ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

35 / 223
リーリエ立ち直り回です。まだ新米トレーナーという事でこういった回を作りました。どうか温かい目でリーリエの事を見守ってあげてください。


リーリエ、前に進みます!

リーリエです。ナツメさんの圧倒的な力の前に何もできずに敗れてしまった私は、ポケモンセンターで自分のポケモンさんたちの回復をしに戻りました。ジョーイさんのお陰でシロンもフシギソウさんすっかり元気になりました。

 

しかし、当の私はまだ元気が戻りません。あれほどの力の差を見せられては、元気を出せと言われても難しい話です。確かに私が負けたのは初めてではありません。でも、正直ナツメさんは桁が違いました。フーディンさんに傷一つ付けることも出来ず、一方的にやられてしまっただけです。どうすればあの人に勝てるのか。全く思いつきません。

 

私がナツメさんについて悩んでいると、シンジさんが近付いてきて私に声をかけてきました。

 

「リーリエ、一緒に出掛けてみない?」

「え?いや、でも私は……」

 

突然のお誘いに戸惑う私。でも今は正直そんな気分ではありません。勿論シンジさんとお出かけするのが嬉しくないわけではありません。寧ろ誘っていただけて嬉しいです。でも今は……。

 

「いいからいいから!」

「ふえっ///」

 

私が迷っていると、シンジさんが私の手を引っ張り強引に外に連れ出されました。急に手を繋がれたことに驚き変な声をあげてしまいましたが、それよりもシンジさんらしからぬ行動に私は疑問を抱きました。いつもであれば強制するような行動をすることがないので、なぜ私を連れだしたのかがやっぱり疑問でした。

 

こうして私はシンジさんと一緒にヤマブキシティを歩くことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、リーリエ。」

「あ、シンジさん、ありがとうございます。」

 

シンジさんが私にヤマブキシティで人気と言われているアイスクリームを買ってくださいました。ヤマブキシティは大きな町で、他にも目移りするようなものが多く並んでいましたが、シンジさんはその中でもオススメのアイスクリームを選んだみたいです。

 

「ここのアイスクリーム、すごくおいしいんだ。一回食べてみてよ。」

「は、はい、ありがとうございます。」

 

折角シンジさんが買って下さったので、私は言われた通りにそのアイスクリームを食べることにしました。

 

「ん!?美味しいです!」

 

そのアイスクリームは今まで食べたことがないくらい美味しいものでした。濃厚なミルクのとろけるような味わいが口の中いっぱいに広がり、バニラが染み込んでいくように溶けて表現できないような味でした。

 

「美味しいでしょ?ここのアイスはジョウト地方から取り寄せたモーモーミルクをふんだんに使って作った特製のアイスみたいなんだ。是非リーリエにも食べてほしいなって思ってたんだ。」

 

確かジョウト地方はカントー地方に隣接している文化の異なる地方だったはずです。ミルタンクさんからとれる新鮮なモーモーミルクは絶品だと言う話を聞いたことがあります。そう言えばアローラ地方でもモーモーミルクを扱っている牧場があるという話も聞いたことがあります。一度でいいので新鮮なモーモーミルクを味わってみたいですね。

 

次にシンジさんに案内してもらい向かったのは、町の服屋さんでした。折角ヤマブキシティに来たので、私の服を買って着てみるのもいいのではないか、と言うシンジさんの提案でした。私はお母様に言われて着せられていた服しか着たことがなかったので、他の誰かに選んでいただくのはちょっと新鮮な気がしました。でもシンジさんに選んでいただくのであれば、悪い気はしませんでした。

 

今着ている服は私がアローラのブティックで偶々見つけた服を着ていますが、思えば最近はこればかり着ていて他の服を着ていなかったかもしれません。偶には別の服を着て気分転換するのもいいかもしれませんね。

 

「これなんかリーリエに似合いそうじゃない?」

 

私が頭の中でそんなことを考えていると、シンジさんは一つのTシャツ差し出してきました。ピンク色を基調にしたTシャツで、襟元は花柄でヒラヒラの可愛らしいデザインでした。しかしその服は私も可愛いと思いますが、本当に私に似合うのか不安です。

 

「こっち服と合わせて着るとよさそうだよ。」

 

次にシンジさんが差し出したのは白色のカーディガン……と呼ばれるものでしょうか。手触りもよく、見た感じ着心地も良さそうでした。その服を見ていると、私も着てみたいと言う衝動に駆られますが、それでも躊躇してしまいます。しかしシンジさんが折角選んでくださったので、ここで断るのも悪い気がします。シンジさんの折角のご厚意なので、試着してみようかなと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、えっと……どうですか?」

 

私は試着室に入り、シンジさんに勧められた服を着てみることにしました。ついでという事なので、スカートも淡い青色をベースにしたスカートを着てみることにしました。

 

「うん!とっても似合ってるよ!」

「はい、とってもお似合いですよ、お客様。」

 

シンジさんと店員さんにそう言われ、私は照れくさくて顔が赤くなってしまう。正面からそう言われるとやっぱり照れてしまいます。でも似合っていると言われ、私はお世辞だったとしてもその言葉が素直に嬉しいと思いました。

 

「折角似合ってるんだし買ってあげるよ。」

「え!?そんな悪いですよ!こんなに素敵な服を買っていただくなんて!」

 

私はシンジさんの言葉に思わずそう答えてしまう。とは言えこの素敵な服を買っていただくのはやっぱり気が引けます。正直欲しいと思ってしまっている自分もいますが、流石にシンジさんに買っていただくのは……。

 

「彼女へのプレゼントですか?」

「か、かの!?」

 

店員さんの彼女と言う単語に思わず驚いてしまいました。シンジさんも今の言葉には流石に照れた様子を見せていましたが、すぐに頷きながら返事をしていました。その姿を見た私は恥ずかしい気持ちを抱く反面、嬉しい気持ちもありました。私はそのシンジさんの姿を見て、シンジさんのご厚意を断ることが出来ずに買っていただくことになりました。

 

その後も、シンジさんと一緒にショッピングをしたり、お土産を買ったり、レストランで食事をしたりとヤマブキシティを歩き回りました。やっぱり大都会という事もあり、見たいものは数多くありました。アローラ地方にもハウオリシティのような大きな街もありましたが、その時は見て回る余裕もなかったので今回の経験は新鮮でした。シンジさんが一緒にいてくださる、と言うのも勿論ありますが。そして気付けば、夕方までシンジさんとのお出かけを楽しんでいました。

 

「今日はありがとうございました。素敵な服までプレゼントしていただいて。」

「ううん、気にしないでいいよ。リーリエが喜んでくれれば僕は嬉しいから。」

 

シンジさんがそう言って笑顔のまま優しい言葉をかけてくださいます。しかし、シンジさんがこれだけ優しくしていただいても、ヤマブキジムでの出来事が頭を離れません。シンジさんが明るく接してくださっているのに、私は……。

 

「……ヤマブキジムでの戦い、まだ忘れられないんでしょ?」

「!?」

 

シンジさんに私の考えが見透かされているようでドキッとしてしまいました。自分の顔に出ていたのでしょうか。確かに私は昔、お兄様にも「お前は考えていることが顔によく出る」と言われたことがありました。シンジさんにバレても仕方ないかもしれません。

 

「ご、ごめんなさい。折角一緒にお出かけしているのに。」

「別に謝らなくてもいいよ。仕方のない事だからさ。それに……」

 

シンジさんが再び優しい言葉をかけてくれると、ひと呼吸おいてから衝撃の発言を口にしました。

 

「……あの時の僕と同じだったからさ。」

「え?」

 

シンジさんは今確かにあの時の自分と同じだったと言いました。私は今の強いシンジさんの姿しか知りません。昔の姿も知ってみたいと言う気持ちも正直ありましたが、人の過去に勝手に踏み込むのは良くない行為だと理解しているため自分から尋ねることはありませんでした。実際、私も過去の自分に関しての記憶を掘り下げられるのにいい気はしません。ですが私はシンジさんにだけは気付いた時には自分から話をしていました。シンジさんはそれだけ信頼できると感じているからです。私もよくないこととは知りつつも、今は気持ちに余裕が持てないため気付けばシンジさんに尋ねていました。

 

「同じ……とはシンジさんも過去に私と同じ経験をしていた……と言うことですか?」

 

私はシンジさんは黙ってうなずき、そのまま過去に味わった経験を私に語ってくれました。

 

「僕も以前、ナツメさんに負けたことがあったんだ。」

 

信じられないことでした。少なくともシンジさんはアローラ地方にいたころに負けたと言う話は聞きませんでした。勿論四六時中私といたわけではないので、私が知らなかっただけだと言う可能性もありますが、それでも私の目の前で敗北したと言う事実は一切ありません。それどころか、素人である私の目から見ても強いという事が伝わってくるくらいの戦いを繰り広げていました。

 

私は頭の中でそんなことを考えながらも、シンジさんの話に再び耳を傾けました。

 

「その時僕は圧倒的な敗北を味わったんだ。僕も僕のポケモンたちも、初めての敗北で心が砕かれそうになって酷く落ち込んでいたこともあったんだ。でも、ある人から助言を貰い、立ち直ることが出来たんだ。」

 

ある人、と言う単語に私は疑問を感じましたが、それ以上にその人が言った助言が気になりました。私はその人の言った助言が何なのか、シンジさんに尋ねることにしました。

 

「その人の助言とは……何だったんですか?」

 

私は思わずゴクリと喉を鳴らす。そしてこのことは自分にも深く関わるだろうと聞き逃さない様にしようと注意して聞くことにしました。シンジさんもその人の姿を思い浮かべた様子で、その助言をそのまま口にしました。

 

『ポケモンバトルは一人では勝てない。例え圧倒的な敗北であったとしても、それは負けではなく、前に進むための糧となる。君もトレーナーなら、自分のポケモンを信じ、ポケモンが信じる自分を信じろ。決して立ち止まるな。』

 

その言葉には数多くの意味が含まれているように感じました。その人の経験や感情、その他にも様々な思いが込められているのだろうと。シンジさんはその言葉を述べたのち、私の方を真っ直ぐ見て答えました。

 

「一人で抱え込んだらダメだよ。リーリエにはポケモンたちがいる、家族もいる、それに……僕だって傍にいるんだ。いつだって頼ってくれてもいい。それに僕は、リーリエならもっと強くなれるって信じてる。僕の知ってるリーリエは、どんな困難にも立ち向かう強さを持った女の子だって知ってるから。」

 

その言葉を聞いて私は気付くことが出来ました。あれだけ自分のポケモンさんたちが頑張ってくれていたのに、私は自分一人で抱え込んでいたんですね。私は一人ではなかったのに、そのことに気付けない自分が情けないです。

 

「ありがとうございます、シンジさん。おかげで目が覚めました。そうですよね、私一人で戦っているわけではないのに、一人で悩んでも解決できるはずがありませんよね。」

 

シンジさんは私の言葉を聞いて黙って見守ってくれている。今日もシンジさんはこのことを伝えるために私を強引に連れ出してくれたのですね。本当にシンジさんは私には勿体ないくらい優しくて、頼りになる素敵な方です。私は決意を固め、自分の意思を口にしました。

 

「決めました!私は前に進みます!もう一人で抱え込みません!」

 

私もシンジさんを真っ直ぐ見つめながらそういう。シンジさんも私の吹っ切れたような言葉を聞いて、優しく微笑みかけてくださいます。またシンジさんのその笑顔に救われましたね。もっともっと精進できるように、がんばリーリエです!

 

こうして私の悩みは綺麗に吹き飛ばすことが出来ました。確かにナツメさんは強敵ですが、焦る必要はありません。時間はまだ充分にあります。次に挑戦するときまで、必ず突破口を見つけ出して見せます。私自身と、私の信じるポケモンさんたちと共に!

 

今日は一日中歩き回って疲れたため、一先ずポケモンセンターに戻り休むことにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

「昨日はゆっくり眠れた?」

「はい!もう元気ばっちりです!」

 

迷いが晴れたリーリエの姿を見て、シンジは彼女に微笑みかける。シンジも落ち込んだリーリエの姿を見るのは耐えられなかったようで、迷いが晴れた彼女の姿を見れたのは嬉しいようだ。

 

「じゃあ行こうか。次の町に!」

「はい!」

 

リーリエは手をギュッと握りしめて気合を入れる。いつものリーリエの姿に戻ったため、もう昨日までのような心配は皆無だろう。前へと進むリーリエと、彼女を支えるシンジ。二人のカントーを巡る冒険は、まだまだ続く!




ある人の正体が分かる人にはわかる気がします。実際にこう言うことを言うのか分かりませんが、特に深い言葉が思いつかなかったのでそれっぽいことを書いてみました。非力な私を(ry

後服の表現が難しいっす。衣服の詳細はよく分からないので詳しく書こうにも書けないです。ヌシは東方キャラかブイズかモンハンのイラストが入った服くらいしか着ないので。特にレディースはイマイチ違いとかも分かってません。

最近花粉が酷くて苦しんでいます。薬飲んでも止まらないくらい花粉に弱いのでこの時期はいつも辛いです。特にスギがキツイです。あと稲もあった気がしますが。花粉に弱い人はくれぐれも気を付けてください。……だからと言って気を付けてどうにかなるものでもないですが。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。