ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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前回休んだ理由
本来であればここに何かしらの話をぶっこんで繋ぎにするつもりでしたが、結果何も話が思い浮かばず休んでしまった次第でございます。

結局突然の決勝戦に突入というわけでどうかご容赦下さい。

リーリエの戦いではないためなるべくスピーディにお送りさせていただきます。


カントーリーグファイナル!コウタVSコウミ!

準決勝第一試合、第二試合が終了し、カントーリーグ決勝に出場するトレーナーが決定した。

 

準決勝第一試合、リーリエVSコウタではコウタが勝利。準決勝第二試合、コウミVSハジメではコウミが勝利と言う結果に終わり、決勝戦はコウタVSコウミという双子による熱い戦いが期待される。

 

そして決勝戦当日、遂にこの2人がこのポケモンリーグと言う大きな舞台で戦う時がやってきたのだ。

 

それぞれが控室で気持ちを落ち着かせ集中している。相手が自分のよく知る相手であるためその緊張感は通常よりも大きいものとなっている。互いに相手の手は知り尽くしているからこそだ。

 

どう攻めるか、ポケモンの順番はどうするか、相手はどう出てくるか、それらは別々に対策を練って考える2人だが、どちらも一つのことだけは同じ考えに至っていた。

 

(勝つのは俺だ!)

(勝つのは私よ!)

 

そう決意した2人は強い思いを胸に秘め立ち上がり、決戦の舞台へと足を踏み出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大変長らくお待たせいたしました!それでは只今より、ポケモンリーグカントー大会ファイナル!決勝戦を開始したいと思います!』

 

皆が待ち望んでいた試合が遂に始まるのだと分かった瞬間、会場全体が揺れていると錯覚させるほどの歓声が全体に鳴り響いた。その歓声に応えるかのように、サイドから2人の影が次第に近づいてきたのだった。

 

『それでは決勝の舞台に上がった選手二人を紹介したいと思います!』

 

2人の影がハッキリと見え姿が確認できると、司会者が決勝の舞台へと昇り詰めた2人の詳細を解説した。

 

『先ずはこの人!相棒のリザードンと共に自慢のパワーでライバルたちをなぎ倒し、準決勝にて行われた激しいバトルを勝ち抜いたトレーナー!コウタ選手です!』

 

その紹介と共にコウタが腕を上にあげると、観客からコウタに対して盛大な拍手が送られる。

 

『続いてはこの人!相棒のバシャーモと共にスピードを活かしたバトルを披露!準決勝ではスピードバトルに恥じぬ戦いを見せつけ見事制したトレーナー!コウミ選手です!』

 

今度はコウミが紹介に合わせて両手を振ると、コウミに対しても盛大な拍手が送られた。

 

『それでは改めましてポケモンリーグカントー大会決勝戦を開始いたします!どのような熱い展開が繰り広げられるのか、目が離せません!』

 

「それではこれより、カントーリーグ決勝戦を開始します!使用ポケモンは6体!どちらかのポケモンが全て戦闘不能になったらバトル終了です!」

 

2人は遂にここまで来たのだという感情の昂りを抑え、互いの顔を見据える。ここからは少しのミスすら許されない戦いであるため、2人の顔は真剣そのもの。一流のトレーナーのそれであった。

 

「それでは両者、ポケモンを!」

 

「行くぞ!ヘラクロス!」

『ヘラクロ!』

「行くよ!ミミロップ!」

『ミミロ!』

 

コウタはヘラクロスを繰り出し、コウミはミミロップを繰り出した。もはやここまで勝ち上がった彼らにとって相性などと言うものは全く意味がないものだ。タイプ相性など関係の無いものと言っていいだろう。この戦いがどうなるか、観客だけでなくリーリエたちも目が離せないものとなるのは違いない。

 

「それでは……バトル始め!」

 

そして遂に、カントーリーグ最後を締めくくる戦いが幕を開けたのだった。

 

「ミミロップ!シャドーボール!」

『ミロ!』

 

開幕から先に先手を出したのはコウミとミミロップであった。コウタのヘラクロスが覚えている技は全て物理技だ。特殊技で牽制して先にペースを掴もうという狙いだろう。

 

「ヘラクロス!メガホーン!」

『ヘラクロ!』

 

コウタもそう出るのは分かっていたのか、ヘラクロスのメガホーンでシャドーボールを正面から受け止める。ヘラクロスの強力なメガホーンはいとも容易くシャドーボールを粉々に粉砕し、ミミロップに接近する。

 

「ミミロップ!かげぶんしん!」

『ミミロ!』

 

ミミロップはかげぶんしんで複数の実態に見える影を作り出しヘラクロスのメガホーンを回避する。かげぶんしんに戸惑ったヘラクロスは動きが止まってしまう。

 

「ミミロップ!もう一度シャドーボール!」

『ミロ!』

 

ミミロップはヘラクロスの周囲をかげぶんしんで包囲し、シャドーボールで集中攻撃をする。ヘラクロスはその攻撃を受け止めることができず直撃を受けてしまう。

 

『おおっと!ミミロップのシャドーボールが決まったぁ!最初の攻撃を決めたのはコウミ選手だ!』

 

初めにダメージを与えペースを握るのはバトルにおいて重要なことの一つだ。その攻撃で流れに乗ることができればバトルを優位に運ぶことができる。だが、コウタはそう簡単に流れを掴ませてくれるほど甘い相手ではない。

 

「ヘラクロス!目で相手を探ろうとするな!気配を感じ取るんだ!」

『クロッ!?ヘラクロ!』

 

ヘラクロスはコウタの言葉を聞き彼に頷くと、目を瞑り集中力を高める。一見無謀なことのように思えるが、追い詰められた時こそ感覚が一番のぶきになるトレーナーも存在する。コウタはそれを大きな武器にすることのできるトレーナーなのだ。

 

「ミミロップ!とびひざげり!」

『ミロォ!』

 

ミミロップはかげぶんしんを途切れさせることなくとびひざげりで容赦なくヘラクロスに襲い掛かる。どれが本物か分からない以上どこから襲い掛かってくるのか不明だ。

 

しかしミミロップの気配が近づいたその瞬間、ヘラクロスは目を見開きコウタもそれを感じ取った。そしてコウタはヘラクロスの技の指示を出した。

 

「今だ!ヘラクロス!カウンター!」

『クロ!』

『ミミロ!?』

 

ヘラクロスは屈んで背後から襲い掛かってきたミミロップのとびひざげりを回避する。そして躱されたことに衝撃を受けたミミロップに対し、ヘラクロスは下から腕を突き上げミミロップにカウンターを決める。

 

ミミロップはそのまま大きく吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。とびひざげりの勢いも相まってその威力は計り知れない。カウンターは相手の物理攻撃を二倍にして跳ね返す技だ。

 

「ミミロップ!?」

『みろ……』

「ミミロップ戦闘不能!ヘラクロスの勝ち!」

 

『ヘラクロスの渾身のカウンターによりミミロップダウン!コウミ選手が優勢かに思えた矢先、ヘラクロスがたったの一撃で逆転したぞぉ!』

 

ミミロップはその一撃に耐える事ができずかげぶんしんの効果が切れた状態で力尽きていた。最初はミミロップが優勢かに思えたが、ヘラクロスが渾身の一撃により逆転した結果となった。

 

かげぶんしんとはいえ結局本物はどれか一体のみ。完全に気配を殺すことはほぼ不可能と言ってもいい。コウタはその僅かな技の隙を見つけ、大きな一撃を浴びせることを狙ったのだ。

 

コウミはミミロップをモンスターボールへと戻す。そして次に出すポケモンの入ったモンスターボールを手に取りフィールドに投げる。

 

「お願い!ムウマージ!」

『マージ!』

 

次にコウミが繰り出したのはムウマージだった。コウタは「ムウマージか……」と苦い顔をする。

 

ヘラクロスは物理技で仕掛けてくる相手にはめっぽう強いが、その分特殊技をメインに戦う相手には弱い。特にムウマージはゴーストタイプであるためヘラクロスの決め技であるカウンターはおろか、インファイトも通用しない。

 

しかしコウタはヘラクロスを戻さず続行する意思を示した。この不利な状況でどれだけ抵抗できるのか注目である。

 

「ムウマージ!シャドーボール!」

『マァジ!』

「ヘラクロス!メガホーンだ!」

『ヘラクロ!』

 

ヘラクロスはミミロップの時と同様にメガホーンでシャドーボールを貫く。そしてそのままムウマージに接近するが、コウミはコウタなら必ずそう来るだろうと読みその攻撃を冷静に対処した。

 

「ムウマージ!まもる!」

『マジ!』

 

ムウマージはまもるでヘラクロスのメガホーンを完全に防いだ。正面から衝突しにいったヘラクロスはまもるによる反射で少しばかりダメージを負いつつ跳ね返される。その隙を見てムウマージは反撃に出た。

 

「ムウマージ!マジカルシャイン!」

「っ!?かわせ!」

 

ヘラクロスは飛ばされながらも態勢を立て直し、空から降り注ぐ光を間一髪で回避する。しかしこの切羽詰まった状況でコウタがそうすることはコウミは完全に読んでいた。

 

「ムウマージ!マジカルフレイム!」

『マージ!』

『ヘラッ!?』

「ヘラクロス!?」

 

ヘラクロスの回避先にムウマージはマジカルフレイムを設置し正確に狙い撃つ。当然むしタイプのヘラクロスにはほのおタイプのマジカルフレイムは効果抜群で一溜りもない一撃だろう。

 

『ヘラクロ……』

「ヘラクロス戦闘不能!ムウマージの勝ち!」

 

マジカルフレイムの直撃を受けヘラクロスは成すすべもなく敗北してしまった。これだけ相性最悪の相手であればさすがのヘラクロスも太刀打ちできなかったようだ。

 

コウタはヘラクロスをモンスターボールに戻す。悔しかったのか歯を噛み締めるが、いつまでも悔やんではいられない。コウタは次に出すポケモンを決めフィールドに投げた。

 

「頼んだぞ!ヨノワール!」

『ノワ!』

 

次にコウタが繰り出したのはヨノワールだ。ムウマージと共に互いにゴーストタイプ。怪しげな雰囲気を出す両者がどんなバトルを繰り広げるのか見当がつかない。

 

「ヨノワール!シャドーパンチ!」

『ヨノワ!』

 

『おおっと!ヨノワールの姿が消えたぞ!一体どこから攻撃を仕掛けてくるのか?』

 

ヨノワールは一瞬にして姿を消す。影と一体となりシャドーパンチによる不意打ちを狙っているのだ。

 

シャドーパンチは極めて命中精度の高い技だ。ムウマージにとって避けるのは至難の業だろう。しかし対処法はあると、コウミはヨノワールが姿を現すのを待ち構える。

 

コウミが注意深く観察していると、ムウマージの背後から影が実体化して現れた。その姿は紛れもなくヨノワールであり、コウミはこの瞬間を待っていた。

 

「ムウマージ!後ろにシャドーボールよ!」

『マァジ!』

 

ムウマージは即座に背後に振り向きシャドーボールを放つ。シャドーボールはヨノワールの腕に直撃し、互いの体をその衝撃により突き放した。

 

ヨノワールのシャドーパンチは回避が困難な技であるため回避行動に出るのは愚策だろう。であれば正面から技をぶつけ強引にでも止める事ができれば相打ちにしてヨノワールにもダメージを通すことができる。コウミが考えたのはそういう作戦だ。

 

結果、コウミの作戦は見事的中しヨノワールにもダメージを与えることに成功する。勿論自身もダメージは少なからずあるが、それでもヨノワールにもしっかりとダメージが入っているため作戦としては最も得策だろう。

 

「くっ、そう来たか。だったらおにび!」

「マジカルフレイム!」

 

ヨノワールのおにびとムウマージのマジカルフレイム。互いのほのお技が激突し大きな衝撃を発生させる。互いの威力は互角でどちらの攻撃も強力であることを確認するには充分であった。

 

「ヨノワール!あくのはどう!」

「ムウマージ!まもる!」

 

ヨノワールがあくのはどうを放つとムウマージはまもるでその攻撃をシャットアウトする。あくタイプのあくのはどうが直撃してしまえばゴーストタイプのムウマージは間違いなく大ダメージを受けてしまう。そのためこのまもるは賢明な判断だろう。

 

しかしコウミがコウタの行動を先読みしていたように、コウタもコウミの行動は読めていた。コウミがまもるによる防御をしたのと同時に、コウタはヨノワールに攻撃の指示を出したのだ。

 

「続けてシャドーパンチ!」

『ノワ!』

 

ヨノワールは再び姿を消す。しかし先ほどとは違い態勢を立て直す暇もなくムウマージの正面に姿を現し攻撃を仕掛ける。

 

ムウマージはギリギリのところで回避するが、未だ態勢は不安定なままだ。そこにコウタはさらに畳みかけるよう指示をする。

 

「一気に攻めるぞ!連続でシャドーパンチ!」

 

ヨノワールはシャドーパンチを連続で放ちムウマージを追い詰める。ムウマージは必死に回避し続けるも次第に余裕がなくなり追い詰められ、シャドーパンチの直撃を受けダメージを負ってしまう。これにはコウミも顔を歪め先ほどまでの余裕がなくなる。

 

「あくのはどう!」

「マジカルフレイム!」

 

こんどはヨノワールのあくのはどうとムウマージのマジカルフレイムが衝突する。再び衝撃が発生し互いの視界を奪うが、今度はそれをチャンスだと踏んだコウタが動き出した。

 

「シャドーパンチ!」

『ノワ!』

 

ヨノワールはシャドーパンチで影を利用し接近してムウマージを仕留めにかかる。ムウマージとコウミもその攻撃には焦りを感じ咄嗟に技の指示を出した。

 

「っ!?シャドーボール!」

『マジ!』

 

ムウマージは咄嗟にシャドーボールを繰り出した。シャドーボールは完全とまでは行かないが、威力は充分なほどの大きさで放たれヨノワールとの距離がゼロの状態で発射される。

 

『ノワッ!?』

『マージ!?』

「ヨノワール!?」

「ムウマージ!?」

 

お互いの体はシャドーパンチとシャドーボールのぶつかり合いにより吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。そしてそこには互いに目を回し倒れていた両者の姿があったのだった。

 

「ヨノワール!ムウマージ!共に戦闘不能!」

 

『ダブルノックダウンだぁ!ゴーストタイプ同士の予想不可能な戦いは両者引き分けと言う結果に終わったぞぉ!』

 

ヨノワールが優位に立っていた状態ではあったが、ラストのコウミの機転によりなんとか引き分けに持ち込むことができた。これはコウタにとっては痛い結果となり、ある意味コウミにとっては不幸中の幸いともいえる結果となった。

 

しかしまだバトルは始まったばかりだ。今のところ五分と五分の戦いではあるが、それでも互いの手持ちは残り4体。まだまだ勝負の行く末は分からない。

 

ここまで五分と五分の試合だが、ここからどちらに流れが傾くかで試合の結果が決まると言ってもいい状況だ。決して油断のできない試合展開に会場中に緊張が走る。

 

「リングマ!頼んだ!」

『グマァ!』

「お願い!ライボルト!」

『ラッボ!』

 

コウタはリングマ、そしてコウミはライボルトを繰り出した。パワー対スピードを代表するかのような対面に会場も更に盛り上がりが加速していく。

 

「リングマ!きあいだま!」

『グマァ!』

「避けてワイルドボルト!」

『ライボッ!』

 

強大な咆哮と共にリングマは開幕から大技であるきあいだまを繰り出す。ライボルトはその攻撃を横に避けてワイルドボルトで接近戦に持ち込もうとする。

 

「受け止めろ!」

『グマ!』

『ラボッ!?』

 

リングマは両手で電気を纏った状態のライボルトの頭部を掴み動きを止める。そしてその状態を維持したまま左腕を振り上げて構える。

 

「きりさく!」

『グマッ!』

『ライボ!』

 

リングマは振り上げた左腕の爪を立て振り下ろす。しかしライボルトはその攻撃をバックステップすることで回避する。

 

「地面にアームハンマーだ!」

『グッマァ!』

 

リングマは両腕で地面を思いっきり殴りつける。するとその衝撃で発生した地面を引き裂くほどの衝撃波がライボルトに向かっていった。

 

「ジャンプしてスピードスター!」

 

ライボルトはジャンプをすることでその衝撃波を回避しスピードスターをリングマ目掛けて放つ。リングマはその攻撃が急所に当たらないように腕を交差させて防御する。

 

しかしダメージはあるのか僅かながら顔を歪める。防御してもライボルトの攻撃は確実にリングマの体力を削っていた。

 

「リングマ!はかいこうせんだ!」

『グマァ!』

 

リングマは再び咆哮を発したと同時にスピードスターを掻き消す。そしてきあいだまよりもさらに強力なはかいこうせんを放ちライボルトに襲い掛かる。

 

「身体を逸らして躱して!」

『ライボ!』

 

『ライボルト!あわや当たるかと思ったはかいこうせんを回避したぞ!リングマははかいこうせんによる反動で動く事ができない!』

 

ライボルトはその柔軟な体を活かし身体をねじるようにしてはかいこうせんをギリギリのところで回避する。そしてその瞬間、強力なはかいこうせんによる反動によって動けなくなったリングマには大きな隙が生まれる。

 

「今よ!ワイルドボルト!」

『ライボ!』

 

そのまま華麗に着地したライボルトはワイルドボルトで急速に接近する。そのスピードもさることながら技のキレも申し分ない。その攻撃がリングマにヒットし、リングマはライボルトに押され後ろに下がらされてしまう。

 

しかしその瞬間、コウタとリングマは口角を上げてニヤリと笑みを浮かべた。

 

「リングマ!ライボルトを抑えこめ!」

『グマ!』

『ライボッ!?』

「なっ!?」

 

リングマは今度は両腕でライボルトの胴体を掴み逃げられないように抑え込んだ。これにはたまらずコウミとライボルトも表情が崩れる。

 

『なんとリングマ!ライボルトの動きを完全に封じたぞぉ!ワイルドボルトによるダメージが見受けられません!』

 

はかいこうせんで動く事ができなかったリングマだが、それこそが逆にコウタの狙い通りであった。

 

はかいこうせんは大技であるが故その後の反動で自身も動けなくなってしまう。それは誰もが知っている基本的な知識だ。

 

だからこそはかいこうせんの隙ではコウミがすかさず反撃をすると読んでいた。故にその後の攻撃をレジストして耐えることで、逆に攻撃後に隙が出来たライボルトを捕らえることに成功したのだ。単純な作戦ではあるが、これはポケモンとの信頼関係がなければできず、成功することのない危険な戦法である。

 

「そのまま放り投げろ!」

『グマ!』

 

リングマは捕まえたライボルトを上空に放り投げる。そして動きを抑えられてしまっていたライボルトは当然態勢を整えることなどできずに格好の的となってしまっている。

 

「もう一度はかいこうせんだ!」

『グマァ!』

 

身動きの取れないライボルトに最大パワーのはかいこうせんが襲い掛かる。ライボルトはその攻撃を避ける事ができずに直撃を受け撃ち落とされてしまう。

 

あまりにも強力な一撃にライボルトはその場で力尽き、戦闘不能状態へと陥ってしまった。

 

「ライボルト!?」

『らい……ボ……』

「ライボルト戦闘不能!リングマの勝ち!」

 

『リングマ!強力なはかいこうせんによりライボルトを一撃で仕留めました!恐ろしい破壊力です!』

 

そのリングマの攻撃は誰もが見てわかるほどの威力であった。コウミはライボルトに感謝しながらモンスターボールへと戻す。そしてコウミが次に繰り出すポケモンは……。

 

「ドリュウズ!お願い!」

『ドリュウ!』

 

次にコウミが繰り出したのはドリュウズであった。次に繰り出される展開にも目が離せないだろう。

 

「ドリュウズ!メタルクロー!」

「リングマ!きりさく!」

 

ドリュウズはメタルクロー、リングマはきりさくをフィールド中央で交える。互いの技の威力は非常に高く、その場から火花が散っているのが確認できるほどであった。

 

互いに技の反動により後退させられ距離が離れる。

 

「ドリュウズ!あなをほる!」

『ドリュ!』

 

ドリュウズはその反動を打ち消すためにあなをほるで地中に姿を消し回避する。しかしそれはコウタの想定の範囲内であった。

 

「アームハンマーでたたきだせ!」

『グマ!』

 

リングマはアームハンマーを再び地面に叩きつける。するとその衝撃により地面が割れ、ドリュウズが地中から強引に叩きだされ姿を現す。これでは準決勝で味わったことの二の舞である。

 

「リングマ!もう一度アームハンマー!」

 

リングマはジャンプして飛び出してきたドリュウズにアームハンマーを叩きつける。万事休すかに思えたが、それこそがコウミにとっての最大の狙いでもあったのだ。

 

「ドリュウズ!ドリルライナーで躱して!」

『ドリュ!』

 

ドリュウズは即座にドリル形態に移行しドリルライナーでリングマのアームハンマーを回避する。大振りであるアームハンマーであればドリル形態に移行してからでも充分に回避可能だ。それもその行動が既に予測済みであればなおさらである。

 

リングマのアームハンマーは空を切り、ドリュウズは既にリングマの背後に回っていた。その動きにもリングマだけでなくコウタも目を見開き焦っていた。そしてその後隙はコウミにとって最大のチャンスとなっていた。

 

「ドリュウズ!メタルクロー!」

『ドリュウ!』

 

ドリュウズはメタルクローでリングマを背後から切り裂いた。リングマは攻撃後の隙を狙われ無抵抗の状態でそのまま地面に叩きつけられる。これは相当なダメージが溜まっていることだろう。

 

リングマはなんとか立ち上がるが、先ほどの戦闘でのダメージも溜まっていたため再びその場で倒れ込んでしまう。リングマは目を回しており、ドリュウズのメタルクローにより戦闘不能となってしまったのだ。

 

「なっ!?リングマ!」

『ぐ……まぁ……』

「リングマ戦闘不能!ドリュウズの勝ち!」

『ドリュウ!』

 

ドリュウズの咆哮と共にドリュウズの勝利が宣言される。リングマの圧倒的なパワーの前にドリュウズは臆することなく勝利を手にしたのだ。

 

『リングマここでダウン!これで再び五分の状態へと戻りました!互いに流れを譲らない五分の試合が繰り広げられております!』

 

これで再び同じ状況となり3対3。お互いに一歩も譲ることのない決勝戦に相応しい戦いが繰り広げられている。

 

遂に始まったカントーリーグ決勝戦。コウタ対コウミの戦いは佳境を迎え、いよいよ大会も最後の展開へと突入しようとしていた。果たして優勝するのはコウタか?それともコウミか?勝負の行方は果たして?勝利の女神が微笑むのはどちらか?次回、ポケモンリーグカントー大会フィナーレだ!




これだけ早く進めば次回には決着がつくと思われます。優勝するのはどちらか予想しながらお待ちくださいませ。

もうすぐこの小説も2周年なのでこれ以上休むわけには……。頑張らなきゃ(使命感

ポケモン剣盾では海外からのリークによると鋼、地面のブイズが出るのではないかと言う噂。信憑性は無いので信用はしていませんが、タイプ的にはどちらも出てくれると嬉しいです。ブイズで毒や鋼タイプ相手にするのしんどいんっすわ……。

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