ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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UBのアイドル


花園での戦い!UB襲来!

対ウルトラビーストのために結成されたウルトラガーディアンズ。アローラ各地に出現したウルトラビーストを捕獲するためにガーディアンズの面々が動き出す。

 

ここはメレメレ島のとある花畑。島の人々からはメレメレの花園と呼ばれており、周囲には黄色の花が咲き誇っており穏やかな時が過ぎている。

 

この花はアローラでも有名な珍しいポケモン、オドリドリがパチパチスタイルへと姿を変える特殊な蜜を出すポケモンで、その他のポケモン達や人間用の食事に使われる食材としても重宝される貴重な花だ。

 

だがこの様な穏やかな場所にもウルトラオーラの反応が検知されている。紛れもなくUBが出現する兆しの証明である。そのUBに対抗するためにウルトラガーディアンズのメンバー、ヨウとハウが赴いていた。

 

「さてと、UBはどこだ?」

「ウルトラビーストー!出ておいで―!」

「ハウ、お前な……。そんな簡単に出てくるわけ……。」

 

まるで珍獣でも探すかのように楽観的に呼びかけるハウに対しヨウはそう指摘する。だがその瞬間、上空に何か違和感を感じた2人は空を見上げた。

 

するとそこには異空間へと繋がる穴が開いていた。間違いなく話に聞いていたウルトラホールと呼ばれる空間である。

 

「え?マジで?」

「あー!でてきたでてきたー!」

 

その空間から少しずつ何者かの姿があらわになる。

 

その姿は赤く逞しい筋肉に四本の脚、頭部には細い口とも言える部分に2本の触角。その見た目はまさに異形で、ポケモンとは少し違う印象を抱かせるものであった。

 

「あれがUB?」

「うわー、ホントに変わった見た目してるんだねー!」

 

初めてみるUBに不思議な感想を抱く2人。そんな2人は初めて見るUBの様子を暫く隠れて観察することにする。初見の相手に無暗に手を出すのはあまり得策ではないためだ。

 

幸いにもここは花園という事もあり姿を隠すには打ってつけだ。正体不明のUBを暫く観察するため、ヨウとハウは花畑の中に身を潜める。

 

アローラに姿を現したUBは、キョロキョロと辺りを見渡す。何かを探しているのだろうかと気になる2人だが、突如姿を現したUBに戸惑う花園のポケモンたちはゆっくりと近付く。

 

このままではポケモンたちが危ないと焦る2人だが、そのUBの様子はどこか違った。

 

『……!?マブシ!』

 

周りのポケモン達を見渡すと、突然そのUBはポージングをとり始める。突然の行動に戸惑うヨウとハウだが、その時通信機にビッケからの連絡が入る。

 

『ヨウさん、ハウさん。メレメレの花園に出現したUBの詳細が分かりました』

「ホントですか?」

『コードネーム“UB02EXPANSION”。我々は“マッシブーン”と名付けました。』

「マッシブーン?」

『はい。データはそちらに送りますので、準備ができ次第捕獲をお願いします』

 

ビッケから花園に出現したUB、マッシブーンの詳細が送られてきた。ヨウとハウはマッシブーンの判明したデータを読み上げる。

 

送られてきたデータではマッシブーンのタイプはむし・かくとうタイプ。見た目と同じで攻撃力がかなり高く、強力な一撃が必要。彼が良くとるポージングは威嚇なのか自慢なのかは不明だそうだ。未だに花園でポージングしている辺り、恐らく後者だと思われる。 

 

「見た目と違わず攻撃力が高いみたいだ。戦う際には注意が必要だな。」

「そうだねー。」

「お前……緊張感なさすぎじゃないか?」

「そうかなー?でもー、おれとヨウなら意外となんとかなる気がするんだよねー!」

「……たく、その自信はどこから来るんだか」

 

ヨウの呆れた言葉に「えへへー」と照れたように微笑むハウ。褒めたわけではないのだが、今回は大目に見ようと特に何も言うことはなかった。そもそもこれまでハウ持ち前の明るさに助けられてきた記憶も幾つかあるため今更何かを言うつもりもさらさらないのだが。

 

覚悟を決めた2人は隠れていた花園から飛び出しマッシブーンと対峙する。

 

「マッシブーン!」

『!?』

「悪いんだけどー、今から君のこと捕まえさせてもらうよー」

『…………』

 

ヨウとハウの言葉にマッシブーンはポージングをとるのをやめた。それを見たポケモンたちは危険を感じたのか焦ってその場を後にし、ここにいるのはヨウとハウ、そしてマッシブーンの3人となった。

 

「頼むぞ!ニャヒート!」

『ニャブ!』

「行くよー!フクスロー!」

『スロー!』

 

ヨウはニャヒートを、ハウはフクスローと互いに相棒を繰り出し戦闘態勢に入る。準備が完了したと判断したのか、マッシブーンは再びいくつかポージングをとる。その後、明らかに走り出す構えに移行した。

 

『……マッシ!』

 

マッシブーンはレースが始まる際に鳴らす銃声でも鳴ったかのようなタイミングで走り始める。そのスピードは見た目からは想像できないぐらい早く、すでにニャヒートの目の前まで迫ってきていた。

 

「ニャヒート!かわせ!」

『ニャブ!』

 

マッシブーンはニャヒートに向かって自慢の拳を突き出し攻撃する。ノーマルタイプの技であるメガトンパンチだ。ニャヒートはその攻撃をバックステップすることで回避するが、ニャヒートが元居た場所には軽くクレーターが出来ていた。間違いなく直撃を受けてしまっては一溜りもないだろう。

 

「スピードもパワーもすごいねー」

「ああ、これは油断したらやられるな」

 

ヨウとハウはマッシブーン、UBの桁外れな能力を再認識し改める。聞いていた話以上に厄介な相手であるのは間違いない。これだけ強力な相手であれば2人の連携が鍵となるだろう。

 

「だったらこっちはスピードで対抗だ!ニャヒート!ニトロチャージ!」

『ニャット!』

 

ニャヒートはニトロチャージでマッシブーンに一直線に向かっていく。ニトロチャージは相手に当てるたびに自信の素早さを上昇させる技だ。マッシブーンはスピードも充分に速いがその上にパワーが重なり異常な技の威力を発揮している。ならばこちらもスピードを上げ撹乱する作戦だ。

 

その上マッシブーンはむしタイプも併せ持っている。ほのおタイプのニトロチャージが当たればどれだけ強力なウルトラビーストと言えどただでは済まないだろう。

 

『マブシ!』

 

マッシブーンは向かってくるニャヒートに対し今度は左拳を突き出し対抗する。かくとうタイプの大技、ばかぢからだ。

 

その威力は凄まじく、マッシブーンに有効なはずのニトロチャージをいとも容易く弾き返した。ニャヒートは大きく吹き飛ばされ、ダメージを負ってしまう。

 

「ニャヒート!?大丈夫か!」

『ニャット!』

 

ニャヒートはヨウの声に返事をし立ち上がる。ダメージは受けてしまったものの、まだまだ戦う余力はあるようだ。

 

ばかぢからは強力な分使うほど自身の攻撃力と防御力を下げてしまうデメリットもある。強大な力を誇るマッシブーンだが、ばかぢからを使った分こちらにもまだ勝機はある。

 

「ヨウー!おれたちが援護するよー!」

「ああ!任せた!」

「フクスロー!このは!」

『スロー!』

 

フクスローはこのはでマッシブーンに牽制攻撃を仕掛ける。むしタイプであるマッシブーンにくさタイプの技は効果が薄いが、それでもこれはハウの判断が正しかった。

 

筋肉を自慢すると言われているマッシブーン。そんな彼が相手の攻撃を自ら躱すなどという事はするはずもなく、逆にこのはを全て撃ち落としている。これは彼が自分の筋肉に自信を持っており、相手の攻撃を真っ向から受けることでより筋肉の存在を誇張しているからに他ならない。

 

だが今回の相手は1人ではない。本来自慢の筋肉が彼の強さを引き出しているが、今回に限ってはそのプライドが仇となってしまう。

 

「今だ!ニャヒート!ニトロチャージ!」

『ニャヒト!』

『!?』

 

無数のこのはに集中して抵抗しているマッシブーンにニャヒートはそのこのはの間から急接近しニトロチャージで攻撃する。このはに集中していたマッシブーンはその攻撃に対応できず、ニトロチャージの直撃を受けてしまう。

 

しかし流石はUB。ニトロチャージを自慢に筋肉で受け止めダメージを最小限に抑えている。その様子から物理攻撃に対しての耐性はかなり高いようだ。

 

マッシブーンはニトロチャージの攻撃を耐えしのぎ、近接攻撃を仕掛けてきたニャヒートを両手で逃げられない様に捕まえる。

 

『マブシ!』

『ニャット!?』

「ニャヒート!?」

 

このままではマッシブーンの攻撃を避けれないと焦るヨウ。マッシブーンの次の攻撃を受けてしまえばさすがのニャヒートもただでは済まない。

 

絶体絶命かに思われたその瞬間、マッシブーンの背後に何者かの気配がした。その姿は紛れもなくハウのパートナーであるフクスローであった。

 

「フクスロー!ふいうち!」

『クスロ!』

 

気配を消してマッシブーンの背後に現れたフクスローは、マッシブーンの背中に渾身の蹴りを浴びせる。マッシブーンもその気配に気付けなかったため、フクスローの一撃で大きく怯みニャヒートを離した。

 

「助かった、ハウ。借りができたな。」

「へへへ~、今度マラサダ奢ってよねー!」

 

分かってるよ、と言わんばかりにヨウはハウの言葉に苦笑する。気を取り直し2人はマッシブーンと再び対峙する。

 

だが今回はあくまでマッシブーンの捕獲が目的だ。倒す必要はなく、ある程度のダメージを与えマッシブーンのゲットが出来れば任務達成である。マッシブーンの隙をどうにか作るため、再びマッシブーンに攻撃を仕掛ける。

 

『マッシ!』

「くるよー!」

「ああ、分かってる!」

 

マッシブーンがこちらに直線上に接近してくると、ニャヒートとフクスローは同時に左右別々に分散する。その行動にマッシブーンは戸惑い動きが止まってしまう。

 

「ニャヒート!かえんほうしゃ!」

『ニャトー!』

『!?』

 

マッシブーン左から攻撃してくるニャヒートのかえんほうしゃを左腕で防御し受け止める。効果抜群の攻撃であるため、防御しようともダメージがあるのが伝わってくる。

 

「フクスロー!はっぱカッター!」

『スロー!』

 

フクスローははっぱカッターで追撃を仕掛ける。かえんほうしゃに気をとられていたマッシブーンは背後からはっぱカッターの一撃を受けてしまう。その攻撃からマッシブーンの対象がニャヒートからフクスローに変更する。

 

「やっぱり。マッシブーンは2人を相手にするのに慣れていないみたいだな。」

 

パワー自慢のマッシブーンだが、ヨウの言う通り複数人を相手にするのに慣れていない様子だ。その証拠に2人の連携攻撃に見事翻弄されてしまいどちらに集中していいか分からない様子だ。

 

フクスローに対象が向いたことでマッシブーンはフクスローに接近しメガトンパンチを放とうとする。しかしすかさずニャヒートがマッシブーンの横まで走り、気付かぬうちに横まで接近していたニャヒートに驚き一瞬動きが止まってしまう。

 

ニャヒートは先ほどニトロチャージを使い素早さを上げていた。それによりマッシブーンのスピードを超え簡単にマッシブーンに近づくことが出来たというわけだ。

 

「ニャヒート!ほのおのキバ!」

『ニャヒト!』

『マブシ!?』

 

ニャヒートの攻撃がマッシブーンの振り上げていた腕にヒットし、マッシブーンは断末魔を上げる。ほのお技の攻撃が立て続けに当たり、今度は直撃を受けてしまったためにさしものマッシブーンも致命傷を負ってしまったようだ。

 

マッシブーンはニャヒートのほのお技を受けてその場で動きを停止しあまりのダメージに拳を地面につき倒れる。ダメージが大きいからか筋肉を自慢するポージングをとる余裕すら見られないように感じる。

 

「ヨウー!今だよー!」

「分かってる!頼む!ウルトラボール!」

 

ヨウはウルトラボールをマッシブーンに投げる。ウルトラボールはマッシブーンにヒットし、マッシブーンの巨体は小さなウルトラボールの中に入っていった。

 

マッシブーンの入ったウルトラボールは中央に光りを灯しながら揺れる。ヨウとハウに無事ゲットできるかどうかという緊張感が走る。

 

緊張感に包まれる中、ウルトラボールの揺れは収まりピコンッという音と共に点滅も収まる。その瞬間、マッシブーンのゲットに成功したという証である。

 

「やったー!マッシブーンゲットしたよー!」

「ふう、なんとかなったな」

 

子どものようにはしゃぐハウに無事ゲットできたことに安心し一息つくヨウ。ヨウはマッシブーンの入ったウルトラボールを拾い上げる。

 

それと同時に通信機から音が鳴り再びビッケと繋がった。ヨウとハウはその通信機に応答すると、画面にビッケの姿が浮かび上がった。

 

『ウルトラオーラの消失を確認しました。お二人とも、お疲れ様です。至急、マッシブーンの入ったウルトラボールをアーカラ島の空間研究所にいるバーネット博士の元まで届けてください。』

 

マッシブーンを捕獲することに成功した2人は、ビッケの指示に頷き次の任務先であるアーカラ島に向かうためハウオリシティへと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―コードネーム“UB02EXPANSION”捕獲完了―




最近色んなポケモンの厳選に勤しんでおります。次はラグ、ナット、グロス辺りでも厳選しようかと。マンダ含めてチョッキニンフィアと組みやすいですし。ガチパでもニンフィアは入れます。ヒトムミトムとか他にも育てたいポケモンが多々おります。

にしても使って思ったけどガッサって超強いよね。ブイズパだとエーフィで封殺できますが。

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