ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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ブイズとの出会い(ブラッキー編)

実はブラッキー編は2パターン考えててギリギリまでどっちにするか悩んでました。


~ブラッキーとの出会い~

これは以前、シンジが別の地方を旅していた時の物語。今冒険を共にしている仲間との出会いの記憶である。

 

 

 

 

 

 

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シンジがとある地方のとある森の中を旅していた時のこと、突然天気が悪くなってしまいポツリポツリと雨が降ってくる。次第に雨は強くなり、とてもではないがこのまま外を歩き続けることは困難となってしまう。

 

「ニンフィア!走るよ!」

『フィア!』

 

ずぶ濡れになる前に一緒に歩いていたニンフィアと走り出す。この近辺にはポケモンセンターも見当たらず、周りには木々が生い茂るばかりである。

 

せめて大きな木陰でもないかと走りながら周囲を見渡していると、森の中に一件の家がポツンと建っていたのが見えた。この際仕方がないと、雨宿りさせてもらえないか尋ねてみることにした。

 

「すみませーん!誰かいませんかー!」

『はーい!』

 

シンジが扉をノックする。家の中から声が聞こえ、暫くすると一人のお婆さんが扉を開けて姿を現した。

 

「おやおや、こんな森の中に人が来るなんて珍しいね。」

「すみません。急に雨が降ってしまって、少しの間雨宿りさせてもらえませんか?」

「それは災難だったね。ほら、早く上がりなさいな。」

 

雨に濡れたシンジたちをお婆さんは快く家に向かい入れてくれる。シンジはお婆さんに感謝してお邪魔します、と家に上がった。

 

「ほれ、このままじゃ風邪を引いてしまうよ。遠慮なくこのタオルで拭いなさい。」

「わざわざありがとうございます。」

 

シンジはお婆さんから手渡されたタオルで自分の濡れた服と頭から染み込んだ水分を拭き取る。

 

「ほら、ニンフィアもおいで。」

『フィア♪』

 

その後同じく雨で濡れてしまったニンフィアもタオルで綺麗に拭く。ニンフィアも嬉しそうにしながらシンジにゴシゴシとされるがままにされている。タオルで吹いていると言うより、どちらかと言えばじゃれついているようにも見える。仲がいい証拠なのだとお婆さんも小さく微笑んだ。

 

その後、お婆さんの計らいでシンジは上着をリビングにある暖炉で乾かさせてもらう。暖炉とふかふかの毛布のお陰で冷えていた体温も自然と温かくなっていく。

 

「ほれ、温かいココアを飲みなさい。体の芯も温まった方がいいからね。」

「なにからなにまで、ありがとうございます。」

「あなたにはこれよ。ゆっくりお飲みなさい。」

『フィア♪』

 

お婆さんの用意したココアをシンジは受け取り早速口にする。そのココアは非常に温かく、お婆さんの優しい気持ちも伝わる味であった。ニンフィアは受け皿に入れられたミルクを美味しそうに少しずつペロペロと飲んでいく。

 

「あの……お婆さんはここに1人で住んでいるんですか?」

「ああ。でもここには野生のポケモンも沢山遊びにくるから、寂しくはないよ。天気のいい日はいつも賑やかなところさ。」

 

人の気配を感じなかったのでシンジは失礼かと思いながらも気になったことを尋ねてみる。するとお婆さんは明るい笑顔でそう答えた。

 

お婆さんの話によると、庭にはよく野生のポケモン達が元気よく遊ぶ姿が窓から見えるのだとか。そんな光景を眺めるのがお婆さんの日課であり楽しみでもあるのだそうだ。

 

お婆さんと日常的な話を続けるシンジ。すると奥から一匹のポケモンがゆっくりと姿を現した。そのポケモンは黒い体に、額や脚に光り輝く黄色の丸い模様。見覚えのあるそのポケモンの詳細を、図鑑を開いて確認する。

 

『ブラッキー、げっこうポケモン。イーブイが月の波動を受けて進化したポケモン。満月の夜には体の模様が黄色く輝くという。』

 

そのポケモンはイーブイが夜に進化するというブラッキーであった。珍しく聞こえた話し声が気になって出てきたのだろうか。

 

しかしブラッキーはシンジを見ると、特に興味もなさそうに暖炉の近くに行って体を丸めて眠り始めた。どうやら気になって出てきたわけではなさそうだ。

 

「あのブラッキーはお婆さんのポケモンですか?」

「いいえ、野生のブラッキーよ。」

 

シンジはお婆さんにブラッキーとの経緯を尋ねてみる。お婆さんの話によれば最近ブラッキーはフラフラとこの近辺に現れたようだ。はじめは警戒していたが、お婆さんが食べさせたお菓子が気に入ったのかそれ以降この家に出入りするようになったそうだ。

 

お婆さんは快くブラッキーを受け入れ、出入りするうちに自然とこの家に住み着くようになったそうだ。ブラッキーもお婆さんのことは気に入っているのか、毎日大人しく一緒に暮らしている。

 

しかし、野生のポケモンが遊びに来ても興味を一切示さず、家の中で毎日うずくまって日がな一日眠りについている。お婆さんが遊びに行くように促しても、反応こそ示すが外に出ようとはしない。

 

そんなブラッキーのことを気にしたシンジは、お婆さんにブラッキーと話してもいいかと尋ねてみることにした。

 

「あの……ブラッキーと話してみてもいいですか?」

「もちろんよ。あの子と仲良くしてあげて。」

 

お婆さんの許可をとり、ブラッキーの傍にゆっくりと近づく。

 

「こんにちは、ブラッキー。」

『……』

『フィア!』

 

シンジとニンフィアが挨拶するが、ブラッキーは一瞬目を開くもすぐに目を閉じて再び眠ってしまう。それでもシンジは彼と仲良くしたいともう一度話しかけてみる。

 

「君、お婆さんのこと好き?」

『……』

 

お婆さんの話を振ってもブラッキーは無反応である。その様子を見て、シンジは思い切って一歩踏み込んだ質問をしてみた。

 

「……もしかしてさ、君には元々トレーナーがいたんじゃないかな?」

『っ……』

 

先ほどまで無反応だったブラッキーの体がビクッと反応した。どうやらシンジの考えは当たっているようだ。

 

ブラッキーへの進化条件はトレーナーに対してのなつき度が関わってくる。そのため野生での発見例は極めて少なく、野生のブラッキーは殆ど見ることはない。そのため、以前はトレーナーと一緒にいたと言う仮説が彼の中で立てられたわけである。

 

ブラッキーのその反応だけで彼がどんな過去を持っているのかなんとなく理解した。

 

「……この子も同じなんだ。昔、別のトレーナーと一緒にいたんだけど、ある理由がキッカケで僕と一緒に旅をすることになったんだ。」

『フィア♪』

 

シンジはニンフィアの頭を撫でながら彼女の過去をブラッキーに話す。ブラッキーも態勢は一切変えていないが、耳だけはピクピクと僅かに動いている。興味無さそうにしていてもシンジの話の内容が気になっているようである。

 

ニンフィアにとってはあまりいい思い出とは言えない。しかし、原因はどうあれ彼女にとって最高のパートナーと呼べる存在と出会えたことはとてもいい思い出なのだろう。当の本人は辛い過去の話を特に気にしておらず、主人に頭を撫でられて気持ちよさそうにしている。ニンフィアのその様子から、ブラッキーは彼が悪い人ではないことはなんとなく理解していた。

 

ブラッキーも自分の話に少しは興味を持ってくれたのだと思い、シンジはブラッキーと話を続ける。お婆さんに聞いた話の内容からくみ取るに、ブラッキーはあまり他人に対して心を開こうとしなさそうだと思い、彼の心に寄り添ってあげたいと感じたためである。

 

「そうだ!」

 

シンジは何か思いついたように自分のバッグを漁る。バッグの中身から、一つの小さな缶を取り出した。彼が缶の蓋をあけると、中にはポケモンフーズが入っていた。

 

「これ、僕が作ったポケモンフーズだよ。と言っても、最近作り始めたばかりだからあんまり自信はないんだけどね。」

 

シンジは手のひらにのせたポケモンフーズを差し出す。ブラッキーは少し興味を示す素振りを見せるが、警戒しているのか口にしようとしない。

 

やっぱり出来が良くないのか、と少し残念に思うシンジだが、そんな彼の前にニンフィアがブラッキーに話しかけて前に出る。

 

『フィア!』

『……ラッキ?』

『フフィフィ、フィーア』

 

ニンフィアはシンジの作ったポケモンフーズをリボンで器用に取って自分の口に入れた。特に危険もなく、こうやって食べるのだと実演してみせたのだ。面倒見がいいニンフィアらしいと言えばらしいのだが、似たような境遇であるブラッキーにどこか思うところもあるのかもしれない。

 

『……』

 

ブラッキーはニンフィアとシンジ、それと彼の持っているポケモンフーズを交互に見る。それでも食べてくれないのだろうかと暫く待ってみると、ようやくブラッキー体を起こして動き始めた。

 

すると興味を持ち始めたのか、ブラッキーはシンジのポケモンフーズに近付く匂いを嗅いだ。そしてようやく警戒心を少しでも解いてくれたのか、ポケモンフーズを半分かじって口にした。

 

『……ブラッキ』

 

ブラッキーは無表情のまま一切表情を変えていない。彼の表情からはイマイチ感情が読み取り辛いが、それでも一度口にしたポケモンフーズを続けて食べ始める。どうやら危険はないと判断してくれたようで、シンジは嬉しさから小さく微笑み、ニンフィアの頭を撫でて感謝する。

 

ポケモンフーズを食べ終えたブラッキーは静かに三度眠りについた。シンジはこれ以上話しかけることはなく、静かに彼の傍で背中を撫で続けて安心させていた。

 

暫くして窓の外を見てみると先ほどまで大降りだった雨は既にあがっていた。どうやら降ってもすぐに止むにわか雨だったようだ。

 

これ以上お世話になって迷惑をかけるわけにはいかないと、シンジは立ち上がって自分の荷物をまとめて旅に戻ることにする。そんな彼らを、お婆さんは優しく見送ってくれるのであった。

 

「それではお世話になりました。」

「ええ、また近くに来たら遠慮なくよっていいからね。気を付けて旅を続けなさいな。」

『フィア!』

 

シンジとニンフィアはお世話になったお婆さんに頭を下げて別れを告げる。そんな彼らをブラッキーは静かに見つめ見送っていた。

 

そんなブラッキーの顔を見たお婆さんは、彼の気持ちを悟って声をかける。

 

「あの子と行きたいんじゃないのかい?」

『……』

「私の事はいいから、彼と行ってきなさい。あなたはあなたのしたいようにすればいいのよ。」

 

お婆さんの言葉にブラッキーは静かに首を縦にふる。その後軽く駆けだして、シンジのズボンの裾を引っ張り気を引いた。

 

「ブラッキー?どうかしたの?」

「その子はあなたと一緒に行きたいみたいよ?」

「え?そうなの?ブラッキー」

『……』

 

ブラッキーは何もしゃべらないが、シンジの言葉に対して首を縦に振ることで答えた。その反応にシンジは嬉しくなり、空のモンスターボールを取り出してブラッキーに差し出した。

 

「ブラッキー、これからよろしくね!」

『……ブラッキ』

 

今まで無表情だったブラッキーだが、モンスターボールに触れて吸い込まれる瞬間だけ少し笑顔を見せた気がするシンジ。数回モンスターボールが揺れ、ピコンッの合図とともにブラッキーのゲットに成功する。

 

「ブラッキー、ゲットだよ」

『フィア♪』

 

静かに、それでも嬉しそうに呟くシンジにニンフィアも同じように嬉しくなり声を出す。そんな彼らに、お婆さんは「ブラッキーのことをよろしくね」、と一声かける。

 

もちろんですと返答するシンジは、新たに仲間になったブラッキーと共にこの先も冒険を続けるのであった。

 

 

 

 

 

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残るはシャワーズのみとなります

新実装のアマージュクッソ強いね。カイリューも最終進化9に下げられてそうだから強そうだし、ジュナイパー君も救ってあげて。かげぬいのリキャストタイムが長いせいでバナのソラビの劣化にしかなんないんっすよ。

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