ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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ピカブイやりすぎてワッチャワッチャしてるからか文章に変なところがないか不安。

因みにピカブイでのヌシのファッションは
帽子→リーフィア
上着→エーフィ
ズボン→ブラッキー
靴→ニンフィア
バッグ→グレイシア
となっております。出ないブイズの分は着せ替えでカバーよ。


VSアザリアジム!最後のジム戦!

ようやくトキワの森を抜けアザリアタウンに辿り着いたシンジとリーリエ。その道中に出会ったシンジの幼馴染、ルナ。彼女こそがアザリアタウンのジムリーダーだったのである。

 

その事実を聞いて驚いたシンジとリーリエだが、彼女の実力を目の当たりにしたリーリエは彼女なら適任なのかもしれないと感じた。シンジと接戦を繰り広げる程の実力を持つ彼女に勝てるのか、リーリエの心の中に不安が募る。

 

そして今、アザリアジムにて遂に最後のバッジを巡るジム戦が始まろうとしていた。

 

「準備はいい?リーリエ!」

「は、はい!私はいつでも構いません!」

 

ルナの問いにリーリエも緊張した様子で答える。2人の準備が完了したと確認した審判の女性がルールの説明を開始した。

 

「それではこれより、チャレンジャーリーリエ対ジムリーダールナのジム戦を開始します!」

 

その後、審判から提示されたルールはリーリエにとって驚くべきものだった。

 

「使用ポケモンはジムリーダーが1体!対してチャレンジャーの使用ポケモンは3体です!」

「3対1……ですか?」

「アザリアジム独自のルールだよ。私の全力に、チャレンジャーがどれだけついてこれるか。それを確かめるために、このルールを作ったんだ。」

 

どうやらルナはチャレンジャーの力を試すのと同時に、自身を追い込み高みを目指すために独自のルールを作ったようだ。

 

各ジムにはそれぞれ違うルールが設けられている。それはチャレンジャーの実力に合わせたもの、ジムリーダーの考えに沿ったもの様々だ。今回ルナが提示したルールは極めて稀なルールである。

 

だが、それでも彼女の実力は底知れない。もしかしたらシンジと匹敵する実力の持ち主かもしれない。そんな彼女の使用ポケモンが例え1体でも、油断できる相手ではないのは明白だ。恐らくそれだけの自信があると言う事は、フラージェス以上の強さを持つポケモンである可能性が高いだろう。

 

「そして私の使うポケモンはこの子だよ!」

 

アザリアジムジムリーダーのルナが使用するポケモンはフェアリータイプのポケモン。一体どんなポケモンがくるのだろうかと考えるリーリエだが、ルナが繰り出したのはリーリエの予想とは全く違うポケモンであった。

 

「お願い!チルタリス!」

『チィル!』

 

ルナの出したポケモンはチルタリスだ。だがチルタリスはドラゴン・ひこうの複合タイプ。フェアリータイプのポケモンでないのが意外だった。

 

しかしそのチルタリスのは普通のポケモンとは違う特徴があった。それは首に巻かれているスカーフであった。

 

「あれって、もしかして……」

 

シンジはそれが何なのかは何となく察しがついた。それがなんなのか分からないリーリエは、チルタリスがフェアリータイプでないことを彼女に指摘した。

 

「チルタリスさんはフェアリータイプではなかったはずですが……」

「うん、そうだよ。だからこうするの!」

 

そう言ってルナが左手を前に出す。すると彼女の腕には黒の腕輪がついており、その中心には虹色に光る石がはめ込まれていた。

 

ルナはそれに右手をかざすと、その石が眩く輝きだし、チルタリスのスカーフと共鳴する。

 

そのスカーフをよく見てみると、ルナが持っている石にそっくりの石がはめられていた。互いの持つ石が共鳴し光で結ばれた時、その光はチルタリスを包み込んだ。その光から解放された時、驚くべき光景を目の当たりにしたのだった。

 

『チルゥ~!』

「チルタリスさんの姿が……変わった?」

 

そこにはまるで進化したような容姿をしたチルタリスの姿があった。未だに驚き目が点になっているリーリエにその現象について説明した。

 

「これはメガシンカだよ。トレーナーの持つキーストーンとポケモンの持つメガストーン。この2つが共鳴した時、ポケモンの姿が変わり能力が格段に上昇するんだ。チルタリスの場合はメガチルタリスになって、ひこうタイプがフェアリータイプに変わるんだよ。」

 

ルナの説明を聞いてリーリエは以前本で読んだ知識を思い出した。メガシンカは近年発見された進化を超えた進化。バトルが終われば元の姿に戻ってしまうが、その間はメガシンカ前とは比較にならない力を得ると言われている。カツラの言っていた他で見る事のできない戦いとは間違いなくメガシンカの事であろう。

 

メガシンカをしたチルタリスは、先ほどとは比べ物にならない威圧感を放っている。その威圧感に怯みそうになるリーリエだが、それでも必ず勝つのだと意思を強く持ってバトルに挑む。

 

「私の一体目……お願いします!チラーミィさん!」

「チラミ!」

 

リーリエが先発で繰り出したのはチラーミィだ。チラーミィはチルタリスを目にすると、今まで見たことのない威圧感に怯み冷や汗を出す。それでもチラーミィは踏みとどまり、リーリエの期待に応えるために戦う事を決意する。

 

「それでは、バトルはじめ!」

 

審判の合図と同時に動き出したのは、意外にもジムリーダーであるルナの方であった。

 

「りゅうのはどう!」

「!?躱してください!」

 

チルタリスは口を大きく開き、そこから勢いよく衝撃波を放つ。その衝撃波、りゅうのはどうはパワーとスピード、共に強力であることが見るだけで伝わってくる。チラーミィはリーリエの指示に従い、辛うじて避ける事ができた。

 

「接近しておうふくビンタです!」

 

チラーミィは躱した際の勢いに乗りチルタリスとの距離を縮める。そして手が届く距離まで近づき、おうふくビンタで攻撃を仕掛けた。しかし、チルタリスとルナもそう簡単に攻撃を通してくれるはずもなかった。

 

「コットンガード!」

 

チルタリスは攻撃が当たる直前、コットンガードによりチラーミィの攻撃を防いだ。コットンガードは自身の防御力を格段に上昇させる効果を持っている。これにより物理技であるおうふくビンタのダメージはかなり軽減されている。生半可な攻撃ではチルタリスに攻撃を通すことは出来ないだろう。

 

「でしたら今度はスピードスターです。」

『チラッ!』

 

チラーミィはコトンガードで攻撃を弾かれてしまうが、反動を利用して飛び上がりスピードスターを繰り出した。

 

「チルタリス!はがねのつばさで防いで!」

『チィル!』

 

チルタリスはその柔らかくモフモフな翼を鋼鉄のように硬化させ、その翼を盾にしてスピードスターは容易く防いだ。これにはチラーミィとリーリエも驚かずにはいられない。そしてその隙を見逃さず、ルナは反撃にでる。

 

「りゅうのはどう!」

『チラ!?』

「チラーミィさん!?」

 

チラーミィは対応が遅れたのと同時に、空中で態勢が整えられていないこともあり回避行動に移れずりゅうのはどうが直撃する。

 

りゅうのはどうの威力は高く、チラーミィは立ち上がるが足元がふらついてしまう。その姿を確認したルナは更に畳みかけた。

 

「もう一度はがねのつばさ!」

 

今度ははがねのつばさで低空飛行で接近し攻撃を仕掛けた。ダメージで動けないチラーミィは当然避けることができずに直撃する。そして限界が訪れ、無念にも戦闘不能となってしまう。

 

「チラーミィ戦闘不能!チルタリスの勝ち!」

 

チラーミィをモンスターボールへと戻す。素早い動きのチラーミィを容易く捉え、隙の無い攻防をするルナとチルタリスを見て、リーリエも彼女の底知れぬ強さを体感する。

 

「さあ、次はどの子で来るのかな?」

 

まだチルタリスにはダメージをまともに与えることができていない。ルナもまだまだ余裕があると言った様子だ。緊張の中、リーリエは2体目のポケモンを繰り出したのだった。

 

「お願いします!マリルさん!」

『リルル!』

 

リーリエが次に選んだのはマリルだ。

 

マリルのタイプはみず・フェアリータイプ。対してチルタリスはドラゴン・フェアリータイプだ。相性としてはマリルの方が有利であろう。だが相手はメガシンカポケモン。そんな簡単に行くわけはない。

 

「マリルさん!バブルこうせんです!」

「チルタリス!りゅうのはどう!」

 

バブルこうせんで牽制するマリルだが、チルタリスのりゅうのはどうがバブルこうせんを容易に貫く。フェアリータイプのマリルにドラゴン技は効果がないとはいえ、一手が防がれてしまうのはリーリエ達にとっても痛手だ。

 

「では今度はころがるです!」

『リル!』

 

マリルは丸くなり勢いをつけころがるで接近する。マリルも勢いに乗っていて、中々捉えるのが難しく思える。しかし、それでもルナは笑顔で冷静な判断をして見極めている。

 

「もう一度りゅうのはどう!」

 

ルナが選択したのはりゅうのはどうだ。しかしりゅうのはどうは当然マリルに効果はない。ならばルナの狙いはなんなのか?

 

答えは簡単であった。ルナの狙いは単純にマリルの行く手を阻むことであった。マリルが転がっている先にりゅうのはどうを着弾させくぼみを作ることにより、マリルの進行を妨げたのだ。

 

マリルはそのくぼみにハマると、上に跳ねて軌道が大きく逸れてしまった。それにより大きな隙ができてしまい、格好の的となった。

 

「今だよ!はがねのつばさ!」

『チル!』

 

チルタリスははがねのつばさでマリルを狙い撃ちする。隙をさらしてしまったマリルは当然対応することができずにはがねのつばさに弾かれてしまう。

 

「もう一度バブルこうせんです!」

 

受け身をとったマリルはバブルこうせんで反撃をする。だがチルタリスは自身の翼を盾にして防いだ。その様子から、ダメージは全くと言っていいほど効いていないだろう。チルタリスからはそんな雰囲気を感じさせるほどの余裕が感じ取れた。リーリエとマリルもその姿には驚くしかなかった。

 

「ムーンフォース!」

 

ルナが指をパチンッと鳴らすのと同時にチルタリスはムーンフォースの態勢に入り力を解き放つ。そのムーンフォースは確実にマリルを捉え、マリルにその攻撃が直撃する。マリルはその場で力尽き、目を回して戦闘不能となってしまう。

 

「マリルさん!」

「マリル戦闘不能!チルタリスの勝ち!」

 

一矢報いることもできずにマリルは敗れてしまう。リーリエは労いの言葉をかけ、マリルをモンスターボールへと戻した。

 

ルナはやはり強い。間違いなくこれまで戦ってきたトレーナーの中でもトップクラスの実力者であろう。メガシンカによる能力の上昇を加味したとしても、判断力、戦術、技、どれをとっても一級品であろう。

 

「ここはあなたに託します。」

 

リーリエは最後のモンスターボールを手にし、相棒にバトルの行く末を託すことにした。

 

「お願い!シロン!」

『コォン!』

 

リーリエが繰り出したのはシロンだ。こおりタイプのシロンはドラゴンタイプのチルタリスに対して相性が抜群だ。リーリエも3体目のポケモンであるため、これが最後のバトルになるだろう。

 

「アローラのロコン?珍しいポケモン持ってるね!」

「私のパートナーです!まだまだ諦めたりしません!」

 

リーリエのその言葉を聞き、面白いバトルになるかもと期待感を膨らませニヤリと口角を上げるルナ。そして今度は、その意気込みと同時にリーリエが攻撃を仕掛けた。

 

「シロン!れいとうビーム!」

『コオォォン!』

「はがねのつばさで弾いて!」

『チル!』

 

シロンはれいとうビームで攻撃を仕掛けるも、チルタリスははがねのつばさを振るいれいとうビームを弾いて防いだ。

 

「もう一度はがねのつばさ!」

「躱してください!」

 

続いてはがねのつばさで追撃を仕掛ける。その攻撃をシロンはジャンプすることによって回避する。はがねのつばさが空を切ったチルタリスだが、すぐさま振り向き態勢を整える。

 

「こおりのつぶてです!」

「りゅうのはどう!」

 

こおりのつぶてで素早く反撃するシロン。しかしチルタリスの対応もそれ以上に早く、自らの隙をすぐになくしりゅうのはどうで反撃する。りゅうのはどうはこおりのつぶてを貫通し、シロンに命中する。直撃を受けてしまったシロンはそのダメージで後退する。

 

「はがねのつばさ!」

 

りゅうのはどうで怯んだシロンにはがねのつばさで追撃する。こおりタイプのシロンにはがねタイプの攻撃は効果抜群だ。的確に弱点を突かれてしまい、かなりのダメージをシロンは負ってしまった。

 

しかしシロンは首を横に振りダメージを少しでも抜き取る。それを確認したルナは回復の暇を与えないと、休む間もなく怒涛の攻めを繰り返す。

 

「ムーンフォース!」

「れいとうビームです!」

『チィル!』

『コォン!』

 

チルタリスがムーンフォースを放ち、シロンはれいとうビームで対抗する。だが威力の差は歴然。拮抗するかに見えた技のぶつかり合いは、れいとうビームが破られる形で決した。

 

ムーンフォースはれいとうビームを押し切り、シロンとの距離を縮める。シロンは咄嗟に回避行動をとろうとするが、先ほどのダメージもあり間に合わず直撃を受けてしまう。ムーンフォースの直撃を受け、その衝撃が晴れると、そこには目を回しているシロンの姿があった。奮戦も虚しく、リーリエの敗北という形で終わってしまったのだ。

 

「ロコン、戦闘不能!チルタリスの勝ち!よって勝者、 ジムリーダールナ!」

「シロン!」

 

リーリエはすぐにシロンの元へと駆け寄り、シロンを抱きかかえる。リーリエに気付いたシロンはゆっくりと目を開け、リーリエの姿を確認する。

 

『コォン……』

「いえ、シロンもマリルさんもチラーミィさんも充分やってくれました。今回の落度は私にあります。」

 

申し訳なさそうに謝るシロン。そんなシロンにリーリエは咎めることはなく、非は自分にあると責任を負う。そんなリーリエに、ルナはメガシンカが解除されたチルタリスと共に近づいてきた。

 

「今回は私の勝ちだね。」

「ルナさん……。」

「でも、これで終わりじゃないよね?」

 

リーリエはルナの言葉を聞き目を見開く。

 

「リーリエもリーリエのポケモンも、すっごい輝いてた!次に挑戦するとき、どれだけみんなが成長するか楽しみになってきたよ!」

『チ~ル!』

 

リーリエはそのルナの言葉を聞いて気付く。この敗北は挑戦の終わりではなく、次のステップへ上がるための段階にすぎないのだと。確かにチルタリスのメガシンカはとても強力ではあるが、勝てないと決まったわけではない。必ずなにか突破口はあるだろう。

 

そう決断したリーリエは立ち上がり、ルナを見つめて口にした。

 

「今回は負けましたが、また挑戦しに来ます。その時は必ずバッジをゲットしてみせます!」

「私とチルタリスも簡単には負けないよ?いつでも待ってるから!」

 

そう言ってルナと握手を交わしたリーリエは、アザリアジムを後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました!お預かりしたポケモンたちはみんな元気になりましたよ。」

「ありがとうございます!ジョーイさん!」

 

ポケモンセンターで傷付いたポケモンたちを回復させたリーリエ。そんなリーリエは振り向いてシンジにあるお願いごとをする。

 

「シンジさん、お願いがあります。」

「なに?」

「ルナさんに勝つために、私とバトルしてください!」

 

リーリエがシンジに頼んだのはジムバトルで勝つための特訓であった。メガチルタリスを倒すためには、その突破口を見つけるのが必須条件だ。だが一人でがむしゃらに練習するだけでは勝つことは不可能だろう。

 

だが、そうそうメガチルタリスに匹敵する猛者と戦うことなどできない。だがシンジであれば適任だ。チャンピオンであるシンジを相手にすれば申し分ない。それに以前ヤマブキジムを攻略した際も、シンジと特訓したことが鍵となったのが一つの要因だ。シンジと学べることは多くあるだろう。

 

それにルナのチルタリスが使う強力なムーンフォース。シンジのニンフィアであれば同等の威力を持つムーンフォースが使える。模擬戦として相手をすればなにか掴めることはあるだろう。

 

当然、その言葉を聞いたシンジの答えは決まっていた。

 

「もちろんだよ。僕でよければ、出来る限り力になるよ!」

 

シンジは肯定の意を示し、リーリエもそんな彼に笑顔を浮かべる。

 

強力なジムリーダールナ。そんな彼女の使うチルタリスのメガシンカ。ムーンフォース、コットンガード、他にも課題は山積みだが、それらを少しずつでも埋めていき彼女に勝ち最後のジムバッジをゲットする。そう心に決めたリーリエは、手をギュッと握りしめシンジとの特訓に励むのであった。




メガシンカ初登場!

初めは5体1にでもしようかと思いましたがグタリそうなのでやめました。あとこんな場面でピッピを出したくなかった。マスコットだもんね。

ジム戦の時はシンジ君は大体空気ですが、その辺りはヌシの文才がなくセリフ回しが出来ないためご了承ください。ジム戦中だと喋らせるタイミングががが……。

アプデで前髪イーブイの髪型がでないかなと思ったり。

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