ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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今回は過去回ですが、短めです。中途半端なところで終わりますが次回に続きます。



レッツゴーイーブイの体験会が開かれたので行ってきました。プレイできるのはランダムだったのでピカが当たったらどうしようかと思いましたが、問題なくイーブイが当たりました。イーブイ可愛い。
感想としてはイーブイが可愛かったです。可愛い。あと専用技のメラメラバーンを検証したところ、Z技とは違い普通の技と同様何度も発動でき、やけど確定技っぽいです。恐らく命中100。可愛い。でんきだとまひ確定とかなのかな?それだったら普通に強い……というか強すぎる気がする……。可愛い。

それ以降はポケモンゲットを一切無視して5分間ずっとイーブイを撫でまわしてました。可愛い。食べ物あげたり突っついてあげたりと色々試してみました。可愛い。前もって情報は徹底的に調べ上げたので体験の5分間を有意義に使えた気がします。可愛い。

それとやってきたイーブイ(の着ぐるみ)とツーショット撮影できたので満足です。可愛い。もうラインの背景に設定してずっとにやけてます。キモい。貰えたイーブイのサンバイザーも気に入って良く装備してます。は~、もうなんか幸せよ~。

ちょっと浮かれすぎて文に違和感感じるかもしれないです……。


乗り越えるべき過去、2人で歩む道!

故郷のマサラタウンにてしばしの休息をすることになったリーリエとシンジ。だがそのリーリエは今、自室にてある物をじっと見つめて考えにふけっていた。

 

「……進化の石。これを使えばシロンは進化することができます。ですが……」

 

リーリエは以前フリーザーから貰った進化の石、こおりのいしを見つめていた。こおりのいしはシロンがアローラのキュウコンに進化するために必要な石だ。進化すれば当然強くなることは出来る。だが……

 

「進化することをシロンは望んでいません。」

 

シロンはこおりのいしで進化することを拒んでいる。進化というものは新たな自分に変わってしまう事でもある。その未知の感覚に怯えてしまうのは生物としては無理もないだろう。リーリエもシロンが嫌う事を強制したいなどとは思っていない。

 

リーリエが悩んでいるとき自室の扉が開いた。そこからはシンジが相棒のニンフィアと共に入ってきた。

 

「あれ?リーリエ、どうかした?」

『フィア?』

 

シンジはリーリエが深刻そうな顔をしていると思い何があったのか尋ねる。ニンフィアもシンジの手にリボンを絡めたまま首を傾げた。リーリエは自分の疑問に思っていることを聞いてみようとシンジたちに尋ねることにした。

 

「シンジさんとニンフィアさんは、イーブイさんの時からずっと一緒に過ごしていたんですよね?」

「え?うん、そうだよ。僕たちは出会ってからずっと一緒だったから。」

『フィア!』

 

そう言ってシンジは屈みながらニンフィアの頭を撫でる。ニンフィアもシンジに頭を撫でられ笑みを零し嬉しそうにしている。そんな二人を見ていると、余程互いの事を理解し合えているパートナーなのだという事が伝わってくる。

 

リーリエは、そんな二人だからこそ聞きたいことがあると口を開いた。

 

「もし差支えがなければ、ニンフィアさんが進化した時の事を教えてくださいませんか?」

「ニンフィアが進化した時の事?」

 

首を傾げ、なんでそのことを聞きたいのかと聞きたそうな顔をしているシンジにリーリエが自分の考えを打ち明けた。

 

「以前フリーザーさんからいただいたこおりのいしなのですが、これを使えばシロンは進化することが可能です。ですが、ご存知の通りシロンは進化することを嫌がっています。」

 

伝説のポケモン、フリーザーがくれたのだから何か深い意味があるのではないかとリーリエは語る。伝説のポケモンは基本的に人前に姿を現すことはない。あの時フリーザーを助けたとは言え、それでも自分にこおりのいしを無意味に渡すのはおかしいのではとリーリエは考えているのだ。

 

リーリエのポケモンたちは進化したことがあるが、いずれも自分が望んで進化したわけではない。もちろんリーリエの役にたちたい、負けたくないという精神的な面での進化という事も考えられるが、それでもシロンの進化は本人が嫌がっているだけでなく、一度進化してしまえば後戻りはできない。そんな大切な事であれば後悔はしたくないし、ましてやシロンに嫌われてしまうなどあってはならないと彼女は思っている。

 

シンジはリーリエの話を聞いて彼女の意図を理解した。

 

「そっか。ニンフィア、あの時の事、話してもいいかな?」

『フィア!』

 

シンジの事にニンフィアも頷いて答える。リーリエはそんな二人に感謝しながらシンジの話に耳を傾ける。

 

「あれは僕が丁度10歳になって旅に出た時の事だったかな……。」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

10歳の頃に旅に出たシンジは、相棒のイーブイと共にトキワの森へと入り旅を満喫していた。

 

「どう?美味しい?」

『イブイ!』

 

旅の道中にイーブイにポケモンフーズをあげるシンジ。旅はまだまだ長いため、2人でゆっくりと進もうと笑いかける。イーブイもシンジの意見に賛同しお互いに笑いあう。

 

そんな時、近くの茂みが軽く動いた。ポケモンかなと期待するシンジだが、そこからは1人の少年が姿を現した。

 

「あん?」

 

その少年はシンジを見つけ次第彼を睨みつけた。その少年の容姿は黒と赤が混じったシャツに青のダメージジーンズ。髪は茶色のロン毛といった不良に近い見た目をしていた。見るからに目つきも態度も悪く、まるで喧嘩腰のようでもあった。

 

「なんだお前?トレーナーか?」

「あ、はい。最近旅に出たばかりです。」

 

見た感じではその少年はシンジよりも2歳か3歳ほど年上だろう。そのためシンジも敬語で彼の質問に答えた。

 

「ふーん。ん?こいつは……。」

 

少年はシンジのイーブイを見つめて何か考えている様子だ。だが、その一方でイーブイはこの少年に怯えた様子で小さく震えている。シンジはそんなイーブイを心配して優しく抱きかかえ安心させる。

 

「……そうか、そのイーブイはあの時の……。」

「あの時の?」

 

少年はイーブイを見て思い出したかのようにそう呟く。シンジはこのイーブイを知っているのかと疑問に思ったが、その瞬間に彼が呟いた理由を把握した。

 

「!?もしかしてあなたは!?」

「ああ、そいつのトレーナーだよ。ま、元だけどな。」

 

シンジはその言葉を聞いて自分の中でふつふつと慣れない感情が湧き上がってくるのを感じた。だが、その感情が彼に対する怒りの感情だという事が分かった。それと同時にイーブイの震えている理由も理解した。

 

「どうして迎えに来てあげなかったんですか!イーブイはあなたが迎えに来るのをずっと待ってたんですよ!」

「それで?」

「!?」

「それでコイツを迎えに来て俺に何のメリットがある?バトルで使えるポケモンなら他にもいくらでもいる。それなのに弱くて使えないって理由で捨てたコイツを俺が迎えにくるメリットがあるとでも?」

 

その言葉を聞き、シンジは更に怒りの感情が膨れ上がった。

 

「弱くて使えないって……あなたはそれでもトレーナーですか!自分のポケモンも大切に出来ず、信頼することもできないあなたはトレーナーなんかじゃない!」

「信頼ならしてるさ。俺の持つ強いポケモンならな。」

「強くなくちゃ信頼できないって?」

「ああそうさ。俺は最強のポケモントレーナーになる。だが、そのイーブイでは役不足だった。だから嘘をついてそいつを見限ってやったんだ。これ以上無駄な旅に付き合わせるよりはよっぽど有意義だろう?」

「でもイーブイはあなたの事を信じて待ってくれてたんですよ!あのまま放っておいたら、最悪死んでたかもしれない「それがどうした?」!?」

 

シンジの言葉を遮り少年が呆れたようにそう言う。その言葉でシンジの理性が一気に吹き飛ぶ。彼は一切ポケモンの事を考えていないのだと思うとシンジも我慢が出来ない。ポケモンの事を第一に考えているシンジと、ポケモンを勝つための道具としてしか思っていない少年では全く性格があっていない。寧ろ真逆だ。

 

「あなたって人は!?」

「そいつがどうなろうと俺の知ったことじゃない。俺の考えを否定したかったら、バトルで勝って見せろ。その弱いイーブイでな。」

「!?」

 

イーブイの事を弱いと言われて我慢の限界がきたシンジ。だが、悔しい事にイーブイはまだバトル経験がない。そんなイーブイをいきなりトレーナーと戦わせてもいいのだろうかと悩む。だが、そんなときイーブイがシンジの顔を見て強く頷く。

 

『イブイ!イブブ!イーブイ!』

「イーブイ、戦うっていうの?」

『イブイ!』

 

イーブイは戦う意思があるようだ。どうやらイーブイもここまで言われてしまっては悔しいようだ。自分のトレーナーだった人物に自分の考えは間違っていると伝えたいのかもしれない。

 

シンジはそんなイーブイのやる気を買い、少年とのバトルを受けることにした。

 

「そのバトル、受けます!」

 

少年はその瞬間、ニヤリと笑みを浮かべてバトルを承諾した。

 

「ルールは当然一対一。どちらかのポケモンが戦闘不能になればバトル終了だ。」

 

少年が告げたルールを確認したシンジは小さく頷き了解と意思表示をする。それを確認した少年はモンスターボールを手に取る。

 

「俺の名はタケル。そしてこれが俺の最強のポケモン!」

『バンギィ!』

 

タケルと名乗った少年が繰り出したのはなんとバンギラスだった。数多くいるポケモンの中でもバンギラスはタフで強いポケモンであり、彼が最強と言うのだから余程強いポケモンなのだろうとシンジにも緊張が走る。だが、ここまで来たら後戻りはできないと覚悟を決める。

 

「行くよ!イーブイ!」

『イブイ!』

「どこからでもかかってこい。」

 

シンジは怒りのあまりに我を忘れているのか、タケルの挑発に乗り先に攻撃を仕掛けた。

 

「イーブイ!スピードスター!」

 

イーブイはスピードスターで先手を仕掛ける。だが、その攻撃もバンギラスの前では無意味であった。

 

「バンギラス!りゅうのはどう!」

 

バンギラスはりゅうのはどうでスピードスターをあっさりとかき消した。りゅうのはどうはスピードスターを貫通してそのままイーブイに直撃してしまう。

 

「イーブイ!?」

『イブ……』

「ストーンエッジ!」

 

バンギラスが地面を殴って隆起したストーンエッジがイーブイを襲う。イーブイはかなりのダメージを受けてしまい立ち上がることが困難となってしまった。

 

「やはり弱いな。その程度のイーブイならばいくらでもいる。」

「!?」

 

イーブイの事を再び弱いと言われたが、一方的にやられてしまっているため言い返したくても言い返せない。このままではイーブイが侮辱されたままやられてしまうと感じる。シンジがそう思っている中、イーブイは辛うじて立ち上がった。

 

「イーブイ!大丈夫!?」

『イブイ!』

 

このバトルに負けたくはないが、それでも第一にイーブイの身を優先したいと考えているシンジ。イーブイに無理はしてほしくない。それでもイーブイが戦う意思を見せるのであれば自分もイーブイの考えを尊重したいと思ってしまう。イーブイ自身も、自分を大切に思ってくれているシンジの期待に応えたいと自らを奮い立たせる。

 

「イーブイ……。うん、でんこうせっか!」

 

イーブイは素早い動きでバンギラスに接近戦を仕掛ける。確かに力は全く及ばないかもしれないが、イーブイはその小ささがゆえの身軽さがある。それを利用してバンギラスを撹乱させようというのだ。

 

「甘いな。バンギラス!躱してほのおのパンチ!」

 

しかしバンギラスの動きには無駄がなかった。軽く体の位置をずらす事で、イーブイの攻撃を受け流す形で躱し流れるように炎を纏った拳で反撃する。ほのおのパンチの直撃したイーブイは当然飛ばされてしまい、今度こそ立ち上がれない状態まで追い込まれてしまった。

 

「これで最後だな。はかいこうせん!」

「!?イーブイ!」

 

イーブイにはかいこうせんが接近する。これ以上はマズイと感じたシンジはイーブイを助けるために走り出した。

 

バンギラスのはかいこうせんが着弾し大きく爆発が発生する。だがその際に発生した爆風が晴れると、そこにはイーブイの姿はなかった。

 

少し離れたところにはシンジの姿があり、彼がイーブイを抱えていた。はかいこうせんが当たる前に、シンジが飛び込んでイーブイを助け出していたのだ。

 

「イーブイ、大丈夫だった?」

『イブイ……』

「ううん。僕は君がいてくれたらそれでいいよ。」

 

シンジは心配そうにイーブイに話しかけると、イーブイは弱弱しい声で申し訳なさそうに謝る。だが、シンジはそんなイーブイを咎めることをしなかった。大切なイーブイの意識があることに安堵しながら立ち上がった。

 

「ふん、甘いな。ポケモンもトレーナーも。ポケモンだけでなく、トレーナーも弱いんじゃ話にならんな。」

 

タケルの言葉に返す言葉もないとシンジは悔しさを噛み締めながら俯く。だが、それよりも一刻も早くポケモンセンターへと連れて行かなくてはと振り返って走り出した。その彼の姿をタケルは静かに見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました。あなたのイーブイはすっかり元気になりましたよ!」

「イーブイ!」

『イブイ!』

 

ジョーイが奥の部屋からラッキーと共にイーブイの乗った担架を運んで出てきた。元気になったイーブイを見て安心したシンジに、イーブイが勢いよく飛び込んだ。先ほどまではかなり致命傷を受けていたのにも関わらず、それを簡単に治してしまうあたり流石というべきだろうか。

 

「ありがとうございます、ジョーイさん!」

「どういたしまして。また何かあったら来てくださいね。」

 

ジョーイはそう言って頭を下げ、自分の仕事へと戻る。ラッキーが一緒にいるとはいえ、実質的に一人でポケモンセンターを任されているのだから大変だろう。

 

シンジは再びジョーイにお礼を言う。そしてイーブイと共にソファへと座った。

 

「……僕は何もできなかった。イーブイを助けるのが精一杯だった。」

『イブイ……』

 

イーブイが無事でよかったとはいえ、やはりバトルに負ければ悔しさが残ってしまう。更に認めたくないトレーナーに手も足も出ずに負けてしまえばなおさらだ。そんな彼を見て、イーブイも落ち込んだ様子を見せてしまう。

 

「イーブイは何も悪くないよ。僕が後先考えずに突っ走っちゃっただけだから。」

 

あの時もっと冷静に立ち回っていれば他にも戦い様はあっただろう。だがあの時は怒りに任せて戦ってしまって冷静な判断ができなかった。

 

しかしそれも今では言い訳に過ぎないだろうと首を横に振る。ただ自分が未熟過ぎただけなのだと。戦闘経験のないイーブイと自分で戦うべきではなかったと。

 

『イブブイ!』

「イーブイ?」

 

落ち込むシンジにイーブイは眼を輝かせて声を掛けた。

 

『イブイ!イブブ、イーブイ!』

「え?僕らしくない?一緒に強くなろうって?」

『イブイ!』

 

シンジの言葉にイーブイは強く頷く。どうやらイーブイも今回の件で自分の未熟さを体感し、悔しい思いをしていたようだ。だからこそ今度は負けないように、もっともっと力をつけようと決めたのだ。イーブイの表情はそういった覚悟を感じさせるものであった。

 

『イーブイ!』

「そう……だよね。考えていても仕方ないよね。うん、ありがとね、イーブイ。」

『イブイ♪』

 

シンジはイーブイに感謝しながら頭を撫でる。イーブイも嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。シンジが元気を取り戻したことと、彼に撫でられたことが同時に嬉しかったのだろう。

 

「僕もイーブイと一緒に強くなるよ。そしていつか……必ずあの人に勝って見せる!」

『イーブイ!』

 

シンジはイーブイと共に強くなることを決意する。イーブイもシンジと共に力をつけ、必ずタケルに勝つのだと覚悟を決めた。

 

そして彼らが最初に目標として決めたのがポケモンジムだ。カントー地方のあちこちにあるポケモンジムを巡ることで成長し、トレーナーとして磨きをかけようと決めた。

 

しかし、そんな彼らを眺めている者の目があった。

 

「ポケモンと一緒にか。ふん、甘いな。」

 

その少年はそう呟くと、その場を立ち去って行ったのだった。




ニンフィアの進化の経緯を書くために強引に話を繋げました。こんな感じで前後編に分かれます。他のブイズとの出会いはいずれ番外編かで書く予定です。

今回のオリキャラは次回以降恐らく出ないかと思います。まあ過去キャラでよくある強さに執着したライバル的なキャラ作っただけなので……。

それにしてもジム戦書かない時は短くなりがちよね。中々書く内容が思いつかないので許してください(´・ω・`)

ではでは次回はニンフィア進化回です。次回はもっと頑張ります!

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