ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
最近プリコネの動画もあげたりしてるから割と忙しかったりします(私用)
これは以前、シンジが別の地方を旅していた時の物語。今冒険を共にしている仲間との出会いの記憶である。
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シンジは現在雪山を歩いて登っている最中だ。一人で迷うことがないように、とガイド役の女性も一緒にである。
「はぁー……シンオウの雪山は寒いなぁ~」
「この時期は特に寒さが厳しくなりますから。」
シンオウ地方は他の地方に比べて気候が寒く、気象が変化しやすい地方である。雪山、と言うだけあり周囲には雪が積もっており、辺り一面真っ白な雪景色が広がっている。見ているだけでも寒くなっている。
一応寒さ対策に厚手の防寒着と手袋、雪山用の靴を着用しているため比較的マシである。とはいえ、やはり普段経験している寒さとは違うため慣れてない人には厳しいであろう。
「このまま一気に、と言いたいところですが、風が強くなってきたのでそろそろ天候が荒れそうです。近くの洞窟で一休みしましょう。」
「分かりました。」
シンジとガイドは近くにあった洞窟の中へと非難する。ガイドの女性が言った通り、次第に周辺が暗くなり突然雪が激しくなり吹雪いてきた。
流石はガイドと言うだけあり、雪山の変化に敏感である。これだけ変化しやすければガイドがいなければ迷子、最悪の場合凍死などの事故にあっていたことだろう。これだけ寒ければ手持ちのポケモン達に頼ることも難しい。
ガイドの指示で暫く洞窟の中で吹雪が過ぎ去るのを待ことにする。雷と同じくシンオウの雪山で降る吹雪は少しすれば止むとのこと。こういった状況が多いため、この近辺にはいくつか小さな洞窟の休憩場を作っているそうだ。
「ブーバー、焚火に火をつけて」
『ブーバ!』
ガイドの女性はブーバーをモンスターボールから出して洞窟に常備されていた焚火に火をつける。厚手の服をしているためそこまで体が冷えたりはしないが、それでも普通の人間であれば寒くないわけがない。少しでも暖かくすれば全く違うだろう。
それにしてもすごい吹雪だと関心するシンジ。少しだけ弱まってきたかと考えていると、吹雪の中になにか動く影が見えた。
この近辺に生息しているポケモンだろうか、と思ったがどうやら様子が違うようだ。こちらに少しずつ近付いてきて正体が判明する。
驚くことに一匹のポケモンが一人の男性の服を無理やり引っ張って引きずっているようだ。しかし男性を襲った素振りはなかった。
放っておくことができずシンジは思わず洞窟内を飛び出る。ガイドの人も危険なので引き留めようとするが、その抑止を聞く前にシンジは男性の元へと駆けつけた。
「大丈夫ですか!?」
『グレイ……』
男性は返事がない。ここは一先ず洞窟のなかへと非難させようと彼を肩に乗せる。
「一人では危険です!私も手伝いますから!」
「すみません、ありがとうございます。」
ガイドとして無視するわけには行かないと女性もシンジに手を貸す。二人で協力し男性を洞窟へと運ぶ。
男性は30代くらいの成人男性だが、力ない子どもと女性でも二人で協力すれば運ぶことはできた。二人はゆっくりと男性を洞窟内部に寝かせる。脈もまだ動いており息もある。吹雪の中にいたため体は冷えているが、まだ死んではいないようだ。
洞窟内には焚火が焚いてあるため熱は確保できている。後はこれ以上冷えないように彼の上にふかふかの毛布を掛け。
「僕温かい飲み物を用意しておきます。」
「ありがとう、助かります。」
女性が男性の面倒を見ている間にシンジは温かい飲み物を用意する。体温が戻っても体の芯が冷えてしまったままでは意味がないからだ。
シンジが用意している間、暫くすると男性の瞼が微かに動く。彼が目を開くと、周囲を見回しここはどこだと頭を無理やり覚醒させる。
「ここは?」
「ここは雪山の洞窟ですよ。あなたは吹雪の中で倒れていたんです。」
「吹雪の中で……そうか……みんなとはぐれてしまったか……」
どうやら彼は仲間たちとこの雪山に来たが先ほどの吹雪ではぐれてしまったようだ。未だ混乱状態の様子の彼に、落ち着くようにとシンジは温かい飲み物を差し出した。
「これ飲んでください。少しは落ち着くと思います。」
「ありがとう、助かるよ。」
そう言って彼はシンジから手渡された紙コップに入った飲み物を口にする。体の芯から温まり、彼はふぅっと一息ついて落ち着くことができた。
「君たちが助けてくれたのかい?」
「いえ、あなたのグレイシアが運んでくれたんですよ。」
「グレイシア?」
『グレイ』
『グレイシア、しんせつポケモン。体毛を針の様に尖らせて敵から身を守る。大気の水分を凍らせてダイヤモンドダストを起こすことができる。』
ガイドの言葉に男性は疑問を抱いて足元にいるグレイシアに目を向ける。しかし男性は驚きの言葉を発したのであった。
「いや、このグレイシアは俺のではないが。」
「え?そうなんですか?」
驚くべきことにグレイシアはその男性のポケモンではなかった。グレイシア自体野生で見ることは稀であり、警戒心も強いため自分から人に近付くことは珍しい。
想像できることと言えばこのグレイシアは面倒見のよいポケモンで、雪山を行き来する人間に慣れて警戒心が薄くなっているということだろうか。そう考えると、このグレイシアはかなり賢い個体のようである。
「そうか。ありがとうね、グレイシア。キミは優しいんだね。」
『……グレイ♪』
シンジがグレイシアの頭を優しく撫でると、グレイシアも嬉しそうに小さく微笑んだ。珍しい個体ではあるが、ポケモンの数は無数に存在するためそう言ったレアな個体がいても不思議ではないだろう。人間の性格が人間の数だけあるのと同じである。
男性を看病している間に気付けば吹雪が止んでいた。これなら今日中に抜けられるだろうとガイドの女性が判断し出発の準備をする。
「あなたも一緒に行きましょう。他の方々も心配してますよ。」
「はい、助かります。」
そう言って男性も一緒に仲間たちが待っている場所へと向かうことにする。
「ありがとうね、グレイシア。またね。」
『…………』
シンジはグレイシアの頭を再び撫で出発しようとする。しかしそんな彼の足元に、グレイシアは頭を擦りすり寄ってきた。
「グレイシア?」
『……グレイ』
「もしかしたらこの子はあなたと行きたいのではないでしょうか?」
ガイドの言葉にハッとなり、シンジはグレイシアのそうなのかと尋ねる。するとグレイシアはゆっくりと頭を縦に振り、肯定の意思を示した。
その行動にシンジは嬉しくなり空のモンスターボールを手にする。シンジがモンスターボールを差し出すと、賢いグレイシアは彼の意図を理解しモンスターボールに軽く触れる。
モンスターボールが開くとグレイシアは中に吸い込まれていった。互いに同意しているので、抵抗も一切なく数回揺れると同時にピコンッと音が鳴る、グレイシアゲットの合図である。
「おめでとう!これからグレイシアをよろしくお願いしますね!」
「はい!ありがとうございます!」
こうしてシンジは旅の仲間、優しくて面倒見がよく、賢いポケモンであるグレイシアを仲間にした。新たな仲間を手にし、シンジはこれからも旅を続けて行くのであった。
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みんな忘れてるかもしれないけど、ダイパ発売当時一番の衝撃は既存ポケモンの新しい進化先と進化前の追加だと思う。
マンムーやキッスはそうだけど、リーフィアとグレイシアもこの時代だし、公式がマルチ押ししてたのもこの時代。特殊な進化ばかりで初見じゃ進化させられないやつ。
リメイク発売にあたっての問題は、当時いなかったニンフィアが実装されるのかどうか。ダイパ図鑑準拠なら実装は望み薄っぽい。PVにもグレイシアとエーフィとリーフィアしか出てきてないし……。