告にリーリエとミヅキは答えモンスターボールを手にする。現在のターゲットが戦闘態勢に入ったのだと判断したフェローチェは振り返り、自身も戦闘態勢が万端なのだという意思を明確にする。

 

「はい!行きますよ!ドーブル!」

『ドブッ!』

「お願いします!シロン!」

『コォン!』

「行くよ!アシレーヌ!」

『シレーヌ!』

 

イリマはドーブルを、リーリエはシロンを、ミヅキはアシレーヌを繰り出した。

 

3体で挑むとは言え相手はあの未知の敵であるUB。決して油断のできない相手であり、リーリエにとっては過去に因縁をもつウツロイドと同種でもあるため手に汗を握り緊張しているのが分かる。

 

誰かがゴクリと唾をのみ込む。それがバトルの合図になるかのようにフェローチェがピクリと動き出す。そして一瞬の内に彼女たちの目の前から姿を消した。

 

「!?消えた!?」

「一体どこに!?」

 

完全に姿を消してしまったフェローチェ。どこに行ったのかと周囲を見渡すもののフェローチェの姿が一切確認できない。

 

フェローチェが近くにいるのだという気配だけは感じ取れる。現に足音自体も少なからず聞き取ることが出来ている。だが与えられた情報と同様にフェローチェの姿を肉眼でとらえることができない。

 

『ドッブ!?』

「!?ドーブル!」

 

突然ドーブルが突き飛ばされ壁に激突してしまう。それを見たイリマがドーブルの身を案じ駆け寄る。幸いまだダメージは浅いが、今のは間違いなくフェローチェの攻撃である。

 

ドーブルが突き飛ばされたのとほぼ同時にフェローチェも再び姿を現す。やっと見つけることができたと、リーリエたちはこの機を逃すわけには行かないと即座に一斉攻撃を仕掛ける。

 

「シロン!れいとうビームです!」

「アシレーヌ!バブルこうせん!」

「ドーブル!れいとうビームをスケッチしてください!」

 

ドーブルは専用技であるスケッチを使いシロンと同時にれいとうビームを、アシレーヌはバブルこうせんで同時攻撃をする。3匹の攻撃はフェローチェに着弾したかに見えたが、不思議と全く手ごたえが感じられなかった。

 

『!?コォン!』

『シレ!?』

「!?シロン!」

「アシレーヌ!」

 

今度はシロンとアシレーヌが同時に吹き飛ばされる。再びフェローチェによる奇襲にやられてしまったのだ。つまり先ほどの攻撃は全くの空振りである。

 

「こ、このままではゲットどころの話じゃありませんね……。」

「うん、それどころか……」

「はい……全滅してしまう恐れもあります……」

 

それだけフェローチェのスピードは驚異的で戦うものの戦意すらも削いでしまいかねない程恐ろしいものであった。実力に差がありすぎるのである。

 

次の瞬間、三度フェローチェは姿を消す。目を凝らして警戒するものの、フェローチェの姿が確認することができない。ならばとリーリエはある作戦を思いつく。

 

「見えないならば動きを制限すれば!」

「でもどうやって?」

 

ミヅキが疑問符を浮かべその方法をリーリエ本人に尋ねる。リーリエはその疑問に行動で示すのであった。

 

「シロン!周りにこなゆきです!」

『コォン!』

 

シロンは自分たちの周囲をこなゆきで凍らせはじめた。リーリエの考えは地面を凍らせることによりフェローチェの行く手を遮り足場を少なくすることでフェローチェ自身の足場を無くすことであった。

 

スピードが速いといえど自身の足で動いている生物に過ぎない。特に2足歩行の生物は少しでも滑る足場に立ってしまうとそれだけでバランスを崩してしまいがちである。例えUBであっても例外ではないだろうと踏んでの作戦だ。

 

だが結果は予想とは大きく違っていた。シロンのこなゆきに反応したフェローチェは動きを止め、シロンのこなゆきを正面から受け止めに行く。

 

耐久の低いはずのフェローチェだが、シロンのこなゆきに向かって正面からジャンプして飛びかかってくる。むしタイプの技でもあるとびかかるだ。シロンは攻撃を避けるために攻撃を中断しバックジャンプで回避するも、フェローチェの攻撃は止まらなかった。

 

フェローチェは続いて着地の反動を利用し、今度は着地した足とは逆の右足でシロンの向かって一蹴り浴びせる。かくとうタイプの技であるとびげりだ。

 

俊敏に動くフェローチェの攻撃に対応しきれず、シロンは腹部にとびげりの直撃を浴びてしまう。シロンの身が心配となり、リーリエはシロンの名を呼びながら吹き飛ばされるシロンを受け止めるために飛びつく。

 

しかしシロンが勢いよく飛ばされてしまったため、リーリエもただでは済まなかった。シロンを受け止めた衝撃でリーリエも同時に後退し体を地面に打ってしまう。その衝撃でリーリエのリュックサックが開き、彼女の所持しているアイテムが散乱してしまう。

 

「リーリエ!」

「リーリエさん!」

 

ミヅキとイリマが心配そうに彼女に呼びかける。リーリエは大丈夫だと答えるものの、腕を擦りむいてしまい見るからに大丈夫そうではない。シロンも自分の身に何が起こったのか気が付き、自分を支えてくれたリーリエの身を案じる。

 

「私なら大丈夫です、シロン。それよりあなたが無事でよかったです。」

『コォン……』

 

自分が守るはずである大切なパートナーを傷つけてしまったと後悔するシロン。そんなシロンの耳に、ミヅキたちが戦っている声が入ってきた。

 

「アシレーヌ!アクアジェット!」

『シレーヌ!』

「サポートしますよ!ドーブル!もう一度スケッチです!」

『ドッブ!』

 

アシレーヌを素早く接近し攻撃を仕掛けることのできるアクアジェットで攻撃する。その攻撃をサポートするためにドーブルは先ほどのシロンが使用したこなゆきをスケッチしフェローチェに牽制を仕掛ける。

 

当然と言わんばかりにドーブルの攻撃をフェローチェは華麗に回避する。その回避先にアシレーヌがアクアジェットで攻撃するも、その攻撃すらもフェローチェはジャンプして回避してしまう。

 

上空に回避したフェローチェは、回避行動中に切り返しとびげりを繰り出す。とびげりはアシレーヌの腹部に狙いを済まし、アシレーヌもシロンと同様に飛ばされてしまう。

 

「アシレーヌ!?」

 

アシレーヌが心配となり駆け寄るミヅキ。アシレーヌもミヅキに応えるために大丈夫だと答え立ち上がる。その光景を見たリーリエはギュッと手を握り締め悔しそうな表情を見せる。

 

力のこもった手に気付き主の表情確認したシロンは、自分ものんびりしている場合ではないと心の中で考える。すると彼女の視界に、とあるアイテムが映り込んだ。そのアイテムを見たシロンはリーリエの腕から抜け出し、そのアイテムの元へと駆け寄った。

 

「シロン!どこに……!?」

 

シロンがどうして駆け出したのか気になったリーリエは、シロンの行く先を確認してみる。するとその先には、かつてカントー地方にて助けたフリーザーから授かった氷の石が転がっていた。

 

「シロン……あなたまさか!?」

『……コォン!』

 

かつて進化することに躊躇し、不安を抱いていたシロンであったが、そのころとは裏腹に今は覚悟を決め自身に満ちた表情で氷の石に触れる。

 

その瞬間、シロンの体が青白く輝きだす。その光に反応し、ミヅキとイリマ、そしてフェローチェさえも目を奪われる。

 

シロンの姿は見る見ると変化していき、小さかった体も次第に大きくなり遂に光を解き放った。するとそこにいたのは、さっきまでのシロンとは別のものであった。

 

優雅に佇む美しい容姿、周囲に氷の結晶が舞っているかに思わせる涼やかな雰囲気、その姿には誰もが魅了されること間違いなしだ。

 

「シロンが……進化?」

 

シロンが大きな変貌を遂げついに進化を果たしたのだ。以前は可愛らしい姿をしたロコンであったが、今は違う。優雅で美しいその姿、アローラのキュウコンへと進化したのである。

 

突然の出来事にミヅキとイリマも唖然とする。暫くするとシロンがゆっくりと目を開き、リーリエと目を合わせる。

 

「シロン……どうして?」

『…………』

 

あれだけ嫌がっていた進化をどうして自ら受け入れたのかと疑問に感じシロンに尋ねる。シロンはその問いに応えるようにリーリエに近づき顔をペロッと舐める。それだけで、リーリエはシロンがどのような覚悟を持って進化を受け入れたのか分かった気がした。

 

「……ありがとうございます、シロン」

『コォン!』

 

シロンはリーリエの感謝に一言返事をし前に出る。そしてフェローチェと対峙する。

 

「行きますよシロン!進化したあなたの力、見せてください!」

『コン!』

 

シロンはリーリエの合図に返答し戦闘態勢へと移行し身構える。その姿を確認したフェローチェもまた再び戦闘態勢をとった。

 

「すみません、ミヅキさん、イリマさん!私たちももう一度戦います!」

「うん!必ずフェローチェを捕まえよう!」

「はい!私イリマも全力で参ります!」

 

覚悟を新たにリーリエ、ミヅキ、イリマがフェローチェと向き合う。フェローチェはそんな三人の姿を見て、またもや姿を一瞬にして消してしまう。このスピードをどうにかしなくては勝ち目はない。

 

「……もう一度さっきの作戦を試してみたいと思います!」

「え?でもさっきのは……」

 

リーリエが先ほど発案した作戦、フェローチェの足場を封じるという作戦は失敗に終わってしまった。失敗してしまった作戦が成功するとは到底思えないが、リーリエの眼は決して諦めてはいなかった。それどころかどこか確信を持った力強い目つきをしていた。

 

その眼を見たミヅキは、彼女に任せても問題ないだろうと感じる事ができた。それと同時に、彼女の諦めないその姿は、2年前に見たある少年と重なったのである。その姿こそが彼女を信じてもいいのだという確信に至った最大の要因だ。

 

「シロン!行きますよ!」

『コン!』

「こなゆきです!」

 

シロンは範囲の広いこなゆきで攻撃する。その攻撃は周囲の地面だけでなく壁すらも見る見る内に氷漬けにしていく。その勢いは先ほどのこなゆきとは全く異なり、威力も範囲も明らかに向上していた。

 

『フェッチェ!?』

 

フェローチェはそのこなゆきの威力に焦り、先ほどと違ってシロンと距離を離し動きを止めてしまう。そしてフェローチェの周辺も氷で染まっていき、次第のフェローチェの足場が無くなり動きが完全に止まった。

 

「今です!れいとうビーム!」

『コォン!』

『フェロ!?』

 

シロンは動きを止めたフェローチェに対してれいとうビームで追撃を仕掛ける。動きを封じられているフェローチェに残されたのはジャンプしてれいとうビームを回避することのみ。フェローチェはシロンの攻撃をジャンプし、攻撃の隙ができたシロンに向かってとびげりを放つ。

 

「させませんよ!ドーブル!フェローチェのとびげりをスケッチしてください!」

『ドブッ!』

 

今度はフェローチェの攻撃をスケッチしたドーブルは、小さな体を利用してフェローチェの懐へと潜り逆にとびげりをカウンターとして浴びせる。

 

『フェチェ!?』

 

フェローチェの腹部にドーブルのとびげりが直撃する。勢いよくその攻撃を受けてしまったフェローチェは顔を歪め弾き返されてしまう。なんとか着地するものの、耐久力が低いと言われているフェローチェにはそのダメージが大きかったようで膝をつき怯んだ様子を見せる。

 

「行くよ!リーリエ!」

「はい!ミヅキさん!」

「アシレーヌ!」

「シロン!」

『ムーンフォース!』

 

ミヅキのアシレーヌとリーリエのシロンが同時に力を溜め込む。そして体の中央に溜め込んだ力を解放しムーンフォースを放った。

 

2人のムーンフォースが重なり威力が倍増する。そのムーンフォースの合体技が怯んだフェローチェに向かっていく。先ほどのダメージが影響してしまいフェローチェは動くことができない。アシレーヌとシロンのムーンフォースがフェローチェにヒットしフェローチェはダウンし戦闘不能となった。

 

アシレーヌは当然として、シロンのムーンフォースは明らかに進化前と違い威力も桁違いに上がっていた。進化前のロコンと違ってキュウコンにはフェアリータイプが追加されている。それに加えシロン自身の能力が上がっているため進化前以上に簡単に使いこなすことができたのだろう。

 

そのことに気付き感動を覚えるリーリエだが、今はそれより先にやるべきことがあるとハッとなりミヅキの名を呼んだ。

 

「ミヅキさん!今がチャンスです!」

「りょーかい!行くよ!ウルトラボール!」

 

ミヅキはウルトラボールを投げる。ウルトラボールはダウンしているフェローチェに命中しフェローチェはウルトラボールの中に入っていく。

 

ウルトラボールが数回揺れる。これで決まってくれと願うみんなの想いが届いたのか。ウルトラボールがピコンッと鳴りフェローチェの捕獲に成功する。

 

「やった!フェローチェ、ゲットだよ!」

 

ミヅキはフェローチェのゲットに成功したことに喜びをあらわにしてフェローチェの入ったウルトラボールを手にする。

 

「やりましたね!ミヅキさん!」

「うん!リーリエもお疲れ様!」

 

リーリエもフェローチェのゲットに成功したことに興奮しミヅキに近づき今回の作戦成功の喜びを分かち合う。

 

「2人とも、お疲れ様です。」

「イリマさん!イリマさんもありがとうございました!」

「いえ、今回はリーリエさんとシロンの力があったからこその成功です。お二人にはとても感謝しておりますよ。」

 

イリマの真っ直ぐな感謝の気持ちにリーリエも思わず頬を赤らめ照れる。さすがにそこまで正面から褒められては照れてしまうものである。

 

互いに今回の仕事ぶりを称賛し合っている時、3人の通信機に通信が入りそれを起動して繋げる。すると再びビッケとの通信が繋がる。

 

『ウルトラオーラの消失を確認しました。皆さん、お疲れ様でした。ではこれよりアーカラ島のバーネット博士が待つ空間研究所に向かってください。』

 

ビッケがそう伝えると3人が了解と答える。その後、ビッケとの通信は切れ、イリマは2人にこれからの事を伝える。

 

「リーリエさん、ミヅキさん。私はこれからラッタとデカグースをポケモンセンターに連れて行きます。申し訳ありませんが、空間研究所にはお二人で向かって言っても構わないでしょうか?」

 

イリマの問いに2人はもちろんと答え再度感謝の言葉を伝える。イリマはそんな2人に笑顔で別れを告げ、1人ポケモンセンターへと向かっていった。

 

「じゃあ私たちも行こっか。」

「あっ、すいません。私少しやることがあるので先に外で待っててください。」

「そっか。分かった。早く来てねー!」

 

ミヅキはリーリエに手を振って一足先に洞窟の外へと出る。ミヅキの姿が見えなくなったことを確認したリーリエは自分のパートナーの目の前へと近寄り屈んだ。

 

「シロン」

『コォン?』

「先ほどはありがとうござました。私を守るために進化する覚悟を決めてくれたんですよね?」

 

シロンは黙ってリーリエの話を聞いている。

 

「でも……良かったんですか?進化してしまって?あなたは……」

 

シロンはリーリエの話を聞いて先ほどと同様にシロンはリーリエの顔を軽く舐める。その感触は冷たいはずなのにどこか温かかったのだとリーリエは感じた。

 

「シロン?」

『……コォン!』

 

シロンは笑顔でリーリエに一言だけそう答えた。リーリエはシロンのその声にはシロンの感情全てが込められているように感じる事ができた。

 

「ありがとうございます、シロン。これからもよろしくお願いしますね!」

『コォン♪』

 

リーリエとシロンは互いに笑みを浮かべてこれからも一緒に歩もうと誓い合う。こうして2人は共に進化という一つの困難を乗り越え、互いの絆を確かめ合う事ができたのであった。

 

その後、捕獲したUBの入ったモンスターボールを届けるために空間研究所へと届けるリーリエとミヅキは、空間研究所にて同じく任務を完了していたヨウとハウに合流する。4人は空間研究所へと赴き、ウルトラボールをバーネット博士に預け任務を完遂したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―コードネーム“UB02 BEAUTY”捕獲完了―




遂にシロン進化でございます。

昨日は新しいキョダイマックスの情報が解禁されましたね。専用Z撤廃の代わりにイーブイちゃんもキョダイマックスして可愛さもキョダイマックスするようです。ここまでくると新規ブイズは怪しくなってきますが、これからの追加情報も期待しています。

ではではまた次回お会いしましょう!

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