ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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カントーリーグ最終バトル決着いたしました。最後まで楽しんで読んでいただけたら幸いです。


カントーリーグ終幕!リザードンVSバシャーモ!

遂に迎えたポケモンリーグカントー大会決勝戦。コウタ対コウミの双子対決は開始早々、壮絶なバトルを繰り広げ互いに互角の試合を続けている。

 

コウタはヘラクロス、ヨノワール、リングマを、コウミはミミロップ、ムウマージ、ライボルトを失いどちらも一歩も譲ることのないバトルが展開されている。

 

コウタのリングマを破ったコウミのドリュウズ。次にコウタが繰り出すポケモンは……?

 

『さあ盛り上がってまいりましたカントーリーグ決勝戦も遂に後半戦に突入!コウタ選手が次に繰り出すポケモンは?』

 

「頼んだぞ!エレキブル!」

『エッキブ!』

 

次にコウタが繰り出したのはエレキブルだ。しかしでんきタイプのエレキブルではじめんタイプのドリュウズには相性が悪い。そんな相手にコウタはどう立ち向かうのか見ものである。

 

「エレキブル!じめんにかみなりだ!」

『エキブ!』

 

エレキブルは尻尾を地面に突き刺しそのままかみなりを放つ。エレキブルのかみなりは大きな轟音と共に地面を裂くほどの衝撃を発生させた。

 

そしてその発生させた衝撃がドリュウズに迫る。でんきタイプのかみなりが効果がなくともその技で発生させた衝撃であれば十分なダメージが入るだろう。

 

「ドリュウズ!ドリルライナー!」

『ドリュ!』

 

しかしドリュウズはドリル形態に移行しドリルライナーでその衝撃を回避しつつエレキブルに接近し距離を縮める。エレキブルもドリュウズが避けることを読んでいたのかすぐにドリュウズを迎え撃つ態勢を整え待機していた。

 

「かわらわりで迎え撃て!」

『エッブ!』

 

エレキブルは構えた腕を大きく振りかぶり接近してくるドリュウズに対して振り下ろす。本来苦手な筈のじめん技であるドリルライナーをエレキブルは腕一本で受け止めドリュウズの動きを止めたのだった。これにはコウミも苦い顔を浮かべるが、即座にドリュウズに次の指示を出した。

 

「ドリュウズ!あなをほる!」

『ドリュウ!』

 

ドリュウズはドリルライナーを止められ弾かれた反動を逆に利用し、あなをほるで再び地中に姿を消した。

 

「くっ!どこからくる?エレキブル!注意しろ!」

『エッキ!』

 

エレキブルはコウタの声に反応し頷いて返答する。ドリュウズがどこからくるのか警戒しつつ待機していると、次に瞬間に地面に僅かながら反応があった。

 

「!?エレキブル!後ろだ!」

『エッブ!?』

「今よ!ドリュウズ!メタルクロー!」

 

僅かに地面が揺れ反応を見せた背後にエレキブルは振り向く。ドリュウズはすぐさまエレキブルの背後から飛び出しメタルクローを仕掛けてくる。

 

メタルクローはエレキブルの顔にヒットする。効果はいまひとつであるが、それでもエレキブルには確実にダメージが入った。しかしエレキブルもただでやられることはなかった。

 

「今だエレキブル!」

『!?エッブ!』

『ドリュ!?』

「!?」

 

『なんとエレキブル!自分の尻尾を利用してドリュウズを捕らえたぞ!』

 

エレキブルはダメージを食らいつつもその攻撃を耐えしのぎドリュウズの腕を尻尾で捕まえ動きを封じた。ドリュウズも必至に振りほどこうとするがエレキブルの力は強く、まるでビクともしていない。

 

「かわらわり!」

『エッキブ!』

 

尻尾で抑えながらエレキブルはかわらわりをドリュウズの脳天目掛けて振り下ろす。防御すらとることのできないドリュウズはその攻撃を防ぐ手立てはなく、かわらわりで思いっきり地面に叩きつけられる。

 

エレキブルはドリュウズを地面に叩き伏せたあと自分の尻尾をゆっくりと離す。そして叩き伏せた際に発生した衝撃により舞い上がった砂が晴れると、そこには目を回し倒れていたドリュウズの姿があった。さすがに無防備なあの態勢でかくとうタイプのかわらわりをまともに喰らってしまっては一溜りもなかったようだ。

 

「ドリュウズ!」

『どりゅ……』

「ドリュウズ戦闘不能!エレキブルの勝ち!」

 

戦闘不能となったドリュウズを確認したエレキブルは大きく雄叫びをあげる。そしてコウミは悔しそうにしながらも「お疲れ様」と声をかけドリュウズをモンスターボールへと戻した。

 

『エレキブルのパワーの前にドリュウズダウン!コウミ選手の残りポケモンは2体!コウミ選手の5体目は?』

 

「行くよ!ムクホーク!」

『ムクホー!』

 

次にコウミが繰り出したのは立派なトサカが特徴のもうきんポケモン、ムクホークだ。ムクホークはひこうタイプであるため先ほどと逆転してエレキブルとの相性は最悪。だがそれはあくまでタイプとしての観点で言えることだ。

 

「エレキブル!フィールド全体にかみなりだ!」

『エッキ!』

 

エレキブルはフィールド全域に向かってかみなりを放つ。全体に拡散している分一発ごとの威力は分散されてしまうが、その分相手にかかるプレッシャーは大きくなる。特にでんきタイプが弱点のポケモンであればなおさらだ。

 

「懐に潜り込むよ!でんこうせっか!」

『ムクホ!』

 

ムクホークは目にも止まらぬ速さでかみなりの中を駆け抜ける。嵐のように降り注ぐかみなりに向かって正面から向かっていくには相当の勇気がいる。それも素早く駆け抜けるとなれば並大抵のことではない。それはムクホークの勇敢さとコウミのポケモンたちに対する信頼の表れにもなっていた。

 

かみなりを避けつつ接近するムクホークのでんこうせっかがエレキブルの腹部を直撃する。しかしこれは逆にチャンスだとコウタはエレキブルに指示を出した。

 

「エレキブル!ムクホークを捕まえるんだ!」

『エブ!』

 

エレキブルは先ほどと同様にムクホークを捕まえるため尻尾を伸ばした。しかし何度も同じ手に引っ掛かるほどコウミも甘いトレーナーではない。

 

「つばめがえしで振り払って!」

『ムクホー!』

 

ムクホークはつばめがえしによる急上昇でエレキブルの尻尾を強引に引きはがす。先ほどは不意を突かれる形で油断してしまっていたため捕まってしまったが、今度はエレキブルの行動を読むことができていたため容易に対応することができた。

 

「くっ!」

 

エレキブルの尻尾を避けられ今度はコウタが苦い顔をする。そしてムクホークはそのつばめがえしによる勢いを活かし、次の大技へとつなげた。

 

「ムクホーク!そのままブレイブバード!」

『ムクホー!』

 

ムクホークは急上昇から急下降し、ひこうタイプ最大の技であるブレイブバードに移行する。地面すれすれまで下降したムクホークは翼を大きく広げさらにスピードを上げエレキブルに迫る。

 

「エレキブル!かみなりパンチ!」

『エッキブル!』

 

エレキブルは正面からかみなりパンチで迎え撃つ態勢に入る。いくらブレイブバードが強力と言えど正面から弱点であるかみなりパンチと、自身による反動が重なれば一溜りもないだろう。

 

しかしその時、コウミは僅かにニヤリと口角を上げ微笑んだ。そして次の瞬間、ムクホークは勢いを弱めかみなりパンチをギリギリのタイミングで回避したのだった。

 

『エッブ!?』

「なっ!?」

 

『おおっとムクホーク!まさかのブレイブバードを囮にエレキブルの攻撃を躱したぞぉ!』

 

この行動には思わず会場全体から騒然の声が上がる。まさか最大のチャンスだと思われていたタイミングで大技をフェイントとして利用するなど考えていなかったからだ。しかしこれはコウミの狙い通りの展開であった。

 

「今よ!インファイト!」

『ムークホー!』

 

ムクホークは攻撃の後隙を狙い、エレキブルの懐へと潜り込む。そしてそのまま超至近距離で翼と足を巧みに利用したインファイトでエレキブルに連続攻撃を浴びせる。その怒涛のラッシュによりエレキブルは反撃する暇もなく嵐のような攻撃を浴びせられ、インファイトのフィニッシュが炸裂してしまい上空に吹き飛ばされ地面に墜落する。

 

エレキブルはムクホークの攻撃に耐え切れずにそのままダウンし目を回し戦闘不能状態となってしまったのだった。

 

「エレキブル!?」

『えっきぶ……』

「エレキブル戦闘不能!ムクホークの勝ち!」

 

エレキブルのパワーにも臆することなく相性の優劣をひっくり返しムクホークが勝利を掴んだ。相性の不利を巧みな戦術とムクホークの利点である大空を自由に動けることを上手く活用した戦いであった。

 

互いに相性など関係ないと言わんばかりの攻防に会場からも歓声が鳴りやまない。コウタもコウミも、心の中で流石だと称賛の声を贈りつつも互いに追い詰められていることを実感していた。しかし一方で、普段することのない本気でのバトルが今この場で繰り広げる事ができていることに2人は感情の昂りを抑えきれない。

 

再びコウタの手持ちの数がコウミと並ぶ。コウタの次なるポケモンは既に決まっており、エレキブルを戻したコウタは次のポケモンが入ったモンスターボールを手にした。

 

「行くぞ!エアームド!」

『エアー!』

 

『コウタ選手の5体目はエアームドだぁ!ムクホーク対エアームド!これは熱い空中戦に期待がかかります!』

 

コウタの次のポケモンはエアームドだ。同じひこうタイプ同士、熱い空中戦が繰り広げられるであろうと期待に胸を膨らませる観客たち。そしてその期待は、すぐに現実のものとなるのだった。

 

「ムクホーク!でんこうせっか!」

『ムクホー!』

「エアームド!スピードスター!」

『エアー!』

 

素早い動きのでんこうせっかで接近してくるムクホーク。エアームドはムクホークに対してスピードスターを的確に狙い撃つ。しかしムクホークの動きも鋭く、その素早さを維持したままスピードスターを次々と躱し接近していた。

 

でんこうせっかはエアームドに見事命中する。効果はいまひとつだがそれでもエアームドには確かなダメージが確認できた。いまひとつの上からでも明確なダメージが見えることから、ムクホークの攻撃力は相当なものだというのが伝わってくる。

 

「ムクホーク!つばめがえし!」

「怯むなエアームド!はがねのつばさ!」

 

続けてつばめがえしにより畳みかけてくるムクホークに対しエアームドははがねのつばさで反撃する。お互いの代名詞ともいえる技が正面からぶつかり合い、その衝撃により両者共に弾き返される。

 

どちらも相当な威力を誇っているため間違いなくダメージは蓄積されている。一瞬の油断が命取りとなる攻防に会場中が熱気に包まれる。

 

「エアームド!上昇だ!」

「ムクホーク!こっちも上昇よ!」

 

エアームドは大空に向かって急上昇し、ムクホークもエアームドに続いて急上昇する。その姿はまるでどちらのスピードが上かを競い合っているようにも見える程の迫力があった。

 

『両者の姿がぐんぐんと上昇しております!どちらも負けじと高度を上げている!』

 

エアームドとムクホークはどちらも会場より遥か上の上空まで上昇した。そして互いに同時に翼を大きく広げ、空を覆う雲を一斉に振り払ったのだった。その場にはもはや両者を邪魔するようなものは何一つとしてなかった。

 

「ラスターカノン!」

『エアー!』

「躱してつばめがえし!」

『ムクホ!』

 

直線上に放たれるラスターカノンをムクホークは回避しつばめがえしで反撃する。しかしそれはコウタの狙い通りの行動でもあったのだ。

 

「はがねのつばさで防御だ!」

 

エアームドは即座にはがねのつばさを盾にしてムクホークのつばめがえしを防いだ。強固なはがねのつばさはムクホークをあっさりと弾き返し、ムクホークはその反動で逆にダメージを受け態勢を崩してしまう。

 

「今だ!スピードスター!」

『エア!』

 

エアームドはスピードスターで態勢を崩したムクホークに対して精密射撃をする。その攻撃は正確にムクホークを捉え大きなダメージを与えることに成功する。

 

『おおっと!上空から何かが落ちてきたぞ?あれは……ムクホークだぁ!』

 

「追撃だ!エアームド!」

 

スピードスターによってダメージを負ったムクホークはそのまま地面に向かって墜落していく。そんなムクホークに対してエアームドは容赦なく追撃を仕掛けるために急降下して追いかける。

 

「ムクホーク!後ろよ!」

『!?ムクホー!』

 

ムクホークは急いで態勢を立て直し翼を広げる。コウタは完全に態勢を立て直す前に畳みかけるべきだと判断し攻撃の指示を出した。

 

「エアームド!スピードスター!」

『エアー!』

 

隙も少なく命中精度の高いスピードスターで追撃を仕掛けるエアームド。しかしムクホークは地面すれすれで急カーブし、超低空を飛行していた。

 

「連続でラスターカノン!」

 

このチャンスを逃すわけにはいかないとラスターカノンで怒涛の攻めを見せるエアームド。ムクホークはエアームドの攻撃を避けながら低空飛行を続け反撃のチャンスを待つ。

 

「はがねのつばさ!」

『エア!』

 

エアームドはスピードを上げムクホークの背後から接近しはがねのつばさで襲い掛かる。どんどんスピードが上がるエアームドの速度に対し、逆にコウミはこれはチャンスだと行動を切り替えた。

 

「ムクホーク!そのまま急上昇!」

『ムクホ!』

 

ムクホークは急上昇してエアームドの攻撃の手から逃れる。突然の動きにエアームドは追いつく事ができずムクホークを逃してしまう。スピードを上げてしまえば急激に動きを変化させることは難しくなってしまうからだ。コウミはその瞬間を狙っていたのだ。

 

「そのままつばめがえし!」

『ムクホー!』

 

ムクホークは風を切るほどの勢いをつけたつばめがえしをエアームドの背中目掛けて浴びせる。エアームドもその動きに対応できず地面に叩きつけられてしまう。

 

「エアームド!?」

『!?エアー!』

 

エアームドはなんとかその攻撃を耐えて再び空中へと舞い上がる。さすがの耐久力だとコウミは感心する一方、これで決めると小細工無しの大技に移行した。それと同時に、コウタも同じ考えに至り同じタイミングで指示を出したのだった。

 

『ブレイブバード!』

 

エアームドとムクホークは互いに抵空飛行で最大の大技、ブレイブバードを繰り出した。どちらのブレイブバードも完成度が高く、猛々しく翼を広げた両者がフィールド中央で交差する。

 

ブレイブバードによる威力は凄まじく、フィールド全体を衝撃の波で包み込むほどであった。緊張が走る中、両者の姿が確認できたが、そこには目を回しているエアームドとムクホークの姿があったのだった。

 

「エアームド!?」

「ムクホーク!?」

『えあー……』

『ムクホー……』

 

「エアームド!ムクホーク!共に戦闘不能!」

 

『激しい空中戦の末、両者ダブルノックダウンだぁ!これは意外な展開だぞぉ!』

 

エアームドとムクホーク、どちらも激戦を繰り広げた末にダブルノックダウンという結果に終わることとなった。まさに大波乱となったがこれで両者共にラスト一体を残すのみとなった。

 

エアームド、ムクホーク、互いに健闘したポケモンたちをモンスターボールへと戻す2人。遂に迎えたラスト一体のポケモンに、文字通り最後の戦いを託すこととなった。

 

『さあ長く続いたポケモンリーグカントー大会も遂に大詰め!コウタ選手!コウミ選手!両者共にラストの一体を残すのみとなりました!』

 

そしてコウタとコウミは最後のポケモンが入ったモンスターボールを手に取り、そのボールを全く同じタイミングでフィールドに投げ入れた。

 

「行くぞ!リザードン!」「行くよ!バシャーモ!」

『リザァ!』『バッシャ!』

 

リザードンとバシャーモが同時にモンスターボールから解き放たれ飛び出した。そしてお互い迷いなくフィールド中央まで飛びリザードンはドラゴンクロー、バシャーモはブレイズキックを繰り出す。

 

リザードンのドラゴンクローとバシャーモのブレイズキックが同時に炸裂し、フィールド中央でバチバチと火花が発生する。その衝撃は周囲にも影響を及ぼし、フィールドの石が宙に浮かぶほどのものであった。

 

『開幕から両者激突ぅ!これは熱い展開だぁ!』

 

リザードンとバシャーモは互いの技をぶつけ合うと同時に互いの熱い気持ちを確かめ合った。本気で最高のバトルができるだろうと確信した両者は、技の反動で弾きあい定位置へと戻った。

 

バトル開幕の激しい展開から一転、静かな時が流れる。緊張感からかまるで時間の流れが緩やかになっているのではないかと錯覚させるものであった。

 

誰かの喉が緊張感からゴクリと鳴った気がした。それがバトル開始の合図となり、リザードンとバシャーモが同時に動き出す。

 

「リザードン!かえんほうしゃ!」

「バシャーモ!かえんほうしゃ!」

 

リザードンとバシャーモのかえんほうしゃがフィールド中央でぶつかる。お互い威力は互角で、かえんほうしゃは相殺しあい弾け飛び消滅した。

 

「ブレイズキック!」

『バシャ!』

「リザードン!受け止めろ!」

『ザァ!』

 

バシャーモは走って勢いをつけ、自身の炎で燃え上がる足をリザードンめがけて振り払う。リザードンはその攻撃を正面から両腕でがっしりと受け止める。

 

「ドラゴンクローだ!」

「かえんほうしゃで振り払って!」

 

リザードンは受け止めたバシャーモに片方の腕を離してドラゴンクローで襲い掛かった。バシャーモは脱出するためにかえんほうしゃで反撃する。

 

しかしリザードンのドラゴンクローはバシャーモのかえんほうしゃを引き裂いた。その後勢いを殺すことなくバシャーモに命中する。寧ろバシャーモのかえんほうしゃを逆に利用し、その炎を爪に纏い威力がさらに向上していた。

 

大きなダメージを受けたバシャーモだが、膝をつくことなく倒れることを拒否してダメージを耐える。リザードンはバシャーモのダメージが回復する前に追撃を仕掛けるため翼を大きく開いて空中へと浮かび上がる。

 

「リザードン!はがねのつばさ!」

『ザァド!』

 

リザードンは低空飛行で翼を硬化させはがねのつばさにより接近する。その攻撃はバシャーモに決まったかに見えたが、バシャーモは後退させられながらも翼を抑え込みリザードンを捕まえる。

 

「バシャーモ!ブレイズキック!」

『シャモシャ!』

 

バシャーモはリザードンを抑えたまま宙がえりをしてブレイズキックを放つ。ブレイズキックはリザードンの顔を捉えクリーンヒットする。リザードンもこのダメージには溜まらず顔を歪ませ怯んだ。

 

「バシャーモ!スカイアッパー!」

『バッシャ!』

「はがねのつばさで防御だ!」

『ザァ!』

 

バシャーモはブレイズキックの勢いを利用し屈んでからスカイアッパーを繰り出す。リザードンははがねのつばさを利用して盾にするが、はがねのつばさ越しにも分かるその威力に押され大きくノックバックする。

 

しかしそれでもリザードンは倒れることなく地上に着地し態勢を立て直す。

 

『こ、これは凄まじい攻防だ!どちらも倒れることを拒み強力な技の応酬が繰り広げられております!』

 

観客の全員が2人のバトルに見入り開いた口が塞がらないといった状態だ。どちらが倒れるか分からないほどの技をぶつけ合っているため緊迫感が会場中を包み込んでいる。もはやどちらかが倒れるまでこの戦いは終わらないだろう。

 

「リザードン!地面にドラゴンクロー!」

『リザァ!』

 

リザードンは自慢の鋭い爪を地面に突き刺す。地面を貫いたその攻撃は地形をも隆起させ、まるでストーンエッジのような攻撃となってバシャーモに迫る。

 

「バシャーモ!」

『バッシャ!』

 

バシャーモはコウミの合図とともに後頭部を翼のように広げ地面を蹴り上げる。その勢いでまるでひこうタイプと思わせるような軌道でリザードンの攻撃を躱していく。互いに軽々と熟していく離れ業に会場中が唖然としている。

 

バシャーモはリザードンの目の前まで飛ぶと、互いに両腕をガシッと掴み取っ組み合う。相手の息が届く程の至近距離で顔を突き合わせ力を込める。

 

『かえんほうしゃ!』

 

ほぼ零距離といってもいい位置で同時にかえんほうしゃを放つ。その攻撃がぶつかり爆発を引き起こし両者ともに後退する。

 

今までのダメージを含み今の攻撃の反動で更にダメージが蓄積したリザードンとバシャーモ。お互いに倒れることはないが、それでも肩で息をしておりいつ倒れてもおかしくない状態だ。これは次の攻撃でケリがつくだろうとコウタとコウミは覚悟を決める。

 

(だったらここは!)

(最高の技で決めるよ!)

 

トレーナーの気持ちに応えるようにリザードンとバシャーモも構えをとる。体の奥から湧き上がる闘志をさらに燃え上がらせ、決着をつけるために最後となる渾身の力を、最大パワーを込める

 

「リザードン!ドラゴンクロー!」

「バシャーモ!ブレイズキック!」

 

開幕と同じようにリザードンはドラゴンクロー、バシャーモはブレイズキックを繰り出す。リザードンは鋭い爪を大きく伸ばし、バシャーモは自身の足を炎によって燃え上がらせる。

 

リザードンとバシャーモは残る力の全てをこの技に詰め込む。両者の技が開幕とは比較にならない程の衝撃を巻き起こしフィールド中央でぶつかった。

 

『ザアァァァド!』

『バシャアァァ!』

 

リザードンとバシャーモの咆哮が会場全体に轟く。その後、大きな爆発が発生しフィールドを包み込んだ。

 

両者の姿が見えなくなり会場中が静まり返る。どちらが勝ったのか、どちらが立っているのか、結果を皆が緊張の中待つ。

 

『おおっと!リザードンとバシャーモの姿が見えてきたぞ!結果は……?』

 

次第に二体の姿が見えてくる。そこに映った光景は……。

 

『な、なんと!?どちらも立っています!』

 

驚くべきことにどちらも倒れるどころかその場で立って相手の姿を見据えている。これでもまだ決着がつかないのかと驚愕の声が聴こえる。

 

しかし次の瞬間、その光景に僅かながら変化が起きた。

 

リザードンの顔が僅かに歪み膝を崩す。この瞬間に倒れるのはリザードンかと誰もが思った。

 

しかしその時、バシャーモは笑みを浮かべ勝ちを確信する。だが力を使い果たしたのか、次の瞬間にリザードンより先に膝を折り地に伏せてしまう。

 

「!?バシャーモ!」

『ば……しゃ……』

 

バシャーモは目を回し力尽きていた。そしてこの瞬間……

 

「バシャーモ戦闘不能!リザードンの勝ち!よってポケモンリーグカントー大会優勝は、コウタ選手!」

 

この瞬間、激戦を勝ち抜いた勝者の名がコールされたのであった。




遂にカントーリーグ終結です。これでカントー編も終わりが見えてきましたね。まさかここまで続くとは思っていませんでしたが、まだまだこれから感はありますのでどうか温かい目で見守って下さい。

にしてもモンハンフロンティアがサービス終了か……。そろそろやろなとは予想していたけどいざその時がくると辛い。

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