ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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二周年記念とか言いながら3週間ほど投稿をサボるヌシです。素直にごめんなさい。

特にオリジナル展開とかはあまり用意してないですが、無能なヌシなりに頑張って書いたので許してください(懇願


掲載二周年記念特別編 後編 ~みんなの物語~

無事にイーブイをゲットすることに成功したシンジとリサ。途中フウラシティに向かうジュンサーを見かけた2人は急いで街まで戻ってきた。

 

フウラシティまで戻ると、そこには人だかりができているのが確認できる。そこには風祭りを楽しんでいるサトシの姿もあり、サトシは戻ってきたシンジを見かけると小走りで近づいてきて話しかけてきた。

 

「シンジ!目的のポケモンは捕まえれたのか?」

「うん、無事にね。それよりなにかあったの。」

 

人だかりの中央ではジュンサーが市長と一緒に何かを話しているのが分かる。サトシに何事かと尋ねると、サトシが何があったのか質問に答えてくれる。

 

どうやら線路にに石が詰め込まれていたり、広場に洗剤が撒かれていたりなど、何者かのいたずらが原因で風祭りが続けられない状態になってしまっているようだ。

 

その時、リサが一人の男性を見つけ「あっ!?」と口にしどこか怒った様子で近寄る。

 

「ちょっとあんた!」

「ん?いっ!?」

 

リサの姿を見た男性、カガチは驚き表情を固めるが、少しリサが一方的に言い争っていると思ったら、周囲の人に聞こえない声でひそひそと話し始めた。

 

「あっ!お姉ちゃんポケモンゲットできたの?」

「ええ、おじさんのおかげでね!」

 

どこか含みのある笑顔でそう言うと、カガチは冷や汗を流しながら苦笑いをしてその場をしのぐ。その後、市長からこの場にいるみんなに今回の件についてあることが発表される。

 

「すみません!現在原因を調査中ですので、解決し次第放送にてお伝えしたいと思います!」

 

視聴から一時的に風祭り中断の宣言がされる。とは言え現在の状況が改善されない限りは風祭りを続けることはできないため仕方のないことだろう。

 

サトシとシンジたちは、今回の事件について詳しく聞くために市長の元に駆け寄り声をかける。

 

「市長!」

「?おお、サトシ君とシンジ君!」

「あっ、サトシ!」

「おっ、ラルゴ!」

 

その時サトシは市長のそばにいたピンクの髪をした少女に声をかける。どうやらサトシとその少女、ラルゴは知り合いのようだ。2人の話によるとサトシがこの街についた時にあることがキッカケで知り合ったようだ。

 

「市長、僕たちも手伝いますよ!」

「本当ですか?それは助かります!」

「ちょっと、僕たちってもしかして私も入ってる?」

「みんなで協力すればすぐ終わるよ。」

「それに早く風祭りを楽しみたいしな!」

 

シンジとサトシの無邪気な明るさに思わずため息をつき、面倒くさいと内心思いながらも仕方がないとリサは一緒に手伝うと決める。

 

今の話を聞いたリリィも自分も手伝うといい、彼女の母親であるミアもリリィと一緒に手伝ってくれるそうだ。一方のカガチは研究発表会に赴き何かしらの用事があるというが、リサの威圧に負けてしまいやむなく手伝うことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、彼らは風祭り再開のために協力して復興しようと努力する。しかしその時、三人組の少年がやってきて何かを口にしていた。サトシとラルゴはこの三人組のことを知っているようだったが、彼らが気になることを喋っていたためそのことについて尋ねてみる。

 

彼らの会話の内容はゼラオラの呪い。昔この土地に住んでいたゼラオラと呼ばれるポケモンが死んだ際、この土地に災いの呪いをかけたのだと言い伝えられているらしい。

 

しかしラルゴは声を荒げ彼らの語る内容を否定する。なぜ否定するのかと気になる尋ねるも、ラルゴは言いよどんでしまう。それと同じタイミングで街中に市長からの放送が流れ、風祭りの再開が宣言される。

 

皆風祭りの再開にワイワイと騒ぐが、カガチただ一人だけ冷や汗を流しながらぶつぶつと言っている姿があった。

 

風祭りの再開に心躍らせるも、カガチはみんなの隙を見てその場を抜け出す。その姿を見たリサは今回の事件に関係があるのではないかと怪しむが、カガチの姪であるリリィは強く違うと断言した。その後シンジとサトシはカガチの後を追いかけようと判断し皆を先導しドードリオに乗ったカガチの後を追いかける。

 

カガチが辿り着いたのは彼が先ほど言っていた研究発表会の会場であった。カガチの後を追っていたサトシたちも、暫くしたら彼に合流し研究発表会が始まった。

 

そこでは緑髪のメガネをかけた少年がおどおどとした様子で皆の前に立っていた。恐らく緊張しているのだろう。そんな彼が研究の発表をしようとスクリーンに画面を映すと、驚くべきことが映ってしまった。

 

それはポケモンゲットレースで行われていた一部始終であった。その画面にはヒトデマンとゲットレース対象のポケモンの姿が映っており、ある人物の視点でモンスターボールが投げられている様子が映っていた。

 

そこに映し出された映像と共に流れていた音声にはある人の声も流出してしまった。それは今壇上に立っている男性の声と、ポケモンゲットレースにて優勝したカガチ本人の声であった。つまりカガチは不正をしてポケモンゲットレースに参加していたというわけだ。

 

その衝撃の真実にショックを受けたリリィがカガチに涙を浮かべて問いかける。リリィの悲しげな表情を見たカガチは言葉に詰まってしまう。大好きな叔父に裏切られたと思ってしまったリリィはカガチに大嫌いと叫び階段を駆け下りる。

 

しかし階段を駆け下りた直後、リリィはその場に座り込んでしまう。元々体の弱いリリィが興奮状態になってしまったため体に負担がかかってしまったのだ。そんなリリィの事が心配になりカガチはリリィに駆け寄った。そんな2人の姿をシンジとサトシはただただ黙って見守るしかできなかった。

 

しかしそんな時、1人のおばあさんの「泥棒!」という叫び声が聞こえた。何事かと気になり皆の視線が集まった先にシンジとサトシが良く見知った顔があった。それはシンジのイーブイ、サトシのピカチュウを付け狙い、各地で悪事を働いているロケット団の姿であった。

 

2人はすぐにその場を同時に飛び出し、ロケット団の後を追いかけるのだった。

 

だがその混乱の中、リサのイーブイが人ごみに巻き込まれて怪我を負ってしまう。そんなイーブイが心配になり駆け寄るリサだが、ポケモントレーナーになったばかりでは何をどうすればいいのかが分からず焦る気持ちだけが込み上げてしまう。

 

しかしその時、先ほどまでおどおどしていた緑髪の少年がまるで別人のように率先してイーブイの容態を確認する。少年はパートナーであるラッキーにいやしのはどうを指示し、イーブイの応急処置をする。一先ずはこれで大丈夫だと判断した彼らは、ジョーイに診てもらうために急いでポケモンセンターへと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました。まだ足のケガは完治していませんが、しばらく安静にしていれば大丈夫ですよ。」

「ありがとうございます!ジョーイさん!」

 

その日の夜、リサはジョーイからイーブイを預かりイーブイに具合を尋ねる。イーブイは少しだけ笑みを浮かべ、リサの言葉にしっかりと頷き大丈夫だと伝える。

 

先ほどの一件でリリィに会いに行っていたカガチが部屋から戻ってきた。そんな彼から見られたのは普段の陽気な彼とは違い明らかに落ち込んでいる姿であった。

 

「リリィちゃんは?」

「今はぐっすり眠っている。一日騒ぎすぎて疲れてたんだろう。元々体が強くなかったからな。」

「ごめんなさい。僕のせいで……。」

「いや、俺が嘘ばかりついてたからだ。」

 

緑髪の少年、トリトがそう尋ねてカガチが答えた。その後、ポケモンセンターの自動ドアが開きロケット団の後を追っていたサトシとシンジが入ってくる。

 

「どうでしたか?」

「ごめんなさい。2人で手分けして追いかけていたんですが……」

「途中で見失って逃げられてしまいました。」

 

トリトの質問にサトシとシンジは申し訳なさそうにそう答える。その後、リサが抱えていたイーブイのケガにシンジが気付き、彼女にそのケガはどうしたのかと尋ねる。

 

リサは2人にケガの経緯を伝える。足を捻らせてしまったようで未だ後ろ足を痛めているイーブイを心配し、シンジとシンジのイーブイが心配そうに尋ねるが、2人は笑顔で安静にしていれば大丈夫と答える。

 

「……今日はもう遅い。みんなも疲れたろう?今日はもう休もう。」

 

この中で最も年配のおばあさん、ヒスイの言葉に全員が頷き今日は一先ず休むことにした。今日は色々と騒ぎ続きであったためみんなの顔から疲労の色が伺える。それを察した彼女の配慮であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、今朝早くにリサがシンジたちの部屋を尋ねてくる。シンジがそれに応対すると、リサは外がなんだか騒がしいという。シンジは未だぐっすりと寝ているサトシを起こし外の様子を確認に出る。

 

すると風の街であるはずのフウラシティに明らかな異変が起こっていた。それはフウラシティ全体の風車が止まっているのである。

 

伝説のポケモンルギアから風を授かっているはずのフウラシティでは風が止まるといったことはそうそう起こるものではない。何かの原因があるのは明白であった。それらを追求するために、シンジたちは市長のもとへと行き尋ねることにした。

 

シンジたちが向かったのはみんなが集合している広場であった。広場には街に伝わる聖火台があり、原因としたらそこに何かしらの異常があるからに違いないと踏んでの行動だ。

 

予想は的中し、その場にいた市長と昨日であったおばあさんのヒスイは聖火台にあるはずの聖火になんらかの異変があるのだといった。シンジとサトシはその原因を調べるために聖火台まで上ることにした。

 

三人が聖火台に上ると、そこにあるはずの聖火が無くなっていた。誰かが持ち去ったのだと考えられるが、その場には証拠と呼べるものが見当たらなかった。どうするべきかと悩むシンジとサトシだが、イーブイとピカチュウが周辺の匂いを嗅ぎ始め2人に道を指し示す。

 

高いところが苦手だと終始腰を落としていたリサを連れ、2人は聖火台から降りピカチュウとイーブイの後を追う。するとそこには昨日知り合った少年であるトリトと、彼が連れているポケモン達の姿があった。ピカチュウたちが辿り着いたのはトリトの連れているポケモンの一体、ドーブルであった。

 

リサはもしかしたらドーブルが犯人なのかと尋ねるが、ピカチュウとイーブイ、それとドーブルは犯人だということを否定する。未だ疑問を感じているトリトに現状の説明をすると、ピカチュウたちにドーブルのインクに釣られてやってきたのかと尋ねる。ピカチュウとイーブイはトリトの答えに頷くと、一行はトリトを連れ再び聖火台へと戻る。

 

トリトが原因となるドーブルのインクについて説明する。ドーブルは自身のインクを縄張りに付けて誇張する。それを改良した薬剤は透明だが、トリトの取り出した懐中電灯のようなものを地に照らしてみる。するとそこに現れたのは小さな足跡であった。恐らくサイズ的に考えて子どもの足跡だろう。

 

サトシとシンジ一行は足跡を追いかけ逃げたであろう犯人の元へと急行するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フウラシティから少し離れた山に2人の男の影があった。その男たちはポケモンたちを捕獲用のネットで捕らえ高く売れるとニヤニヤと笑っていた。

 

そんな男たちの一番の目的は、少し前に聞いたレアなポケモンであった。つい先日のカガチの発言によりそのレアなポケモンがこの近くに存在しているという噂が流れたため彼らのようなポケモンハンターが金のために動いてしまっているというわけだ。

 

噂の超レアなポケモンが見当たらないとボヤキながら彼らが歩いていると、建物が廃墟のような場所に出た。そこからピンク髪の少女、ラルゴが姿を現す。

 

「あれ?おじさんたちどうしたの?」

「やあ嬢ちゃん。このあたりに珍しいポケモンは見かけなかったか?」

 

ラルゴは男性の質問にしばらく悩むそぶりを見せて、明後日の方角へと指を指す。

 

「見た見た!」

「ホントか!?」

「うん!あっちの方で見たよ!あんなポケモン見たことないもん。」

 

男性はラルゴの言葉を信じてそちらの方角へと歩いていく。しかしその時、何かが動く物音がした。その場所へと目をやると、そこには慌てた様子のヒメグマとメタモンがいた。

 

彼らの目的とは違うポケモンであろうが、両者とも珍しいポケモンに違いなかった。男たちはそのポケモンたちを捕まえるためにモンスターボールを構える。

 

「待って!珍しいポケモン捕まえに行かなくていいの?早くしないと逃げちゃうよ!」

 

そんなラルゴの忠告もお構いなしに男たちはパートナーのヘルガーとニューラを繰り出す。そしてその二体の攻撃が容赦なくラルゴに迫った。

 

ラルゴは危険だと感じ咄嗟にヒメグマたちを守ろうと庇う。しかし一向にラルゴたちを襲う痛みはやってこない。ラルゴが恐る恐る目を開けると、そこには彼女を庇うゼラオラの姿があった。

 

「おいおい、なんだあのポケモン?あんなん見たことねえぞ?」

「やっと見つけたぜ!レアなポケモン!」

 

男たちはようやく見つけたポケモンの姿に興奮する。ゼラオラはそんな卑劣な人間たちに憎悪の怒りをあらわにする。その姿には長年抱き続けた人間たちへの怒り全てが込められているようにさえ感じさせる。

 

男たちはゼラオラを捕獲するために自分のポケモンたちに襲い掛からせる。ゼラオラはそんな人間たちに必死の抵抗を見せる。

 

伝説に伝わるゼラオラはかなり強力な力を所有していた。しかしケガを負ってしまい本来の力を出し切れないゼラオラは次第に押し切られてしまいラルゴの目の前で倒れてしまう。ラルゴは必死に呼びかけるものの、ゼラオラからの返事はない。

 

「手こずらせやがって。」

「だがこれでゲットだぜ!」

 

男たちは捕獲用ネットを発射する。もうお終いかと思ったラルゴだが、そのネットを二体の影が破ったのであった。

 

そしてラルゴの目の前に立ったのは2人の少年、シンジとサトシであった。ネットを破り捨てたのは、彼らのパートナーでもあるイーブイとピカチュウだったのだ。

 

「よく頑張ったな、ラルゴ!」

「あとは僕たちに任せて!」

「サトシ!シンジ!」

 

頼もしく感じた2人の背中に、ラルゴは再び希望を持つことができた。その後、他数名の人間がその場に駆けつけてくれたのだった。

 

「!?ラルゴ!」

「あ、お、お父さん!?」

 

ラルゴの父親でもありフウラシティの市長でもあるオリバー、そしてリサにトリト、それからヒスイであった。

 

市長が男たちにこれ以上の行為に対しての注意勧告をすると、男たちはポケモンたちを戻しその場を急ぎ立ち去っていく。

 

追いかけようとするリサであったが、ヒスイが深追いは禁物と抑止した。トリトが先ほど使ったライトを使用すると、足跡の正体がラルゴのものであることが分かった。つまり聖火を盗み出したのはラルゴだったというわけだ。まさかの結末にサトシとシンジは驚きを隠せない。

 

なんとなく察しがついていた市長は、ラルゴに近づき屈み今回行った過ちをきく。

 

「……お前がやったことがどれだけ大変なことか、分かっているね?」

 

ラルゴはなぜこのような行為に至ったのか白状する。

 

最初にゼラオラと知り合ったのはこの付近でポケモンたちと遊んでいた時であった。突然崖の岩が崩れ、ラルゴたち目掛けて落ちてきた。本来であればケガでは済まない事態になっていただろう。

 

しかし、ラルゴたちのピンチを救ったのがここにいるゼラオラである。どこからかやってきたゼラオラは落ちてきた岩を受け止めラルゴたちを助けたのである。ゼラオラは死んだと聞かされていたラルゴは驚きを隠せなかった。

 

だがその時にゼラオラは大きなケガを負ってしまう。ラルゴはその時のお礼も兼ねて、ゼラオラを守ってあげようと決意したのだ。

 

先日、カガチの言った言葉であるレアポケモンの存在が主な理由だそうだ。レアポケモンの存在が知られれば、ゼラオラが人間たちに捕まってしまう。それを恐れ風祭りを中止にすることでゼラオラの存在を隠そうと考えたのだ。

 

今回の一件が収まれば、またひっそりと聖火を元に戻すつもりだった。しかしこれだけ大ごとになってしまってはこれ以上隠すことはできないし、自分が犯してしまった過ちも消すことはできない。多くの人に迷惑をかけてしまい済まないと謝るラルゴ。

 

だがそんなラルゴを市長は咎めようとはせず、ある出来事を語ることにする。その内容は、フウラシティの人々がゼラオラの存在を隠ぺいした理由であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつてゼラオラはここのポケモン達を率いて仲良く暮らしていた。ポケモン達もゼラオラの事を慕っていた。

 

しかし人間は、更に豊かな暮らしを求め続けた。その結果、50年前の山火事が発生してしまったのだ。

 

ポケモン達の事まで目がいかなかった人間たちだが、ゼラオラだけはポケモン達のことを見捨てなかった。人間たちのせいでポケモン達の住処が無くなり追いやられてしまったのだと判断したゼラオラは、次第に人間たちの事を嫌う様になってしまった。

 

その後、ゼラオラの噂を耳にした人間たちはゼラオラを捕まえようとこの地を訪れた。それが原因で、人間たちはゼラオラの信頼を失ってしまったのだ。

 

先代の市長たちは、二度とゼラオラに関わらないようにするために嘘をつくことを決めた。それこそが子供たちの話していたゼラオラの呪いである。衝撃の真実を知った一行は、驚かずにはいられなかった。ただ一人、その真実を知っていたヒスイだけが、市長の話を静かに聞いていた。

 

しかしその真実が明らかになった時、爆発音が聞こえ大きな振動と共に最悪の災害が訪れることとなってしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだ!?」

 

全員が一斉に爆発音の聞こえた方を眺める。するとそこには辺り一面を覆いつくすほどの黒い煙が広がっていた。それを見たトリトは、尋常ではない程の冷や汗を流し、彼の表情を見るだけで非常事態だという事はすぐに分かった。

 

また、その非常事態と同時に上空を飛んでいたポッポたちが次々と弱っていき地上に落ちてしまう。トリトはそんなポッポたちを助けるために、パートナーであるラッキーに指示を出しアロマセラピーで回復をはかる。

 

アロマセラピーはポケモンの体力ではなく、状態異常を回復させる技だ。その技の効果を知っていたシンジは、自分の考えた推測をトリトに尋ねようとする。

 

「トリトさん。もしかしてあの煙って……」

「……はい。あれはポケモンの特性“ほうし”を元にして作ったものです。」

「それって胞子の薬剤……ロケット団が盗んだ!」

 

ポケモンの特性であるほうしは、触れた相手を稀に麻痺状態にしてしまう特性の事だ。あの煙は

ほうしの濃度を上げたもので、触れたり吸ったりしてしまえばポケモンだけでなく人間たちも毒に犯されてしまい重度の麻痺状態となってしまうのだそうだ。

 

「ど、どうしてそんな危険なものを?」

「研究の結果、あの薬剤は人間に病気に効果があることが分かったんだ。」

 

リサはその薬剤を作った原因を尋ねるとトリトはそう答える。毒や薬にもなる、という言葉があるように、胞子も使い方次第では人間にも効果がある薬にもなるという事だ。

 

結果的にではあるが、これは50年前の山火事と同じ人間の過ちによって再発してしまった事故である。より快適な利便さを求めた人間の末路という事なのだろうか。

 

ロケット団が盗んだ薬剤をばら撒いたのか、はたまた事故で暴発してしまったのかは不明だが、このままでは街中が大パニックとなってしまい事態は一刻を争うだろう。

 

だがこうして黙っていてもなにもはじまらない。そう考えたサトシは数歩前に出て、みんなの方へと振り向き宣言した。

 

「俺たちで、フウラシティを守るんだよ!」

 

でもどうやって?というリサの疑問に皆も同意する。これだけの大災害をたった数人の人間の力でどうやって止めればいいというのだろうか。

 

「俺たちにはポケモンたちがいる!傍にいるだろ?」

 

ここにいる皆がサトシの言葉にハッとなり自分の傍に当たり前のようにいてくれる大切な存在、ポケモンの姿が目に映る。

 

そうだ。今まで自分たちと共にいてくれたポケモンたちが傍にいる。なぜこんな当たり前の事に気付かなかったのだろうか。

 

「……そうだね。相変わらずだよ、君は。」

 

そう言ってシンジもサトシの横に立ち皆の方へと振り向いた。

 

「僕たちの隣にはポケモンたちがいる。ポケモンたちがいればなんだってできるんだ。」

「だってそれが……」

 

2人は目を合わせ、息を合わせるかのように同時に声を発した。

 

『ポケモンパワーだ!』

 

「ハハハ!なによ2人してポケモンパワーって!」

 

涙を浮かべ笑うリサ。確かに2人の言っていることは無茶苦茶で言葉だけ聞いたら意味が分からない。だがそれでも心の中ではその意味が分かってしまう自分もいる。だからこそ自分も彼らに少なからず影響されているのだという事に気付き笑わずにはいられなかったのだ。

 

リサだけではない。ラルゴや市長、トリトにヒスイ。この場にいる全ての人間が2人の言葉に納得していた。

 

ならばこうしてはいられない。みんなで協力してこの事態を収束に導くのだと決めたのであった。

 

とは言えそう簡単にものではないことは誰に目にも明らかだ。まずは個人個人での役割を決める必要がある。

 

まずはトリトがこの状況の打開策を考える。ポケモンの特性“しぜんかいふく”を利用した薬剤を作ることができればあの煙をどうにかすることができるかもしれないと考える。

 

しかしたとえ作ることができたとしても、それを街中にばら撒く手段がない。そこでヒスイが一つの提案をする。それは風を使うことである。

 

しかしルギアがいないこの状況でどうすればいいのか?そう疑問に思うものたちにヒスイは古びた風車の施設を起動させればいいと告げた。

 

ヒスイ曰く、あの施設はヒスイ自身が作ったものであり、あれを起動させることが出来さえすれば薬剤を街中にばら撒くことも容易いとのことだ。

 

目的は決まった。まずトリトが胞子の薬剤を止めるための新たな薬剤を仲間たちと作る。それをヒスイが動かす施設によって街中にばら撒きこの騒動を収めるということだ。

 

市長は今回の事態の対応をフウラシティに戻り皆に伝え、混乱を少しでも抑える。そして残ったサトシ、シンジ、リサ、ラルゴの四人でゼラオラを含む弱ったポケモンたちの手当てをする。トリトによると薬剤の煙は比重が重いため、高いところであれば安全だそうだ。

 

サトシたちはトリトからポケモン用のキズぐすりを貰い早速ポケモンたちの治療に取り掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、これで大丈夫だよ。」

「へえ、ポケモンの応急処置になれてるのね。」

 

シンジがキズぐすりと万が一のために備蓄していた木の実を併用しポケモンの体力と状態異常を治していく。リサはそんなシンジの姿に感心を覚える。

 

「いざというときのためにある程度自分でできるようにしてるんだ。結果的に役に立ってよかったよ。」

 

シンジとサトシたちがこの場にいる殆どのポケモンたちのケガと症状を治していくと、今まで気を失っていたゼラオラが目を覚ます。しかし、ゼラオラは先ほどの一件の事もあり目を覚ました直後にシンジたちを警戒し距離を離す。

 

「ゼラオラ!私たちはあなたに何もしない!だから!」

 

ラルゴが必死にゼラオラを説得しようと試みる。しかしゼラオラは一向に警戒を解こうとしない。その時の遠くで更なる爆音が聞こえる。

 

ゼラオラはその爆音からポケモンたちの危険を察知し、体を稲妻へと変えてすぐさま飛んでいく。ラルゴは慌ててゼラオラの後を追いかける。

 

「サトシ!」

 

シンジはサトシに呼びかける。シンジはサトシに首を縦に振ることで答えると、シンジの意図を理解したサトシはラルゴの後をすぐに追いかける。シンジはそのサトシの背中を見送ると、リサに近づき口を開いた。

 

「リサ」

「え?なに?」

「……あの聖火をフウラシティの聖火台まで持っていくんだ。君の足で、ルギアを呼ぶんだよ。」

「!?無理だよ無理!そんなのできるわけない!」

 

シンジの頼みにリサは全力で否定する。以前足にケガを負ってしまって以来自分の足で走ったことのないリサには、その時の恐怖から走ることを自然と拒んでしまう。しかし、それでもシンジはあきらめようとはしなかった。

 

「これはリサにしか頼めないことなんだ。ここから聖火台までかなりの距離があるけど、この距離を走って聖火を届けられるのはリサしかいないんだ。」

「そ、そんなの……無理だよ。だって私は……。」

 

シンジの必死の説得にリサは心が揺れながらも否定し続ける。そんなリサの姿を見た彼女のイーブイが彼女の腕から飛び降り、聖火を咥えてリサの元まで必死に運ぶ。かつてのリサのように足にケガを負いながらも。

 

「どうして?どうしてそんなに頑張れるのよ!」

『ブイ!』

 

リサは涙を流してそう問いかける。イーブイはただリサに笑顔で答えるだけであった。ただそれだけなのに、イーブイが訴えたいことが自分に伝わった気がした。

 

「ポケモンと一緒なら、どこまでだって行ける。」

「シンジ……」

「前にも言ったよね?リサもイーブイと一緒にいれば絶対また走れるようになるって。」

『イブブイ!』

 

シンジのイーブイもリサにエールを贈る。イーブイを捕まえたとき彼に言われたこと。リサはその言葉を思い出す。あの時はそんな簡単にいくわけがないと笑い飛ばしていたのに、今では寧ろその言葉が信じられる気がした。

 

リサは覚悟を決めた顔で髪留めを使い邪魔にならないように髪を後ろで留める。そして走りやすいようにその場に靴を脱ぎ捨て、イーブイを抱きかかえて聖火を手にする。

 

「シンジ」

 

リサはシンジの名を呼ぶ。シンジはそんなリサの顔を無言で見つめ見守っていた。

 

「私、今まで現実から逃げてばかりだった。でもあなたとイーブイのお陰で分かったんだ。逃げてばかりじゃダメだってことに。」

「リサ……」

「見てて。私は一歩踏み出して見せる。だって、これが……」

 

リサはクラウチングスタートの態勢をとる。

 

「イーブイ。しっかり掴まっててね。」

 

肩に乗るイーブイにそう伝える。そしてリサは最後の決め台詞を吐きスタートの合図にする。

 

「……これが私の、ポケモンパワー!」

 

リサはそう言ってスタートを切る。以前全国クラスの陸上部選手であったというだけあり、その姿はどんどんシンジの目から遠ざかり小さくなっていく。

 

彼女の覚悟を見届けたシンジは、リサなら絶対に大丈夫だという確信を得て、ここからは自分のするべきことをやろうとサトシたちの元へと急行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サトシ!」

「!?シンジ!」

 

シンジがサトシの元へとたどり着くと、そこには既に傷だらけのピカチュウとゼラオラが戦っている姿があった。

 

ゼラオラはシンジの声を聞くと、一時的に戦闘を中断する。しかし彼の表情から、憎むべき人間がまた増えたかという憎悪の感情が伝わってくる。今の彼は完全に憎しみに囚われている。

 

無理かもしれないが、可能性がゼロじゃない以上、シンジはゼラオラに説得を試みる。

 

「ゼラオラ、人間のこと、今でも信用できないんだよね?」

『・・・・・・』

 

ゼラオラはシンジの言葉に無言の圧力をかける。電気の火花がゼラオラを包みいつでも攻撃の態勢に移れるであろう状態だ。シンジが危険だと感じたイーブイは、シンジの前にでて守ろうとする。

 

「イーブイ、僕なら大丈夫だよ。」

『イブ?』

 

シンジの言葉に疑問符を浮かべるイーブイだが、パートナーがそういうのであれば信じないわけにはいかないとイーブイは一歩引き警戒を解く。サトシもシンジの事だからなにか考えがあるのだと思い見守っている。

 

「……信じることができないんだったら恨めばいいよ。僕も君の嫌いな人間だから。でも、キミのことを助けた女の子だけは信じてあげてほしいんだ。ただ一人、キミの味方でいてくれたんだから。」

『!?』

 

シンジの言葉で明らかに心が揺らいだ様子を見せるゼラオラ。それでも人間はみな信用することはできないと自分の信念を貫くためにそう言い聞かせ、自分の腕に稲妻の力を蓄電させる。

 

その力を思いきり地面に解き放つ。ゼラオラの専用技であるプラズマフィストだ。その攻撃はサトシとシンジ、ラルゴを目掛けて貫くはずであった。しかしケガを含め余力が少ないゼラオラの攻撃は対象からそれてしまい、近くにいるポケモンたちの元へと向かってしまう。それに慌てゼラオラは駆けつけようとするも思う通りに体が動かない。

 

そんなゼラオラよりも先に動いたのはサトシとシンジだ。サトシはポケモンたちの正面に立ち、ポケモンたちを庇う。シンジはゼラオラの攻撃を背にし、ポケモンたちを覆うように庇った。

 

ゼラオラの攻撃を受けたサトシは仰向けに倒れ、その際に発生した衝撃によってシンジもまたうつ伏せでその場に倒れてしまっていた。

 

「サトシ!シンジ!」

『ピカピ!?』

『イブイ!?』

『!?』

 

あまりの衝撃に慌てて近づくラルゴと心配になって焦るピカチュウとイーブイ。彼らの声に反応を示さない2人だが、守ったポケモンたちに顔をペロリと舐められると、2人がくすぐったさに笑顔を浮かべそのまま起き上がる。

 

「今回は何とか無事で済んだね。」

「ああ、少しヒヤッとしたぜ。」

「もう!ヒヤッとしたぜ、じゃないわよ!心配したんだから!」

『ピカチュ!』

『イブイ!』

 

ラルゴの言葉にごめんごめんと謝るサトシ。そんな2人にパートナーのピカチュウとイーブイは涙を浮かべて飛びついた。2人の覚悟とポケモンとの絆を見せられたゼラオラも、2人の傍に近寄り手を差し出す。

 

「ゼラオラ?」

「……分かってくれたのかな?」

 

サトシとシンジは差し出されたゼラオラの手を掴み立ち上がる。するとゼラオラは2人の心に答えるように初めて人間に微笑みかけたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼラオラと和解することに成功したシンジとサトシたち。ラルゴやゼラオラを含むポケモンたちと共に協力し、あの時のように発生してしまった山火事の消火活動に当たっていた。

 

その途中、空から鱗粉のようなものが街や山全体を包み込む。この粉は間違いなくトリトの言っていた自然回復の薬剤だ。その証拠に、先ほどまで街に見えていた黒い煙は見る見ると消えていく。彼らの方も無事作戦が終了したようで、体調が悪くなっていたポケモン達も元気を取り戻していく。

 

しかしこちらはと言うと、ゼラオラと協力してもなお山火事の勢いは収まる気配がない。シンジの言うようにリサがルギアを呼ぶまで抑えることができればいいのだが、このままではさらに勢いが増すばかりである。

 

このままでは厳しいのではないかと思った矢先、他の人間たちの声が聞こえる。振り向くと、そこには大勢の人間を引き連れた市長の姿があった。ゼラオラは人間たちの姿を見て、即座に警戒態勢に入る。やはりラルゴたちの事を信用することはできても、すべての人間に同じ感情を向けることはできないのだろう。

 

ラルゴはそんなゼラオラに呼びかけ抑止させる。未だ警戒を解くことのないゼラオラに市長は無言で頭を下げることで自分の意を示す。その後、連れてきた他の人間たちに指示を出し、トリトやヒスイ、そして彼らの協力をしていたカガチらも含み消火活動に全力で取り組もうとしていた。

 

その姿をみたゼラオラは、先ほどまで纏っていた殺気をしまう。自分たちのことを狙っていた以前の人間たちとは明らかに違うということが分かったのだろう。そんなことを思うゼラオラにラルゴはこう告げた。

 

――前にサトシとシンジが言っていたの。人の傍にポケモンがいるから、人はどこまででも頑張れるって。それってさ、逆もそうなのかな?

 

その言葉にゼラオラは考えさせられる。人の傍にポケモンがいれば人は頑張れる。であればポケモンの傍に人がいればポケモンたちもまた頑張ることができる。以前は考えもしなかったことだが、それは今の自分でも当てはまることができるのだろうかと。

 

この場にいるすべての人間が消火活動に懸命に取り組んでいる。電気ポケモンと一緒にスプリンクラーを作動させるために止まった電気を発電する者、水ポケモンと一緒にバケツに水を汲み消火する者、50年前には見られなかった光景がゼラオラの目に映っていた。

 

懸命に消火活動に取り掛かってくれる人間たちに危険が及んだ時、ゼラオラが助けてくれた。ゼラオラの心にもラルゴやサトシ、シンジだけでなく他の人間たちも信用してみようという心が芽生えたようだ。

 

その後、人間とポケモン達の協力によって施設のスプリンクラーが作動する。これでこの周辺の火災だけでも収束させることが出来るであろう。

 

人間とポケモン達の協力の元、大きな事件が収束に向かっていることを実感したラルゴはサトシの元へと駆け寄る。しかしその時に悲劇が起こってしまう。

 

施設の上に建ててある鉄塔が火災による被害に耐えられず折れてしまい、ラルゴの上へと落ちてきてしまう。それに気付いたサトシはラルゴを守るために彼女に近づき庇う。

 

だがその鉄塔はラルゴとサトシの元へと落ちることはなかった。なぜならその鉄塔は、ゼラオラによって支えられていたのだ。

 

ゼラオラはその鉄塔を元の場所へと戻そうと力を振り絞る。しかし今までのケガや疲労もあり中々持ち上げることが出来ない。

 

そんなゼラオラにラルゴを始め、この場にいる人間たちが声を張り上げゼラオラに声援を送る。あれだけ憎み嫌っていた人間からの声援を受け、ゼラオラは不思議と限界以上の力が湧き上がる。刹那、ゼラオラの脳裏には、先ほどのラルゴの言葉が繰り返される。

 

人間の傍にポケモンがいれば人間はどこまででも頑張れる。逆もそうだろうか。今ならゼラオラもその言葉の意味が分かると感じる事ができた。

 

ゼラオラは大きく咆哮を上げ更に力を引き上げる。体中が悲鳴をあげているが、それでもなお力を緩めようとしない。結果、ゼラオラは鉄塔を元の場所まで戻すことに成功した。

 

しかしその時、ゼラオラは力尽きてしまい地上まで転落しはじめてしまう。このままでは今のゼラオラでは無事では済まないであろう。

 

そんな彼を救うため、野生のポケモンたちが技“わたほうし”を使用しゼラオラの転落地点にクッションを作る。ゼラオラはその柔らかいクッションに助けられ無事に済んだ。

 

いつも助けている弱きポケモン達に、今度は逆に助けられた。不思議な気分だが、助け合うのも悪くないとゼラオラは自然と心配で近寄ってきたラルゴに笑みを浮かべるのであった。

 

その後、地上には雨が降り注いだ。突然の雨に喜びと戸惑いを感じた人々は空を見上げる。するとそこには伝説のポケモン、ルギアの姿があった。

 

ルギアの姿を見た人々は興奮し、シンジはリサが遂にやり遂げてくれたのだと確信することが出来た。聖火が戻ったことで、街にも風が再び吹き、事態は収束を迎えたのであった。長年人間がついてきた嘘に終止符を打ち、新たな一歩を踏み出したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ゼラオラを隠す掟を撤廃すると宣言した市長。何もかもが元通り、いや、良き方向に進み人間とポケモンたちが共に協力し前へと進むことを決意した。

 

風祭りも無事再会し、全ての人、ポケモンたちは変わった。そしてシンジとサトシは、今回経験したことを糧とし、自分たちも前に出ようと再び旅に出るのであった。

 

一方その時、とある近くの病院では。

 

「という事で、フウラシティは――」

「ちょっとリクくん!」

「!?ね、姉ちゃん!?」

「どうして私の居場所が分かったのか……正直に答えなさい!」

「あっ、いや、そのサングラスハイテクでさ……。風祭りの情報とか欲しいなって……。あっ、それより!」

「?なによいきなり」

「姉ちゃん、あのシンジって人とはどうなの?」

「え?」

「あんなものまであげちゃってさ。もしかして姉ちゃん……」

「!?///こ、こらリク!姉ちゃんをからかうんじゃない!」

「ご、ごめんなさーい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハックション!」

「おい、シンジ?大丈夫か?」

「あ、うん。大丈夫大丈夫。」

「ん?シンジの握ってるそれってネックレスか?」

「うん。風祭りの後にリサから貰ったんだ。今回世話になったお礼だって。」

「へえ~。よかったなシンジ!」

「うん。」

『ピカピカチュウ!』

『イブイブ!』

「……なあ、シンジ」

「なに?サトシ」

「次はどんなポケモンに出会えるかな!」

「……ふふ、楽しみだね!」

「ああ!行こうぜピカチュウ!」

『ピカチュウ!』

「行こう!イーブイ!」

『イーブイ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界には不思議な不思議な生き物が存在している。空に、森に、海に、街に、至る所でその姿を確認することが出来る。共に笑ったり、泣いたり、怒ったり、仕事をしたり、遊んだり、時に喧嘩したりすることもある。それでも人間たちと協力し、いつまでも仲良く暮らしていた。

 

この世界に無数に存在しているその生き物の名は、ポケットモンスター。縮めて、ポケモン。ポケモンの数だけの夢があり、ポケモンの数だけの冒険が待っている!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-THE END-




恐らくキミにきめたに比べて文字数が少なくなってしまった理由は、あっちに比べると色んな人の視点で物語が進む関係上省いている部分が多くなってしまっているのが原因かと思われます。映画見ていない方は絶対に面白いので本編を見ることをオススメいたします。

書いてる途中でリーリエの話が無性に書きたくなってしまったりしました。次回には間に合うように努力します。

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