ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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新しく感想をいただき、更には意見までいただきありがとうございます!

さて、今回頂いたご要望ですが、リーリエにシンジがバトルの手ほどきをする内容を書いて欲しいとのことでした。また、シンジにバトルのいろはを教えた人物がいるのかも気になるとのことでした。それも含めてその時に纏めて書きたいと思います。

ですのでその話は次回書きたいと思います。それまで待っていただけたら幸いです。楽しめるよう真心こめて作らせていただきます。

と言うわけで今回の話はポケセンです。サブタイでネタバレ?
川´_ゝ`)なに、気にすることはない


ポケセンパニック!?イタズラチラーミィ!

次なる目的地へと向け旅を続けるシンジとリーリエ。今は道中のポケモンセンターへと立ち寄りひと時の休息をしようとしていた。

 

「ポケモンたちをよろしくお願いします。」

「はい、確かにお預かりしました。」

 

シンジたちはポケモンセンターのジョーイに自分たちのポケモンを預ける。ジョーイはポケモンたちの入ったモンスターボールを助手のラッキーに渡し、奥の部屋へと入っていった。奥の部屋にはメディカル装置が揃っているため、ポケモンの回復もすぐ終わるだろう。

 

シンジとリーリエはポケモンの回復を待っている間、椅子に腰を下ろしてゆっくりと待つことにした。

 

「ポケモンセンターには色んなポケモンさんが一杯いますね。」

「うん。カントー地方ではジム巡りはメジャーな文化だし、この中の人たちも大勢挑戦しているだろうね。」

 

中には屈強なトレーナーやポケモンたちもいる。その姿を見たリーリエは、自分もいつかあんな強そうな人たちと戦うのかと想像すると、どうしても緊張してしまう。しかし、そのような人たちも決して怖い雰囲気を放っているだけでなく、自分のポケモンたちと笑顔で接したりしており、自分のポケモンを大事にしているのだという事が伝わってくる。

 

リーリエが大勢のポケモンやトレーナーたちを観察していると、突然ポケモンセンターに異変が起きた。

 

「なっ!?停電!?」

 

ポケモンセンターの明かりが突然消えてしまったのだ。シンジの言った通り、これは停電だ。この場にいるみんなも、多くのものが慌てて冷静さを欠いているようだ。突然のトラブルに対処するため、ジョーイが奥から急いでラッキーと共に出てくる。

 

「皆さん!落ち着いて下さい!現在原因を探っているところです!解明するまで少しお待ちください!」

 

どうやらジョーイにも原因はまだ掴めていないようだ。シンジたちはこのままでは一大事となりみんなが混乱し、ポケモンたちの回復も行えずにみんなが困ってしまうと考え、ジョーイの元へと駆け寄った。

 

「ジョーイさん!僕たちにも何か手伝えることはありませんか?」

「あなたたち……でも……」

「私たち、ジョーイさんに日頃のお礼をしたいんです!だからお願いします!」

 

ジョーイは一般の人を巻き込むのは申し訳ないと感じ一度断るが、それでも尚リーリエは喰らいつくように懇願した。彼女たちの眼は暗闇の中でも分かるぐらい輝いており、信頼できる人物だと感じるのと同時に、心の底から力になりたいのだと言う覚悟を感じることが出来た。

 

「……分かったわ。じゃあお願いしてもいいかしら。」

『!?はい!任せてください!』

 

ジョーイは彼らの覚悟を買い、遠慮なく手伝ってもらおうと判断する。シンジとリーリエも、そんなジョーイに感謝しながら協力できることを嬉しく思う。

 

「今は停電して回復装置が使えない状況なの。だからここで傷付いたポケモンたちに木の実を配ってほしいの。」

「分かりました!」

「それと停電した原因が分からないから、一度配電室を見てきて欲しいのだけれどいいかしら?」

「じゃあそっちは僕が見てきます!リーリエ、こっちをお願いできるかな?」

「はい!任せてください!」

 

シンジがそう言うと、ジョーイに案内され配電室へと向かう。一方リーリエはジョーイに用意された木の実をラッキーと共にトレーナーたちに配ることにした。

 

「皆さん!今からポケモンさんたちに木の実をお配りします!ですので順番に私のところまで来ていただけますか?」

 

リーリエがこの場にいるトレーナーに声を掛ける。先ほどのジョーイの声掛けで冷静さを取り戻したトレーナーたちは、リーリエの言ったとおりに木の実を受け取るために彼女の元までやってきた。

 

「この子にはオレンの実ですね。はい!この子にはモモンの実です!」

 

リーリエは今まで本を読み培ってきた知識をフル活用し、どのポケモンにどの木の実が最も適切かを判別しトレーナーたちに手渡す。リーリエが明るく接してくれるため、みんなも安心して彼女と話すことが出来るようだ。

 

こちらはリーリエに任せておけば問題なさそうだ。一方、シンジは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが配電盤ですね?」

「ええ、特に調子が悪かったなんて様子は感じなかったけど」

 

シンジはジョーイに案内され、配電室へと辿り着く。停電が起きたという事はブレーカーが落ちたか、配電盤に異常があったという事。しかしブレーカー問題がある様子は見られなかった。ならば一番怪しいのは配電盤だ。シンジは配電盤を開け、中の様子を確認する。すると……

 

「!?配電盤のコードが千切れてる。」

「なんですって!?」

 

シンジが確認すると、中で繋がっているはずのコードが千切れていたのだ。しかしそのコードには少しおかしな部分が見つかった。

 

「これは……ポケモンの噛み付いた痕?」

 

よく見るとそれはポケモンの噛み付いた痕と思われるものだった。不自然な千切れかたからして、そう考えるのが妥当だろう。とは言え、預かったポケモンたちはジョーイが厳重に保管している。つまり、ここには野生のポケモンが住み着いている可能性があるという事だ。

 

「ポケモンの?そう言えば心当たりがあるわ!」

「心当たりですか?」

「ええ、最近この辺りでイタズラ好きのポケモンが悪さをしてるって噂を聞いたことがあるの。もしかしたらその子の仕業かも。」

「そうですか。幸いにも千切れてるコードは一本だけなので配線を入れ替えればこちらは何とかなりますが、そのポケモンをなんとかしないことには根本的な解決にはなりませんね。このことをリーリエに伝えてもらってもいいですか?」

「分かったわ。」

 

シンジのその言葉にジョーイは頷き配電室を出ていく。その姿を見たシンジは、急いで配電盤の修理に取り掛かった。そんな彼を一匹のポケモンがニヤリと笑みを浮かべながら眺めている姿があったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?ポケモンさんのイタズラですか?」

 

トレーナーたちの騒動を一段落させたリーリエは、ジョーイから今回の一件の原因を聞いた。

 

「そうなの。あっちは彼が修理できるらしいけれど、そのポケモンを何とかしなければ意味がないわ。ここの仕事は私が引き継ぐから、あなたはそのポケモンの対処をお願いできないかしら。」

「分かりました!ポケモンさんの事は任せてください!」

 

ポケモンセンターの事はジョーイに任せ、リーリエは今回の原因を作ったポケモンを探すことにした。こちらの事はプロであるジョーイに任せた方が適任だろう。

 

恐らくそのポケモンはまだポケモンセンターの中にいる可能性が高い。イタズラ好きという事はイタズラすることで起こる騒動を見るのが好きという事なのだろう。という事は今もこの近くで自分たちを見て楽しんでいるのではないだろうか、とリーリエは推測した。そのため先ずはシンジのいる配電室へと向かい順番に探していこうと考えた。しかし……

 

「……迷ってしまいました。」

 

慣れていないポケモンセンターの中で迷ってしまったのだ。方向音痴である彼女は、今シンジやジョーイはおろか、自身のポケモンを一体も所持していない状況だ。どうしようかと悩むリーリエだがその時、近くを何者かの影が走り去っていった。

 

「だ、誰ですか?」

 

誰が通っていったのか分からなかったが、その影が走っていったと思われる方へと自分もついて行く。もしかしたら探しているイタズラ好きのポケモンかも知れないと感じたからだ。その影を追いかけていくと、その先は行き止まりで一匹のポケモンが逃げ場がないと言うように困惑した状態で立ち止まっていた。

 

「あら?あなたは……」

 

そのポケモンの姿を見たリーリエは、図鑑を取り出しポケモンの詳細を確認することにした。そのポケモンとは……

 

『チラーミィ、チンチラポケモン。キレイ好きな性格で、尻尾のお手入れは欠かさないポケモン。お互いの体を尻尾で綺麗にするのがチラーミィ同士の挨拶。』

 

図鑑説明を確認し終えたリーリエは、再びチラーミィの姿を見つめる。しかしチラーミィは警戒している様子を見せている。その様子から察するに、このチラーミィが今回の原因なのだろう。だがリーリエはチラーミィにゆっくりと近付き、手をあげて敵対心がないことを証明する。

 

「怯えなくても大丈夫ですよ。私はあなたに手を出したりはしませんから。」

『チラ……』

 

それでも警戒を崩すことのないチラーミィ。今回のイタズラがバレ、何をされるか分からないと怯えているのだろうか。それとも以前別のトレーナーに酷い目にでもあわされたのだろうか。どちらにせよ、今は何とかして和解することが大事だろうと感じ、リーリエは再びゆっくりと歩み寄る。

 

しかし、チラーミィとの距離が縮まっていくと同時に、リーリエはある違和感に気付いた。

 

「!?チラーミィさん、その汚れ……」

『チラ!?』

 

暗闇で分かりにくかったが、チラーミィの尻尾が汚れているのが分かる。先ほどの図鑑説明を聞いていなければ気付けなかったかもしれない。チラーミィもリーリエに指摘に反応し、尻尾を隠すように後ろに回した。キレイ好きなチラーミィにとって大事な尻尾が汚れているのを見られるのが恥ずかしいのかもしれない。

 

恐らくチラーミィはイタズラの最中に尻尾を汚してしまったのだろう。しかし今は停電中。ここに水もなければ水道も動くことはない。その上この場には仲間のチラーミィがいるわけでもない。そんな状況では自分の尻尾を洗うことは難しいはずだ。

 

リーリエはリュックサックからある物を取り出した。それはポケモン用のブラシだ。キレイ好きのチラーミィの尻尾を綺麗にしてあげようと言う考えなのだろう。野生であるチラーミィは何をされるのか理解できずに警戒を緩めることはなかった。

 

「大丈夫です。今すぐ綺麗にしてあげますから。」

『チラ?』

 

リーリエの言葉が理解できたのか、チラーミィは先ほどまでの警戒を少しだけではあるが緩めた。それでもこれは大きな進歩であり、リーリエはチラーミィが怯えない様に静かに歩み寄り優しく触れる。触れたことでリーリエの気持ちが伝わったのか、警戒を解きリーリエに身を委ねた。

 

「じっとしていてくださいね。今綺麗にしますから。」

『チラーミ……』

 

リーリエは優しくゆっくりとチラーミィの尻尾をブラシで撫でていく。自分たちのポケモンにもよくやっているためか、その手つきはかなり慣れたものである。チラーミィも安心してリーリエに任せることが出来ているようだ。リーリエも綺麗好きな面があるためチラーミィとは似た者同士なのだろう。

 

「はい!出来ました!綺麗になりましたよ。」

 

リーリエの言葉にチラーミィは自分の尻尾を確認する。すると自身の尻尾はピカピカに輝いており、チラーミィ自身も満足したように目を輝かせている。

 

「良かった、あなたが満足できたようで。」

『!?』

 

リーリエは優しくチラーミィに微笑む。しかしチラーミィは恥ずかしかったのか、顔を赤くして顔を背けるようにプイッと別の方を見る。するとリーリエの膝から飛び降り、そのまま走り去っていった。

 

「あっ!待ってください!?」

 

リーリエがチラーミィを制止しようとするも、チラーミィは暗闇の中へと姿を消してしまった。現在は暗闇で上手く前が見えず、足元も確認できない状況だ。そんな状況下で追いかけるのは危険だと感じ、リーリエは追いかけるのを断念した。

 

「……ゲット……したかったですね。」

 

チラーミィの愛らしい姿に見惚れたリーリエは、そんな願望を口にする。可愛いポケモンが特に大好きなリーリエは、チラーミィの事を心から気に入ったようだ。残念だと感じながら、それでもこれからはイタズラにも限度があると理解してくれたことを祈りながら戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「原因はチラーミィ?」

「はい、でも大丈夫です!もうイタズラはしないと思いますから!」

 

リーリエは無事に元のフロアへと戻ってくることが出来た。シンジの方も無事に修理が終わったようで、今は2人そろってこのフロアへと集合した。みんなも現在は落ち着いた様子で話をしている姿がみられる。

 

「そっか。リーリエがそう言うならそうなんだろうね。お疲れ様!」

「シンジさんもお疲れ様です!」

 

2人が先ほどの騒動の件に対し労いの言葉をかけあう。そんな2人に、ジョーイとラッキーがモンスターボールの担架に乗せてやってきた。

 

「あなたたちのポケモンはすっかり元気になりましたよ!」

『ありがとうございます、ジョーイさん!』

「2人とも、さっきはありがとう。お陰で大きな騒動にならずに済んで助かったわ。」

『ラッキー!』

「いえ、いつもジョーイさんにはお世話になってますから。」

「はい!また何かあれば言ってください!」

 

ジョーイは手伝ってくれた2人に礼を言う。シンジとリーリエも気にする必要はないとジョーイに一声かける。

 

「では僕たちはこれで失礼します。」

「ええ!よければまた立ち寄ってね?」

「はい!お世話になりました!」

 

ジョーイは笑顔でお見送りをする。リーリエも頭を下げてジョーイにお礼を言う。そして彼らが振り向くと、何者かが走ってリーリエに近づいてきたのだった。

 

「わっとっと、ってチラーミィさん!?」

 

その何者かと言うのは先ほどのチラーミィだった。リーリエの足元を少しぐるぐると周り、リーリエは態勢を崩しかけるがなんとか持ち直しチラーミィの姿を確認する。チラーミィはクスクスと笑い、リーリエの様子を眺めている。どうやらまだ悪戯好きの癖は治っていないようだ。

 

「ど、どうしたんですか?突然?」

『チラッ!チラチラミ!』

 

リーリエに何かを求めているように訴えかけるチラーミィ。リーリエはそのチラーミィの様子に、もしかしたらと期待しながら尋ねた。

 

「もしかして、私と一緒に行きたいのですか?」

『……チラミ!』

 

どうやらリーリエの推測は当たっていたようだ。チラーミィは照れた様子を顔を背けるが、小さく顔を縦に振り頷く。素直になれないチラーミィのそんな姿にクスリと小さく口元を緩めるが、内心では凄く嬉しい感情で一杯だった。

 

リーリエはモンスターボールを取り出し、チラーミィに近づける。チラーミィは顔を背け、モンスターボールをチラリと見ながら手を当てる。するとモンスターボールが開き、その中にチラーミィが吸い込まれるように入っていった。モンスターボールが数回揺れ、ピコンと言う音と共にチラーミィがゲットされた。

 

「!?チラーミィさん!ゲットです!」

 

喜びのあまりリーリエはチラーミィの入ったモンスターボールを掲げる。その姿を見たシンジは、拍手しながらリーリエを祝福した。

 

「新しいポケモンゲットおめでとう!」

「ありがとうございます!」

 

シンジの祝福を受け取り、リーリエは目をキラキラと輝かせながらチラーミィの入ったモンスターボールを見つめる。それだけチラーミィのゲットが嬉しかったのだろう。ジョーイもリーリエにゲットに祝福してくれている様子だ。

 

こうしてリーリエは新しい仲間、照れ屋で素直になれないイタズラ好きだけど、とてもキレイ好きなポケモン、チラーミィをゲットしたのだった。新しい仲間を手に入れ喜ぶリーリエ。そんなリーリエにはこれから先、どのような出会いが待っているのだろうか?2人の旅はまだまだ続く!




カントー中心のパーティになると言ったな?あれは嘘だ。

と言うわけでチラーミィちゃんゲット回でした!チラーミィ可愛いですよね!進化してもチラチーノになって可愛くて普通に強い子です!あれ?なんだかリーリエのパーティがガチになっていっている気が……気の所為よね?

そう言えばこの度頂いた感想では、リーフィアが好きだと書いていただきました。ブイズが好きな方がいるのは大変嬉しい事です。最近ではブイズ漫画見てほのぼのしたりしてます。

ポケモンセンターオンラインにてリーリエのフィギュア2種が受注生産予約受付中!←唐突な宣伝

次回は前書きでも書いた回にする予定です!その時をお楽しみに!またご意見や感想をお待ちしております!ではではノシ

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