ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
うちの子が一番かわいい(キリッ
というわけで今回は短めです。ピッピの詳細を明かした回を書きたかっただけです。
これが今年最後の投稿になりまする
アザリアジムのジムリーダー、ルナに勝利し見事最後のバッジであるバイオレットバッジを手に入れたリーリエ。次なる目的地、カントーリーグが開かれるセキエイこうげんへと向かい旅を続けている道中、シンジとバトルをし特訓している最中だ。
「シロン!ムーンフォースです!」
「ニンフィア!ようせいのかぜ!」
シロンはムーンフォースを放ち攻撃するが、ニンフィアのようせいのかぜに阻まれる。大分形にはなってきたが、それでも威力がまだまだ未熟だ。だが短期間にこれだけ成長できているため、完成までは時間の問題だろう。
「とりあえず今日の訓練はこれまでにしようか。根を詰めても逆効果になるだけだしね。」
「そうですね。シンジさん、特訓に付き合ってくれてありがとうございます!」
「うん、特訓だったらいくらでも付き合うよ。」
リーリエが礼を言うと、シンジも気にしなくといいと言葉をかける。そして休憩のため、この場で暫く休むことにしたのだった。
「みなさん!出てきてください!」
『チラ!』
『リルル!』
『ソウソウ!』
『ピッピ!』
「みんなも出てきて!」
『リーフ!』
『グレイ!』
『ブラッキ!』
『エーフィ!』
『イブブイ!』
リーリエはシロン以外の手持ちを、シンジはニンフィア以外の現在所持している手持ちを外に出した。今からみんなで昼食の時間だ。
食事は主にシンジが担当している。その間にリーリエは皿を並べたり飾りつけをするなど、自身に出来ることをやっている。少しでも装飾があった方が気分も良いし、大勢で食べた方が食事は楽しくなるものだ。
暫くすると食事の準備が出来上がった。
「ほら、みんなの分はここにあるよ。」
「たくさんあるので一杯食べてくださいね。」
シンジが器に入ったポケモンフーズを持ってくると、みんな食らいつく様に飛びついた。それほどお腹が空いていたという事だろうか。
ポケモン達が美味しそうに食べるのを確認してから、シンジたちも自分たちの食事に移る。
「今日のご飯も美味しいです!」
「ありがと。そう言って貰えると僕も作る甲斐があるよ。」
リーリエもシンジの作るご飯は大好きなようだ。シンジもリーリエの言葉に嬉しそうに微笑む。
そんな中、一匹のポケモンが周囲をチラチラと確認している姿があった。
『ピィ?』
そのポケモンはリーリエのピッピであった。ピッピは初めてみんなと食する食事でどうすればいいのか戸惑っているのか周りを確認する。隣ではチラーミィやマリルたちが美味しそうにポケモンフーズを食べている。
『ソウ?』
戸惑っているピッピにフシギソウがゆっくりと近付く。面倒見のいいフシギソウは、ピッピにどうしたのかと尋ねた。ピッピも彼に食べていいのかと聞くと、フシギソウも遠慮なく食べればいいと笑顔で答える。
ピッピはフシギソウの言葉に従いポケモンフーズを食する。すると途端に満面の笑みを浮かべた。どうやら彼女も気に入ってくれたようだ。
『ピッピ!』
『ソウソウ』
ピッピは次々とポケモンフーズを食していく。彼女が美味しそうに食べる姿に満足したフシギソウは、自分の食事へと戻る。
暫くし、みんなの食事が終わる。シンジとリーリエは後片付けをしており、フシギソウとニンフィアもその手伝いをしている。
しばしの休息という事で、それぞれが自分の好きな時間を過ごしている。一人で静かに過ごしていたり、日向ぼっこをして気分を落ち着かせたり、ポケモン同士仲良く遊んでいたりと様々だ。
『ピィ?』
一方、ピッピは何かを見つけたのかそれを目で追う。その視線の先には一匹のポケモンの姿があった。そのポケモンはバタフリーで、この辺りでは見かけることも特に珍しくないポケモンだ。
だがピッピにとっては新鮮で、見るもの聞くものの殆どが初めてのものだ。彼女は無意識の内にバタフリーを追いかけた。
『ピッピ!』
バタフリーはそのまま森の奥へと入っていく。ピッピもバタフリーを追って入っていってしまう。
『ピィ?』
しかしバタフリーを追いかけているつもりが、バタフリーの姿を見失ってしまったピッピ。ピッピが周りを見渡すがそこには誰の姿もない。その時に自分がリーリエたちから離れてしまったことに気付く。
『ピィ?ピィ!』
その時ピッピの視線に木の実の姿が映る。その木の実はナナのみで、多くのポケモンに人気のある木の実であった。
ピッピはすぐにナナのみがなっている木の元へと近付く。自分では登ることができないと判断したピッピは、木を軽く揺らして木の実を落とすことにする。幸いにも木は比較的細いため揺らすことは決して難しくなかった。
ピッピが木を揺らすと、暫くしてから木の実がピッピの元へと落ちてきた。ピッピはそれを嬉しそうにして頬張る。幸せそうに笑みを浮かべてナナのみを食べるピッピ。先ほどあれだけのポケモンフーズを食べてもなお木の実を食べるところを見ると、彼女は余程の食いしん坊なのかもしれない。
ナナのみを食べ終わったピッピ。だが今度は彼女の前にマダツボミたちの群れが歩いてきた。
『ピィ!』
ピッピもマダツボミたちの姿を見ると目を輝かせてその群れに混じる。マダツボミもピッピの事を気にする様子もなく歩いていく。
しかし彼女たちが歩いていると、草むらから彼女たちの目の前に一匹のポケモンが姿を現した。
『カーイ!』
そのポケモンはくわがたポケモンのカイロスだ。カイロスは好戦的な性格で、野生のカイロスは力試しをするためによく戦いを挑んでくることがある。今回出会ったカイロスも、マダツボミたちを見た際に2本の角を交差させカチカチと鳴らし、既に戦闘態勢へと入っている。
マダツボミは危険を察知し一斉に逃げ出す。自分よりも明らかに強い相手に出会ったら逃げるのは、野生のポケモンの本能だ。しかし、ピッピは一切逃げようとしない。それどころかカイロスの事をキラキラとした目で見つめている。
カイロスは逃げようとしないピッピを強い相手だと判断したのかすぐさま襲い掛かる。ピッピはカイロスの角によるはさむ攻撃を綺麗に回避する。
『ピッピ♪』
ピッピは笑顔でなんども飛びはねる。彼女にとっては遊んでいるつもりなのだろうか。
しかしカイロスは当然顔が赤くなるくらいに怒っている。これだけ攻撃を躱されてしまったうえに、ピッピの行動がカイロスにとって挑発的行動にも見えるので怒るのも無理はない。もちろんピッピには悪気がないためカイロスの心情を察することはないが。
『カーイ!』
『ピィ?』
カイロスが再びピッピに襲い掛かる。だがピッピはカイロスの攻撃を次々と躱していく。見た目とは裏腹にかなり身軽で柔軟な動きをしているピッピ。無邪気な性格だからか、遊び感覚でも避ける姿はある意味で芸術的だ。
結局カイロスはピッピと暫くの間たわむれることになってしまったのだった。
食事の後片付けを済ませた後、ピッピだけがその場からいなくなってしまったのに気付いたリーリエたち。現在はピッピを捜すために森の中をフシギソウと共に探しているところだ。
「ピッピさーん!どこいったんですかー!」
『ソウソーウ!』
リーリエとフシギソウの呼びかける声に反応する気配はない。少なくともこの近くにはいないようだ。
「リーリエ、ピッピは見つかった?」
別行動で探していたシンジと合流するリーリエ。こっちは全然見つからないとシンジに伝える。
「そっか。こっちも見つからなかったよ。森の奥まで行っちゃったのかも。」
「そうですね……。少し範囲を広げて捜してみましょう!」
リーリエの言葉に同意して一緒に森の奥に進む二人。一向に見つからないピッピが無事かどうかリーリエは不安になる。
「ピッピさん、大丈夫でしょうか。」
「ピッピの無事を確認するために、早く見つけなきゃね。」
シンジの言葉にリーリエは頷く。リーリエはピッピの無事を祈りながら捜索を続けた。
シンジとリーリエは森の中を進んでいく。だが一向にピッピが見つかる気配がしない。どうするべきかと悩んでいた時、フシギソウが何かに気付いたのか走り出した。
『ソウ?ソウ!』
「あっ!?フシギソウさん!」
「なにか見つけたのかも。取り敢えずフシギソウのあとを追おう!」
「は、はいっ!」
走り出したフシギソウをシンジとリーリエは後ろから追いかける。しばらく進んでいると何か物音が聞こえる。2人がその音のする場所へと辿り着くと、そこには驚きの光景があった。
「ピッピさん!」
そこには間違いなくピッピの姿があった。だがピッピの前には野生のカイロスの姿もあった。
しかしピッピはなにやら喜んでいる様子だ。嬉しそうにその場を飛び跳ねている姿が確認できる。対してカイロスはピッピに苛立ち無闇に襲い掛かっている。
だが驚くべきはピッピが先ほどからカイロスの攻撃を回避しているところだ。ピッピにとっては遊んでいるつもりにも見えるが、カイロスは本気で攻撃を仕掛けてきている。それを無意識とは言え回避しているため、ある意味でピッピは大物かもしれない。
しかしそんなことを分析する余裕のないリーリエは、このままではマズイと思いフシギソウと共に飛び出した。フシギソウはすぐにはっぱカッターでカイロスをピッピから引き剥がす。
「ピッピさん!下がっていてください!」
『ピィ?ピッピ!』
自分の前にでて庇うリーリエの姿に気付いたピッピ。その姿を見たピッピはまた嬉しそうに飛び跳ねている。シンジはピッピの傍に近づきまた勝手にどこかへ行かないように抱きかかえた。
『カイロ!』
フシギソウに攻撃を加えられ更に怒りが増すカイロスは次にフシギソウ標的とした。
「リーリエ、ピッピの事は僕が見てるから。」
「はい!お願いします!」
リーリエはシンジにピッピの事を任せフシギソウとカイロスの相手をすることにした。準備のできたカイロスはフシギソウに襲い掛かった。
「躱してください!」
『ソウ!』
カイロスの直線的な攻撃をフシギソウはジャンプして躱す。この程度を回避するくらい今のリーリエ達にとっては造作もないことだ。
「エナジーボールです!」
エナジーボールが振り向いたカイロスの顔に直撃する。カイロスはその攻撃で怯み隙をさらした。
「今です!つるのムチ!」
着地したフシギソウは続いてつるのムチで左右から攻撃する。カイロスもその攻撃で諦めたのか、その場を立ち去り森の奥へと姿を消したのだった。
「ふぅ……。あっ、ピッピさん!大丈夫でしたか?」
『ピッピ!』
「ピッピなら大丈夫だよ。怪我とかもないみたいだし。」
リーリエはピッピが無事かを確認するために駆け寄る。シンジはピッピをリーリエに渡し、リーリエはピッピを受け取った。
「もう、心配したんですよ。次からは勝手にいなくならないでくださいね?」
『ピィ?』
『ソウソウ』
リーリエの忠告を聞いたピッピだが、理解できていないのか首を傾げる。その後安心した表情をしながら呆れたように溜息を吐いたリーリエがシンジの方を向き声を掛けた。
「シンジさん、ピッピさんが迷惑かけてしまってごめんなさい……。」
「別に気にしなくていいよ。それよりピッピが無事で安心したよ。」
謝るリーリエにそう伝えたシンジ。その後、ピッピに「リーリエに心配かけたらダメだよ」と伝えて頭を撫でる。ピッピはその言葉の意味を理解しているのか分からないが、頭を撫でられてピッピは喜んでいるようだ。
「ピッピも見つかったし、そろそろ出発しよっか。」
「はい!」
無事にピッピを見つけ一安心した2人はそのまま冒険を続けようと歩き出した。無邪気で好奇心旺盛なピッピで困ってしまうリーリエだが、それでもピッピの事を可愛く愛しいと心から感じる。
次に目指す場所はカントーリーグが開かれるセキエイこうげん。リーリエとシンジの冒険はまだまだ続く!
両刀じゃないのに無邪気なピッピちゃんでした
カントーリーグまであと2話くらい挟もっかなとも思いましたが、もう一つが思いつきません。もし何か書いてほしい回があれば言ってくれれば(多分)書きます。無ければ突然カントーリーグについてるかも。
こうして見るとロケット団って便利なんやなと思いますね。適当に出しておけばトラブルから勝手に話が完成しますし、(長い)セリフで尺潰せますし。
なんかリーリエにポケモンの夢でも見せる?いや、難しそうだしやめとこ……。
ではではまた来年も未熟なヌシ共々よろしくお願い致します!
2017年半ばに投稿して2019年まで続くなんて驚きよね(´・ω・`)←自分が一番驚いてる