ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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こちらはアニポケ無印であった『ガラガラのホネこんぼう』の話を参考に書きました。ただし内容は全くの別物となっております。

アニポケの内容は
サイゾウがジムバッジをロケット団に奪われる

サトシにバッジを賭けたバトルを挑む

ガラガラでサトシのフシギダネに勝つがピカチュウに敗北する(なぜかでんきショックでやられる

サイゾウの事情を聞き協力してロケット団からジムバッジを取り返す
という内容です

しかしこの小説にはロケット団はいませんので内容はガラリと変えさせていただきました。リーリエの成長も書きたかったと言えば書きたかったので問題なし?


ジムバッジを賭けろ!?カントーリーグまでの道のり!

カントーリーグの開催される場所、セキエイこうげんへと向け旅を続けているシンジとリーリエ。

 

「セキエイこうげんまであと少しだよ。がんばろう!」

「はい!ラストスパートです!」

 

シンジの言葉にもうすぐで大舞台のカントーリーグに着くのだと思うと、リーリエにも自然と緊張が走る。しかしその時であった。

 

「っ!?リーリエ!」

「ひゃっ!?」

 

シンジたちがセキエイこうげんまでの道のりを話していると、どこからともなくかえんほうしゃが飛んできた。その攻撃にいち早く気付いたシンジは、リーリエを自分の元へと引き寄せて彼女を守った。

 

「リーリエ、大丈夫だった?」

「は、はい、ありがとうございます。」

 

何が起きたか分からないリーリエはキョトンとした顔をする。その時、そのかえんほうしゃを放ったポケモンとそのトレーナーの少年が姿を現したのだった。

 

「お前たち、少し待ってもらおうか。」

 

そこに現れたのは長い黒髪をポニーテールに結った少年とかえんほうしゃを放ったポケモン、ヘルガーであった。その少年はシンジとリーリエを見つけると、すぐに口を開いた。

 

「お前たち、ジムバッジを持っているんだろ?だったら今すぐそれを賭けて俺と戦いな。」

「!?そ、そんな戦いは受けられません!」

「負けるのが怖いって?」

 

当然リーリエはそんな勝負を受けるようなことはしない。だが少年はそんな彼女に挑発的な言葉を投げかける。

 

だがリーリエは挑発に乗るようなトレーナーではない。リーリエは冷静にその少年にバトルを断るという意思を伝える。

 

「なんと言われようと私はそんな勝負受けません!」

 

リーリエにそう否定され、その少年はどうやって彼女を戦う状況に持っていくかを考える。その時、シンジは1つ気になることを彼に尋ねた。

 

「どうして君はこんなバトルを申し込むの?」

「シンジさん?」

 

シンジの質問をリーリエは疑問に感じる。彼の言葉にはなにか意味が込められているように思えたからだ。シンジの質問に対し、少年は一切表情を崩さずに答える。

 

「……俺はリーグに挑戦しようとしている奴を見るとイラつくんだよ。だからそいつらに、俺の強さを証明してやるだけだ。」

「それが君の戦う理由か……。」

 

シンジは少年の言葉を聞いて、ある確証を得てリーリエの方へと振り向いた。

 

「リーリエ、悪いんだけど彼とバトルしてもらえるかな?」

「え?」

 

リーリエはシンジの意図が分からずに疑問符を浮かべる。疑問を感じているリーリエにシンジは言葉を続ける。

 

「無責任かもしれないけど、リーリエなら絶対に勝てるよ。僕が戦ってもいいんだけど、ジムバッジを持っていない僕との対戦は多分受け入れてくれないと思う。それに、リーリエが戦った方がきっと説得力もあるから。」

「……分かりました。シンジさんがそう言うのであれば、私やってみます!」

 

シンジの言葉を聞きリーリエは考える。だが彼がそこまで言うなら何か彼にも考えがあるのだろうと思い、リーリエはバトルすることを決意した。第一シンジが意味のない事をする人間ではないと信用しているからこその判断である。

 

「やっと戦う気になったみたいだな。」

「はい。ですが私は絶対に負けません!」

「俺はカズキ。そして俺のポケモンは当然ヘルガーだ!」

『ガウッ!』

『ヘルガー、ダークポケモン。口から出した炎は体内の毒素を燃やしたもの。昔は地獄からの使いと考え恐れられていた。』

 

その少年、カズキが繰り出したのはヘルガーだ。対してリーリエも覚悟を決め、自身のモンスターボールを手にしたのだった。

 

「お願いします!フシギソウさん!」

『ソウ!』

 

リーリエが繰り出したのはフシギソウだ。くさタイプのフシギソウにほのおタイプのヘルガーは相性としては最悪の相手だ。だがそんなことはリーリエには関係なかった。

 

「くさタイプか。だが手加減はしない!」

 

カズキのその言葉と同時にバトルが開始される。

 

「ヘルガー!かえんほうしゃ!」

『バウッ!』

「躱してください!」

『ソウ!』

 

ヘルガーは挨拶代わりにかえんほうしゃを放つ。ほのおタイプのかえんほうしゃには対抗策がないため、フシギソウはその攻撃をステップすることで回避した。

 

「そのままはっぱカッターです!」

「ヘルガー!ねっぷうだ!」

 

フシギソウははっぱカッターで反撃する。そのはっぱカッターをヘルガーはねっぷうで阻んだ。

 

「シャドーボール!」

「つるのムチで防いでください!」

 

続けてヘルガーはシャドーボールを乱れ撃つ。フシギソウは迫ってくるシャドーボールをつるのムチで次々と弾き飛ばした。それを見たヘルガーはチャンスと見てフシギソウ目掛けて走ってきた。

 

「ヘルガー!かみくだく!」

『ガウッ!』

 

ヘルガーはフシギソウに接近すると、かみくだくで追撃をしてきた。シャドーボールを防ぐことに集中していたフシギソウは対応が間に合わずにその攻撃を正面から受けてしまう。

 

「フシギソウさん!」

『ソウソウ』

 

リーリエの声にフシギソウはまだまだ平気だと答える。休む暇を与えるわけには行かないと、カズキは追撃の指示を出した。

 

「ヘルガー!シャドーボール!」

「フシギソウさん!エナジーボールです!」

 

ヘルガーのシャドーボールとフシギソウのエナジーボールが中央でぶつかり合う。互いの技の威力は互角で交じり合った衝撃で互いに消滅し爆風が発生する。

 

「はっぱカッターです!」

『ソウ!』

『ガウッ!?』

 

爆風を振り払いはっぱカッターがヘルガーに接近する。ヘルガーはその攻撃を回避しようとするも間に合わずに直撃を受ける。効果はいまひとつだが、それでも確かなダメージが入り怯んでいるのが確認できる。

 

「続けてとっしんです!」

「くっ!?かえんほうしゃ!」

 

隙を見つけたリーリエがフシギソウにとっしんの指示を出す。フシギソウは勢いよくとっしんでヘルガーとの距離を縮める。

 

一方、焦ったカズキはかえんほうしゃで迎え撃とうとする。しかしその攻撃はあまりに単調な攻撃で、フシギソウに軽く躱されてしまう。そのまま隙を晒してしまったヘルガーはとっしんを正面から受ける。

 

「ちっ!」

 

カズキは思わず舌打ちをする。ヘルガー立ち上がるが、それでも足元がふら付いておりこれ以上戦える状況ではない。

 

「もうやめましょう!これ以上は……」

「まだだ!まだ俺は……」

 

リーリエはヘルガーの身を案じカズキに呼びかける。それでもカズキはまだ戦えると言い張るが、ヘルガーはだいぶ疲れている様子だ。

 

「いや、もう勝負はついたよ。」

「なに!?」

「シンジさん……」

 

リーリエに代わりシンジがカズキにそう告げる。なぜシンジがそう言ったのか分からなかったカズキは理由をシンジに尋ねた。

 

「キミのヘルガーはよく鍛えられている。だけどそれだけじゃ意味がないんだ。」

「意味がない……だと?」

「ポケモンだけじゃなく、トレーナーも一緒に強くならなきゃ、本当に強いとは言えないんだよ。」

 

シンジは一呼吸おき、自分がカズキの言葉を聞いて確証を得たことを確認するために彼に問いかける。

 

「キミは以前、ポケモンジムに挑戦してたことがあるんじゃない?」

「っ!?なぜそれを!?」

 

核心を突かれカズキはドキッとし思わず口を滑らせる。観念したカズキは自身の思いを打ち明けた。

 

彼は以前ジム戦に挑戦していたことがあったそうだ。だがとあるジムにて一方的に負けてしまいショックを受けてしまったのだと言う。バトルには自信があったため余計にショックが大きかったのだ。

 

それ以降次第に負けが込んでしまい、勝つことができなくなってしまった。いわゆるスランプ状態に陥ってしまったのだ。

 

そんな時にリーグへと出場しようとしているトレーナーを見つけ挑戦しようと挑んだ。しかし誰も相手にしてくれず、次第に彼に怒りの感情がこみ上げてくる。ジムバッジを持っていないことが馬鹿にされている気がして苛立っていたのだ。

 

そして彼は現在リーリエと戦ったが、敗北と言う結果に終わってしまったのだ。

 

トレーナーには敗北が原因で彼のように誤った道へと歩んでしまう事は決して珍しい事ではない。悲しい事だが世の中には敗北のショックで犯罪に手を染めてしまう、そんなトレーナーも存在している。

 

シンジはそんな彼を諭すために、ある話をするのだった。

 

「ジムバッジには、トレーナーの数々のドラマが詰まってるんだ。バッジをとるためにポケモンと共に苦労した思い出。例え負けたとしても、諦めずに努力して勝ち取った思い出。トレーナーたちはそんなドラマを重ねてカントーリーグに挑むんだ。」

「トレーナーとポケモンさんの……思い出……。」

 

リーリエはシンジの話を聞いて何故彼が自分にバトルを受けるように言ったのかが察しがついた。シンジは以前にジムバッジを集めていてトレーナーとして同じ経験をしている。だからこそ彼の悩みを察することが出来たのだ。

 

今では自分もトレーナーとして旅をし、ジムバッジを集めてカントーリーグに出場しようとしている。それまでの道のりは決して簡単なものではなく、時には挫けそうになったこともあった。だから彼の気持ちもなんとなく分かる。

 

「私、あなたの気持ちが分かります。」

「くっ!?同情なんか!」

「同情なんかじゃありません。私もジム戦で負けたことはあります。」

「っ!?お前も?」

 

リーリエはかつて自分の経験したことをカズキに話し始める。

 

「私も圧倒的な力の差を見せつけられ、何もできずに負けてしまったことがあります。正直に言えば凄いショックで落ち込んでしまいました。」

 

リーリエは以前味わった経験を思い出しながら語り、シンジの方を見て一呼吸おき再び口を開いた。

 

「ですが、私はシンジさんに色々と教わりました。トレーナーとポケモンさんは一心同体。トレーナーとポケモンさんが一緒に努力して強くなることで、トレーナとして成長できるのだと。」

 

リーリエは再びカズキの目を真っ直ぐと見つめる。

 

「ポケモンさんと一緒に努力するからこそ、手にするジムバッジもより大きいものになるはずです。もしあなたにトレーナーとしての誇りがあるなら、諦めずにもう一度やり直してはもらえませんか?」

「トレーナーとしての……誇り……。」

 

リーリエの言葉を聞いたカズキは、ゆっくりとヘルガーに近付いた。そして彼は自分のパートナーであるヘルガーの頭を撫でて語り掛けた。

 

「……ごめんなヘルガー。こんなに無茶させて。」

『ガウッ……』

 

そう語り掛けてくる自分のトレーナーに、ヘルガーは笑顔で答えた。例え道を間違えてしまっても、ヘルガーにとって彼は大切なパートナーであり相棒なのだ。裏切ることも咎めることも出来ない。

 

「あんたたちの言葉を聞いて思いだしたよ。コイツと初めてジムに勝った時の事。俺、もう一度ヘルガーと初めからやり直してみるよ。」

 

カズキの言葉を聞き、シンジとリーリエは首を縦に振って頷いた。それを見たカズキは、笑みを浮かべてシンジたちに頭を下げる。その後、カズキはパートナーのヘルガーと共に歩いてその場を立ち去っていったのだった。

 

「……なんだか偉そうなこと言っちゃいましたかね。ハッキリ言ってちょっと照れくさいです。」

「ううん。そんなことないと思うよ。それに、リーリエもここまでトレーナーとして経験してるんだから、少しくらい胸張っていいよ。」

 

シンジの言葉にリーリエは顔を赤くして照れながら頬を掻く。だが、彼女自身その言葉は悪い気はしなかった。

 

「さ、セキエイこうげんはもうすぐだよ!」

「はい!もう一息頑張りましょう!」

 

そうしてシンジとリーリエはセキエイこうげんへと向け、歩き始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えてきたよ!あれがセキエイこうげんだ!」

「あれがセキエイこうげん……。トレーナーが目指す夢の舞台!」

 

最後の目的地であるセキエイこうげんに辿り着いたリーリエたち。だがこの舞台は決して終わりではなく、始まりの試練に過ぎない。彼女を待っているのは一体どんなトレーナーたちなのか?彼女を待ち受ける試練とは?

 

遂にリーリエのトレーナーとしての試練、カントーリーグが幕を開ける!




遂にセキエイこうげん到着です。

後2話か3話くらい挟んでからコラボに移りたいと思います。

ではでは!ノシ

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