ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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うーん……やっぱり1人称視点難しい。3人称視点の方が書きやすい感があります。とは言え特訓回なので1人称じゃないと感情の表現も厳しいので仕方ないです。これから精進ですね。


特訓、見つけろ!ヤマブキ攻略法!

旅の途中、ブルーと再会したリーリエたちは、彼女と共にヤマブキシティへと旅を続けていた。しかしその時、リーリエが立ち止まり考え事をする。

 

「?リーリエ?どうかした?」

「あ、いえ、その……」

 

リーリエの様子の異変に気付いたのか、シンジが彼女にどうしたのか問いかける。リーリエは心配してくるシンジに戸惑いながらも、答えることを躊躇しているようだ。

 

「あんたって隠し事苦手なタイプね?悩んでるって顔に出てるわよ?」

「そ、そうですか?」

「何か悩みがあるなら相談に乗るよ?」

「……聞いていただけますか?」

 

ブルーの言う通り、リーリエの表情には少々曇りが見える。その様子はどこか不安な感情を抱いているように見えた。

 

シンジは彼女に悩みを打ち明けるように促す。リーリエはそんなシンジの優しさに甘え、自らの悩みを伝えることにした。シンジもリーリエの言葉に頷き、彼女の悩みをしっかりと聞くことにした。

 

「次のヤマブキジム戦……正直不安なんです。シロンたちは確かに強くなったとは思いますけど、それでもあの時、私は手も足も出ませんでした。このままでナツメさんに勝てるのか……。」

 

リーリエは以前の敗北から立ち直ったとはいえ、それでも不安は消えない。それほどまでにあの圧倒的な敗戦は彼女の脳裏に深く刻まれてしまっている。そんなリーリエの姿を見たシンジは、彼女にある提案をした。

 

「……だったら僕とバトルしてみる?」

「シンジさんと?」

「うん。少なくともナツメさんとの戦いに関してのヒントなら与えられると思うよ。」

 

ナツメはポケモンと言葉を交わさなくても自分の思いを伝えることが出来ていた。今のままで戦ってもリーリエの勝ち目はどうしても薄いだろう。シンジと戦うことで、その攻略法を少しでも知ることが出来るならヤマブキジムの攻略にも繋がることになる。リーリエは覚悟を決め、自分の意思をシンジに伝えた。

 

「……お願いします。私とバトルしてください!」

「分かった、相手になるよ。」

「ちょっと、本気なの!?」

 

シンジはリーリエの意思を確認し、バトルを承諾する。しかしブルーは二人の言葉に慌てる様子を見せる。

 

「シンジさんの強さは知ってるでしょ!?自信つけるどころか自信無くしたらどうするの!?」

 

実際に手合わせしたことのあるブルーはシンジの強さを知っている。だからこその忠告だろう。

 

「全力でバトルするわけじゃないから大丈夫だよ。それに、ナツメさんの攻略法は知っておいて損は無いと思うよ。」

「……はあ、もうどうなっても知らないわよ。」

 

それでもシンジはこのバトルには大きな意味があるのだと言う。ブルーも彼の言葉を聞き諦めて引き下がった。

 

「じゃあ早速始めよっか。」

「はい!よろしくお願いします!」

 

こうしてシンジとリーリエは再び特訓を始めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私とシンジさんはお互い距離を離し向かい合います。先ほどブルーさんも言っていましたが、シンジさんの強さは私もよく知っています。でも、それでもシンジさんと戦うことでナツメさんと戦う力をつけられる気がします。以前シンジさんと戦った時も学べることは多くありました。今回もきっと参考になるはずです。

 

「リーリエ今回は1対3のバトルで行くよ?」

「1対3……ですか?」

「うん。僕のポケモンはこの子だよ!」

 

シンジさんの提案に私は疑問を思いました。そこでシンジさんはあるポケモンさんを繰り出しました。

 

『エフィ!』

「エーフィさんですか。」

 

エーフィさんはエスパータイプのポケモンさんです。ナツメさんの使うポケモンさんたちもエスパータイプのポケモンさんです。この上ない練習相手です。ですが、先ほど私が疑問に抱いたことをシンジさんに尋ねてみることにしました。

 

「でもシンジさん。なぜ1対3なのですか?」

「ナツメさんとの戦いはエスパータイプとの戦い方を知っておく必要がある。だからこそ、僕のエーフィとの戦いでそれを掴むことが出来ればナツメさんとの戦いでも充分活かせると思うよ。」

 

私はシンジさんの言葉に納得して頷きました。確かにエスパータイプのポケモンさんは他のタイプにはない特徴を持っています。強敵であるナツメさんに勝つには、エスパータイプの特徴を深く理解することが最も重要かもしれません。

 

「では私の最初の1体目はこの子です!」

『ミリュ!』

 

私が初めに選んだのはミニリュウさんです。ミニリュウさんはゲットしたばかりですが、シンジさんとの戦いで経験を積ませるのと同時に、ミニリュウさんの強さを知っておきたいのです。

 

それにブルーさんとの戦いのとき、ミニリュウさんはバトルのセンスがあるのだと感じました。きっとこれからの戦いでも活躍してくれるはずです。

 

「どこからでもかかってきていいよ。」

「では行きます!」

 

シンジさんの挑発に乗る形で、私は先に攻撃を仕掛けることにしました。とは言えエスパータイプに迂闊に手を出しては返り討ちになる可能性があります。まずは様子見をするべきでしょうか。

 

「ミニリュウさん!れいとうビームです!」

 

初めはれいとうビームの直線的な攻撃でエーフィさんの動きを確認することにしてみました。しかしそこには、私が以前にも味わった驚きの光景がありました。

 

『エフィ!』

 

なんとエーフィさんはシンジさんの指示もなしにサイケこうせんで反撃をしました。そのサイケこうせんはれいとうビームと正面からぶつかり、あっさりと相殺されました。

 

「こ、これは……」

「ナツメさんもやってたことだよ。エスパータイプだからこそできる技と言ってもいいけどね。」

 

でもやっぱり少し難しいね、とシンジさんは一言付け加えました。エスパータイプだからこそ……恐らくエーフィさんがテレパシーでシンジさんの考えを読んでいるのではないかと思います。

 

とは言えこれは並大抵のことではありません。ポケモンさんとの繋がりが深いシンジさんだからこそできる事なのでしょうか。

 

「続けていくよ!」

 

シンジさんは再びエーフィさんに指示を出しました。いえ、正確には指示を出したように見えたと言った方が正しいです。先ほどと同じように、一切言葉にはしていません。どの技がくるか予想ができないのです。

 

「!?躱してください!」

 

エーフィさんの動きを観察していると、エーフィさんはシャドーボールを撃ってきました。ミニリュウさんはジャンプすることにより回避に成功しましたが、それこそがシンジさんの狙いだったようです。

 

『エフィ』

 

エーフィさんは目を怪しく光らせ、自身の持つサイコパワーを集中させます。これはエスパータイプの代名詞、サイコキネシスです。ジャンプして回避したミニリュウは無防備の状態でそれを受けてしまい、そのまま地面に叩きつけられてしまいました。

 

かなりの上空から叩きつけられてしまったため、ダメージはかなりあります。シンジさんの目的は恐らく、シャドーボールで上空へと誘導し、サイコキネシスの威力を高めることにあるのでしょう。やはり相手を利用する事にも長けています。

 

エーフィさんは再びシャドーボールで畳み掛けてきます。ミニリュウさんは多大なダメージを受けてしまい、立ち上がることが出来てもうまく動くことが出来ませんでした。故にシャドーボールを避けることが出来ず、正面から受けてしまう結果となってしまいました。

 

「ミニリュウさん!?」

『ミリュウ……』

「ミニリュウ、戦闘不能ね。」

 

その結果、エーフィさんの技の威力が高いこともあり、ミニリュウさんは目を回して戦闘不能となってしまいました。

 

「戻ってください!お疲れさまでした。」

 

分かってはいたことですが、やはり一筋縄ではいきません。ですが、シンジさんがナツメさんと同じような戦法をとっていただけるのであれば、この先に必ず突破口があるはずです。

 

「次はこの子です!マリルさん!」

『リル!』

 

私が次に選んだのはマリルさんです。マリルさんは気合十分といった様子で身構えました。

 

「マリルさん!バブルこうせん!」

 

バブルこうせんで先制攻撃を仕掛けるマリルさん。しかし、当然エーフィさんが素直に攻撃を受けてくれるはずもなく薄く虹色に輝く壁を張りバブルこうせんを防ぎました。恐らく見たところひかりのかべでしょう。特殊技のダメージを軽減する厄介な技だと記憶しています。

 

そして再びエーフィさんは反撃してきました。エーフィさんの繰り出してきた技はサイケこうせんです。当たったらダメージだけでなく、混乱して攻撃を出すことが困難になってしまう可能性もある危険な技です。

 

「アクアテールで弾いてください!」

 

正面からくるサイケこうせんにアクアテールで対抗します。無事にアクアテールでサイケこうせんを防ぐことは出来ました。ですが、その撃ち終わりを狙われ、エーフィさんが追撃を狙います。

 

サイコキネシスによりマリルさんは宙へと浮かばされてしまいます。そしてそのまま地面を転がる様に放り投げられます。このままではさっきの二の舞です。どうすれば……。

 

私が悩んでいるところに、ふとシンジさんの方へと視線を移しました。すると、シンジさんはエーフィさんの方を見ながら何やら頷いているように見えました。私の見間違いかもしれませんが、それでももしかしたらという期待感があります。今一度確認してみましょう。

 

「マリルさん!まだいけますか?」

『リルル!』

 

マリルさんは立ち上がってまだまだ行けると意思表示をしてくれました。

 

「マリルさん!もう一度バブルこうせんです!」

 

この攻撃で確認しなければなりません。必ず何か突破口があるはずです。エーフィさんの動きだけでなく、シンジさんの動きにも……。

 

私がシンジさんの動きを観察していると、シンジさんは顔を軽く下に傾ける動作をしていました。その姿をみて私は確信しました。

 

ですがエーフィさんはそれと同時にシャドーボールを放ち、バブルこうせんを打ち破ってマリルさんの直撃してしまいました。マリルさんも今の攻撃で力尽き、戦闘不能となってしまいます。

 

「マリルさん!大丈夫ですか!?」

 

私はマリルさんに駆け寄り、マリルさんを抱きかかえモンスターボールに戻しました。流石に威力もスピードも桁違いです。これで本気でないというのですから、本気になった時のことを考えるとゾッとします。

 

ですがこれで希望は見えました。後はタイミングと集中です。

 

「私の最後の一体……お願いします!シロン!」

『コォン!』

 

私は最後のポケモン、シロンに思いを託しました。シンジさんのエーフィさんにことごとくやられてしまっていますが、せめて一矢報えるように最後まで頑張ります!

 

「あのリーリエの目、何か見つけたのかな?気を引き締めていこう!」

『エーフィー!』

 

エーフィさんとシンジさんも気合を入れ直しています。そして今度先に動き出したのはエーフィさんでした。勿論、私はシンジさんの行動を見逃すことはありませんでした。

 

「シロン!こなゆきです!」

 

エーフィさんのサイケこうせんに合わせてこなゆきを放ち、フィールド中央にて相殺することに成功しました。どの攻撃がくるのか分からなくとも、いつ攻撃がくるのか分かれば対処のしようはあります。

 

シンジさんは再び頷いてエーフィさんに合図を出します。その直後、エーフィさんの目が薄っすらと光るのが確認できました。サイコキネシスがくる合図です。

 

「シロン!走って撹乱してください!」

 

シロンは自慢の素早さでフィールドを駆け抜け、エーフィさんに捉えられないように走り回ります。エーフィさんも戸惑っている様子でサイコキネシスを上手く決めることが出来ません。

 

(なるほど、そう来たか。)

「こおりのつぶてです!」

 

戸惑っているエーフィさんに至近距離からのこおりのつぶてが命中します。エーフィさんは後退し、首を横に振ってダメージを抜き取ります。ですが確実にダメージは与えたはずです。それに今回ダメージを一回でも与えたと言う事に大きく意味があります。

 

「もう一度走ってください!」

 

サイコキネシスを警戒し、再び走り出して撹乱します。ですが今度はエーフィさんが動くことなくシロンの動きをじっくりと観察しています。どう見ても怪しいですが、今の私には攻撃を仕掛ける以外に方法がありません。

 

「今です!オーロラビーム!」

 

今度はオーロラビームで攻め立てます。しかしその攻撃は虚しくも地面に当たっただけでエーフィさんはその場にはいませんでした。

 

「!?まさか!」

 

私は上空を確認しました。するとそこにはエーフィさんが浮いている姿を確認できました。その光景は不思議な光景でしたが、ヤマブキジムでも似たような光景を目にした記憶があります。

 

そうです。あの時に味わったのはテレポートと呼ばれる最も警戒すべき技です。エーフィさんはテレポートを覚えませんが、あの姿を見る限り自らにサイコキネシスを掛けて宙へと浮いているのでしょう。シロンの攻撃を引きつけ、それもかなりのスピードで上昇したため、その場から消えたように見えたのだと思います。

 

「サイケこうせん!」

 

そして遂にシンジさんが言葉を発して指示を出し、サイケこうせんでシロンを攻撃しました。そのサイケこうせんは美しく、思わず見とれてしまうほどでした。シロンも今の一撃で目を回し、戦闘不能となりました。

 

「シロン、お疲れさまでした。ゆっくり休んでください。」

 

私はシロンをモンスターボールへと戻し、労いの言葉を掛けます。シンジさんはそんな私の元へと近寄り、言葉をかけてきました。

 

「最後の方は何か掴めたみたいだったね。」

「はい!ありがとうございました!」

「ポケモンとトレーナーは一心同体。たとえ言葉は交わさなくても、互いに伝わることはあるよ。」

 

ポケモンさんとトレーナーは一心同体。確かにシンジさんはいつもポケモンさんと心を通わせ、今まで勝ち抜いてきました。ポケモンさんの特徴を活かす事だけでなく、精神的な面でも重要なことが多いのですね。

 

今回も色々と学べた気がします。ポケモンさんだけでなく、お相手も注意深く観察することで突破口が見える。これも大事なことの一つですね。

 

「やっぱり一方的にやられちゃったわね。で、どうだったの?」

「はい!エスパータイプとの戦い方、ポケモンさんとの一体感、ポケモンバトルは奥が深いと言う事をまた思い知らされました。」

「ふーん、それなら大丈夫そうね。少し安心したわ。」

 

ブルーさんはどこか満足そうに頷きました。戦う前に言っていた結果にならなくて一安心したのでしょうか。

 

「ところで、テレポート対策は大丈夫?多分一番の要になるポイントだよ?」

 

シンジさんがテレポートに関しての対策は大丈夫かと尋ねてきました。最もな疑問ですが、私は自信満々にこう答えました。

 

「大丈夫です。今回の戦いでテレポートへの対策も思いつきましたので。」

「……そっか、じゃあ僕も本番を楽しみにしてるよ。」

 

今回の戦いで何度もシンジさんやポケモンさんたちを観察していました。そこからテレポートに関してのヒントも得ることが出来ました。実際に本番で通用するかはわかりませんが、心の中では行けるのだと確信しています。私は自分のポケモンさんたちを信じていますから。

 

ヤマブキシティまでもうすぐです。今度は前のようにはいきません!がんばリーリエです!私!




みなさんは劇場版見ましたか?ヌシは当然見に行きましたが面白かったです。
劇中にはイーブイの他にブースター、シャワーズ、サンダース、ブラッキー、エーフィは確認できました。恐らくジョウトの話だと思われるので他のブイズは出ていないのではないかと思われます。え?他のポケモン?野沢さんのパートナーのブルーくらいしか記憶にないです。

正直今回の話はもうちょっと上手く書けたかな?と思っているので個人的には満足には足りてません。勿論ヤマブキジム戦はもっと頑張ります。

そう言えば後1ヵ月でこの小説も1周年ですね。まさかここまで続けられるとは自分でも驚きです……。

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