ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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実はホラーが大好物

そろそろブイズたちの性格も軽く纏めたいので、前から言っていたブイズとの出会いの話を少しずつ書いていきたいと思います。初めはリーフィアちゃんとなります。


〜ブイズとの出会い〜
~リーフィアとの出会い~


これは以前、シンジが別の地方を旅していた時の物語。今冒険を共にしている仲間との出会いの記憶である。

 

 

 

 

 

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ここはシンオウ地方、ハクタイの森。ハクタイシティの隣に位置する、少し薄暗くトレーナーたちの迷いやすい森だ。

 

そう、つまりシンジたちは現在絶賛迷子中なのである。

 

「えっと……出口どっちだろう……。」

『フィア……』

 

シンジとニンフィアは出口を探してうろうろと彷徨う。

 

彼は特に方向音痴というわけではない。しかしこのハクタイの森は右を見ても左を見てを気が生い茂っているのみ。いくら進んでも景色が一向に変わらない。同じ場所をグルグルと周っているような錯覚に陥ってしまっている。

 

「日も傾いてきたし、早いところ抜け出したいところだけど……」

 

長いことこの森で彷徨ってしまっている。夕暮れ時になり森の中は薄暗さが増す。さすがに暗い森の中で一夜を過ごすのは危険すぎるため、できる限り今日中にこの森を抜けておきたいと考える。

 

しかし進めど進めど見えるのは草木ばかり。途方に暮れ始めたシンジたちの前に、一つの影が下りてきた。

 

いったいなんだと影の正体を確認するシンジ。するとその姿がはっきりと目に映る。

 

その影の姿には耳と尻尾が確認でき、そのどちらとも少し切れ込みが入っており葉っぱの形状をしている。体はクリーム色で、そして額からも葉っぱとも呼べるような緑色の体毛が生えている。間違いなくポケモンの姿であった。

 

シンジはポケモン図鑑を開きそのポケモンの詳細を確認する。

 

『リーフィア、しんりょくポケモン。イーブイの進化形。植物に近い細胞を持ち、光合成をする。争いを好まない性格だが、仲間を守るためならば戦うことを厭わない。』

 

そのポケモンの正体はリーフィアであった。くさタイプのリーフィアはニンフィアと同じくイーブイの進化系であり、主に森の中や川の近くで穏やかに生息している。

 

もしかしたら侵入者である自分たちを追い払いに来たのかと少し警戒するシンジ。しかし彼と目を合わせたリーフィアは、別の方向へと向きなおると静かに歩き始めた。

 

『フィフィア』

「……そうだね、ついて行ってみようか。」

 

そう思ったシンジはニンフィアと共にリーフィアの後をついていく。しばらくついていくと、その先には非常に太い大木があり、その幹には人が入れるほどの穴が開いていた。

 

リーフィアはその穴に入ると、シンジにこちらに来るようにと誘導する。シンジはリーフィアの指示通り大木へと入り、草でできた足場に腰を掛ける。

 

『リフィ』

「えっ?これって……」

 

リーフィアは木の実をいくつか差し出してくれる。どうやら食べて構わない、と言っているようである。

 

シンジとニンフィアはその心遣いに感謝していただくことにした。しかしただで受け取るというのは性に合わないため、リュックからとある食べ物をリーフィアに差し出した。

 

「ほら、これ食べてごらん。」

『リーフィ?』

 

シンジが差し出したのは一般的にクッキーと呼ばれるお菓子であった。人間が作ったお菓子は当然野生のポケモンが口にしたことなどないだろう。リーフィアは見たことのないクッキーに警戒し匂いを嗅ぐ。

 

「大丈夫だよ。ほら、ニンフィア。」

『フィーア!』

 

警戒しているリーフィアを安心させるため、先にニンフィアにクッキーを与えることにする。ニンフィアはシンジに差し出されたクッキーを嬉しそうに頬張る。

 

ニンフィアの頭を撫で、シンジはもう一枚のクッキーを取り出してそれをリーフィアに差し出した。さっきのニンフィアの様子を見て警戒心が薄れたリーフィアは、そのクッキーを口にした。

 

『!?リーフ!』

 

リーフィアはその時初めて嬉しそうにほほ笑む。どうやらシンジの差し出したクッキーがお気に召したようだ。その様子に満足したシンジは、リーフィアのくれた木の実をニンフィアと共に食べる。シンジが美味しいと表情で伝えるとリーフィアも満足そうに微笑み返してくれた。

 

その後、リーフィアは静かにシンジの元へと歩みより、彼の傍で丸くなり眠る。どうやら彼に対して心を許してくれたようである。

 

リーフィアはニンフィアと共にシンジの傍で眠り、シンジもまた2匹の頭を優しく撫でる。2匹は安心しきった様子でそのまま眠り続ける。

 

そして一夜が明けた翌日。シンジとニンフィアが目を覚ますと、そこにはリーフィアの姿がなかった。どこにいったのかと疑問に思ったが、リーフィアは野生のポケモン。野生のポケモンには野生のポケモンなりの生き方があるのだ。

 

せっかく仲良くなれたのに残念だ、と思うシンジとニンフィアだが仕方がないと、明るくなった森を歩き引き続き出口を目指すことにした。

 

そう思い歩き始める二人だが、突如ポケモンの大きな叫び声が聞こえた。一体何がと気になった二人は、叫び声のした方へと走り出した。現場に辿り着くと、そこでは大きなポケモンが小さなポケモン達を虐めている姿があった。

 

『モジャンボ、ツルじょうポケモン。モンジャラの進化形。再生力が非常に高く、腕が食べられてもすぐ再生する。ツル状の腕を器用に扱い木の実をとる。』

 

大きなポケモンの正体はモジャンボであった。モジャンボが襲っているのは小さなむし、くさポケモンたち。野生ポケモンの間でよく起きるいざこざのようだ。

 

野生ポケモン同士の争いとは言え、一度目にしておいてそのまま放置しておくことはシンジにはできなかった。

 

「待って!」

『モジャ!?』

 

シンジは怯えているポケモン達の前に立ちモジャンボの行く手を阻む。モジャンボは突然のことに驚き、立ち止まる。

 

「この子たちも怯えているんだ!可哀想だからこれ以上は!」

『モジャア!』

 

シンジはモジャンボを制止するが、それでもモジャンボはやめようとしない。相当気が立っているのか、それとも何か別の理由があるのか。

 

モジャンボは雄叫びをあげてシンジもろとも襲い掛かろうとする。シンジは身構え、彼を守るためにニンフィアは前に出る。

 

しかしそんな彼らの前に、見覚えのある影が再び降り立った。

 

『リフィ!』

『ジャモ!?』

「リーフィア?どうしてここに……」

 

その影は今朝姿を消してしまっていたリーフィアであった。先日は温厚な態度を見せていたリーフィアだが、今では静かにモジャンボを鋭い目つきで睨みつけている。

 

リーフィアは普段戦うことを好まず平穏に暮らすと言われているポケモンだ。しかし仲間意識は非常に高く、仲間のピンチとなれば全力で戦う。いままさに森の仲間たちに危険が及んでいる。だからこそ彼らを助けるために姿を現したのだろう。

 

『リフ!リフリフィ!』

『ジャンボォ!』

 

リーフィアが説得しようとするもモジャンボは聞く耳を持たず、エナジーボールでリーフィアに攻撃する。リーフィアは額の葉を鋭く尖らせ、エナジーボールごとモジャンボを切り裂いた。リーフィアの得意技、リーフブレードだ。モジャンボはその場に倒れ、戦闘不能状態となる。

 

一撃でモジャンボを戦闘不能にする威力にシンジは「すごい……」と呟き感心する。

 

暫くすると倒れたモジャンボは目を覚ました。リーフィアが呼びかけると、冷静さを取り戻したのかモジャンボはリーフィアに頭を下げて謝った。

 

リーフィアは静かにモジャンボに木の実を渡す。どうやら仲直りの意味を込めて、のようである。モジャンボはその優しい心遣いに涙を流し、喜んで木の実を食べ始める。仲直りは無事成功したようだ。

 

「良かったね、リーフィア。みんなも無事でよかった。」

 

そう言ってシンジがポケモン達に呼びかけると、ポケモン達は笑顔で答えた。しかしリーフィアは、そんなシンジの事を静かにじっと見つめていた。

 

「リーフィア?どうかしたの?」

 

シンジがそう問いかけると、リーフィア皆を見渡す。どうやら彼女はシンジについて行きたくなったようだ。仲良くなったとはいえ昨日であった仲だが、彼がポケモン達を必死で守ろうとした姿に何か感じるものがあったのだろう。

 

しかし森のポケモンたちを置いていくのは心苦しい。そのため、今シンジに着いていくか森を守るかで天秤にかけているようだ。その気持ちに気付いたシンジも、ポケモンたちの事を見渡した。その時リーフィアに対し、モジャンボが立ち上がって声をかける。

 

『モジャ!モジャモジャンモ!』

『リフィ……』

『モジャモジャ!』

 

モジャンボはツタ状の腕で自分の胸をたたく。その様子を見るに『私に任せろ』と言っているように思える。そのモジャンボと一緒に、小さなポケモン達も笑顔で手を振っている。他のポケモン達もリーフィアの事を快く送り出そうとしているようである。

 

『……リフ』

 

そのポケモン達の姿を見てリーフィアは決意が固まったのか、シンジの足元へと近付いてくる。シンジはそんなリーフィアに、一言問いかけた。

 

「……僕と一緒に……くる?」

『……リフィ!』

 

その言葉を聞き、シンジは空のモンスターボールを手にしリーフィアの額にコツンと当てる。モンスターボールが開きリーフィアの姿が吸い込まれていく。数回揺れると、ピコンという音と共にリーフィアのゲットが確定したのであった。

 

「リーフィアゲット、だね!」

『フィーア!』

 

こうしてシンジは、穏やかながら仲間思いの頼もしいポケモン、リーフィアを仲間に迎え入れたのであった。

 

 

 

 

 

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モジャンボの設定的には「トレーナーに捨てられた腹いせ」or「腹が減っていて気が立っていた」辺りが妥当?あんまり深く考えてませんのでご想像にお任せします。
でもその後はポケモン達に木の実をとってあげたり助けてあげたりと、森の中で平和に暮らしているみたいです。

多分ポケモンUNITEの配信日は30日。早くて23日だと思う。ポケモンの発売日の傾向的に金曜日が濃厚な気がする。

さて、じゃあぼく夏ならぬクレヨンしんちゃんのオラ夏買ってきます。

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