ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
なにはともあれ結構長い話になったので楽しめるのであれば幸いです。流石にジム戦で2話使うわけにも行かないのでね(^^;
前日はサント・アンヌ号にてダンスパーティを満喫したシンジとリーリエ。そして今日は、クチバジムでの激しいバトルが待ち受けていた。
「待っていたヨ。ユーとユーのポケモンたちをネ!」
クチバジムのバトルフィールドにてリーリエとクチバのジムリーダー、マチスが向かい合う。マチスの自然と放つプレッシャーに圧し潰されそうになるリーリエだが、負けるわけには行かないと意思を強く持ち耐える。シンジもルリリを抱えてエリカと共にリーリエの様子を見守っている。
「シンジさん。リーリエさんの事どう思います?」
「リーリエなら大丈夫ですよ。リーリエもここまでで色んな経験を積んでいます。それを忘れなければ、決して負けることはないでしょう」
その言葉を聞いたエリカは、余程彼女の事を信頼しているのだと心から感じることが出来た。しかしその反面、彼女がなんだか羨ましいと感じてしまう自分もいた。こんな感情を抱くのは、エリカ自身初めての事だった。何故そう思ってしまうのかは自分自身でも理解できていないが。
「さあ、全力でかかってきてクダサーイ!」
「はい!絶対に負けません!」
二人の気合の入った一声を聞いた審判が定位置につき、いつもと同じようにジム戦のルールを説明する。
「ではこれより、ジムリーダーマチス対チャレンジャーリーリエによるジムバトルを開始します!使用ポケモンは……。」
「おっと、その必要はないヨ。」
審判が説明をしていると、その言葉をマチスが止めた。そしてマチスは、呆気にとられたような審判の代わりに簡単にルールを説明する。
「使用ポケモンはお互い2体、互いに戦闘不能になったらバトル終了ネ。それだけ説明すれば充分。ミーは早くバトルしたくてうずうずしてるからネ。早く始めまショウ!」
どうやらマチスはリーリエの戦いを見てから、彼女との戦える時を今か今かと待っていたようだ。リーリエも内心マチスと戦いたいと言う感情が少なからず感じていた。やはり自分もトレーナーとしての感情が芽生えてきたのだと実感した。
「ジムリーダーがそう言うのであれば。」
審判はどこか悲しげな声で渋々と言った様子で呟く。彼も数少ない出番をとられて少々不満があるのかもしれない。とは言え、ジム毎に別の審判が担当しているので彼の出番はここのジムだけなのだが……。
「ミーの一番手はこのポケモンデス!」
マチスが繰り出した一体目のポケモンは、レアコイルだった。レアコイルははがねタイプとでんきタイプを併せ持つポケモン。その機械的なレアコイルの声は人間にとっては少々聞き取りにくいものだった。
「マチスさんのポケモンはレアコイルさんですか。」
リーリエはポケモン図鑑をだし、レアコイルの詳細を確認する。レアコイル、及びその進化前のコイルは生息地が限られているためカントー地方でも中々見ることのできない貴重なポケモンだ。それに、相手のポケモンの特徴を詳しく知っておけば、僅かでも勝利につながる可能性は出てくる。
『レアコイル、じしゃくポケモン。コイルの進化形。三匹のコイルが連結して出来たポケモン。進化前に比べ、レアコイルの電撃はより強力になっている。』
「レアコイルははがね・でんきタイプのはずです。恐らくマチスさんはでんきタイプの使い手でしょう。」
ジムリーダーは大体一つのタイプのポケモンに精通したエキスパートが大半である。そのため、マチスも同じく一つのタイプを使ってくるのは間違いないはず。それとカントー地方でははがねタイプのポケモンジムが存在すると言う情報は現状リーリエも聞いたことはない。その点も考慮し、リーリエはマチスがでんきタイプの使い手だろうと推測する。
リーリエの呟きが聞こえたのか、マチスはニヤリと小さく口角を上げる。サングラスをしているため表情は読めないが、彼がでんきタイプと言う存在に思い入れがあるという事が伺える。
「ならばここは、フシギソウさん!お願いします!」
『ソウソウ!』
リーリエが最初に選んだポケモンはフシギソウだった。はがねタイプを持つレアコイルにくさ・どくタイプのフシギソウは相性的に考えても不利だが、それ以上にこおりタイプのシロンは余計に相性が悪い。故に後続の事を考え、先発としてフシギソウを繰り出すのが最も妥当ではないかとリーリエは考えた。
「あの時のフシギソウですネ?これは楽しみになってきたヨ!」
「それでは試合開始!」
二人がポケモンを繰り出したことを確認した審判は、試合開始の合図を出す。初めに動いたのは予想外にもマチスだった。
「こちらから行かせてもらうヨ!レアコイル!ソニックブーム!」
レアコイルは自分の周囲に付いている6つの磁石から衝撃波、ソニックブームをフシギソウに放つ。鋭く素早いスピードで対象を的確にとらえるが、フシギソウとリーリエはその攻撃を冷静に対応する。
「はっぱカッターで迎え撃ってください。」
フシギソウの放ったはっぱカッターがソニックブームと正面からぶつかり合い、その衝撃は中央で爆発し大きな煙となった。まえが見えない状態で互いに手が出せない……と思いきや、その中でもレアコイルは問題なく動いた。
「レアコイル!続いてマグネットボム!」
指をパチンと鳴らしながらマチスはレアコイルにマグネットボムの指示を出した。レアコイルの放った鋼鉄の爆弾は、まるでフシギソウに吸い付くように接近し、フシギソウを襲った。煙で前が見えず何が起こったのか分からなかったリーリエは、慌てた様子でフシギソウに声を掛けた。
「フシギソウさん!?大丈夫ですか?」
『ソウ!』
フシギソウは飛ばされながらも立ち上がり、リーリエに一声返答した。その様子から見るに、ダメージとしては大きなものではなかったのだろう。だが、確実にダメージを貰ったのは事実である。
「どうですカ?ミーの自慢のポケモンの技は?」
マチスのその言葉にリーリエは、流石自慢のポケモンと言うだけはあると感心する。今正面に立っているのはジムリーダーとその自慢のポケモンたち。その相手に一切の油断は禁物だと改めて気を引き締める。
「マグネットボム。あれは威力こそ高くはないけど、非常に命中率の高い厄介な技ですね。」
「ええ。それをどう対処していくか。それが今回の戦いの鍵になりそうですね。」
シンジとエリカはそう考え、再びリーリエの動向を見守る。リーリエもマグネットボムの対処法を必死に考えながら、バトルを継続する。
「さあ、どこからでも遠慮なくドウゾ!」
今度はマチスが受けの態勢をとるようだ。ジムリーダーの余裕だろうか。それともリーリエの実力を見たいがためなのか。彼の性格からして恐らく後者だが、リーリエはその誘いに乗る様にフシギソウに指示を出す。
「なら遠慮なく行きます!とっしんです!」
フシギソウは勢いよくレアコイルに突進していく。その力強い突進に感心しながら、マチスはレアコイルに迎え撃つよう指示を出す。
「ソニックブーム!」
レアコイルの放つソニックブームの雨がフシギソウに襲い掛かる。フシギソウはソニックブームの嵐を避け続けながらレアコイルに接近する。しかしレアコイルの攻撃はフシギソウを的確に狙っているようには不思議と感じられない。
フシギソウはソニックブームを躱し続け、レアコイルの目の前まで接近してきた。しかし……
「今デス!マグネットボム!」
目の前まで接近したフシギソウをマグネットボムで迎撃したレアコイル。マチスはソニックブームにより気を引かせ、本命であるマグネットボムが確実に当たるように誘導したのだ。これもマチスが考案した作戦。彼自身は元軍人であるため、そう言った相手を罠に誘う戦術には長けているのだろう。
「フシギソウさん!?」
先ほどよりもダメージが大きいのか、フシギソウは足元が少しふらついている。だがその状況でも、マチスの手が緩むことはなかった。
「最後はミーの大好きな技でフィニッシュと行きマス!10まんボルト!」
レアコイルの放った強力な10まんボルトにフシギソウは成すすべもなく直撃。10まんボルトにより舞い上がった煙が晴れたところでは、フシギソウが崩れるように倒れ、戦闘不能になっていた。
「フシギソウさん!?」
「フシギソウ、戦闘不能!レアコイルの勝ち!」
無情にも、審判のコールがジム内に響く。リーリエは戦闘不能になったフシギソウに近づき、彼の目の前で屈んだ。
『ソウ……』
「大丈夫ですよ。ありがとうございました。後は任せて、ゆっくり休んでください。」
フシギソウは申し訳なさそうに謝るが、リーリエは咎めることなくフシギソウをモンスターボールへと戻す。彼女の言葉は情けなどではなく、心の底から本心で感謝しているのだろう。それだけ彼女は自分のポケモンが大好きなのだ。フシギソウもそんなトレーナーの思いに答えることが出来ずに悔しい思いをしているのだろう。
「いいポケモンデシタ。だがミーのポケモンには一歩及ばなかったようですネ。次はどんなポケモンを見せてくれるのデスカ?」
マチスの言葉に、リーリエは自分が崖っぷちに追いやられるほどピンチなのだと実感する。マチスはレアコイル一体しか見せていない。その上傷を負わすことが出来なかった。対してリーリエは残りはシロンのみ。意を決してようにモンスターボールを握り覚悟を決める。リーリエの緊張が届いたのか、その時シロンの入ったボールが少し揺れる。彼女の緊張を解こうと言う気持ちの表れだろう。
「リーリエの残りはシロンのみ。この状況からどう巻き返すか。」
「押し返すか、それともこのまま押されるか。ここからが彼女の覚悟が試されるとき、ですね。」
『ルリ!』
シンジとエリカに見守られながら、ルリリの声援を受けながら、シロンの励ましを貰いながら、彼女は最後のポケモンにすべてを託した。
「この思い、あなたに託します!シロン!」
『コォン!』
リーリエの投げたボールからシロンが勢いよく飛び出した。その姿を見たマチスが、大いに感銘を受けている様子だった。
「オー、これがユーのパートナーデスカ。白いロコンとは珍しい。ユーの最後の輝き、ミーに見せてクダサイ!マグネットボム!」
マチスは早速マグネットボムで先制攻撃を仕掛ける。はがねタイプのマグネットボムは、こおりタイプのシロンには効果抜群だ。安易に喰らっては致命傷となってしまうだろう。しかし、先ほどの攻防でリーリエは何かを掴んだのか、慌てる様子は見せなかった。
「シロン!こなゆき!」
シロンのこなゆきによりマグネットボムは次々と凍りつき、床のポロポロと零れるようにして落ちていく。そう何度も上手くは決まらないかと、マチスは割り切るように攻めることをやめない。
「ソニックブーム!」
再び嵐のようにソニックブームを降り注ぐレアコイル。しかし、今度は牽制などではなく、的確にシロンを捕らえるように攻撃している。
「ジャンプして躱してください!」
シロンはレアコイルのソニックブームを高くジャンプすることによって躱す。そのシロンの跳躍力を見たマチスは、感心するように見惚れていた。
「こおりのつぶてです!」
シロンはそのまま鋭いこおりのつぶてをレアコイルに向け放つ。そのこおりのつぶては綺麗な軌道を描き、レアコイルに直撃した。レアコイルはそのまま地面に叩きつけられるが、それでもまだ戦闘不能には至らないようで再び浮かび上がるが、確実にダメージを負っているレアコイルに対しシロンは怒涛の追い打ちを浴びせるのだった。
「シロン!こなゆきです!」
シロンは地面に着地したと同時に、こなゆきをレアコイルに浴びせる。レアコイルは先ほどのダメージにより傷を負ってしまい行動が遅れしまって回避することが出来なかった。
「オウ!?レアコイル!」
レアコイルはこなゆきにより目を回しながら氷漬けになり、実質的な戦闘不能となったのだ。それを見た審判は戦闘不能とみなし、戦闘不能のコールをした。
「レアコイル、戦闘不能!ロコンの勝ち!」
氷漬けになってしまったレアコイルをモンスターボールへと戻し、マチスはレアコイルの感謝の意を示す。そしてレアコイルのモンスターボールを懐にしまい、次に取り出したのは自らのエースポケモン、相棒とも言えるポケモンの入ったモンスターボールだった。
「シロン、来ますよ。気を引き締めてください。」
『コォン!』
リーリエの言葉にシロンも元気よく返事を返す。恐らくリーリエだけでなく、シロンもマチスの持つエースはレベルが高いという事を感じ取っているのだろう。
「レアコイルはなんとか倒せたけど、次に待っているのはマチスさんのエース。」
「ええ、とても強力なポケモンです。ダメージはなかったものの……」
「はい、スタミナの消費は当然しているので、どちらかと言うとまだリーリエの不利、と言った状況でしょうね。」
『リルル……』
ルリリも少し不安そうな表情を浮かべる。心の中でリーリエに勝ってほしいと願う。ルリリはもう彼女の負ける姿は見たくないのだろう。だが、それと同時にもう一つの感情がルリリの中で渦巻いていたのだった。
「ゴー!マイフェイバリット、ライチュウ!」
『ライラーイ!』
マチスが繰り出したのはライチュウだった。一見カントー地方で有名なポケモン、ピカチュウにそっくりだが、ピカチュウよりも一回り大きく、体の色もオレンジ色となっている。そのライチュウが放つ風格に戸惑いながらも、リーリエはポケモン図鑑を取り出してライチュウの詳細を確認する。
『ライチュウ、ねずみポケモン。ピカチュウの進化形。頬の電気袋には膨大な電気が溜まっており、溜まりすぎると尻尾から地面へと電気を逃がす。その電撃は強力で、インド象すらも気絶してしまうほどである。』
最後の説明が少し気になりながらも、リーリエはポケモン図鑑をしまう。リーリエが見たことのあるライチュウはアローラの姿だけであり、通常のカントーに生息しているライチュウを実際に見たのは初めてである。アローラのライチュウはでんき・エスパーと少し変わったタイプであったが、こちらのライチュウはでんきタイプのみ。どう攻めてくるのかと頭を悩ませていると、ライチュウから動き始めたのだった。
「来ないならミーから行きますヨ!ライチュウ!10まんボルト!」
早速マチスが大好きだと称する10まんボルトで先制攻撃をしてくる。積極的な攻撃にリーリエは戸惑いながらも、慌てて反撃の指示を出した。
「シロン!こなゆきです!」
こなゆきにより10まんボルトに対して反撃するも、こなゆきはあっさりと掻き消されてしまい10まんボルトが地面を貫くように接近し、シロンに直撃してしまう。レアコイルとは攻撃力が桁外れであり、その攻撃はフィールドの地面を割ってしまうほどであった。
「シロン!?まだ立てますか!?」
『コォン!』
リーリエの言葉にシロンは大丈夫だと言った様子で立ち上がる。まだまだこれからだという事なのだろう。その不屈の闘志に、マチスは再び感銘を受けていた。
「流石はユーのパートナー、諦めることを知らないその心意気に、ミーは感心していマス!しかしバトルはバトル、全力で叩き潰してあげマス!ライチュウ、かみなりパンチ!」
ライチュウは拳に電撃を纏い、シロンにそのまま勢いよく振り下ろす。ライチュウはパワーだけでなく、スピードもかなりのものだったが、シロンはふらつきながらも横にステップすることで回避する。
「シロン!こおりのつぶてです!」
ライチュウのかみなりパンチは空を切り、地面に突き刺さった。そのライチュウの姿を見てチャンスだと感じたリーリエは、こおりのつぶてで確実にダメージを与えようとする。しかし、次にライチュウがとった行動は予想外のものだった。
「あなをほる!」
完全に隙があったように思えたが、それは間違いだった。ライチュウはこおりのつぶてが当たる直前に、その立派な尻尾を回転させ、文字通り穴を掘り地中の中へと姿を消したのだ。戸惑ったリーリエとシロンは、対処が間に合わずにしたから飛び出してくるライチュウに飛ばされてしまった。
「!?シロン!」
心配のあまりシロンの名を呼ぶリーリエだが、シロンは返事を返す元気は残っていないようだ。幸いにもまだ戦闘不能にはなっていないが、それでも致命傷を受けたことに変わりはない。
「もうそろそろ終わりデスカネ。」
マチスは小さくそう呟く。その呟きは誰にも聞こえていないが、リーリエはもうダメなのだろうか、と半分諦めかけた。またあの時の悔しい思いをしてしまうのか?そんな過去の後悔が頭を過る。その時、目の前で立ち上がるシロンの姿が目に入った。
「シロン?」
シロンは返事こそできないが、それでも振り向きチラッと自分の顔をリーリエに見せる。その顔を見たリーリエは、シロンはまだ諦めていないのだという事に気付かされる。
「……そうですよね。シロンが諦めていないのに、私が諦めたらダメですよね。」
また同じ過ちを繰り返してしまうところだった、と思いとどまったリーリエは、再び戦う意思を表す。シンジ、エリカ、ルリリの3人も黙って2人の戦う姿を見守っている。
「まだ諦めていないのデスカ?では、遠慮なく終わらせマス!ミーの大好きな技でネ!ライチュウ!10まんボルト!」
ライチュウは10まんボルトをシロン目掛けて放つ。やはりその攻撃はとても強力で、まともに喰らえば次はないだろう。しかし、シロンにもう回避出来る程の体力は残されていない。ならば、残された手は一つしかないと、リーリエはシロンに最後になるかもしれない指示を出した。
「シロン!こなゆき!」
シロンにこなゆきの指示を出す。先ほどは全く効果がなく、体力が少なくなっている今では先ほどよりも威力が落ちてしまうだろう。それでも、今はこれしか打てる手はないとリーリエは判断したのだ。しかし、シロンが放ったのはこなゆきでも、こおりのつぶてでもなかった。もっと違う、強力なものだったのだ。
『コォォォォォン!』
シロンはその変化した技を勢いよく放った。その攻撃はライチュウの10まんボルトを破り、ライチュウに直撃したのだった。驚きのあまり、マチスは「オーマイガー!」と叫ぶが、それよりもリーリエはシロンが自分の知らない技を放ったことに驚いたのだ。
「あれはオーロラビーム!」
「こおりタイプの技の一つ、ですね。この土壇場で新しい技を会得するなんて。」
『リルリル!』
流石だとエリカは呟く。ルリリもどこか嬉しそうに喜んでいるようだ。
「虹色の輝き……オーロラビーム……シロン!新しい技を覚えたのですね!?」
『コォン!』
リーリエの驚きと喜びが混じった声に、シロンは笑顔で答える。自分も新しい技を習得したことで元気と自信を取り戻すことが出来たようだ。オーロラビームが直撃したライチュウはゆっくりと立ち上がり、まだ戦えるといった顔をしている。まだ戦いは終わっていないと、シロンもライチュウの方へと振り向く。
「新しい技に驚きはしましたガ、それでもミーとライチュウの方が上デス!でんこうせっか!」
ライチュウは素早いでんこうせっかでシロンに接近する。シロンはそんなライチュウに反撃するように攻撃を加える。
「こおりのつぶてで迎え撃ってください!」
ライチュウはとても素早く、すぐにシロンの目の前まで移動するが、その場で放ったこおりのつぶてがライチュウに命中し、目の前で起こった衝撃により互いの体は後退する。それに互いのダメージはどちらも大きく、互いに倒れそうになるも必死にこらえる。
「やはりこの技でケリをつけるしかないデスネ。ライチュウ!10まんボルト!」
ライチュウの10まんボルトが再びシロンに接近する。リーリエも予想していた通り、やはり10まんボルトで来たか感じ取る。ならばこちらも逃げるわけには行かないと最後の攻撃に自分の思いの丈を込めた。
「私たちも全力です!シロン!オーロラビームです!」
ライチュウは10まんボルト、シロンはオーロラビームと、互いの最高の技がぶつかり合い、中央で激しく交差する。どちらも一歩も引かず、力は拮抗していた。しかし、一瞬、ほんの一瞬だけだが、ライチュウの膝が若干崩れてしまった。観察力に長けているリーリエはその動きを見逃さず、「今です!」とシロンに一声かける。それを合図に、シロンは更に力を込めてオーロラビームの威力を上げる。
すると拮抗していた戦いは終止符を打つように、10まんボルトが破られオーロラビームがライチュウに直撃する。
「ラ、ライチュウ!?」
煙が晴れると、ライチュウは目を回してその場で倒れていた。そして激しかった試合の終了のコールが今、審判の口から宣言された。
「ライチュウ、戦闘不能!ロコンの勝ち!よって勝者、チャレンジャーリーリエ!」
「かっ……た?やった!勝ちました!」
『コォン!』
信じられない、と言った様子でリーリエは喜びを露にする。シロンもリーリエと一緒に今回の勝利を喜ぶ。マチスは頑張ってくれたライチュウの元に歩み寄り、声を掛けた。
「ライチュウ、ナイスファイトだった。サンキュー。」
『ライ……ライ』
ライチュウにそう声を掛けると、ライチュウも嬉しそうに微笑んだ。敗北と言う結果に終わってしまったが、自分の大好きなトレーナー、信頼するトレーナーに褒めてもらえて嬉しいのだろう。マチスはモンスターボールへとライチュウを戻し、リーリエの元へと近付く。
「ユーとユーのポケモン、ナイスファイトだった。おかげでミーも熱いバトルが出来たヨ。」
「マチスさん……」
マチスは審判が差し出したクチバジムのジムバッジを受け取り、それをリーリエに差し出す。そのバッジオレンジ色をしており、まるで太陽のようなデザインであった。
「これがクチバジムウィナーの証、オレンジバッジネ。」
「これがオレンジバッジ……ありがとうございます!」
マチスからオレンジバッジを受け取ったリーリエは、余程接戦を戦い抜き勝利を手にしたのが嬉しかったのだろう。そのオレンジバッジを空にかざすように掲げてシロンと共に今の喜びを示す。
「オレンジバッジ、ゲットです!」
『コォン!』
オレンジバッジを手にし喜ぶリーリエとシロンと同時に、フシギソウの入ったモンスターボールも揺れる。悔しさもあるのだろうが、リーリエが勝利を手にできたことが余程うれしいのだろう。そんな彼女たちに、シンジたちも祝福しながら近づいた。
「おめでとう、リーリエ!」
「おめでとうございます、リーリエさん。」
『リルル!』
感動のあまり涙を流しながらリーリエの胸へと飛び込むルリリ。そんなルリリを受け止めながら、リーリエはシンジたちに感謝した。
「ありがとうございます!シンジさん!エリカさん!」
祝福を受け、素直に感謝するリーリエ。そこにマチスがリーリエにある事を尋ねたのだった。
「ところで、ガールは次のジムはどこにするか考えているのデスカ?」
「いえ、まだですけど……」
「なら次は、タマムシジム目指すといいデスネ。」
「えっ?それって……」
聞き覚えのあるジムの名前に、リーリエはエリカの方を振り向く。すると、エリカは微笑みながら彼女に声を掛けた。
「ええ、タマムシジムは私が担当させていただいているジムです。リーリエさん、貴女が来ることを楽しみにしていますね?」
エリカはそう言い残し、この場を立ち去って行った。昨日タッグを組んだリーリエには分かっているが、エリカは間違いなく強敵。そして彼女の手持ちはモンジャラであった。つまりは彼女はくさタイプの使い手。そこからどう対策を練るかも重要だ。
だが、今は勝利の余韻に浸りながら、シンジとの旅の続きを楽しもうと旅を続けるのであった。
いかがでしたか?マチスさんの喋り方すっごい難しかったのはいい思い出。途中途中ミーやらユーやらと言わせるつもりがあなたになってたりと不安定だったのは内緒。誤字で残っていることはない……はず。ないと信じたい!(願望
と言うわけで唐突ですが、明日は名古屋にて吉本を見てきます。実はヌシは吉本新喜劇の大ファンでして、毎週録画して見るぐらいには大好きです。出演者の8割は名前覚えてますし、名古屋に来ると聞いてチケットを入手していました。これが楽しみすぎて毎日過ごしてきたので、満喫してきますね(`・ω・´)ゞ
ではでは次回お会いしましょうノシ