ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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正直ヤマブキジム戦を超えられるジム戦を書ける気がしない(自画自賛)

とりあえずこれだけは言っておきます。ニンフィアはヌシの嫁(キリッ


VSグレンジム!燃え上がれ!炎の熱戦!

遂に7つ目のジムバッジをかけ、グレンジムのジムリーダーカツラと対峙するリーリエ。今、熱き戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。

 

「それでは!これよりジムリーダーカツラ対チャレンジャーリーリエによるジムバトルを開始します!」

 

グレンジムの審判が所定の位置につき、ルールの確認を行う。

 

「使用ポケモンは3体。どちらかのポケモンが全て戦闘不能になればバトル終了です!なお、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます!それでは、ジムリーダーからポケモンを!」

「ワシの一体目はこいつだ!」

 

審判の合図に合わせ、カツラはモンスターボールを投げる。そして、モンスターボールから解放された一体目のポケモンは……。

 

『コォン!』

「!?あのポケモンさんは……」

『キュウコン、きつねポケモン。ロコンの進化形。9人の聖者が合体して生まれたとされているポケモン。9本の尻尾には神通力が込められており、1000年は生きると言われる。』

 

カツラが最初に繰り出したのはキュウコンだ。そう、リーリエの持つシロン……ロコンの進化形だ。最も、姿はアローラではなく通常の姿ではあるが。

 

カツラはほのおタイプの使い手。リーリエのパーティで考えればあまり相性がいいとは言えない。それに、ジムリーダーであるがゆえに、苦手タイプの対策は怠っていないだろう。リーリエにとって、これは彼女の実力が問われる大事な一戦となるだろう。

 

「では最初はあなたで行きます!お願いします!シロン!」

『コォン!』

 

リーリエが繰り出したのは、なんと相性の悪いシロンであった。ほのおタイプのキュウコンに対して、こおりタイプのシロンはかなり相性が悪い。苦戦は必至となるだろう。

 

「だけど、それでも敢えてリーリエはシロンを選んだ。この選択が吉と出るか凶と出るか。」

 

リーリエの選択がどう転ぶか、シンジは彼女の戦いを静かに見守ることにした。

 

「それでは、バトル開始!」

 

審判が手をあげるのと同時にバトルが開始され、カツラが口を開く。

 

「さあ、どこからでもかかってきなさい。」

 

カツラは手を広げ、リーリエにかかってこいと挑発に近い行動をとる。リーリエの力を試そうとしているのだ。

 

リーリエもその挑発に乗り、先手を取ることにした。

 

「それでは行きます!シロン!こなゆきです!」

 

範囲の広いこなゆきで先制攻撃を仕掛けるシロン。こなゆきはフィールドを凍らせながらキュウコンに接近していく。しかし、その攻撃は虚しくもキュウコンの攻撃に簡単に阻まれてしまった。

 

「キュウコン!ねっぷう!」

 

キュウコンの放つ熱い吐息、ねっぷうによってこなゆきは押し返されてしまい、凍らせたフィールドもあっさりと溶かされてしまう。そのねっぷうはシロンを直撃してしまい、大きなダメージを負ってしまう。

 

「シロン!大丈夫ですか!?」

『コォン!』

 

ねっぷうを正面から受けても尚シロンは立ち上がる。今までの戦いで鍛え上げられたからだろうか、弱点の技を受けても致命的なダメージには至らなかったようだ。

 

「今度はワシらから行くぞ!エナジーボール!」

 

続いてキュウコンが放ったのはくさタイプの技、エナジーボールだ。苦手なタイプであるみず、いわタイプなどの対策として覚えさせたのだろう。

 

エナジーボールは一直線にシロンへと向かう。しかし、シロンはその攻撃を冷静にジャンプすることで回避する。

 

「れいとうビームです!」

「サイコショック!」

 

エナジーボールの撃ち終わりを狙い、れいとうビームで攻撃を仕掛けたシロン。対するキュウコンは、不思議な念波を実体化させることによる攻撃、サイコショックで正面から対抗する。くさタイプの技の次はエスパータイプの技と、豊富な技のレパートリーである。

 

サイコショックとれいとうビームは中央でぶつかる。しかし、僅かながられいとうビームの力が勝り、サイコショックを打ち破った。そのままキュウコンに直撃……するかに思えたが。

 

「まもるだ!」

 

キュウコンはまもるによってれいとうビームを完璧に防いだ。攻撃だけでなく、防御面においても隙が無いその戦術に、リーリエは流石ジムリーダーだと改めて感心する。

 

「ワシの炎はそう簡単に消せるものではないぞ?キュウコン!ねっぷう!」

 

キュウコンのねっぷうが再びシロンを襲う。シロンは直撃を受けてしまうも、なんとか耐えしのいだ。だが、次に直撃を受けてしまえば流石にシロンと言えど耐えられないだろう。

 

(あのねっぷうは威力もさることながら、範囲も広く隙が少ない厄介な技です。あれをなんとかしなければ……)

 

リーリエは心の中で厄介なねっぷうにどう対応すべきかを分析する。

 

(先ほどはこなゆきで出来た氷をあっさりと溶かされてしまいました。)

 

さっきの状況を思い返す。初手にはなったこなゆきを、ねっぷうによって簡単に防がれてしまった。それだけでなく、凍らせたフィールドも熱のこもった風によって溶かされてしまった。

 

(……?氷と熱?そうです!それならまだチャンスはあるかもしれません!)

 

リーリエはねっぷうになにか閃きを思いついたようだ。カツラもその事に気付いたのか、気を引き締めるようにキュウコンに伝える。

 

「手加減はせんぞ!もう一度ねっぷうだ!」

 

早速来たと、リーリエは身構える。そしてリーリエの取った行動は……。

 

「シロン!れいとうビームです!フィールドに薙ぎ払ってください!」

 

なんと、驚くべきことに攻撃の指示ではなくフィールドをれいとうビームで薙ぎ払う指示であった。カツラもこれには驚くほかなかった。

 

シロンの薙ぎ払ったれいとうビームは、フィールドを凍らせ、次第にねっぷうを防ぐ氷の壁となってそびえたった。遮られたねっぷうは氷を溶かしていくものの、熱と氷が相反反応を引き起こし、蒸発してドライアイスのようにフィールドを包み込んだ。

 

「くっ、キュウコン!ねっぷうで振り払うのだ!」

 

視界を奪われたキュウコンは、ねっぷうで視界を取り戻すべく振り払う。しかし、その場にシロンの姿はなく、キュウコンは戸惑った。

 

「シロン!こおりのつぶてです!」

 

リーリエの指示に反応し、カツラは上を見上げる。そこにはジャンプをして回避していたシロンの姿があり、シロンはこおりのつぶてでキュウコンに奇襲を仕掛けた。

 

カツラはまもるの指示を出そうとするも、素早く鋭いこおりのつぶてに対してその指示は間に合わず、キュウコンはこおりのつぶての直撃を受け怯んでしまう。

 

「れいとうビームです!」

「サイコショック!」

 

再びれいとうビームとサイコショックが中央で激突する。互いにダメージを抱えているため、先ほどとは違い互角のようだ。拮抗していた互いの力は、激しい技のぶつかり合いが次第に大きくなり爆風となって消滅する。

 

大きな爆風は互いの姿を隠してしまうが、次第に煙が晴れると二匹の姿が少しずつ確認できた。どうなったのかと緊張のあまり息を呑む二人。しかし、そこで起きていたのは衝撃の事実であった。

 

『コォン……』

『こ、コォン……』

 

なんと、キュウコンとシロン、共に戦闘不能となってしまっていたのだ。俗に言うダブルノックダウンと言うやつだ。爆風の衝撃に飲み込まれ、互いにダメージもスタミナもピークになってしまっていたのかもしれない。

 

「キュウコン!ロコン!共に戦闘不能!」

 

審判のジャッジが下され、2人は頑張ってくれたパートナーをモンスターボールへと戻す。

 

「よく頑張ったな、キュウコン。」

「お疲れさまでした、シロン。後はゆっくり休んでください。」

 

まさかの結末に驚いた二人だが、それでもパートナーたちへの労いは忘れない。そう言わずにはいられないくらい、両者とも熱く厳しい戦いを繰り広げたのだ。

 

「驚いたよ。まさかあのような方法でワシの攻撃を防いでくるとは。」

 

カツラは『だが』と言って次のモンスターボールを手にした。

 

「こいつも同じように倒せるか?頼むぞ!ウインディ!」

『バウ!』

 

カツラが次に繰り出してきたのはウインディだ。その大きくも逞しい体に一瞬怯みそうになるリーリエだが、意思を強く持ち、ポケモン図鑑で冷静に相手の詳細を確認する。

 

『ウインディ、でんせつポケモン。ガーディの進化形。一昼夜で10,000キロを駆けると言われるポケモン。体内で燃え盛る炎がウインディのエネルギーとなっている。』

 

でんせつポケモンと呼ばれるウインディだが、決して伝説のポケモンと言う訳ではない。まるで伝説のように云い伝えられ、目にもとまらぬ速さで駆け抜けるためそう呼ばれている。だが、その素早さはその名に恥じないものであるため、当然だが決して油断などできない。

 

リーリエはほのおタイプにはやはりこのポケモンだと、2体目のポケモンが入るモンスターボールを手にし、そのボールをフィールドに投げた。

 

「お願いします!マリルさん!」

『リルル!』

 

リーリエが選んだのはマリルだ。みずタイプのマリルはほのおタイプのウインディに相性がよい。まさにセオリー通りの選択だ。

 

しかしカツラは例え相性が悪い相手だと分かっても表情を崩そうとしない。それだけ余裕があるのか、それともなにか手があるのか。だが、それでも手を出すしかないとリーリエはカツラよりも先に動くことにした。

 

「マリルさん!バブルこうせんです!」

 

マリルはバブルこうせんにより牽制攻撃を仕掛ける。

 

「しんそくだ!」

 

しかし、ウインディは異常なほど素早い動きでバブルこうせんを横に回避し、その速度をさらに加速させてマリルに接近する。マリルはその速度に対応できるわけもなく直撃してしまう。リーリエもこのスピードにはただ戸惑うしかなかった。

 

ウインディの巨体に、その異常な速度が加算されることによりしんそくの威力は跳ね上がる。マリルも今の一撃でかなり体力を持っていかれてしまったようだ。

 

「ほのおのうず!」

「アクアテールで防いでください!」

 

正面から迫ってくるほのおのうずを、アクアテールで真っ向から防いだ。ほのおのうずは喰らってしまうと文字通り炎の渦につつまれ、脱出は困難になり苦しんでしまう非常に厄介な技だ。それを防ぐことができたのは大きいだろう。だが……

 

「もう一度バブルこうせんです!」

「フレアドライブ!」

 

再びバブルこうせんで攻め立てるも、炎を纏ったウインディがフレアドライブで正面からバブルこうせんを打ち破りながら急接近してくる。まるでみずタイプの技が全く通用しないようだ。

 

「っ!?アクアテールです!」

 

マリルは慌ててバブルこうせんを中断し、アクアテールで反撃する。フレアドライブを正面から止めるが、それでも力の差が明らかとなり押し返され、マリルは最終的に飛ばされて地面に叩きつけられてしまった。

 

「ま、マリルさん!」

『リ、ル……』

 

マリルは戦闘不能となってしまった。素早さだけでなく、攻撃力の差が明らかとなってしまった。この明確な差による敗北はかなり大きいものとなってしまうだろう。

 

「マリル戦闘不能!ウインディの勝ち!」

「マリルさん、戻ってください。よく頑張ってくれました。ありがとうございます。」

 

最後までよく頑張ってくれたマリルをモンスターボールへと戻す。そして遂に最後の一体の入ったモンスターボールを手にし、そのボールに入ったポケモンに思いを託す。

 

「これで最後です!お願いします!ハクリューさん!」

『クリュー!』

 

最後にリーリエが選んだのはハクリューだ。ハクリューはドラゴンタイプのポケモン。ほのおタイプの技は効果が薄いため、相性として考えれば有利だろう。力強さでも引けをとることはない。だが、ウインディの素早さにどれだけついていけるかが問題だ。

 

「ほのおのうず!」

「たつまきで防いでください!」

 

ハクリューはたつまきを起こし、ウインディのほのおのうずを防ぐ。それだけでなく、巨大な竜巻はウインディの視界をも奪った。シンジから教わった、リーリエお得意の戦術だ。

 

「アクアテールです!」

 

アクアテールで自ら発生させたたつまきを振り払い、水を纏った尾をウインディ目掛けて薙ぎ払った。ウインディは回避が間に合わずアクアテールの薙ぎ払いを真面に受けてしまうが、受け身をとりダメージを抑え態勢を立て直す。

 

「中々やるではないか。だがまだまだこれからだ!フレアドライブ!」

「ジャンプして躱してください!」

 

フレアドライブを冷静に高くジャンプすることによって躱したハクリュー。反撃のチャンスが訪れ、再度攻撃を仕掛けた。

 

「ドラゴンテール!」

「っ!?しんそく!」

 

緑の鱗を尾に纏い、そのまま振り下ろそうとするハクリュー。これだけの高度からの一撃であればダメージも最大限高まるだろう。しかし、ウインディは素早く宙を駆け抜け、ハクリューがトップスビードになる前に押さえつける。この対応速度の速さは流石としか言いようがない。

 

ドラゴンテールとしんそくがぶつかり合い、互いに弾かれ元の位置まで戻される。威力もほぼ五分といった感じで、それほど力量に大差はない。だが、僅かにウインディが押し負けていると言った様子だ。先ほどのアクアテールによるダメージが多少なりとも効いていると考えるべきだろう。

 

だが、そんなことで終わるジムリーダーカツラではない。彼の内に秘めた炎は、決して消えることを知らない。

 

「もっともっと燃え上がれ!オーバーヒート!」

「オーバーヒート!?」

 

オーバーヒートは威力の高いほのおタイプの技だが、使えば使うほど威力が下がってしまう技だ。しかし当然その破壊力は絶大で、油断のできない大技であるのは確かだ。

 

ウインディの放ったオーバーヒートを躱しきれなかったハクリューは、その強烈な炎に包まれてしまう。だが、ハクリューはその攻撃を耐え凌いだ。

 

「ハクリューさん!まだまだ行けますか!」

『ハクリュ!』

 

ハクリューはリーリエの言葉に合わせ、まだまだ行けると意思表示をする。

 

「あれを受けてなお立ち上がるとは。中々やりおる。だがこれで終わらせる!フレアドライブ!」

 

ダメージを受けハクリューの動きが鈍ったところで、更に畳みかけるウインディ。しかし、カツラたちの炎が消えていないのと同様に、ハクリューとリーリエの秘めたる炎もまだまだ燃え上がっていた。

 

「アクアテールです!地面に叩きつけてください!」

 

ハクリューはアクアテールで地面を叩きつけ、先ほどよりも更に高くジャンプした。その際地面のくぼみができ、ウインディは勢い余って躓き倒れこむ。ウインディの素早さが逆に仇となってしまったのだ。

 

「!?ウインディ!」

「今です!ドラゴンテール!」

 

ドラゴンテールにより超上空から動きの止まったウインディに最後の一撃を叩きこんだハクリュー。この攻撃にはウインディも溜まらずダウンし、戦闘不能となった。

 

「ウインディ戦闘不能!ハクリューの勝ち!」

 

ウインディは戦闘不能となり、この戦いはハクリューに軍配が上がった。ウインディに感謝し、モンスターボールに戻すカツラ。だがしかし、この戦いによって受けてしまった代償は大きいものだった。

 

「これで残り一対一だな。だが、ワシ最後の一体はまだ無傷。対しておぬしのポケモンは傷付いたハクリューのみ。この状況でどう戦うか、おぬしの熱い魂をしかと見させてもらうぞ!」

「はい!ですが、私たちは負けませんから!」

「その心意気やよし。行くぞ!ブーバーン!」

『ブーバァ!』

「!?あのポケモンさんは……。」

『ブーバーン、ばくえんポケモン。腕から摂氏2000度の火の玉を発射する。体の熱が熱いため、触れる際にも注意が必要。』

 

大きな咆哮と共に現れたのはカツラのエース、ブーバーンだ。その大きな体つきに鋭い目つき、強者の風格。一筋縄ではいかないのは明白だ。だがそれでも、リーリエもハクリューも諦めることはない。

 

「先手先手で行きます!アクアテールです!」

 

早速弱点のアクアテールで怒涛の攻めを見せるハクリュー。だが、ブーバーンのパワーは恐るべきものであった。

 

「ブーバーン!だいもんじ!」

 

ブーバーンは右腕の先から大の字を描いた炎、だいもんじを放ち、アクアテールを迎え撃つ。すると驚くべきことに、そのだいもんじはアクアテールとぶつかるとその水を蒸発させ、簡単に消し去ってしまったのだ。これにはリーリエも驚きを隠せない。

 

「言ったであろう。ワシの炎は消せないと。続けてきあいだま!」

 

今度はカツラが怒涛の攻めを見せつける。次は左腕の先から強大な弾丸、きあいだまを一直線に放つ。その一撃は地面を抉りながらハクリューへと接近する。それだけでも威力がどれだけ強力か分かるが、どれだけ強力であろうと当たらなければ意味がない。

 

「躱してください!」

 

ハクリューは再びジャンプすることにより回避する。だが、それこそがカツラの狙いであった。

 

「かみなりパンチだ!」

 

今度はジャンプしたハクリューに接近し、電気を纏った腕をハクリューに全力で振り下ろす。そのスピードはウインディ程ではないにしろ、その大きな体からは想像できないくらいには速く、更に力強い一撃であった。

 

その一撃でハクリューは地面へと叩きつけられ更にダメージを負ってしまう。ハクリューもそろそろ限界が近づいてきたのか、流石に体がボロボロになりつつある。恐らく、次にダメージを受けてしまえば危険だろう。だが、それでも決して倒れることはない。彼の内にはそれだけ大きく熱き炎が燃え上がっているのだ。

 

(カツラさんは強いです。その消えることのない熱い魂は、私にも伝わってきます。ですが……)

「私たちは負けません!全力で行きます!」

『クリュー!』

 

リーリエとハクリューの心にも更に熱い炎が灯る。それを感じ取ったカツラは、まだまだ終わらないなとブーバーンと共に自分たちのの炎も燃え上がらせる。

 

「ハクリューさん!れいとうビーム!」

「ブーバーン!だいもんじ!」

 

ボロボロになったハクリューだが、れいとうビームの威力は未だに衰えていない。だいもんじとれいとうビームが中央で相殺し合い、再び蒸発したように衝撃がフィールドを包み込む。

 

「かみなりパンチだ!」

 

フィールドを包み込んだ煙を掻い潜り、勢いよく突撃するブーバーン。しかしその攻撃は空振りに終わり、煙を振り払うもハクリューの姿は見当たらない!

 

「上か!」

 

カツラとブーバーンが共に上を見上げると、そこにはハクリューが先ほどと同様に飛び上がっていた。ボロボロな状態でありながら飛び上がるその様は、感嘆に値するほかないだろう。

 

「ドラゴンテールです!」

「きあいだま!」

 

ブーバーンの左腕から放たれたきあいだまに、ハクリューのドラゴンテールがぶつかる。下から放ったきあいだまは、上空からのドラゴンテールの威力に負け、ブーバーンの元へと打ち返される。ブーバーンは咄嗟の判断によりバックステップをすることによりそのきあいだまを回避する。

 

「アクアテールで薙ぎ払ってください!」

 

ハクリューはブーバーンの回避後の隙を狙い、アクアテールで薙ぎ払った。ブーバーンは当然回避行動が間に合わずにアクアテールの直撃を受ける。倒れることはなかったものの、みずタイプの技を受けたブーバーンには確かなダメージがみられる。

 

「ドラゴンテールです!」

「かみなりパンチで迎え撃て!」

 

着地したハクリューは、ドラゴンテールで正面から攻撃を仕掛けた。ブーバーンも一切退こうとはせず、かみなりパンチにより正面から迎え撃つ。

 

互いの技がぶつかり合い、反動により互いに弾かれノックバックする。ブーバーンもそろそろ厳しくなってきた色が見え始めた。

 

「これで決着をつける!だいもんじ!」

「絶対負けません!れいとうビーム!」

 

だいもんじとれいとうビームが三度(みたび)ぶつかる。その衝撃がフィールドを包み、互いの姿をまたもや隠してしまう。その瞬間に、ブーバーンは先ほどの直前に受けたダメージが響き、足をふらつかせる。

 

「!?」

 

その状況に気付いたカツラが一瞬焦りを見せる。その時、迷いのない一撃がブーバーンに迫りくる。

 

「ドラゴンテールです!」

 

ドラゴンテールにより正面の煙を掻い潜り接近する。

 

「っ!?かみなりパンチ!」

 

咄嗟にかみなりパンチで応戦するブーバーン。しかし反応が一瞬遅れたこともあり、最大威力になる前にドラゴンテールとかみなりパンチが交じり合う。対してハクリューは勢いある状態からの攻撃であるため、威力は十二分に出せている。

 

更に、ハクリューのドラゴンテールはブーバーンの頭上から襲い掛かっていた。当然下からの攻撃より、上からの攻撃の方が威力が出やすい。そのこともあり、ブーバーンの攻撃はハクリューの一撃に押し返された。

 

かみなりパンチを弾かれ、そのままドラゴンテールに飛ばされてしまったブーバーン。ブーバーンはその勢いで壁に叩きつけられ、その衝撃で遂に戦闘不能になる。

 

「ブーバーン戦闘不能!ハクリューの勝ち!よって勝者、チャレンジャーリーリエ!」

「か、勝てました!でも、すっごい疲れました……。」

『クリュ~』

 

ハクリューとリーリエは、まるで燃え尽きたようにその場にへたり込んだ。それだけ緊張感があり、熱い戦いを繰り広げたのだ。力尽きても無理はないだろう。

 

「ふっ、ブーバーン。ご苦労だったな。ゆっくり休むといい。」

 

戦闘不能となって動けなくなってしまったブーバーンに優しく声を掛けモンスターボールへと戻したカツラ。負けはしたが、普段味わうことのできないほど燃え上がるバトルをすることができて満足したのか、その顔には笑顔が見えていた。

 

こうして、2人の炎のような熱き戦いは遂に幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、これがグレンジムに勝利した証、クリムゾンバッジだ。」

 

カツラの差し出した炎をモチーフにしたジムバッジ、クリムゾンバッジをリーリエは受け取る。

 

「これが7つ目のジムバッジ。クリムゾンバッジ!ゲットです!」

「おめでとう、リーリエ!」

「ありがとうございます!シンジさん!」

 

喜びを露わにするリーリエに、シンジはおめでとうと伝え、そんな彼にリーリエは感謝の言葉を伝える。そしてその7つ目のジムバッジ、クリムゾンバッジをバッジケースにしまった。

 

「これで7つ目が揃ったか。では、次はいよいよ最後のバッジだな。という事はトキワシティのトキワジムか……。」

「どうかしたのですか?」

 

しかし、カツラはどこかバツが悪そうな顔をしている。何か問題があるのだろうか、とリーリエはその理由を尋ねた。

 

「実は今、トキワジムのジムリーダーは留守にしておるのだ。」

「えっ!?そうなんですか!?」

 

驚きの事実にリーリエは驚く。ここから最も近いトキワジムに挑戦できないのであれば、次のジムバッジはどこへいけばいいのであろうかと。シンジは、『またあの人は留守にしているのか……』と呆れた様子で呟いている。とはいえ、自分も人の事は言えないなとも呟いた。

 

「……ならばあそこしかないな。」

「あそこ?」

「最近できた町なのだが、その新しい町にも新たなジムリーダーが現れたのだ。ワシは出会ったことがないのだが……。」

 

とそこでカツラは言葉を詰まらせる。なにか言いづらいことがあるのかと尋ねようとするが、カツラは覚悟を決めてそのジムリーダの詳細を伝える。

 

「人柄は接しやすくていい奴らしいのだが、そのジムリーダーはとてつもなく強く、他のカントーのジムリーダーが使ってこない戦術をやってくるのだそうだ。」

「他のジムリーダーが使ってこない戦術ですか?それは一体……」

「ワシも詳しい事は分からないが、とにかく強いジムリーダーだそうだ。気を引き締めてかかるといい。」

 

カツラが言うのだから、それだけ強敵であるのは間違いないだろう。だが、悩んでも仕方がないと、カツラにそのジムのある場所を尋ねた。

 

「そのジムはどこにあるのですか?」

「……トキワシティに隣接した小さな町、アザリアタウンだ。」

 

リーリエがシンジと視線を合わせると、シンジも彼女に頷き、そのアザリアタウンへと向かおうと次の目的地に定めた。シンジも聞いたことがない相手で情報不足な現状だが、それでも、前に進まなければ始まらない。そう決意を固めたリーリエとシンジは、グレンタウンを後にし、ラプラスの背に乗って中間地点でもあり、故郷でもあるマサラタウンへと向かうのであった。

 

2人の冒険は、まだまだ続く!




というわけで、次のジムはなんと(?)オリジナルジムを書くことになりました!ワー!(8888

トキワのジムリーダーであるあの人は、現在あの人とあの場所に行っているので留守です。恐らくこれから先もシルエット的な感じでしか出てきません。生ける伝説的な?

ジムリーダーの名前と見た目は今考え中。ヌシに絵を描く才能さえあればオリジナルキャラの見た目や、リーリエがポケモンと戯れるイラストを挿絵として投稿できるのに……。ヌシは全く絵が描けないので勘弁です(´・ω・`)

それにしてもヤマブキからハクリューさん大活躍ね。公式戦では現在負けなしという素晴らしい戦績。あれ?もしかしてゲッコウガやリザードンポジってハクリュー?もうわっかんねえや。

アニポケの放送時間が変わっても、この小説は木曜の7時に投稿するのは変わりませんのであしからず。

それではまた次回お会いしましょう!ではではノシ

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