ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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残念ながら今回では決着がつきませんでした。フルバトルって意外と長くなるね(´・ω・`)

前回休んだ理由ですが、正直に言えばイーブイの厳選してました。エーフィ、ニンフィア、グレイシア、リーフィアの新しい型が思いついたのでそれらの♀を厳選したくて2週間ほどケンタロスを走らせてました……。そのせいで(?)1日2時間しか寝られず眠たいです。まあ自業自得なんですが……。

因みに厳選途中に副産物としてイーブイの色違いが出ました。♀でずぶといで厳選をしていたあげくに通常特性だったので、ブラッキーのシンクロ型かグレイシアかシャワーズ辺りにしようかと思いましたが折角の♀なので、やっぱりバトン、あくび、両壁の起点役ニンフィアにすることにしました。本来はあまり色違いが好きではないヌシですが、ブイズに関しては別腹です。

ただ正直に言えばエーフィとサンダースに関してはもう少し薄黄緑的な色の方がよかったと考えています。シャワーズの色違いもどちらかと言えば少しピンク寄りの方が可愛かったのではと思っていたり……。

そしてヌシのボックスにいる孵化余りイーブイの数はポケバンク含めて2,060匹です。1ボックス30なので換算すると68ボックスに…


全力ライバルフルバトル!繰り広げられる熱き戦い!

カントーリーグ準々決勝第一試合。リーリエとブルー、ライバル同士の熱い激闘が幕を開き、両者一歩も引かないバトルを繰り広げていた。

 

リーリエのチラチーノ対ブルーのグランブルの戦いはチラチーノが制したものの、激しいバトルの末チラチーノも倒れてしまい結果的にダブルノックダウンに終わった。

 

続くハクリュー対トゲキッスでは、トゲキッスのしんそくに翻弄されピンチに陥るものの、ハクリューに秘められたバトルセンスが光り奇跡的な逆転劇を見せハクリューが勝利した。

 

そして続いたマリル対キュウコンの戦い。相性の差を覆すかの如くブルーとキュウコンの怒涛の攻撃、巧みな攻防一体の戦術に押されてしまい、今度はリーリエたちが追い詰められてしまったのだ。そしてキュウコンの放ったソーラービームの光がマリルを包み込んだのであった。

 

 

 

 

 

 

「マリルさん!」

 

明らかにソーラービームの直撃を受けてしまったマリルを心配して大声で呼びかけるリーリエ。しかしその攻撃によって発生した衝撃が晴れた時、そこにはマリルの姿はなかった。

 

「な!?マリルがいない!?」

 

ポケモンがポケモンの技で消滅、などとそのようなことが起こるはずがない。しかしあれほどのダメージを受けていれば即座に回避することなどできるはずがない。立ち上がることすら困難だったマリルがソーラービームを躱すために動けるとは到底思えない。ならばどこへ消えたのかと周囲を見渡すブルー。

 

しかしどこを見てもマリルの姿はない。現在は通常のフィールドで戦っているため見渡しがよく隠れられるような場所もない。ならばどこへ消えたのだろうか?

 

「!?まさか!」

 

ブルーはその時ハッとなって気付いた。周囲にいないのであれば残る答えはただ一つ。ブルーはその答えを確認するために空を見あげた。リーリエもそのことに気付き、ブルーと同時に空を見上げる。

 

そこには一つの影があった。晴れ渡る青空から一匹のポケモンがゆっくりと降下してくるのが確認できる。その正体を確認するために目を凝らすと、そのポケモンの正体にいち早く気付いたのがリーリエだった。

 

「あれは……マリルさん!」

 

なんとそこにいたのはソーラービームでやられたかに見えたマリルであった。リーリエの言葉でブルーもその正体がマリルなのだと気付いたが、一体なぜマリルが助かったのかと疑問に思う。動くことのできないマリルが空に飛んで助かる方法。答えを出すのにはそこまで時間はかからなかった。

 

「!?まさか自分の技とソーラービームの衝撃で飛んだってこと!?」

 

そう、マリルはソーラービームが当たる直前、自分がすぐには動けないのを悟り地面にバブルこうせんを放ったのだ。そしてバブルこうせんで宙に浮きソーラービームの直撃を回避すると同時に、その着弾時に発生した爆風を利用して空高く舞い上がり窮地を脱したのだ。

 

言葉にするだけであれば容易い事だが、実際にやろうと思っても簡単に出来ることではない。マリルのリーリエの気持ちに応えたいという思いと、諦めない心が生み出した奇跡だ。

 

『なんと言うことだ!ソーラービームに包まれたかに見えたマリルだったが、なんとフィールドの遥か空高くに逃げピンチを逃れたぞぉ!』

 

ブルーは未だに信じられない。だがそれ以上に驚いているのはリーリエだ。流石に自分も今のはただでは済んでいないだろうと思っていたが、結果はご覧の通りだ。考えてみれば自分のポケモンたちはこれまで自分の期待に応えなかったことは一度もなかった。

 

そして今回もマリルは自分の期待に応えようとピンチをチャンスに変えてくれた。ならば自分のできることはただ一つ。今一度ポケモンたちを信じて勝つだけなのだと真っ直ぐ前を見つめる。

 

「行きますよ!マリルさん!」

『リルル!』

 

リーリエの言葉にブルーも我を取り戻す。まだバトルは終わっていないのだ。絶体絶命のピンチを脱したからと言ってこのバトルでは自分が有利なことに変わりはない。ブルーはバトルを継続するため、キュウコンに次の攻撃の指示を出す。

 

「キュウコン!かえんほうしゃ!」

「マリルさん!アクアテールで弾いて下さい!」

 

空から徐々に降りてきて、距離も近付いて来たマリルに対しキュウコンはかえんほうしゃで狙い撃つ。だが上から攻撃するマリルの方が技の威力が高くなりかえんほうしゃをアクアテールで打ち消した。そしてその反動を利用し、更に加速してキュウコンの姿を目と鼻の先まで捉えた。

 

「今です!バブルこうせん!」

『リル!』

 

キュウコンの間近に接近し、零距離にも近い位置でバブルこうせんを放つマリル。当然キュウコンをそのバブルこうせんを回避することができず直撃を受けてしまう。ほのおタイプであるキュウコンにみずタイプのバブルこうせんは効果抜群で、キュウコンはその場で大きく怯んだ。

 

「今度は私たちが攻めます!アクアテールです!」

「返り討ちよ!アイアンテール!」

 

怯んだキュウコンに対してアクアテールを叩きこむマリル。しかしキュウコンもただでやられるはずもなくすぐに態勢を整えアイアンテールで反撃した。両者の尻尾がフィールド中央でぶつかり合い、その反発した力の衝撃で互いに弾かれ距離が離れる。

 

互いにダメージを抱え呼吸が乱れているが、それでも技のキレは決して衰えていない。それどころかそのどちらの瞳からもまだ倒れるわけにはいかないと、強い意思が感じ取れる。

 

しかし状況から察して劣勢なのはマリルだ。序盤でのダメージが大きすぎたためいつものように素早く動くことができない。例えパワー負けしていなかったとしても、スピードで圧倒されてしまえばその時点で勝ち目は無くなる。

 

『両者一歩も引かない攻防が続いている!しかしどちらも体力が残り少ないぞ!』

 

とは言えマリルだけでなく、キュウコンが追い詰められている事もまた事実。どちらかの技が決まれば勝負がつくと言ってもいいくらいに両者の疲労はピークに達している。

 

「キュウコン!ソーラービームスタンバイ!」

『コオォン!』

 

ここで先に動いたのはブルーであった。ブルーはキュウコンの持つ最大の大技、ソーラービームで一気にケリをつけようと判断したようだ。

 

ソーラービームは威力が高い分力を溜める必要があるため隙の大きい技だ。通常であればこのような状況で撃てる余裕は皆無だろう。しかし、今のマリル程体力が削れており、動きも鈍くなっている相手であれば捉えることは容易だ。このまま長引かせてもどちらかが倒れるまでジリ貧になりかねない。だからこそのソーラービームで早期に決着をつけると判断したのだ。

 

「来ますよ!マリルさん!」

『リル!』

 

リーリエの言葉にマリルは頷いて答え身構える。しかし今のマリルでは技を見てから回避することは困難だ。だからと言って今から攻撃を仕掛けてもソーラービームの発射までには間に合うとは思えない。

 

先ほどのようにバブルこうせんで回避する?いや、それが上手くいく保証はないしブルーのことだから二度目は確実に対策をとってくるだろう。同じ手が通用する相手ではない。

 

ならばどうするかとリーリエは頭を捻らせ考える。この状況を打開する方法があるはず。どうすればよいのだろうか。

 

(マリルさんの力ではさすがにキュウコンさんのソーラービームには勝てません。かといって今のマリルさんではスピードで撹乱する作戦も使えないでしょう。だとしたらどうすれば……)

 

「今度こそ決めるわよ!ソーラービーム!発射!」

『コォン!』

 

キュウコンから最大まで力を溜め込んだソーラービームが放たれようとしていた。再び万事休すのこの状況で、リーリエはある作戦を思いついた

 

「!?マリルさん!バブルこうせんです!その後にころがるです!」

『リル!』

 

マリルはバブルこうせんを正面に放ち、その後すぐにころがるの態勢に入ってキュウコンに向かっていく。しかしそのバブルこうせんはキュウコンに届くことなく地面に着弾し、最後の反撃も悪あがきとなってしまった。

 

「今更遅いわよ!」

 

すでにソーラービームの発射体制に入っているキュウコンからソーラービームが放たれる。マリルはころがるでソーラービームに一直線に向かっているため、誰もがこれで決まるのだと確信していた。しかし……

 

「なっ!?」

『な!?ななななんと言うことだ!マリルがころがるの状態から空中に飛び上がったぞ!』

 

そうだ、マリルはソーラービームが当たる直前にころがるの状態を維持したまま空中に飛び上がりソーラービームを回避したのだ。ブルーも一瞬何が起きたのか分からなかったが、先ほどの行動を思い出しその理由が分かった。

 

「!?まさかさっきのバブルこうせんが!」

 

先ほどマリルの放ったバブルこうせん。あれは決して彼女たちの悪あがきなどではなかった。バブルこうせんによって地面に僅かなくぼみができ、そこにころがる状態のマリルを突っ込ませることで勢いよく跳ね飛ぶことができたのだ。

 

自ら動くことのできないマリルでは回避するのは困難だが、であれば別の方法で回避すればいい。そう考えて思いついたのがこの作戦だ。

 

この考えに至った理由はただ一つ。アザリアジムでのジム戦だ。アザリアジムでマリルはころがるをしたがルナにくぼみを作ることで止められてしまった。その失敗を今度は逆に活用し、回避と言う手段で形にしたのだ。

 

「今です!アクアテール!」

『リィル!』

 

飛び上がったマリルはころがるの状態を解除しアクアテールで薙ぎ払う。技が届くぐらいにはキュウコンとの距離も縮まったため今のマリルでも充分に攻撃が届く。その上、キュウコンは呆気にとられてしまい反応が僅かに遅れた。

 

マリルのアクアテールはキュウコンにクリーンヒットし、キュウコンはそのアクアテールで吹き飛ばされる。ブルーはその先を慌てて見るが、そこには戦闘不能となったキュウコンの姿があったのだった。

 

「キュウコン!」

『コォ……ん……』

「キュウコン戦闘不能!マリルの勝ち!」

 

絶体絶命にピンチを潜り抜けなんとか勝利をもぎ取ったマリル。その瞬間に自分のダメージによる痛みを忘れリーリエに飛び移る。リーリエもダメかと思う事もあったが、最後まで頑張って戦って勝利を手にしてくれたマリルの頭を撫でて喜びを分かち合った。

 

「お疲れ様、キュウコン。ゆっくり休んでね。」

 

ブルーはキュウコンをボールに戻す。するとそのままリーリエの方へと目を移し言葉を投げかけた。

 

「やってくれるじゃない!まさかあたしが先に3体倒されるなんてね。」

 

ブルーのその表情は悔しさという感情よりも、寧ろ燃えてきたといったほうが正しいくらいに笑みを浮かべていた。予想以上に成長したリーリエの姿に、自分もこれだけ熱く戦える相手と戦うことができることに嬉しさを感じているのだろう。だからこそ負けられない、絶対に勝ちたいと言う感情がこみ上げてくる。

 

「まだまだ勝負はこれからよ!」

『準々決勝第一試合!残りポケモンはリーリエ選手が5体、ブルー選手が3体!現在はリーリエ選手が僅かにリードだ!』

 

 

 

 

「確かに数の上ではリーリエが有利。でも……」

「ええ。リーリエのポケモンはハクリューが大きなダメージを抱え、マリルは限界に近い程削られています。正直、それほど差はあるとは思えません。」

「そうね。それに、ブルーちゃんにはまだエースのカメックスがいるわ。勝敗はまだ分からないわね。」

 

ルザミーネとシンジの言う通り、数だけで言えばリーリエに分がある。しかし体力的に考えればそれほど差が開いているわけではない。それに勝負は最後まで何が起こるか分からないものだ。

 

2人はリーリエとブルー、ライバル同士の決着がどうなるのかを静かに見届けることにした。

 

 

 

 

「さあ行くわよ!ライチュウ!」

『ライラーイ!』

 

ブルー4番手はライチュウだ。ピカチュウの進化形であり素早さもさることながらパワーもかなりのものを持っている。タイプ相性を除いても今のマリルでは相手にするのは厳しい相手だろう。

 

『リルル!』

「!?……分かりました。マリルさん、お願いします!」

 

マリルはそれでも自分が戦うとリーリエの元を飛び出し前に出る。リーリエもそのやる気を買いここはマリルに任せることにした。

 

「さっきのお礼はたっぷりとさせてもらうわよ。ライチュウ!でんこうせっか!」

『ライ!』

 

ライチュウははじめからでんこうせっかで素早い動きを活かした近接戦闘を仕掛けてきた。

 

「マリルさん!アクアテールです!」

『リル!』

 

対してマリルはアクアテールによる反撃を選択した。現在のマリルの体力では回避行動に回るのは難しい。ならばここは迎え撃つしかないだろうと判断したのだ。

 

でんこうせっかで正面から勢いよく突っ込んでくるライチュウに、マリルはアクアテールを振り下ろし対抗する。ライチュウに直撃すると思った瞬間、ライチュウの姿がマリルの目の前から一瞬にして消えたのだった。

 

「っ!?マリルさん!後ろです!」

『リル!?』

 

リーリエの声に反応し、マリルはすぐさま後ろを振り返る。そこには先ほどで目の前にいたはずのライチュウが体を捻り攻撃態勢をとっていた。

 

「今よ!アイアンテール!」

『ラーイ!』

 

ライチュウは尻尾を振りかぶりそのまま勢いよくマリル目掛けて振り下ろす。不意を突かれ対応が遅れたマリルにはその攻撃を防ぐ手段はなく、ライチュウのアイアンテールがマリルにクリーンヒットする。

 

「マリルさん!」

『りる……る……』

「マリル戦闘不能!ライチュウの勝ち!」

 

『マリルここでダウンだ!先ほどのダメージが大きかったのでしょう!ライチュウの重い一撃により倒れてしまったあ!』

 

やはりキュウコンとの戦いがマリルの体力をかなり削ってしまったため負担が大きかったのだろう。マリルはアイアンテールによって吹き飛ばされた先で目を回し戦闘不能となってしまった。

 

しかしそれでも強敵であるキュウコンを倒したためマリルの功績は充分すぎると言ってもいいぐらいだろう。

 

「お疲れさまでした、マリルさん。ありがとうございます。あとはゆっくり休んでください。」

 

マリルをモンスターボールへと戻したリーリエは、次にどのポケモンを出すか考える。スピードがあるライチュウに対抗できるリーリエの手持ちポケモンはあまり多くない。ならばここはと、リーリエはモンスターボールを構えフィールドに投げた。

 

「お願いします!フシギソウさん!」

『ソウソウ!』

 

次にリーリエが繰り出したポケモンはフシギソウだ。フシギソウはモンスターボールから出た時に相手となるライチュウの姿を視界に捉え身構える。

 

「先手必勝よ!ライチュウ!でんこうせっか!」

「躱してください!」

 

ライチュウは目にも止まらない速さでフシギソウへと接近する。フシギソウはその攻撃を冷静に回避するが、その行動をブルーたちは既に読めていた。

 

「そのくらいお見通しよ!ライチュウ!10まんボルト!」

『ラーイ!』

 

ライチュウは回避された直後に即座に振り向き、フシギソウの回避先に向かって10まんボルトを放つ。ライチュウの反応速度について行けず、フシギソウは10まんボルトの直撃を受け吹き飛ばされダメージを受けてしまう。

 

「フシギソウさん!」

『ソウ!』

 

フシギソウは10まんボルトを受けてしまうも、その先で踏みとどまりこらえた。ダメージはあるものの効果はいまひとつであるためそれほど大きなダメージにはならなかった。

 

「続けて行くわよ!きあいだま!」

『ライライラーイ!』

 

ライチュウは両手に力を込め集中することで強力なかくとうタイプの技、きあいだまの態勢に入る。だがきあいだまは強力な技であるがゆえに溜めなけらばならないため隙も大きい技だ。

 

ピンチの後には必ずチャンスは生まれる。そう考えたリーリエはフシギソウに指示を出し攻勢に出る。

 

「フシギソウさん!とっしんです!」

『ソウ!』

 

フシギソウはとっしんのダッシュ力を活かしライチュウとの距離を縮める。フシギソウが自分との距離を縮めある程度近付いてきた時、ライチュウはきあいだまの力を解き放った。

 

「ジャンプしてエナジーボールです!」

 

ライチュウの放ったきあいだまをフシギソウはジャンプすることによって回避する。そして回避後、フシギソウはエナジーボールをライチュウ目掛け狙い撃つ。

 

「アイアンテールで撃ち返して!」

 

ライチュウは自身に向かってきたエナジーボールをアイアンテールによって撃ち返す。撃ち返されたことによって威力が増したエナジーボールはフシギソウに向かうが、フシギソウはその攻撃を辛うじて回避する。

 

しかしそれこそがブルーの狙いであった。

 

「今よライチュウ!10まんボルト!」

『ライチュ!』

 

ライチュウは態勢を崩した隙を狙い10まんボルトで追撃を放つ。フシギソウも続けて回避しようとするが、エナジーボールの回避のために態勢を崩してしまったため、回避行動が間に合わずに再び10まんボルト直撃を受け撃ち落とされてしまった。

 

「!?フシギソウさん!」

『そう……ソウ!』

 

リーリエの声に反応しフシギソウはゆっくりと立ち上がる。立て続けに10まんボルトを受けてしまったためダメージは確実に蓄積してしまっている。

 

「ライチュウ!でんこうせっか!」

 

ダメージが抜け切れていないフシギソウに回復の隙を与えないとライチュウは速攻で追撃を仕掛ける。だがこれはチャンスだとリーリエは冷静に分析した。

 

ライチュウとの距離はみるみる内に縮まる。そしてフシギソウの目の前まで近づいたとき、リーリエは今だと判断し反撃に移った。

 

「今です!横に避けてつるのムチです!」

『ソウ!』

 

フシギソウは近づいてきたライチュウの攻撃を僅かだけ横に避けて回避し、つるのムチで即座に反撃する。ライチュウはでんこうせっかの勢いを止める事ができず、逆に利用されて想像以上のダメージを受け跳ね返される。

 

ライチュウのでんこうせっかは素早く捉えることは難しいが、直線的に攻めてきた場合は読みやすくもある。そのため最低限の回避行動で隙を抑えればカウンターのチャンスにもなるとリーリエは判断したのだ。その判断は正しかったようで、ライチュウにも大きなダメージを与えることに成功した。

 

吹き飛ばされたライチュウは地面で跳ね返りながらも両手をつきなんとか持ちこたえダウンを拒否した。さすがの対応力だと感心するブルーだが、それでもまだまだこれからだと攻撃の手を休めない。

 

『怒涛のライチュウの攻撃を見切りフシギソウの反撃が直撃!しかしライチュウ、この攻撃を耐えた!ライチュウは次にどう攻めるのかあ!?』

 

「ライチュウ!10まんボルト!」

「フシギソウさん!エナジーボールです!」

 

ライチュウの10まんボルトに対し、フシギソウはエナジーボールで対抗する。互いの技はフィールドの中央でぶつかり合い大きな衝撃を発生させる。

 

「きあいだま!」

『ライラーイ!』

 

発生した衝撃により視界が悪い中、ライチュウはお構いなしに集中力を高めきあいだまを放つ。きあいだまは衝撃による爆風を振り払い的確にフシギソウを狙っていた。

 

「かわしてはっぱカッターです!」

『ソウ!』

 

しかしブルーであればそんな状況であっても攻撃してくるだろうと読んだリーリエは回避の指示を出し、フシギソウはそのきあいだまをジャンプして躱しはっぱカッターを放つ。

 

無数に放たれたはっぱカッターはライチュウに接近する。だがライチュウはその攻撃をギリギリまで引き付け次の行動に移った。

 

「でんこうせっか!」

 

ライチュウはでんこうせっかではっぱカッターを回避しつつ素早い動きで翻弄しながら接近する。フシギソウは先ほどと同様にギリギリまで引き付けライチュウの攻撃を誘う。

 

「つるのムチです!」

 

先ほどのようにライチュウのでんこうせっかにカウンターの形でつるのムチで迎え撃つ。しかしそう何度も同じ手が通用するはずもなかった。

 

「ブレーキよ!」

 

ライチュウはでんこうせっか中に急ブレーキをかけその場でジャンプし軌道を変更する。その素早い対応にフシギソウは驚きながらも止まることができずにつるのムチは空を切ってしまい隙が生じてしまった。

 

「!?」

「アイアンテールよ!」

 

ライチュウはその勢いを利用し隙を逃さず頭上からアイアンテールを振り下ろす。アイアンテールはフシギソウの頭部にクリーンヒットし、地面に叩き伏せられた。

 

「フシギソウさん!」

『ソウ……』

「フシギソウ戦闘不能!ライチュウの勝ち!」

 

ライチュウのスピードを活かした重い一撃によりフシギソウは戦闘不能となってしまう。スピードを利用すれば時に単純なパワー以上の攻撃力となり威力が増す。今回のバトルもライチュウのスピードを上手く活かしたブルーの戦術が決まったというわけだ。

 

『遂にフシギソウダウンだ!フシギソウが見せたと思った矢先、今度はライチュウが逆手にとる!素晴らしい攻防だ!』

 

リーリエが優位に立ったかと思いきや、ブルーも負けじと巻き返す。どちらが勝つか予想できないデッドヒートに観客も大いに盛り上がる。

 

「お疲れさまでした、フシギソウさん。後は任せてください。」

 

リーリエはフシギソウをモンスターボールへと戻す。そして次に出すどのポケモンで戦おうかと考えた時、モンスターボールが勝手に開きあるポケモンが自ら姿を現した。

 

『ピッピ!』

「えっ?ピッピさん?」

 

以前と同様、ピッピが再びボールから勝手に飛び出した。理解しているのかは不明だが、彼女はまた自分が戦うつもりで飛び出したようだ。もうこうなってしまっては引き下がることはないだろうと、リーリエも半ば諦めピッピに任せることにした。

 

「次の相手はピッピね。油断ならない相手よ。気を引き締めてね!ライチュウ!」

『ライライ!』

 

前回のバトルを見ていたブルーはライチュウに注意するようにと促す。ピッピのバトルは少々変則的で相手からしたら読み辛い戦い方だ。正直対策の仕様がないだろう。

 

『リーリエ選手のポケモンはピッピだ!まだまだその力は未知数のピッピ!今度はどんな戦いを見せてくれるのか!?』

 

「ライチュウ!でんこうせっかよ!」

 

ライチュウは自身の得意な距離に持ち込もうとでんこうせっかで接近する。ピッピはその攻撃を飛び跳ねるように軽やかに回避する。

 

 

「アイアンテール!」

 

ライチュウはすぐに振り向きアイアンテールで追撃する。ピッピはその攻撃も上手く回避し、反撃の態勢に入った。

 

「めざましビンタです!」

『ピィ!』

『ライッ!?』

 

ピッピはリーリエの指示通り、めざましビンタで攻撃する。アイアンテールを空振りしてしまったライチュウは当然避けることができずにめざましビンタがクリーンヒットし叩きつけられる。

 

「ムーンフォースです!」

「きあいだま!」

 

ムーンフォースで追撃を仕掛けるピッピに対し、ライチュウは受け身をとった状態からすぐさまきあいだまで反撃する。ムーンフォースときあいだまがフィールド中央でぶつかり合い衝撃が発生し再び視界が悪くなる。

 

しかし今度はダメージの蓄積と技の反動が大きく影響しライチュウは攻めることができない。その姿には疲労の色が伺え、肩で息をしていた。

 

一方ピッピは視界が見えない状況も慌てること様子はない。ピッピは慌てる様子は一切見せず、ゆびをふるですでに次の行動に移っていた。

 

何が出るか分からないピッピの得意技、ゆびをふる。この状況である意味では最も相応しいかもしれない技である。

 

『ピッ!』

 

ピッピのゆびをふるが止まりピッピの指が怪しく青色にひかり出す。何が起こるのかと皆が息を呑む瞬間、ピッピからある技が放たれた。

 

『ピィ!』

 

ピッピの指が光りだすと、今度は虹色の光が爆風を吹き飛ばし空からライチュウ目掛けて降り注ぐ。フェアリータイプの技であるマジカルシャインだ。

 

ダメージと疲労が蓄積したライチュウにマジカルシャインを回避する術はなく、ライチュウはその攻撃に直撃してしまう。ライチュウは健闘したが、遂にその攻撃で戦闘不能となってしまった。

 

「ライチュウ!」

『らい……ライ』

「ライチュウ戦闘不能!ピッピの勝ち!」

 

戦闘不能となったライチュウをモンスターボールへと戻したブルー。しかしそれでもリーリエのマリル、そしてフシギソウを倒した功績は大きい。先ほどの不利な状況から一気に覆すことができたと言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

準々決勝第一試合。リーリエ対ブルーの対戦は現状五分五分。どちらも一歩も引かない攻防が続いている。

 

果たして勝利を手にするのはどちらか!?次回!いよいよライバルバトルクライマックスに突入だ!




本来はマリルはあのまま負ける予定でしたが、なんか釈然とせず前回の不憫な展開もあったためこの様な(無理矢理感溢れる)展開になりました。ただしそのせいか思いの外話が長くなってしまい今回で終わらないと言う結果に……。何も考えずに作るからこうなるんだよ(呆れ

兎にも角にも流石に次回には決着がつくかと思いますのでどうか2人のバトルを見届けて下されば幸いです。誰が優勝するかとか他のライバルメンバーのパーティは何なのかとか色々と予想しながらお待ちください。

現在のリーリエとブルーの手持ち状況
リーリエ     ブルー
チラチーノ ×  グランブル ×
ハクリュー ○  トゲキッス ×
マリル   ×  キュウコン ×
フシギソウ ×  ライチュウ ×
ピッピ   ○  プリン   ○
シロン   ○  カメックス ○

因みにブルーの手持ちはポケスペからグランブルとプリン(リーリエ対ブルー2戦目にて登場済)、ピカブイからキュウコン、両方からカメックスでライチュウとトゲキッスは個人的なイメージです。彼女のパーティは主に第一世代から第二世代での構築で、トゲキッスは第二世代のトゲピーの進化形だからです。

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