ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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暑くてしんどいよ、パトラッシュ

パト「知らんがな……」



ヌシは常日頃ブイズの全タイプ追加が来ないかと願ってはいます。しかし、最近になって重要なことに気が付いてしまったのです。

もしブイズが全タイプ追加されれば…………ブイズの厳選が一向に終わらずヌシは厳選に時間を割きすぎて過労死するのではないだろうか?


新しい出会い、次なる舞台へ!

グラジオから緊急の連絡が届き急ぎアローラ地方へと戻ることとなったシンジとリーリエ。マサラタウンでお世話になったオーキド博士を含む人々たちと別れの挨拶を交わし、カントー地方の港であるクチバシティにやってきていた。

 

ルザミーネは荷物を纏めてからアローラに向かうためシンジたちとは別行動だ。今回は突然の出来事であったためシンジとリーリエを先に行かせるべきだと判断したのだ。

 

「もう行くんですね」

「寂しくなっちゃうなー」

 

2人の船出にコウタとコウミ、それから海の管理をしているカエデが立ち会ってくれた。コウタとコウミは名残惜しそうに2人に別れを告げる。

 

「うん。このままじゃアローラが危ないからね。」

 

コウタとコウミもシンジたちの事情は聞いているため2人を引き留めることが出来ない。ならば寧ろこんな時こそ2人の事を笑顔で見送り勇気づけてあげようと僅かに零れた涙を拭った。

 

「カエデさん、態々すいません。私たちのお見送りなんて」

「そのくらいいいのよ。あなたたちにはお世話になったんだもの。」

 

カエデは気遣うリーリエの言葉に気にしなくていいと首を振る。そしてカエデはリーリエから預かったモンスターボールを手にして言葉を続けた。

 

「リーリエちゃん。ハクリューは私が責任を持って預かるわ。だから安心して。」

 

カエデの言葉にリーリエは「ありがとうございます」と頭を下げて感謝する。カントーリーグのためにハクリューを再び仲間にしたリーリエだが、まだ仲間のハクリューやミニリュウたちが心配だという事でもう一度預けることにしたのだ。

 

その件についてはハクリューも同意し、もう一度いつか必ず会おうと約束したので成長した彼に再会する日を夢見てリーリエとハクリューは別れることを決意した。

 

「シンジくん、リーリエちゃん。向こうに戻っても元気でね。」

『はい!お世話になりました!』

 

シンジとリーリエは同時にカエデに感謝の言葉を伝える。その後、コウタとコウミも続いてシンジ、リーリエに再び別れの言葉を伝えた。

 

「シンジさん、リーリエ。何かあったらいつでも呼んでください!」

「私たちはこれからも旅を続けるけど、2人に呼ばれたらすぐに助けに行くから!」

「ありがとう、2人とも。」

「また必ずお会いしましょう!」

 

4人はまた再会しようと誓いあいそれぞれ交わす。お互いまた会った時には全力でバトルしようと約束をして。

 

そして見送ってくれた3人に手を振りシンジとリーリエは船へと乗り込む。もう間もなく出航のためクチバに船の汽笛の音が鳴り響く。

 

そんな時、声を荒げながら船に向かって走ってくる2人の少年の声がした。

 

「あー!もう船出ちまうじゃねえか!ハウ!お前がのんびりマラサダ買ってるから!」

「だってー、カントーでマラサダ売ってるところなんて滅多にないからー、どんな味なのか気になるじゃん?」

 

ハウと呼ばれた少年は後ろで結った緑の髪に浅黒い肌。黒色のTシャツを着用しており、ズボンはオレンジ色の花柄模様がついた黄色い短パンを履いている。

 

もう一人の少年は、黒のベースボールキャップ同じ黒の短めの髪。白と青のボーダーシャツ、赤いリブのついたハーフパンツを着用している。。

 

「だからってマラサダ選ぶのに1時間もかかんなよ!出航の時間に間に合わなかったらどうすんだよ!」

「大丈夫だよー。あっ、ヨウもマラサダ食べるー?」

「後でいただきます!」

 

ヨウと呼ばれた少年が船の出航の時間に間に合うかどうかという瀬戸際で焦っている一方、ハウと呼ばれた少年はその真逆で一向に焦る気配を見せない。対照的な2人の姿にコウタたちも唖然と見つめているしかなかった。

 

船の汽笛の音が徐々に大きくなり、出航間際となる。ヨウとハウは徐々にスピードを上げて船に乗り込む。この2人の姿には流石の船員も開いた口が塞がらないといった様子だ。

 

2人が乗り込んだすぐ後に船は出航した。間一髪の状況にヨウは安心したのと同時に疲れがどっと溢れかえる。

 

「はぁ……はぁ……なんとか間に合った……」

「ね?言ったとおりでしょー?」

「お前は黙ってろ……」

 

未だに緊張感を感じられずのほほんとしているハウに対し、ヨウは肩で息をして両手を床につけ息を整える。間に合うかという焦りと走ってきた疲労で体力も限界に近いため仕方がないだろうが。

 

「あ、あの……大丈夫ですか?」

「ぜぇ……はぁ……だ、大丈夫です。」

 

リーリエはヨウの事が心配になり声をかける。どう見ても大丈夫ではないが、ヨウは心配そうに見ているリーリエに対し大丈夫だと告げる。息が絶え絶えで他者から見れば死にかけているようにも見えるのだが。

 

「あ、あの。水貰ってきたのでよかったらどうぞ。」

「あ、ありがとう……ございます……。」

 

あまりの姿に心配になったシンジは船員から水を貰いヨウに手渡した。ヨウもシンジからその水の入った容器を受け取り水を飲み干す。

 

「……はぁ。だ、大分落ち着いてきました。ありがとうございます。」

 

水を飲み落ち着きを取り戻したヨウは立ち上がり2人に礼を言う。2人もそんなヨウに気にしなくていいと伝える。

 

「良かったねー、ヨウ」

「誰のせいだ誰の!」

 

この状況を作り出したものの自覚をしていないハウにヨウは怒鳴る。しかしハウはそれでも笑顔を絶やすことはなかった。何を考えているのか全く分からないが、ある意味ただものではないかもしれないとシンジたちは感じるのであった。

 

「……あー!?」

「っ!?どうした!ハウ!」

 

突然大きな声を出すハウにビクッと驚きながらヨウは何事かと尋ねた。しかし、そんなハウから予想外の言葉が返ってきた。

 

「ごめーん、ヨウ。マラサダ全部食べちゃったー」

 

突然大声を出したから大事かと思ったシンジとリーリエだが、ハウの発言になんだと溜息をつく。しかしヨウは2人と違うようで……。

 

「なっ!?ハウ!お前、さっき俺にもくれるって言ったじゃないか!」

「ごめんごめん。アローラでまた買ったらすぐあげるからさー」

 

ヨウにとってはとても重要なことであったようだが、2人にとっては別に気にすることでもない気はすると半分置いてけぼり状態で漫才のようなやり取りを繰り返す2人の姿を見つめている。

 

その様子からなんだかんだいいつつも仲は良いのではないかと思うシンジたちであったが、2人から気になる単語が出てきたためそのことについて尋ねることにした。

 

「ねぇ、一ついいかな?」

「なーにー?」

「君たちはもしかしてアローラに向かう予定なの?」

「うん、そーだよー」

 

少々ずれたハウに突っ込みつかれたのかヨウは少し息を整えている。その横でハウが未だにニコニコと笑顔を絶やさない状態で腕を後頭部で組みながら軽い感じで答える。

 

「……すみません。今はアローラには近づかない方がいいと思います。」

「どうしてー?」

 

リーリエが2人に忠告すると、ハウは何故なのかと尋ね返した。シンジとリーリエは、現在アローラで起こっている現象をハウとヨウに包み隠さず答える。

 

現在アローラにてウルトラホールが出現してしまっていること。自分たちがその事件収集に向かいアローラに赴こうとしていること。ハウとヨウはさっきまでの軽い様子は見られず2人の話を真剣に聞いていた。最もハウは笑顔を絶やすことはなかったが、それでも今回の出来事はただ事ではないというのは理解しているようだ。

 

2人も2年前にアローラで起こった出来事を部分的にではあるが知っていたそうだ。

 

「君ってハラさんの孫だったんだね。」

「うん。ミヅキとは兄妹みたいなものなんだー。まあ親は違うんだけどねー」

 

どうやらハウはミヅキと同じで元しまキングのハラの孫だそうだ。親が違うというハウだが事情は人それぞれあるため深くは聞かないようにしたが、そのことに関してはミヅキもハウ自身まったく気にしていないようだ。

 

ヨウはハウとミヅキの幼馴染のようだ。小さいころから3人一緒にいたが、ハウがカントーやジョウトに旅に出ると言い出したため自分もついて行きトレーナーとしての腕を磨いていたそうだ。

 

「そんな話聞いたら余計アローラに帰らないわけには行かないよー。」

「そうだな。俺たちも伊達に修行してたわけじゃないし。」

「ウツロイド達UBは危険な存在なんだよ。それでも行く?」

 

シンジの質問に2人は頷いて答える。本来彼らは止めるべきなのかもしれないが、戦う意思のあるトレーナーを止めることは出来るはずもなく、2人のアローラへの同行を共にしてくれる2人の存在はシンジとリーリエにとっても頼もしいものである。

 

話がまとまったところで、ハウが「あっ」と思い出し自己紹介をはじめた。

 

「そう言えば自己紹介がまだだったねー。おれねー、ハウっていうんだー。」

「さっきも言ったけど俺はヨウ。よろしくな。」

「僕はシンジ。よろしくね。」

「私はリーリエです!よろしくお願いします、ハウさん!ヨウさん!」

 

お互いに自己紹介を終えると、今度は2人の名前を聞いたヨウが思い出したことを口にした。

 

「シンジとリーリエ?もしかしてミヅキが言ってた2人って……」

「多分僕たちの事だと思うよ。」

 

ヨウと幼馴染であり、ハウとは兄妹にも近い関係であるハウは定期的にミヅキと連絡をとっていたらしく2人の事も知っていたようだ。

 

「ってことはシンジはアローラ初代チャンピオン?すっごーい!」

 

シンジの正体を知ったハウがテンションをさらにあげてはしゃぎ始める。やっぱりトレーナーであるため憧れのチャンピオンに会えれば誰しも嬉しいものであろう。

 

その時あることを思いついたハウが、シンジに一つの提案をしたのであった。

 

「じゃあさじゃあさー!おれとバトルしてよー!チャンピオンに会ったらバトルがしたいって思ってたんだー!」

 

ハウが船に当然のように設備されているバトルフィールドを指差してそういった。アローラの危機のこのような呑気な考えは少々問題かもしれないが、カントーの反対側に位置しているアローラに着くまでにはまだまだ時間がかかる。早くても後日の朝に到着する予定だ。

 

それにUBと戦う以上、間違いなく苦戦は免れない。広いアローラで戦うことになるため常に彼らの事を守ることなどできない。この戦いに参加する以上自分の身は自分で守るしかないのだ。そんな戦いに参加する彼らの力量は知っておくに越したことはない。

 

チャンピオンと知ってのバトルの申し出は断るべきなのだろうが、今回は事情が事情であるため寧ろバトルする必要があるだろう。故にシンジはこのバトルの申し出を断ることはせず、あえて受けることにしたのだった。

 

「いいよ。だけど条件があるよ。」

「条件ー?」

「僕とリーリエ、ハウとヨウのタッグでバトルするんだ。この先のために2人の腕前は知っておきたいし、UBと戦う際にタッグバトルでの経験は必ず役に立つからね。」

 

強力なUBとの戦いでは協力して戦う事も必ず出てくる。その際にパートナーと息を合わせることは間違いなく必須事項だ。そのためにここで普段できないタッグバトルは経験しておくべきだと説明し、2人もその条件を呑みリーリエも承諾した。

 

そして4人は用意されていたバトルフィールドへと移動し、タッグバトルを開始するのだった。

 

「ルールは1匹ずつのタッグバトル。戦闘不能にならなくても、僕が判断したら強制的にバトルは終了。いいね?」

 

シンジの説明したルールに3人は頷く。

 

シンジが何故戦闘不能までバトルをするつもりがないのかと言うと、理由は船の設備に関係している。

 

ここは他の地方へ移動するための連絡船であり、豪華客船のように充実した設備にはなっていない。そのため、緊急時のポケモンセンターは配備されていないのだ。そんなタイミングでポケモンたちが深手を負ってしまうと対処ができない事態に陥ってしまう可能性がある。

 

ヨウ、ハウ、リーリエもシンジの意図を理解したうえでこのルールに承諾してくれたのだ。

 

「じゃあ僕のポケモンはこの子だよ!」

『ブスタ!』

 

シンジが出したのはほのおタイプのブースターだ。それを見てハウとヨウも自分のパートナーポケモンを繰り出すのだった。

「じゃあおれのポケモンはー、フクスローだよー!」

『フクス』

「俺はこいつだ!行くぞ!ニャヒート!」

『ニャッヒー!』

 

ハウはアローラ初心者用ポケモン、モクローの進化形のフクスロー。ヨウが繰り出したのが同じくアローラ初心者用ポケモン、ニャビーの進化形のニャヒートだ。どちらも体つきが良く威圧感を放っており、とてもよく育てられていることが見ているだけでも伝わる。

 

「では私はこの子です!お願いします!フシギソウさん!」

『ソウ!』

 

リーリエが繰り出したのはフシギソウだ。フシギソウはカントー初心者ポケモンの一体、フシギダネの進化系だ。

 

ほのおタイプのニャヒートとくさタイプのフクスロー、同じくほのおタイプのブースターとくさタイプのフシギソウの対決。通称御三家と呼ばれるポケモン3体の対決となり、両チーム同じタイプであるため条件も五分である。

 

「おれからいくよー!フクスロー!このは!」

『スロー』

 

フクスローはこのはによりブースターとフシギソウを同時に狙い撃つ。相手を同時に攻撃することは決して簡単なことではなく、その動きだけでフクスローが鍛えられていることがよく分かる。

 

「ブースター!かえんほうしゃ!」

『ブースタ!』

 

ブースターはかえんほうしゃを放ち全てのこのはを迎撃する。くさタイプに対してほのおタイプは効果抜群であるため適切な判断だ。

 

「フシギソウさん!エナジーボールです!」

『ソウソウ!』

「ニャヒート!こっちもかえんほうしゃで応戦だ!」

『ニャヒ!』

 

リーリエはこのはを完全に迎撃したことを確認すると、すかさずエナジーボールによる反撃の指示を出す。それに対しニャヒートは先ほどブースターが行った方法と同じようにかえんほうしゃでエナジーボールを相殺する。

 

「今だ!ニトロチャージ!」

『ニャット!』

『ソウ!?』

 

エナジーボールを見事迎撃したニャヒートは、ニトロチャージで発生した煙の中を飛び出しフシギソウに攻撃する。フシギソウは僅かに対応が遅れてしまい、ニャヒートのニトロチャージを受けてしまう。

 

さらにニトロチャージの追加効果により、ニャヒートは素早さが上昇し調子を上げていく。

 

「フシギソウさん!大丈夫ですか?」

『ソウ!』

 

リーリエの声に反応しフシギソウは頷き元気に答えた。まだまだ余力はあるようだが、弱点であるほのおタイプの技を受けてダメージは少なくないだろう。あまり攻撃を受け続けては危険だ。

 

「ブースター!シャドーっ!?」

 

ニトロチャージの反動の隙を狙いシャドーボールで狙い撃とうとするシンジであったが、その瞬間にブースターに静かに忍び寄る影の存在に気付いた

 

しかしその影のスピードは素早く、気付いたときには既に遅く対応が遅れてしまう。

 

「フクスロー!ふいうちー!」

 

フクスローは気配を完全に消し背後からブースターに蹴りの一撃を浴びせる。それに気付くのが遅れてしまったブースターは対応することが出来ずにその一撃の直撃を受けてしまう。

 

ブースターはなんとか受け身をすることに成功しダメージを抑えることが出来たものの、ふいうちによるダメージは確認することが出来た。

 

モクローとその進化形は獲物を捕らえるために羽音と気配を消して接近することが得意だ。その上足の力も強く、その一撃による攻撃力はかなりのものである。フクスローの特徴を上手く活かしたふいうちは見事なものである。

 

これはタッグバトルだ。片方に集中し注意力が散漫になったところに攻撃を仕掛けるのは常套手段ともいえる。彼らはタッグバトルの特徴までも理解し、的確な指示をポケモン達に出している。これは彼らがポケモントレーナーとしても優秀な証拠だと、シンジは彼らに対する評価を改める。油断していたら逆に返り討ちにあってしまうだろう。

 

しかしタッグバトルであるならば自分とリーリエも負けてはいないと彼女の顔をチラッと見る。リーリエもシンジの視線に気づき、彼の考えが分かったのか頷き答えるのであった。

 

「フシギソウさん!全体に向かってはっぱカッターです!」

『ソウ!』

 

フシギソウははっぱカッターで再び攻勢に出る。そのはっぱカッターはいつもの一点への集中攻撃と違い、満遍なく放たれた。これでは威力が半減してしまうであろう。

 

「フクスロー!フェザーダンス!」

「ニャヒート!かえんほうしゃ!」

 

フクスローはフェザーダンス、ニャヒートはかえんほうしゃではっぱカッターの攻撃から身を守る。

 

通常フェアーダンスは相手の攻撃力を下げるという技だが、フクスローは正面にフェザーダンスによって発生する羽をばら撒くことで防御として使用した。状況に応じての対応が見事である。

 

しかしその状況はシンジの待ち望んでいた状況でもあり、ブースターに攻撃の指示を出したのだった。

 

「ブースター!オーバーヒート!」

『ブースター!』

『ニャヒ!?』

『スロ!?』

 

ブースターは力を溜め込みほのおタイプ最強クラスの技、オーバーヒートを放つ。先ほどニャヒートがかえんほうしゃを放ったことで燃え散ったはっぱカッターが彼らの視界を遮ってしまい、ブースターの姿が見えなくなってしまったのだ。

 

ブースターはフシギソウのはっぱカッターが彼らを妨害している間に体内の熱を最大限に引き上げ、力を溜め込んでいたのだ。オーバーヒートは自身の炎を限界まで上昇させ放つ高威力の技だが、その分隙も大きく力の消費も大きい。しかも使うほどに威力が下がってしまうというデメリットもある。それ故に頻繁に使用することは出来ず、失敗するとその反動は大きく自分に返ってきてしまう。

 

だからこそシンジはリーリエの得意戦術を上手く活用し、ブースターの力を引き出したのだ。

 

その作戦は見事に成功し、フクスローとニャヒートは避けることが出来ない。フクスローは今の一撃で戦闘不能にはならなかったものの、かなり体力を奪われている様子だ。効果いまひとつのニャヒートでさえかなりの疲労を感じ取れる。

 

その様子を見たシンジは「それまで!」と言いバトルを中断する。これ以上バトルを継続してしまえばニャヒートはまだ大丈夫にしても相性の悪いフクスローはかなり危険な状態になるに違いない。

 

「フクスロー、おつかれさまー。よく頑張ったねー。」

『スロー』

「ニャヒート、よくやったな。今はゆっくり休んでくれ。」

『ニャット』

 

ハウとヨウは頑張って戦ってくれたパートナーに歩み寄り頭を撫でる。フクスローとニャヒートもこれには思わず嬉しそうに笑みを浮かべている。

 

シンジは戦ってくれたブースターに感謝し、バッグの中からきのみを取り出して2人に渡した。

 

「オボンのみだよ。消耗した体力はこれで戻るから食べさせてあげて。」

「ありがとー!」

「ありがとな。」

 

オボンのみを分けてくれたシンジに感謝し、ハウとヨウは傷付いたポケモンにオボンのみを食べさせ体力が回復したことを確認しモンスターボールに戻してゆっくりと休むように言う。リーリエも同じようにオボンのみをフシギソウに与えモンスターボールに戻し休ませる。

 

「いやー、チャンピオンってやっぱり強いねー!でも楽しかったからおれは満足かなー」

「そうだな。リーリエとの息も合ってたし、俺たちもまだまだ頑張らないとな。」

 

そう言って今日の戦いを反省する2人にシンジとリーリエは、この2人であればとても心強いと感じて一安心する。

 

それに加えUBの件では頼れる仲間となるだろうが、UBの件が解決したら自分の強力なライバルになりそうだと心の中でドキドキしながらもワクワクした感情をリーリエは募らせる。

 

こうしてシンジとリーリエは、ヨウとハウという有望なポケモントレーナーを仲間にしグラジオたちの待つアローラ地方への到着を待つのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

「見えてきた!アローラ地方!」

 

4人がバトルした翌日、ヨウの言葉に反応した一同は船の甲板にてアローラ地方が見えてきたことを確認する。

 

待っているUBとの戦いに対しての緊張感に加え、ハウとヨウは久しぶりに見た故郷に帰ってきた懐かしさや喜びで胸がいっぱいになる。シンジとリーリエも久しぶりにグラジオやミヅキたちに会えるのだというワクワクも心の中で感じ胸を躍らせていた。

 

起きてしまうであろうUBとの戦い。熾烈な戦いが待っているのは間違いないだろうが、それでも周りにいる頼もしい仲間たち、なにより共に戦ってくれるポケモンたちがいれば怖くないだろうと彼らは感じる事ができた。

 

いよいよ彼らの新しい冒険が幕を開ける!




最近になって暑い日が続きますが、兎にも角にも宣言通りハウとヨウの登場です。今回でカントー編は無事完結となります。

キャラ設定的にはハウがボケでヨウがツッコミです。以上

恐らく来週は休みます。理由としてはポケモンの厳選に集中したいというのもあるのですが、もう一つの理由としてそろそろみんなの物語を書き始めるつもりだからです。

と言っても暑い時はヌシの気分ややる気にもよるので本当に書くかは不明です。出来たら次回アローラ編のキャラ設定資料を追加するかもしれませんが、まあ気長に待っていただけたらと思います。

ハウはリーリエに次ぐ癒し系キャラだと思ってたりします。

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