ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
取り敢えず前回書き置きしてた話がなんだかあまり気に入らなかったので急遽水曜日に最初から書き直しました。
無事オツキミやまを通り抜けることのできたシンジとリーリエ。しかし洞窟内で確認した通り外は当然真っ暗であった。次の町であるハナダシティまではまだ距離があるため、シンジはリーリエに一つの提案をした。
「もう暗いし今日はここでキャンプにしてもいいかな?」
「キャンプ?野宿ってことですか?」
「まあ平たく言えばそうだね」
シンジは苦笑いしながら少し遠慮気味に答える。リーリエも少し悩む素振りを見せるものの、すぐにシンジの答えに返事をする。
「私は構いませんよ。話には聞いていましたし、シンジさんと一緒なら大丈夫ですから。」
笑顔を見せながら答えるリーリエのその言葉に、シンジは照れくさそうにしながら頬を掻く。そして野宿のために二人は荷物を置き、カバンからテントなどを組み立てる道具を取り出す。
「えーと、これがこうで……あ、あれ?」
リーリエは早速説明書を見ながら組み立てようとするもその動きはたどたどしく、パッと見初心者のようだった。それを見たシンジは心配そうにリーリエに声をかける。
「リーリエ、もしかしてキャンプとかって初めて?」
「え、えっと、はい……お恥ずかしながら……」
リーリエはもじもじと恥ずかしそうな仕草をとる。シンジはリーリエのその言葉に微笑みながら、テントの組み立て方をリーリエに優しく教える。少しずつコツを掴んできたのか、後半はある程度一人でも組み立てることが出来るようになってきたようだ。
「シンジさん、こんな感じでいいでしょうか?」
「うん、ばっちりだね。リーリエの物覚えが早いから楽に出来たよ。」
「そ、そんなことはないですよ!シンジさんの教え方が上手だったからです!」
二人は互いに謙遜しあう姿に思わず吹き出すように笑いあう。この姿を見るだけで二人の仲の良さや信頼がどれだけ強いかが伝わってくるだろう。
先ずは一つの問題であったテントの組み立てが完了した。男女ペアということもあり、二つのテントを別々に利用することにした。テントもそれほど広くなく、折角なので互いに自分のポケモンたちと一緒に寝るのもよいのではないかと言うシンジの計らいでもあった。
「さてと、次は料理だね。」
「あっ、すみません。私料理の方はちょっと……」
リーリエは申し訳なさそうに言う。その姿を見たシンジは「僕が作るから大丈夫だよ」と答えて心配をかけないように声をかける。
「シンジさんは料理が出来るんですか?」
「まあこれでも一人で旅を続けてたからね。多少の旅の心得は身に着けてるつもりだよ。」
シンジのその言葉にリーリエはますます彼に対しての憧れが強くなった。やはりこの人は自分の思っている以上にすごい人なのだと感じ、自分の最大の目標でありパートナー以上の存在になりたいと心の中で思う。
シンジは料理器具をカバンから取り出しすぐに料理の準備に取り掛かる。リーリエも黙って待っているわけにはいかないので、テーブルや食器などを用意し始める。今までお嬢様として育てられてきた彼女も、彼との出会いによって成長しつつあるのだろう。シンジはリーリエの自立的な行動に微笑みながら料理を続ける。
しばらくしてどうやらシンジの料理が完成したようだ。メニューはスパゲティにスープ、それからサラダと言うシンプルな一般的料理だった。しかし、その料理にはしっかりと工夫が施されており、彼がどれだけ料理に手慣れているかが伺える。
「材料が少なかったからこんなものしかできなかったけどどうかな?リーリエの口に合えばいいんだけど……」
「い、いえ!全然ですよ!寧ろこんなに凝った料理に感動してます!」
リーリエは首を横に振ってシンジの言葉を否定する。シンジは取り敢えずリーリエに食べてみるように促すと、リーリエは手を合わせて食事の挨拶をする。そしてスパゲティを口にした瞬間、リーリエの表情が変わる。その表情を見たシンジは、緊張のあまり喉をゴクンと鳴らす。するとリーリエがシンジの料理に対しての感想を言う為に口を開いてくれた。
「シンジさん!これすっごく美味しいですよ!」
「そう?よかった、喜んでくれて。」
シンジはリーリエのその言葉に安心してほっと胸を撫で下ろす。しかしリーリエのその反応は少し大げさすぎやしないかと心の中で思ってしまう。
シンジはその後、ポケモンたちにも食事を与えようと席を立ちあがり、用意していたポケモンフーズを皿にのせて分け与える。彼のポケモンたちも待っていたと言わんばかりにポケモンフーズに飛びついて食べ始める。
シンジは美味しそうに食べる自分のポケモンたちの様子を見届けると、次にリーリエのポケモンであるシロンとフシギダネの元へと近寄る。しかしシロンはフシギダネの後ろへと隠れてしまい、警戒体制へと入ってしまう。リーリエの話によれば、シロンはリーリエ以外の人には滅多に懐かず、現状リーリエ以外に懐いている人物は彼女の母親であるルザミーネのみらしい。
「警戒しなくても大丈夫だよ。ほら、みんなと一緒に食べよ?」
シンジはポケモンフーズを幾つか手の平にのせ、シロンに差し出し形で手を出す。するとフシギダネは警戒する素振りを見せずにシンジの持つポケモンフーズを一口食べる。フシギダネは美味しいと言っているように笑み浮かべ、続けてシンジの持つポケモンフーズを食べる。
「ははは!フシギダネくすぐったいよ!」
シンジは嬉しく感じてもいるが、そのフシギダネの勢いに堪らず笑ってしまう。その様子を見て少し警戒が解けたのか、シロンもゆっくりと近づいてきてポケモンフーズを催促する。その様子を見たシンジは再びポケモンフーズを袋から取り出し、シロンに差し出す。シロンもフシギダネの様子を見たからか、そのままポケモンフーズを口にすると、フシギダネと同じように笑顔を零してもう一つ、更にもう一つと食べ始める。どうやら先ほどまでの警戒は薄れたようでシンジも一安心して、シロンたちの分のポケモンフーズも皿に分け与えた後席に戻る。
「シンジさん凄いですね。あんなシロンの姿は初めてみます。」
「どんなポケモンでも真剣に向き合えば必ず心を開いてくれるよ。」
リーリエはシンジのその考えに感心しながら、一つ疑問に思ったことを彼に尋ねる。
「あのポケモンフーズはシンジさんが?」
「うん。ポケモンによっても好みは分かれるからね。それに健康面でも自分の作ったポケモンフーズの方がいいんだ。木の実を混ぜて味付けを変えてみたり、体調の悪い時は少し薄味にしてみたりね。」
当然市販のポケモンフーズも幾つかあるが、それらはあくまで最低限の栄養しか入っておらず、お世辞にも汎用性があるとは言い難い。種類が多いわけではないし、味付けの幅が広くない。実際、彼のポケモンたちも、市販のポケモンフーズではいまいち満足してくれなかったようで、ポケモンの種類も多いこともあり好みが分かれてしまったのだ。そんな時にシンジが試しに色々と料理で鍛えられた手際の良さや工夫を駆使して、ポケモンフーズを幾つか作ってみたところ、彼のポケモンたちにはかなり評価が良かったようだ。それ以降、彼は常にポケモンたちの食事も自分が担当しているのだと言う。
「流石ですね、シンジさん。よろしければ今度色々と教えていただけませんか?私もシロン達に自分のポケモンフーズを食べさせてあげたいですし。」
「うん、もちろんだよ。じゃあ今度一緒に練習しよっか。」
「はい!ありがとうございます!」
リーリエはシンジにお礼を言うと、先ほどのシロンとのやり取りの最中にもう一つ気になっていたことを尋ねる。
「そう言えばシンジさんのポケモンさんたち……特にニンフィアさんはとても良くシンジさんに懐いていますよね?」
「うん、僕のポケモンたちはみんな大切な家族だけど、ニンフィアは一番最初に仲間になった大事なパートナーだからね。」
シンジのその言葉を聞いたニンフィアはゆっくりとシンジの足元へと近付いてくる。そのことに気付いたシンジはニンフィアの頭を撫でる。ニンフィアは気持ちよさそうに頭を擦り付け、その様子を見たリーリエにはハッキリと二人を結ぶ大きな絆が確かにあるのだと心から感じた。
「よろしければその時の事を聞かせていただけないでしょうか?あっ、嫌と言うのであれば仕方ありませんが……」
リーリエは人の過去に踏み込むのは少し失礼だったかも知れないと思い途中で声のトーンを落とす。その様子を見たシンジは、別に気にしなくてもいいよ、と言ってニンフィアとの出会った日の事を話す決意をする。シンジのその言葉にリーリエは明るい笑顔を取り戻し、その様子を見たシンジも過去の運命的な出会いを昨日の事の様に思い出しながら話し始める。
「あれは僕がまだ旅に出る前……7歳くらいの時だったかな……」
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さてとニンフィアとの出会いの話をどういう構成にしようか。正直あまりまだ考えてない。なんせ行き当たりばったりの勢いだけで書いてるので内容を頭で描くようなことは出来ません。まあ主はアレやし。なんとかは風邪引かないって言うしね。実際病気はあっても風邪は引かないヌシですし。
ではまた次回お会いしょう!ん?ニンフィアだけ優遇しすぎ?嫁補正です。