ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
この間の火曜日の台風は酷かったです。ヌシは愛知県在住なのですが、7時間ほど停電してしまいました。そのせいでリアルフレとSkype繋いでモンハンフロンティアをしていたのに突然消えて災難です……。
みなさんは大丈夫でしたか?被害が酷いそうで北海道では地震もあったそうなのでどうか気を付けてください。
では本編です!どぞ!
ばか、はずれです
「見えてきたね。あれがグレンタウンだよ!」
「あれが7個目のジムがあるグレンタウンですか……」
ふたごじまにて伝説のポケモン、フリーザーを目にしたシンジとリーリエ。2人は今、7個目のジムがあるグレンタウンへと上陸しようとしていた。
2人はグレンタウンへと辿り着き、ラプラスの背から降りグレンタウンへと上陸する。ここまで運んでくれたラプラスに感謝し、暫く待っていて欲しいと頭を撫でる。ラプラスもその言葉に承諾し、2人の言葉に笑顔で頷いてくれた。
「ここがグレンタウン。一度火山で崩壊してしまったとは思えないぐらい活気がありますね。」
このグレンタウンは一度火山の噴火に巻き込まれ崩壊してしまった過去がある。だが、そんな悲惨な過去を思わせないほど、今のグレンタウンには活力のようなものが感じられる。
その時、グレンタウンへと上陸した彼らの元に、1人の老人が歩み寄ってきた。しかし、その老人は年老いた印象はまるで感じさせず、背筋を伸ばし紳士的な印象を持つことのできる印象であった。
「なんだおぬし、グレンに来ておったのか!久しぶりだな!」
シンジを見つけ、元気よく挨拶する老人。シンジもそんな老人に対し、同じく元気に挨拶をして返答する。
「カツラさん!お久しぶりです!」
「うむ!おぬしの笑顔は衰えていないようで何よりだ!」
シンジがカツラと呼んだ老人は、ハッハッハと笑う。初対面のリーリエは、シンジにこの老人は誰なのかと尋ねた。
「シンジさんのお知り合いですか?」
「この人はカツラさん。このグレンタウンのジムリーダーだよ。」
まさかグレンタウンに辿り着いて直ぐにジムリーダーに会えるとは思わず驚くリーリエ。カツラに名前を尋ねられ、リーリエは彼に自己紹介をした。
「は、初めまして!シンジさんと一緒に旅をしているリーリエです!グレンジムに挑戦するためにやってきました!」
「そうか、ジムの挑戦者か。いいだろう、その勝負を受けよう!……と言いたいところだが……」
快くジム戦を受けてくれる、かと思いきや、どこか思いつめた表情を浮かべるカツラ。どうやらすぐにはジム戦ができる状況ではないようだ。何か重大なことでもあったのかと、リーリエはその事情をカツラに尋ねることにした。
「何かあったのですか?」
「うむ。実はな……」
その深刻そうな表情と意味深な間に、シンジとリーリエに緊張が走る。しかし、カツラの口から出たのは予想を斜め上を行く答えであった。
「……今からワシが主催するクイズ大会が始まるのだよ。」
「……え?クイズ大会?」
深刻な表情を浮かべながら言った言葉がまさかのクイズ大会である。これにはリーリエも戸惑わずにはいられない。対してシンジは、その答えを聞いたときにカツラの性格を思い出したのだ。
「そう言えばカツラさんって大のクイズ好きでしたね。今まで忘れてましたよ……」
カツラは呆れるように呟くシンジに、自慢げにうむ!と答えた。何故そんなに自慢げに頷けるのかは少々疑問の残るところではあるが。
「そうだ!良かったらおぬしも参加してはもらえないか?」
「え?私ですか?」
「うむ。トレーナーたるもの、バトルの腕だけでなく、知識を蓄えることも重要だ。ワシのクイズが役に立つこともあるやもしれんぞ?」
さっきの回答から一変、カツラは真面目な表情でリーリエにそう告げる。リーリエも確かにそうかもしれないと頷き悩む素振りを見せる。挑戦者に前もって助言をするというのはジムリーダーらしい言動だ。カツラがただクイズ大会を盛り上げたい、という純粋な気持ちがある可能性もないわけではないだろうが……。
「……分かりました!折角のお誘いですのでお受けします!」
リーリエはカツラの誘いを謹んで受けた。カツラの一言も一理ありだが、リーリエ自信が興味があると言うのも理由の一つだ。トレーナー出なかったころも、本を読むことで知識を得ていた自分の知識がどれほどのものか確かめたいと思ったのだ。
「シンジさんはどうしますか?」
「えっと……今回僕はパスするかな……。」
意外だった。彼の事だから今回のクイズ大会にも率先して参加する者かと思っていたが、返ってきた言葉は意外にも否定の言葉であった。
リーリエがシンジに理由は尋ねるも、シンジは渋って答えを言うのを躊躇っていた。何か裏があるのかもしれないが、一先ずあまり深くは追及しないでおこうとリーリエは心の中にしまっておいた。
そしてリーリエとシンジはカツラの後をついていき、クイズ大会の行われる会場へと向かっていった。
「それではこれより!我がグレンタウンが誇るジムリーダー、カツラさん主催のクイズ大会を開催します!」
クイズ大会の会場に辿り着いたシンジはリーリエと別れ、観客席にてカツラと共に見守っている。
クイズ大会の始まりの合図を、サングラスをかけた如何にもな男性の司会者(CV.タケシ)が宣言した。
「あれ?カツラさんが司会するんじゃないんですか?」
「ワシはあくまでクイズを考え、この大会を提案しただけだ。司会はワシの性に合わないからの!」
「そ、そうなんですね……」
開催したのに大会に関わらなかったら主催とは言わないのではないか、と心の中で問いかけるシンジだが、彼に言えば何故か怒られてしまう気がしたので心の中で留めることにした。
「それではルールを説明させていただきます!」
司会者が順番にルールを解説していく。クイズ大会のルールに関しては以下の通りだ。
・トーナメント方式の勝ち抜き制
・1試合3組
・ボタンを最初に押した人に回答する権利が与えられる
・間違えたら次の問題を回答する権利が強制的になくなる
・3回正解した組が勝利
・二回勝ち抜いた組が決勝進出
・最後に残った2組で決勝を争う
以上だ。早い話が早押しクイズ大会ということだ。別段難しそうなルールではないが……。
(カツラさんのことだからなあ……)
シンジが問題視しているのはカツラの性格の事だ。始まればわかることだが、彼の出す問題は少々意地悪な問題が混じっていることもある。だからこそ、シンジはあまり気乗りではなかったのだ。その分リーリエが大丈夫か不安な面もあるが。
「……リーリエなら大丈夫かな?」
「では!早速最初の三組の挑戦者たちに登場していただきましょう!」
司会者の言葉と同時に舞台の奥から三組のグループが登場した。その中にはリーリエの姿もあったがどこか
たどたどしいと言うか緊張している様子が見られる。
「リーリエ、ガチガチに緊張してるみたい……。」
「おぬしが一声かけたらどうだ?少しは緊張が解れるかもしれぬぞ?」
「……いえ、やめておきます。余計な口出しは必要ないでしょうから。」
「ハッハッハ!おぬしも立派になったものだ!」
シンジはリーリエなら大丈夫だろうと信じ、彼女のことを静かに見守ろうと判断する。カツラもそんなシンジの姿を見て、大きく笑いながら彼の成長を心の底から感じ取る。
一方、リーリエはというと……
(け、結構大きな舞台ですね。人も集まっていますし、緊張してしまいます……)
彼女自身ここまで大きな舞台だとは思わなかったため、どうしても緊張してしまう。だが、こんなところで緊張してしまっては、いずれ挑戦するであろうカントー大会に参加する事など夢のまた夢となってしまう。大きな舞台では緊張のあまり実力を出し切れず、一回戦で敗退してしまう話も決して珍しくない。
リーリエは自らを奮い立たせ、クイズ大会でも全力で挑もうと決意をする。
リーリエを含む三組はあらかじめ用意された机の後ろに立つ。机には既に青色のボタンが設置してあり、それを先に押したものが回答権を得る仕組みだ。
因みに今回の挑戦者はリーリエの他に、男性一人の組と女性一人の組だ。男性は黒いスーツを着た知的そうな男性で、女性は少し気弱そうな華奢な少女であった。
「では早速第一問!」
参加者が所定の位置につき準備が出来たと確認した司会者は、早速一問目の問題を出題した。
「ノーマルタイプの技の中でも威力が高い事で有名なはかいこうせんですが、はかいこうせんと対になる技は一体何?」
(はかいこうせんの対…‥はかいこうせんは確か特殊技だったはずです。ですから対となれば……)
物理技のあの技しかない、そう考えたリーリエはボタンへと手を伸ばす。しかし、リーリエがボタンに触れる直前に、隣からピコンと音が鳴りボタンが赤色に光った。そうこうしている内に隣の男性がボタンを押し、回答権を得てしまったようだ。
「答えはギガインパクトですね。」
「正解!」
一問目は男性にとられてしまった。ギガインパクトははかいこうせんと同威力かつ同じノーマルタイプであり、物理技と特殊技という点で対として存在している。
(これは早押し大会……少しでも遅れてしまえば答えが当たっていても意味がないってことですね。)
改めてこの大会のルールを理解したリーリエ。たとえ正解が分かっても、先に答えられてしまっては意味がないのだ。故に、この大会には判断力、決断力、反射速度などの様々な点も必要となってくる。どれもトレーナーにとっては必要な事であろう。
男性の机には1つの明かりが点いた。その明かりが3つになった時、その人が次に進むことができるのだ。
「では第二問です!」
次こそは正解すると、リーリエは身構えて問題に集中する。
「キャタピーは進化するとバタフリーになる?はいかいいえか!」
「……え?」
突然すぎる2択クイズであった。だがリーリエが驚いたのはそこではない。キャタピーは進化すればトランセルに進化するのだが、最終進化形はバタフリーだ。捉えようによってはキャタピーはバタフリーに進化するとも考えられる。ハッキリ言っていやらしい引っ掻け問題だ。
リーリエは本当の答えはどちらなのかと悩む。すると、再び隣の男性がボタンを押し、回答権を獲得する。
「分かり切った答えですね。答えはいいえ!キャタピーは進化するとトランセルになる!」
「……残念!」
「何!?」
――ばか、はずれです
答えはなんとはずれであった。バックモニターに謎の煽り文が浮かび上がり、男性の頭の上から多量の水が降りかかった。
「言い忘れていましたが、もし回答が不正解であれば、なにかしらの災難が待ち受けていますのでご注意を!」
司会者の言葉に会場にいるみんなが「言うのが遅いよ!」と突っ込みそうになる。だが、これで男性は次の回答権をはく奪されたことになる。
しかし司会者から次の問題が出題されず、まだ続いているような雰囲気を出している。リーリエはもしかしてと思い、慌ててボタンを押した。
「え、えっと……答えははいです!キャタピーさんは最終的にバタフリーさんに進化します!」
「……正解です!最終的にバタフリーに進化するため、答えは【はい】です!」
どうやら本当に続いていたようだ。少しの間にリーリエはドキッとするが、正解だと知って一先ず安心する。それにしてもあまりにもな問題である。シンジが参加しなかったのがなんとなく分かったリーリエだった。
(な、なんだかごめんなさい……)
リーリエは心の中で男性に謝罪する。横から正解を奪ったみたいでなんだか罪悪感を感じてしまったのだ。しかしこれも勝負であるため、そういった競争は仕方がない事ではある。
そうして問題は次々と出題されていった。リーリエはそれらの問題を無事突破することができ、2戦とも勝ち上がり決勝まで進むことができた。
問題の中には他にもいやらしい問題や、逆に問いたくなる意味不明な問題があった。
その中でも筆頭なのが、【数多あるポケモンの技の中で最高威力を持つ技は、しねしねこうせんである?】だ。
もちろんそんな技は存在しないため、答えはいいえに決まっている。だが、2戦目にあった男性は躊躇なく【はい】と答えていた。当然不正解なわけで、その男性はどこからともなくやってきた炎に燃やされていた。だが、その男性はどこかご満悦な顔をしており、会場も大爆笑で包まれていた。
(いつからここは漫才会場になったのでしょうか……)
リーリエは心の中で思わずそう突っ込む。この状況であれば彼女がそう突っ込みたくなるのも分かる。
他にも様々な問題があり、【でんこうせっかを漢字で書け!】のような突然難易度が上がった漢字検定にも似た問題であったり、【ポケモンの体重はどちらが重い?】等のマニアックな問題、【カツラの好きなポケモンは?】等の(ふざけた)問題等、様々であった。もちろん間違えた人も多数存在し、その度に電気に撃たれる人、氷漬けになる人、草に覆われる人など、災難な目にあう人が大勢いた。
最後の問題は誰も答えられなかったため、リーリエが賭けで「ほのおタイプのポケモンさん……です」と自信なさげに答えたら、まさかの正解を貰えた。これにはカツラさんもご満悦の様子。リーリエも、前もってグレンジムの情報をシンジから聞いておいてよかったと安堵した。
そのころ、シンジたちはと言うと……
「……こんなことに僕のポケモンたちを使わないで下さいよ。」
「まあいいではないか。偶には協力してくれても罰は当たらんよ。」
「罰が当たるのはカツラさんだと思いますが……。」
どうやら今まで参加者に様々な災難を与えていたのはシンジのポケモン達だったようだ。人間の身でこれらの仕掛けを用意するのは流石に難しい。シンジを見かけた瞬間、カツラが思いついたサプライズなのだそうだ。
(リーリエ……みんな……ごめん……)
シンジは心の中で謎の罪悪感に襲われ、リーリエと自分のポケモンたちに謝罪した。
「ではこれより!カツラさん主催クイズ大会!決勝戦を行います!」
司会者が裏返りながら声を張り上げ、決勝戦の開始を宣言した。これだけ長時間大声を出していれば声が枯れてきても仕方ないだろう。この大会一番の功労者は、もしかしたら司会者の男性かもしれない。
「先ずは一組目!今大会飛び入り参加のリーリエ選手!」
司会者の言葉に続き、リーリエが奥から登場する。決勝まで辿り着き、すっかり緊張は解れたようだ。
「続いてクイズならだれにも負けない!優勝候補のワルター選手だ!」
続いてワルターと呼ばれる男性が姿を現す。その男性は眼鏡をかけ、スラッとした外見にかなりの高身長。ここまで勝ち上がってくる知識から考えると、女性からすれば憧れの的であるだろう。リーリエ的には特に異性としての意識は全くないが、会場の女性陣の多くは彼にメロメロ状態だ。
「お嬢さん?」
「は、はい?なんでしょうか?」
「私が勝てば、私と付き合ってもらえないでしょうか?」
ワルターはそんな事を言いながらどこからともなく薔薇を出した。どうやら彼はリーリエに気があるようだ。リーリエは困惑したが、それでも自分は微塵も興味がないと彼に伝える。
「あ、あの……すいません。私は特にそういうのは……。」
ワルターはリーリエの一言であえなく撃沈する。初めて女性に見向きもされなかったため相当ショックを受けたようだ。
正直リーリエは色恋沙汰には鈍感だ。彼女は自覚していないかもしれないが、周りから見れば高嶺の花であり、一度は近づくことを憧れる容姿をしているだろう。だが、幼いころの彼女は異性と関わったことが兄以外になく、恋についてもよく分からないため仕方がなかった。それを言えばシンジも同じなのだが……。やはり2人は自覚がない分、似た者同士なのだろう。
「ふ、ふふ、この勝負が終われば、君も気持ちが変わるさ。」
「は、はあ……。」
未だに理解していないリーリエはそう答えるしかなかった。
「では第一問です!」
そうこうしている内に、司会者が第一問を出題した。
「フェアリータイプの弱点ははがねタイプと何?」
至って基礎的な問題であった。決勝戦という事もありイタズラ問題は程々という事なのだろうか。リーリエも答えが分かったためボタンに手を掛けようとするが、一歩先にワルターがボタンを押してしまっていた。
「答えはどくタイプだ!」
「正解です!」
先に答えられてしまい、ワルターの机に明かりが一つ点く。これが3個点滅してしまえばワルターの勝利となってしまう。
「ふっ、どうだい?」
「まだ始まったばかりですよ?勝負はこれからです!」
正直リーリエはこういったキザなタイプ、自分に自信過剰なタイプの人間は苦手だ。だが勝負に負けるのは何だか嫌だと、いつもと違い本能に従い勝負に挑むことにした。
「続いて第二問!」
更に二問目を司会者が出題する。すると同時に、バックスクリーンに真っ黒なポケモンのシルエットが浮かび上がった。
「ポケモンには通常の姿とアローラの姿がいます。このシルエットのポケモンはなんのポケモンのどちらの姿か、答えてください!」
シルエットだけが浮かびあがり、ワルターは悩み始める。アローラ地方は他の地方に比べ知名度が少ない。その上、アローラの姿となれば見たことのある人物でなければこの問いに答えるのは難しいだろう。
だが、リーリエはそのポケモンをよく知っている。これならば自信満々に答える自信があった。間違える要素なんかないと、堂々とボタンを押し正解を告げる。
「答えはアローラの姿のロコンさんです!」
「正解です!」
正解と同時にリーリエの机に明かりが点灯する。ワルターもそんな彼女の姿を見て、心から感心していた。それと同時に惚れ直してもいたが、彼女自身そのことには全く気付いていない様子だが。
そんなこんなで問題は続いた。三問目はワルターが、四問目はリーリエが制しお互いに2勝ずつとなり互いの実力は拮抗していた。
だが、そんな彼女の姿を見ていたシンジは……
(な、なんだかいつものリーリエと違う……)
彼女の変わりように若干引き気味の様子だ。いつもの可愛らしくお淑やかでかつ元気いっぱいな彼女とは裏腹に、今は真剣な表情で集中している。いつもの彼女と比べると、少し怖くなるほどだ。
(ま、まあリーリエが楽しければいいかな?)
本当に楽しんでいるのか定かではないが、彼女がよければいいのではないだろうかと特に触れない様にした。
そして互いに二問ずつ正解したところで、遂に最終問題を迎えようとしていた。
「では最後の問題です!」
最後の問題はどのような問題が来るのだろうかと身構える2人。そして司会者の言葉と同時に、再びバックスクリーンにあるポケモンのイラストが映し出される。
「イーブイには8通りの進化が確認されています。その中でもエスパータイプの進化形は……」
この時点で分かったとすぐさまボタンを押しに行くリーリエとワルター。だが、僅かコンマ数秒の差で、ワルターが先に回答する権利を得てしまった。
「ふふ、これで私の勝ちですね。」
リーリエはここで確実に敗北すると悟った。そしてワルターから自分の答えようとしていた回答が口にされる。
「答えはエーフィだ!」
会場全体が静まり返る。だが、カツラだけはニヤリと微笑み、司会者からは意外な答えが返ってきた。
「残念!はずれです!」
「なっ!?」
――ばか、はずれです
まさかのはずれであった。それと同時にバックスクリーンにそう言葉が映し出され、ワルターに災難が訪れた。
だがその災難は今までの比ではなく、氷漬けにされ、炎に焼かれ、水に冷やされ、草に覆われ、電気に撃たれてしまったのだ。普通の人間なら死んでもおかしくないきはするが、彼は黒焦げになっても一命を取り留めていた。いや、それよりも大きなダメージを受けているようには見られなかった。
「問題は最後まできいて下さい。」
そう笑顔で司会者は言い、問題の続きを口にした。
「……エーフィですが、フェアリータイプの進化形と言えばなに?」
リーリエは司会者が言い終わるのと同時に、慌ててボタンを押した。そして回答権を獲得したリーリエは、本当の答えを言ったのだった。
「え、えっと……答えはニンフィアさんです。」
「その通り!大正解です!」
この瞬間、リーリエの優勝が確定した。
クイズではよくある【~ですが】問題だ。自分がもし先に押していれば、ワルターの二の前になっていたかもしれないと、リーリエは身震いした。もしかしたら、シンジのポケモンたちがリーリエを口説いたワルターに対しての報復かもしれないが、リーリエはそのことに気付くことはなかった。
リーリエは、横で伸びているワルターを心配しながら、舞台を降りたのだった。
「お疲れ様、リーリエ。」
「はい!なんとか優勝できました!」
優勝できたことを嬉しく感じ、シンジの元へと駆け寄ったリーリエ。そんな彼女に、シンジは一言謝ることにした。
「ごめんね、リーリエ。」
「え?どうしたんですか?」
「いや、カツラさんの考えるクイズがああいうのだってわかってたんだ。分かってたなら、リーリエを素直に止めた方がよかったかなって罪悪感があって。」
シンジは心から悪いと感じ、リーリエにそう謝罪する。しかし、リーリエは笑顔でこう答えた。
「そんなことだったら全然いいですよ。なんだかんだ言って私、最後まで楽しめましたし!」
「リーリエ……」
リーリエのそんな無邪気な笑顔に、シンジはこれ以上何も言えなかった。リーリエが楽しかったのならいいか、と心の奥にしまい、この罪悪感を忘れることにした。
そんな彼女の姿を確認したカツラが、彼らに歩み寄ってきた。
「そうかそうか!楽しんでくれたのなら何よりだ!」
彼は心底嬉しそうだ。余程クイズが大好きなのだろう。シンジは相変わらず変わったクイズを出すな、と心の中で呆れていた。
「おぬしは知識もあるようだ。ワシはグレンジムで待つ。だがワシのバトルは決して甘くないぞ?心してかかってこい!」
「は、はい!」
先ほどの陽気な老人とは打って変わり、ジムリーダーらしい凛々しい姿へと変貌を遂げた。これがカツラのジムリーダーとしての姿だ。普段は親しみやすい老人であり、ジムリーダーとしては魂を燃やすほどの熱血男としても知られ、ポケモン界の研究者の一人でもある。その変わりように、リーリエも先ほどの緩みが消え、改めてこの人はジムリーダーなのだと実感した。
カツラは振り向き、戦いの舞台となるグレンジムへと向かっていた。
「変わった人だけど、カツラさんの実力は本物だよ。」
「はい、私にも伝わってきます。あの人の情熱が……。」
リーリエは今から始まる激闘に挑むため、グレンジムへと向かう事にした。
熱く燃え盛るほのおタイプを自在に操るカツラに、リーリエはどう対抗するのか。7個目のジムバッジをかけた熱き戦いの火蓋が、切って落とされようとしていた。
なんでこんな回を作ったのか。後悔はしていない。今は反省している。
正直間に合うか不安でした。(いつも通り)慌てて書いたので不備がないか不安です。ソシャゲやモンハンのイベが忙しくて時間が……。
次回はVSグレンジムになります。熱い戦い……を書けたらいいなと淡い期待を胸に書かせていただきます。
そう言えばアニポケの放送時間が10月から変わるそうですね。確か日曜の5時30だったか6時だったか。ちびまる子ちゃんに対抗?でも最近は録画する人が多いと思うので視聴率はたいして変わらない気が……。
最後に質問が返しをします。
先ず一つですが、ポケモンのレベルの概念はあるのか?という事でした。ハッキリ言ってレベルはありません。その点もアニポケ準拠で、ポケモン自身の戦闘センス(個体値的なものだと思っていただければ構いません)なども関係しており、鍛え上げたポケモンに勝つことも稀に良くあります。また、レベルは関係なしで技を習得することもあります。
フシギソウのエナジーボールがいい例ですね。フシギソウ見たく技マシン技も覚えることもあります。サトシのニャヒートも遺伝技のリベンジ覚えてたし……。
次は主人公の年齢についてですが、正直特には決めておりません。強いて言えばリーリエと同じ年齢だという事です。妥当なのは11歳でアローラに行った原作の設定を流用すると、その2年後なので2人はプリキュ……じゃなくて13歳という事になります。つまりグラジオは13より少し上という事になりますね。因みにミヅキとこれから登場予定のハウ、ヨウも同じ年齢です。
最後に主人公の容姿についての質問もありましたが、そう言えば作中で触れてませんでしたね。特筆したイケメンと言うわけではありませんが、取りあえずは優しくて頼りがいのある人物像ではあります。それを元に読者の方々で自由に妄想していただいて構いません。ヨウ君の帽子を被っていること以外は外見は違う……はずです。
これからリメイクする予定のアローラ編ではもしかしたら書き直すかもしれません。いつ書くのか全く分かりませんが……。そもそも失踪しないかどうかが不安よね(他人事
ではでは、また次回お会いしましょう!ノシ