ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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14日がバレンタインだと気付き急遽火曜日に書き上げました。正直バレンタインとか貰った記憶がママンから貰ったポケモンチョコぐらいしか記憶にありません。主はポケモンチョコか、きのこの山orたけのこの里さえもらえれば満足ですが。実際にどっち派なのかは、ここで“きのこたけのこ戦争”が勃発してしまう可能性があるため伏せておきます。

と言うわけで今回はバレンタイン回と言うことでリーリエ視点のみで進行します。そして二人が取り敢えずいちゃつきます。偶には甘い展開もいいんでね?(適当


バレンタイン特別編 ~甘い甘い思い出~

こんにちは、リーリエです。私は今、これまでになかったほどに悩んでいることがあります。正直に言えばジム戦前の緊張感の方がマシだと思えてしまいます。その理由は明日の日付に関係しています。それは……

 

「……明日は2月14日……ですね。」

 

明日は2月の14日です。そう、一般的にバレンタインデーと呼ばれる日です。私は今までバレンタインデーと言うものが何なのか知りませんでした。しかし昨日突然、シンジさんとカントーを旅している途中にお母様から連絡があり……

 

『そう言えばリーリエはバレンタインどうするの?』

 

……と言われました。その時私は初めてバレンタインと言う日を知り、同時にどう言った行事を行うのかを知りました。名前だけを聞いたときは目がメタモンさんになりましたが、内容をお母様に尋ねると思わず顔がオクタンさんのように赤くなった気がしました。同時に顔が熱くなったようにも感じました。

 

バレンタインデーとは、女の子が好きな男の子にチョコレートを渡す日、だそうです。内容を知れば、私がバレンタインの事を知らなかったのかは仕方がない事なのかもしれません。自分で言うのもなんですが、お母様がウツロイドさんの神経毒にやられてしまってからは、シンジさんに出会うまでお嬢様育ちをしてきて世間の事を全く知りませんでした。その上えっと……その……好きな人も出来たことがありませんでした///

 

そんな私とは縁のない日だったはずなのに、今年はシンジさんがすぐ傍にいて下さって、そのシンジさんの事を私は好きになってしまっているのです。なので今年は絶対にチョコレートを渡して感謝の気持ちを伝えるべきだと考えました。終始お母様からはニヤニヤした表情でからかわれてしまいましたが、最後にはちゃんと激励の意味も込めて『がんばりなさい』と一言貰ったので頑張ろうとは思います。

 

とは言え、今回が実質的に私の初めてのバレンタインなので不安な気持ちで一杯です。念のためにグラジオお兄様にも相談しましたが、『アイツなら大丈夫だろう』と参考になりそうもない言葉だけいただきました。それにしてもお兄様はいつまであのポーズをとり続けるつもりなのか正直疑問に思います。

 

少し話が脱線してしまいました。私はシンジさんにお料理を少し教わったので多少のお料理は可能だとは思います。しかし、チョコレートのようなお菓子は少々勝手が違うと思いますので、作れる自信は皆無です。頼りになれる人と言えばシンジさんです。けど、シンジさんに渡すチョコレートを本人に聞いてしまっては本末転倒ですのでそれは避けなければなりません。世間一般では義理チョコと言うものもあるそうです。昔の私ならお店のチョコレートを買って渡していたかもしれませんが、それだとシンジさんに義理チョコだと思われてしまう可能性があります。それもやっぱり避けたいです。それに手作りのチョコレートの方が気持ちがこもるものだと思います。

 

やっぱりここは自分でチョコレートを作るべきなのでしょう。シンジさんには日頃お世話になりっぱなしです。少しでもシンジさんに恩返ししたいですし、何より私の気持ちもシンジさんに伝えたいです。少々難易度が上がるかもしれませんが、自作のチョコレートを作ってシンジさんに渡すのが最適ですね。がんばリーリエです!私!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで私の所に来たと?」

「は、はい///」

 

私は今シンジさんと旅の途中に立ち寄ったハナダシティにいます。近くまでやってきたので、ついでに寄っていこうかと言うシンジさんの提案でした。私も急ぎでチョコレートの作り方を誰かに教わらなければならないので都合が良かったです。言い出しっぺのお母様に聞くのが一番かもしれませんが、流石にマサラタウンまでは少々距離がある上に、態々マサラタウンまで行くとシンジさんに怪しまれる可能性がありました。なので立ち寄ったついでにシンジさんと仲の良かったカスミさんに聞けば何か教えていただけるのではないかと思い、ハナダジムまでやってきました。

 

「それは何?彼氏の出来たことのない私に対してのあてつけ?」

「い、いえ!決してそんなつもりは!?」

 

今回の用件をカスミさんに尋ねたら、目を細くして睨まれてしまいました。怒らせてしまったのでしょうか。

 

「冗談よ冗談!全然気にしてないから気にしないで!」

 

カスミさんが笑顔になりそのまま笑い飛ばしてくれました。そのカスミさんの言葉に私は安心して先ほどまでの緊張が取れました。

 

それにしてもカスミさんが彼氏出来たことがないのが少し意外でした。カスミさんはスタイルもシュッとしていてスリムだし、親しみやすくて美人なのでモテると思っていました。これを本人に言うと何故か怒られるような気がするので止めておきますが……。

 

「それでチョコレートの作り方だっけ?」

「はい。私お料理は多少心得ていますが、チョコレートは作ったことがないので……」

「いいわよ、教えても。」

「本当ですか!?」

 

カスミさんの言葉に私は喜びのあまり大声を出して近づいてしまう。カスミさんも戸惑ってしまっていたようで、私はすぐに謝って少し距離を離す。その後カスミさんは、“ただし”と言って更に言葉を続ける。

 

「チョコレートをアイツに渡すのは一人でやること!これだけは必須条件よ!」

「!?は、はい!」

 

カスミさんの勢いに負け、私は慌てて直ぐに返事をしてしまいました。一人で渡すのは正直心細いですが、それでも自分の気持ちを伝えるには一人で行くのが正解ですよね。少々恥ずかしいですが、一世一代の大勝負です。覚悟を決めて必ず成功してみせます。

 

こうして私の初のバレンタインデーの幕が開きました。全力で頑張ります!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先ずは材料の確認ね。」

 

カスミさんの指示で私はチョコレートに必要な材料を買ってきました。今はカスミさんに材料がこれであっているのか確認していただいてる最中です。私は一人でお買い物したのが初めてなので分からないこともありましたが、なんとか帰宅することが出来ました。途中シンジさんとバッタリ出会ってしまい、言い訳をするのに苦労しましたが、なんとか誤魔化すことが出来ました。シンジさんに嘘をつくのは心苦しいですが、今回の件はバレたくありませんので仕方ありません。

 

使う材料はカカオや砂糖といったチョコレートづくりには欠かせない材料のほか、ミルクやバターなどの味付けに重要な素材を購入してきました。一人分ならそこまでの量はいらないだろう、と言うことだそうなので、あまり多めには買っていません。それとシンジさんはどちらかと言えば甘いのがお好きだそうなのでミルクチョコレートを作ろうと思います。

 

「うん。大体はそろったわね。じゃあ早速始めましょう。」

「はい!」

 

私も気合を入れ、自前のエプロンを着用してチョコレートづくりに臨むことにしました。道具はカスミさんが一通り貸してくれるそうなので困ることはないと思います。

 

私はカスミさんの指示に従い、チョコレートを作ることにしました。お菓子作りはお料理とはまた違い、丁寧に作っていかなくては形が崩れてしまうためいつも以上に丁寧に取り組まなくてはいけませんでした。苦すぎず甘すぎず作るために、ミルクやカカオなどの量も上手く調整しなければならなかったので疲れてしまう作業ばかりでした。そして味付けなどが一通り完了し、それらをボウルに入れて次のステップへと向かいます。

 

「じゃあ次はこれね。」

 

そう言ってカスミさんが用意したのはいくつかの型抜きのための道具でした。このまま固めるだけで渡してしまうと手抜きだと思われてしまうかもしれないですし、やっぱり折角なので自分の気持ちを上手く伝えるためには必要不可欠ですよね。

 

「どれでも好きなの選んでいいわよ。サイズが大きいのしかないから一つだけだけどね。」

 

カスミさん曰く、これらは自分のお姉様たちに作ってあげるために用意したものだそうです。毎年バレンタインの日にはお姉様たちに作っているのだそうです。そう言えば私はカスミさんのお姉様を見たことがありませんでした。どのような方かは気になりますが、今はチョコレートを作ることに専念したいため保留としておきます。

 

「えーと……じゃあ……!?」

 

私は一つの型を見た瞬間に目がとまってしまいました。シンジさんに渡すのであれば、この型しかありえないのではないかと心の中で思ってしまったのです。ですがなんだかこれを選ぶのは勇気が……。

 

「どうかした?」

「!?え、えっと!これです!」

「……ふぅん、やっぱりね~。」

 

咄嗟に私は目を奪われた型を選択しました。カスミさんのやっぱりと言う言葉に私は恥ずかしくなって顔を赤くしてしまいます。で、でもなんだかこの型しか選べない気がしました。それにこれでシンジさんが喜んでくれれば、私自身もとても嬉しい気がします。

 

「まあいいわ。じゃあこれで作るわよ。」

「は、はい///」

 

まだ恥ずかしい気持ちが癒えない私を置いて、カスミさんは更に次の工程へと進めていく。私も気を取り直して、チョコレートづくりを進めていこうと再び道具を手に取る。型にチョコレートを注いだ後は、上から同じ型の道具で型抜きをします。後はこのまま冷蔵庫で保管すれば完成するそうです。後日には綺麗に仕上がっていると思います。

 

「後は包むための袋ですね。」

「そうね。折角あの形にしたなら、包む袋も同じにしたらどう?」

「え///」

 

カスミさんの言葉に思わず再び顔を赤くしてしまいます。でも渡す前からあの形だってわかったら恥ずかしい気持ちが先に来てしまいますよ///

 

「何を今更恥ずかしがってんのよ。それに、気持ちを伝えるならその方が一番手っ取り早いって。」

 

確かにカスミさんの言う通りかもしれません。恥ずかしい気持ちも勿論ありますが、やっぱり一番はシンジさんに喜んでほしい。何より自分の気持ちも伝わってほしいと言う気持ちの方が強いです。ここはカスミさんのアドバイス通りにしようと思います。

 

「分かりました!カスミさんの言う通りにしてみます!」

「オーケー!プレゼント用の袋は私が用意しておくから、明日はあんたの出番よ!頑張りなさい!」

「はい!」

 

カスミさんから激励を受け取った私は明日をドキドキしながら待つと同時に、ワクワクした気持ちで一杯でした。シンジさんは一体どんな顔をしてくれるのか、どんな言葉をかけてくれるのかと考えながら。プレゼントを渡す恋人とはいつもこんな気持ちなのでしょうか。……恥ずかしくて爆発してしまいそうなのでこれ以上考えるのはやめにしておきます。

 

私はシンジさんの待つポケモンセンターへと帰ると、シンジさんに今日は何をしていたのか尋ねられました。正直に言ってしまってはこの計画が台無しになってしまうので、シンジさんには「ポケモンフーズの研究をしていました」と嘘をついてしまいました。シンジさんもその言葉を素直に信じてくれたようです。ですがごめんなさい、シンジさん。貴方に嘘をついてしまって。隠し事をするのは辛いですが、明日を楽しみにしていてください。そうシンジさんに届かない声を呼びかけながら、私は眠りにつきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――2月14日、バレンタインデー当日

 

 

 

「準備はいい?」

「は、はい!」

 

私は緊張のあまり甲高い声で返事をしてしまう。カスミさんも私の返事に堪らず苦笑いをしてしまっているようです。

 

「一回深呼吸しなさい。」

「は、はい。スーハ―、スーハ―。」

 

カスミさんの言う通りにゆっくりと深呼吸をしました。思いの外緊張が解けたようで、先ほどよりも肩の重荷がなくなった感じがあります。

 

「よし、じゃあ行ってきなさい!王子様が待ってるわよ!」

「お、おうじ!?え、えっと、はい///」

 

カスミさんの突然な言葉に驚くも、ここまで来たらもう腹を括って頑張るしかないと決意しました。昨日は頭の中で何度もシミュレーションしてきました!後は本番で頑張るだけです!そうです、がんばリーリエです!私!

 

「あの二人の熱さでチョコが溶けなければいいんだけどね~」

 

ギュッと手を握り締めた私の後ろで呟いたカスミさんの言葉は、私には聞こえませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は自分で作ったチョコレートを持ってシンジさんと待ち合わせた場所までやってきました。ここはハナダシティの名所だそうで、海がよく見渡せる絶好のデートスポットなのだそうです。カスミさんに教えていただきましたが、確かにいい景色です。しかしシンジさんの姿が見当たりません。少し早すぎたでしょうか……。

 

「リーリエ~!」

「あっ、シンジさん!」

 

私がシンジさんを探していると、遠くから手を振りながら走ってくるシンジさんの姿が確認できました。

 

「ごめん遅れちゃって。待たせたかな?」

「いえ、私も今来たところですから。」

 

手を合わせて謝ってくるシンジさんに、私は両手を振りながら気にしないでくださいと言う気持ちを伝える。そこでシンジさんは、早速私が呼んだ本題を振ってくる。

 

「それで今回はどうしてここに呼んだの?」

(き、きた!)

 

早速来たと私は内心かなり緊張した状態で本題を口にしようとする。しかし緊張のあまり口が思い通りに動こうとしません。やっぱりシミュレーションとは全然違います。普段とは違って中々口にできない私は意気地なし……という事なのでしょうか……。

 

「だ、大丈夫?顔赤いよ?」

「い、いえ!?大丈夫です!」

 

私の身を心配して覗いてくるシンジさんに、私は余計緊張してしまい更に顔を赤くしてしまいます。ほ、本人を前にするとここまで伝えにくくなるものだとは思いもしませんでした。

 

私がどうやってシンジさんに伝えようかと頭の中で試行錯誤し悩んでいる時、モンスターボールが私の気持ちに応えるように少し揺れました。

 

(シロン?)

 

そのモンスターボールはシロンのボールでした。恐らくシロンは、自分もいるから緊張しないで、と伝えたいのでしょう。私もシロンとは長い付き合いなのですぐに分かりました。シロンのその行動に私は今ならシンジさんにこの気持ちを伝えるれるのではないかと思い口を開きました。

 

「し、シンジさん!」

「う、うん。」

 

突然大声を出した私に戸惑ったのか、シンジさんは困惑した声を出す。しかし私はそのことを気にしている余裕は正直ありません。なので率直に気持ちを伝えることにしました。

 

「あ、あの……これ!受け取ってください///」

「!?」

 

シンジさんは私が差し出したものを見た瞬間に硬直し、私と同じくらい顔を赤くしてしまいました。やっぱりシンジさんも実際に目の当たりにすれば恥ずかしいようです。だって私の渡したチョコレートは……。

 

「え、えっと///ハート型ってことはそう言う意味で受け取っていいって事なんだよね///」

「は、はい///」

 

そう、私の渡したチョコレートはハート型のチョコレートです。星型や花型のチョコレートもありましたが、やっぱりシンジさんに渡すにはこの型が最も適切だと思い選択しました。シンジさんの顔がさっきよりも赤くなっています。恐らく私の顔もシンジさんと同じくらいかそれ以上に赤くなっていると思います。

 

「あ、開けていいかな?」

「ど、どうぞ///」

 

シンジさんは私の言葉を聞くと、ゆっくりと丁寧に袋を開けていきました。世の中には袋を破り捨てて開けると言う人も多いと聞きますが、シンジさんはそのような事はせず、一切破ろうとせずに袋を開けました。私はそれだけでもなんだか嬉しく感じました。

 

「す、すごい。」

 

シンジさんからの最初の言葉はそれでした。どうやら見た目に関しては喜んでくれたようです。ですが肝心なのは中身です。正直見た目には結構自信がありました。しかし味付けに悪戦苦闘を強いられ、シンジさんの好みに合わせるための試行錯誤が苦労しました。

 

「食べてもいいかな?」

「勿論です!」

 

私はどうかシンジさんが喜んでくれるようにと頭の中で神様にお祈りしました。シンジさんが口にチョコレートを運ぶ中、私は口から心臓が飛び出るかと錯覚してしまいました。シンジさんが口にチョコレートを入れると、シンジさんの表情が変わりました。も、もしかしたら美味しくなかったのだろうか、と不安がよぎり、思わずシンジさんに尋ねてしまいます。

 

「い、いかがでしたでしょうか?」

「…………い」

「え?」

 

よく聞き取れなかった私は、シンジさんに何と言ったか聞き返してしまいます。しかしシンジさんは、今度は大きな声でハッキリと、私に伝えてくれました。

 

「これすっごく美味しいよ!リーリエ!」

「ほ、本当ですか?お世辞じゃなくて?」

「お世辞なんかじゃないよ。今まで食べたどんなチョコレートよりも美味しいよ!」

 

その言葉を聞いて、シンジさんが心の底からそう思ってくれているのだろうと感じて喜びがあふれてきました。よく考えれば、シンジさんはお世辞を言ったことは一度もありません。それにそんな人じゃないって分かっていました。

 

その後もベンチに座り、私が作ったチョコレートを残さず食べてくださいました。その姿を見て、やっぱり心の底から美味しいと言ってくれたのだと改めて感じました。やっぱり自分で作って良かったと思いました。

 

「先に僕から驚かせるつもりだったのに、先越されちゃったな。」

「え?何か言いました?」

「ううん、何でもないよ。」

 

シンジさんの小さなつぶやきが聞き取れず、私は聞き返したもののシンジさんにはぐらかされてしまいました。その後、再びシンジさんが口を開きました。

 

「リーリエ、ちょっと目を瞑ってもらってもいいかな?」

「え?は、はい。構いませんが。」

 

シンジさんの言葉に従い、私は目を閉じました。暫くすると、首に何かが巻かれた感覚が伝わってきました。それが何なのかは気になりましたが、シンジさんに目を瞑っていてくれと言われたのでその言葉通りに待つことにしました。しかし、それを巻いていると、なんだか温かい気持ちになってきました。

 

「うん、もういいよ。」

 

シンジさんに言われ、目を開け首元を触ると、そこにはマフラーが巻かれていました。マフラーは白色をベースにして、薄い水色で小さくシロンの刺繍がしてありました。

 

「カントー地方はアローラ地方に比べて寒いからね。少しでも温かくしてあげようかなと思って編んでみたんだ。ちょっと慣れてないことだったから失敗ばかりだったけどね。」

 

そう言うシンジさんの手を見ると絆創膏の痛々しい痕が残っていました。普段編み物をやっている姿を見かけないため、余程不慣れなことをしていたのでしょう。そう言えば最近言われてみたら、布団の中でゴソゴソと何かをしている姿が確認できました。もしかしたらこれをしていたのかもしれません。

 

「僕からのバレンタインってところ。気に入ってもらえたら嬉しいんだけど。」

「ありがとうございます。凄く温かいです。一生大切にしますね。」

 

私のその言葉に、シンジさんは照れくさそうに頬を掻く。その姿を見て、私は少しシンジさんが可愛いと思ってしまいました。しかし、そこでシンジさんに一つの疑問を問いかけました。

 

「でもなぜバレンタインに?男性からのプレゼントは、3月14日のホワイトデーにするものだと聞いたのですが。」

「別にバレンタインとホワイトデー、それぞれに決まって渡すなんて決まりはないよ。ただ大切な人への贈り物、っていう特別な日って意味だから。」

「そうだったんですか。私はてっきり男性と女性は別々に贈り物をするものなのかと……」

「そう言う見解も間違ってないよ。人によってこの考え方は変わってくるし、何より僕はリーリエに喜んでほしくてプレゼントしただけだからね。」

 

シンジさんは微笑みながらそう言ってくれる。やっぱりシンジさんは私には勿体ないくらいに優しくて素敵な人です。

 

「じゃあ僕は来月のホワイトデーに今回のお返しとして自慢のチョコレートを贈ろうかな?」

「え~!?そんな、悪いですよ!」

 

シンジさんの提案に私はそれは欲張りすぎだと否定しようとする。しかしシンジさんのその後の言葉に、納得してしまうのでした。

 

「だったらその日にリーリエも僕にプレゼントしてほしいかな。年に2回大切な人から贈り物が貰えたら、それだけで幸せじゃない?」

「!?は、はい!分かりました!」

 

私はシンジさんの言葉にそう言って来月もプレゼントを渡すと誓う。次回のプレゼントを考えるのが大変ですが、大切な人に渡すものであれば苦になりませんね。シンジさんからはチョコレートを貰えるようですし、私も何か残るものを渡さなければいけませんね。

 

そうして私たちは暫くこのままベンチに座り、水平線に沈んでいく夕日を眺めていました。気が付いたら時間もあっという間に過ぎていきましたが、シンジさんが一緒だから長いようで短い、自分にも分からない位のスピードで時間が経った気がしました。私たちは、お互いに夕日を眺めながら次回のホワイトデーに渡すプレゼントを考えていました。これは来月の楽しみも増えました!これからもがんばリーリエ!ですね!




いかがでしたか?バレンタインを味わったことがないのでこんな感じになりましたが、まあ個人的には割といい出来栄えかなと思っています。この小説のカスミさんはなんだかんだ言いつつも面倒見のいいお方がコンセプトです。ヌシは料理は(意外と)問題なくできますが、チョコは制作したことないので多少大雑把です。許してください(土下寝

そう言えば先週からポケモンのopとedが変わりましたね。どっちもサンムーンのイメージに合っててすっごい好みです。夏めく坂道と同じくポケモンっぽさは無かったですがそれも逆に高評価ポインッです。後ベベノム可愛い。

リーリエが可愛くて、映像も神でしたが、一番印象に残ったのがマッシブーンの発音ですね。今まで多くの人が思っていたであろうマッシ↑ブーンの発音ではなく、マッシ↓ブーンだったのには吹きました。まあ癒し系UBですしね、仕方ないね。

では次回は普通に進みます。また楽しみに(しているかどうか分からないけど)していてください。ノシ

あっ、因みにこの前リーリエ&ほしぐもちゃんのフィギュアが無事届きました。

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