ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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こんなのが原作のストーリーで登場してたら普通にキツかったかもしれない


立ちはだかる強敵!VSゲーチス&キュレム!

「グソクムシャ!ミサイルばり!」

『ムッシャ』

「エンニュート!ヘドロウェーブ!」

『エンット!』

 

グズマのグソクムシャ、プルメリのエンニュートが同時に連携攻撃を放つ。息の合ったコンビネーションにRR団員のポケモンたちは対応することができず一気に吹き飛ばされた。

 

他のスカル団たちも尊敬しているグズマ、プルメリの戦いに鼓舞され次々とRR団たちを退けていく。その様子はかつての不良集団とは思えない程統率がとれていて、腕前も当時より遥かに向上しているのが目に見えて分かるレベルであった。

 

スカル団一同はその勢いのままRR団を次々と倒していく。すると突然、RR団員たちが次々と姿を消していった。グズマたちも理解が追い付いていない状況ではあるが、グズマ自身は不完全燃焼なのかどこか不満そうに舌打ちをしていたのだった。

 

入口のホールからRRたちが姿を消したあと、そこに自分たちの戦いを終えたリーリエ、グラジオ、ヒナ、ミヅキ、ヨウ、ハウ、そして外で足止めをしていたコウタ、コウミの8人が同時に戻ってくるのだった。

 

「ふん、お前たちも終わったみたいだな。」

「はい。グズマさんたちも協力していただきありがとうございます。」

「チッ、礼はいいからさっさと代表を助けて終わらせるぞ。」

 

協力してくれたグズマに感謝の言葉を伝えるリーリエだが、彼は不機嫌そうに顔を背けて奥へと歩みを進めていた。気を悪くしてしまっただろうか、と感じるリーリエだが、そんな彼女にプルメリが耳打ちをして呟いた。

 

「あいつはああ見えて照れ隠ししているだけだよ。しまキングになっても素直になれないのは相変わらずだから、あんまり気にすることはないさね。」

 

プルメリのその言葉を聞いて安心するリーリエ。とりあえずはグズマの言う通りルザミーネを一刻も早く助ける必要があるため、ロックのかかった扉の前まで移動する。

 

グラジオは先ほど入手したカードキーを使用して扉のロックを解除する。RR団員たちが消えたとは言え、いつまた現れるかも分からないため念には念を入れ、グズマを始めとしたプルメリたちスカル団は入り口で待機することとなった。

 

彼らを待たせすぎるとあとで色々と愚痴を聞かされる可能性があるため、早くルザミーネを救出して戻ろうと先へと急ぐリーリエたち。しかしそんな彼女たちの目の前から一人の人影が彼女たちの前に姿を現すのであった。

 

「全く……他の方々は何をやっているのですか……」

 

その人物の声は低く、他のボスたち以上にどこか冷たい印象を感じさせるものであった。全身を覆うローブ

 

「……お前もRR団の人間か?」

「RR団?八ッ、こんなものはただのお遊びにしかすぎません。そう、“あの男”もワタクシの野望を達成するための道具でしかありません。」

「あの男……?」

 

この男が言う“あの男”とは間違いなくルザミーネを襲った黒服の人物のことであろう。しかし他のボスと同じように彼自身にも何か目的があるのも間違いないようだ。

 

「ワタクシの名はプラズマ団のボス、ゲーチス。あなた方は関わりすぎてしまった以上、ここで消えていただきましょう。」

 

言葉を交わす暇もなく、彼はすぐさま戦闘態勢へと移行した。どうやらゲーチスに対して一切の対話は不可能のようである。

 

「どうせここを通らなければ母さんを助けることはできない。力づくでも通してもらう!ルカリオ!」

『バウゥ!』

「お母様を助けるため、全力で行きます!シロン!お願いします!」

『コォン!』

「私たちも行きます!ラランテスちゃん!」

『ララァ!』

「リーリエとグラジオ君のため!ライチュウ!お願い!」

『ライライ!』

「俺たちも行くぞハウ!行け!ジャラランガ!」

『ジャラァ!』

「任せてヨウ!オンバーン!頼むよー!」

『バオォン!』

「俺たちも!リザードン!もう一度頼むぞ!」

『ザァド!』

「あなたもお願い!バシャーモ!」

『バッシャ!』

 

リーリエたちはそれぞれ自分のポケモンを繰り出した。しかし数で言えば圧倒的不利であるにも関わらず、ゲーチスは不敵な笑みを浮かべ余裕さえ感じさせていた。

 

「仮にもあなた方は他の方々を倒しここまでやってきた。であるならば、一切の手心などは不要でしょう。まあ元より手加減などする気は毛頭ありませんがね!」

 

そしてゲーチスはモンスターボールを二つ同時に投げる。そこから姿を現したのは、またもや想像を超えるポケモンたちであった。

 

 

 

 

 

『グギュアアアァァァ!!』

 

 

 

 

 

『キュルオオオォォォン!!』

 

 

 

 

 

 

一体は黒く筋肉隆々とした機械的なドラゴンポケモン、ゼクロム。そしてもう一体は兜に似た顔、左右非対称の翼に凍りの鎧を纏った異質な見た目のドラゴンポケモン、キュレム。どちらもイッシュ地方に伝わる伝説のポケモンである。

 

特にキュレムはかつて人間を食していたとも言われる伝承が伝わっているが、それが本当か嘘かは誰も知らないと言うのは余談である。

 

「特別です。この二体の真の力、ワタクシ自らが見せて差し上げましょう!」

 

ゲーチスがそう口にした瞬間、彼の持つ杖と同時にキュレムとゼクロムの身体が光り輝き全身を包み込む。二つの光が重なった次の瞬間、更なる衝撃がリーリエたちを襲うこととなる。

 

なんとそこに立っていたのは左半身がキュレム、右半身がゼクロムとなっている両者が融合した姿であった。名前を付けるとしたらブラックキュレム、と言ったところだろうか。

 

ブラックキュレムは静かにリーリエたちのポケモンを見下ろしている。その目つきは非常に冷たく、まるで世界が凍りついたのではと錯覚させるほどの寒気を感じさせていた。伝説のポケモンの融合体と言うだけあり、彼の放つ威圧感は他に類を見ないとてつもないものである。

 

「あなた方にワタクシの操るキュレムを倒すことができますか?精々抗うことですね。」

「っ!?例え誰が相手でも、俺たちは負けない!ルカリオ!はどうだん!」

「ライチュウ!エレキボール!」

「ジャラランガ!きあいだま!」

「おんばーん!ばくおんぱー!」

 

グラジオたちのポケモンは同時に一斉攻撃を解き放つ。しかしキュレムは微動だにすることなく前進から凍てつく冷気を出していた。その冷気に包まれた瞬間、グラジオたちの技が一斉に凍りついてしまったのだった。衝撃的な現象にグラジオたちも驚かずにはいられなかった。

 

だがそれを黙って見ているだけではなかった。リーリエとヒナのポケモン、シロンとラランテスは共に背後に回り攻撃態勢へと移行していた。

 

「シロン!れいとうビーム!」

「ラランテスちゃん!リーフブレード!」

 

シロンは右側かられいとうビーム、左側からはラランテスがリーフブレードで攻撃を仕掛けた。だがその攻撃もブラックキュレムによってあっさりと止められてしまう。なんと両者の攻撃をそれぞれ片腕だけで打ち消してしまったのである。

 

驚いたのも束の間、キュレムは右腕でラランテスを掴み、シロンに向かって投げつけた。ラランテスと共に当然シロンも一緒に叩きつけられてしまった。

 

「リザードン!かえんほうしゃ!」

「バシャーモ!かえんほうしゃ!」

 

今度はリザードンとバシャーモが同時にかえんほうしゃを放った。だがその攻撃に対してもゲーチスはニヤリと余裕の笑みを浮かべるのであった。

 

「そのような攻撃、ワタクシのキュレムに通用するはずがありません!キュレムよ!クロスサンダーです!」

『ギュオアアアア!!』

 

キュレムは雄叫びと共に自らに電気を纏いかえんほうしゃに突撃していった。電気の鎧はリザードンとバシャーモの攻撃をあっさりと無力化し、彼らを含むルカリオ、ライチュウ、ジャラランガ、オンバーンをも吹き飛ばした。

 

あまりの強力な攻撃にこの場にいる全員が歯を噛みしめ苦い顔をする。融合した伝説のポケモンが相手とは言え、ここまで強力な力を有しているなど想像していなかった。

 

「お兄様……ここはやはり……」

「ああ、分かっている。」

 

伝説のポケモンを倒す手段、それは一つしかない。それはグラジオも当然理解している。だが一つ考えがあるとグラジオはリーリエに忠告する。

 

「リーリエ。お前は力を使うな。」

「え?」

「奴はさっき“あの男”と口にしていた。その言葉はこのRR団を率いている黒幕に違いない。おそらくその男はゲーチスや他の奴らよりも強い可能性が高いだろう。ここでお前まで力を使うのはリスクが高い。」

「で、ですが……」

 

Z技はポケモンだけでなく使用者も体力を消費するため強力な分リスクを伴う。これだけ強敵との連戦ともなれば使えて精々一人一回程度。最終戦を前に全員が力を消費することだけは回避しなくてはならない。

 

しかし出し惜しみをしてゲーチスとキュレムを倒すことができるのかというリーリエの不安も最もである。そんなリーリエを安心させるため、グラジオは微笑みながら自信ありげに答える。

 

「お前の心配も分かる。だが一つ作戦がある。ヒナ」

「は、はい!」

 

自分に作戦があると言うグラジオはヒナに声を掛ける。突然自分に対象が変わり驚くヒナだが、グラジオの作戦にヒナは頷いて分かりましたと答えていた。

 

予想外の大役を担わされたヒナだが、不思議と緊張はしていない。それは彼女が一人ではなく、頼もしい仲間たちが傍にいてくれるからである。それだけ仲間という存在は人間やポケモンにとって大きな存在なのである。

 

グラジオの作戦を聞いたミヅキたちは、彼らがそれをこなす時間を稼ぐために前に出る。

 

「作戦会議は終わりましたか?」

「うん。あなたたちを倒すためのね!」

「それは到底無理な話ですね。ワタクシのキュレムは無敵です!あなた方ごときで倒すことなどできない!」

「それは俺たちを倒してから言うんだな!」

「私たちの絆は誰にも壊せはしないよ!」

『メガシンカ!』

 

リザードンとバシャーモはザオボー戦と同じようにメガシンカをして自身の能力を大幅に上昇させる。先ほどZ技を使用し体力を消耗してしまったミヅキ、ヨウ、ハウもこれ以上Z技を使用できないため前線で戦い時間を稼ぐために前に出る。

 

「ミヅキ!ハウ!俺たちもやるぞ!」

「もっちろん!」

「任せてー!」

「リザードン!ドラゴンクロー!」

「バシャーモ!ブレイズキック!」

『ザァ!』

『シャァ!』

 

リザードンとバシャーモが中心となって前に出る。その間に遠隔射撃メインのジュナイパーは背後で待機、アシレーヌとガオガエンは左右に分散する。

 

「無駄なことを!キュレム!」

『キュルオオオオオン!!』

 

キュレムは甲高い咆哮を響かせてリザードンとバシャーモの攻撃を受け止める。アシレーヌ、ガオガエンがその隙を見つけて攻撃を仕掛けた。

 

「アシレーヌ!アクアジェット!」

「ガオガエン!ニトロチャージ!」

『シレーヌ!』

『ガウゥ!』

 

キュレムはリザードンとバシャーモを弾き返し、今度は接近してくるガオガエンの攻撃を受け止める。そしてアシレーヌの攻撃にも対応しようとするが、アシレーヌは縦横無尽に駆け巡りキュレムを翻弄していた。多対1の状況に慣れていないのか、アシレーヌの動きに追い切れていない。

 

「くっ!何をしているのですかキュレム!げんしのちからです!」

 

キュレムはげんしのちからを乱れ撃ちしてアシレーヌを攻撃していくアシレーヌはその攻撃を回避していくが、それでも限界は訪れてしまいその攻撃が僅かに掠れて撃墜されてしまう。だがその一瞬は相手の気を少しでも逸らすことができた。

 

「今だ!かげぬいー!」

『ジュパァ』

 

ジュナイパ―は準備していた得意技、かげぬいでキュレムの影を射抜いた。伝説のポケモンに対して効果は薄いであろう、それでも大技を叩きこむ隙を作るには充分すぎるほどであった。

 

「行くぞ!ルカリオ!」

『バオウ!』

 

グラジオの掛け声とともにルカリオは意識を集中させ、Zパワーと自身の中の波動を溜めていく。その様子を見たゲーチスは先ほどまでの余裕ではなく顔色を変えていた。

 

「それが報告で聞いていたZ技ですか……ですがワタクシのキュレムに勝つことなどあるはずがないのです!キュレム!フリーズボルト!」

 

ルカリオと同様にキュレムも体内の冷気とゼクロムの電気を一点に集中させる。キュレムとゼクロムの力が融合した技ともなれば、その威力は考えるまでもなく計り知れないであろう。だがそれを理解していてもグラジオとルカリオは退くことなどできるはずもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ぜんりょくむそうげきれつけん!

 

 

 

 

 

 

 

 

グラジオとルカリオの気持ちが一つとなり、波動の力を拳に宿したルカリオがキュレム目掛けて突撃していく。そのタイミングに合わせて、キュレムも融合した力を解き放つ。

 

キュレムの放ったフリーズボルトは凍てつく冷気に電気を纏った如何にも強力な技であった。ルカリオはその攻撃を正面から連続で拳を叩きこみ対抗していく。

 

ルカリオの強力なZ技ではあるが、それでもなおキュレムのフリーズボルトが一枚も二枚も上手である。次第にルカリオの顔色に変化が訪れ、苦悶の表情を浮かべていた。それを見たゲーチスは不気味な笑みで勝利を確信していた。しかし相手は一人ではない。

 

「ラランテスちゃん!ソーラーブレード!」

『ララァ!』

『キュオオオ!?』

 

キュレムの背後からラランテスが巨大なソーラーブレードを振り下ろした。ルカリオが正面からキュレムの気を引いている間に、ラランテスが大技であるソーラーブレードを準備していたのである。さしものキュレムも背後からソーラーブレードの一撃を浴びてしまってはタダでは済まない。

 

キュレムはソーラーブレードの一撃で怯み技の力が一瞬弱まる。その隙を逃すことなく、ルカリオは拳に宿した波動の力を限界を超えて高めていく。そしてフリーズボルトを打ち砕き、キュレムの身体をZ技の一撃が貫いた。

 

「なんですと!?」

 

さすがのこれにはゲーチスも驚き目を見開いた。だがキュレムはまだ持ちこたえ敵の姿を捉えていた。しかしキュレムがこの一撃で倒せない相手であることはグラジオたちも理解していた。

 

「ヒナ!」

「はい!ラランテスちゃん!」

『ララ!』

 

今度はグラジオに続きヒナとラランテスがZパワーを溜めていく。Zリングを通し、二人の気持ちが一つになったところでラランテスは力を解き放つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――ブルームシャインエクストラ!

 

 

 

 

 

 

 

 

フィールド一面に草花が開花し、一際大きな花びらにキュレムの身体が包み込まれた。キュレムを包み込んだ花びらが蕾となり、大きな爆発を巻き起こした。そのダメージにキュレムは溜まらず両手両膝をついた。

 

それでもまだ倒れることなく戦う意思を見せる。それを見て伝説のポケモンの強靭さを改めて感じさせられる一同だが、まだ最後の一撃が残っていた。

 

「リーリエさん!」

「任せてください!シロン!とどめのムーンフォースです!」

『コォン!』

 

シロンは体内に集中させ形成した力を解き放つ。シロンのフェアリータイプであるムーンフォースはドラゴンタイプを持つキュレムに対して効果は抜群であり、かなり体力を消耗しているキュレムに対しては非常に有効な一撃だった。

 

シロンのムーンフォースはキュレムの急所に命中し、その一撃でキュレムは仰向けになって倒れる。もはや立ち上がる力も残っておらず、戦闘不能となったのであった。

 

「っ!?ば、バカなバカな!ワタクシのキュレムが負けるなど!」

「お前の敗北だゲーチス。いい加減負けを認めるんだな。」

「ワタクシが……負けですと……?否!断じて否です!ワタクシが負けるはずなどあるわけがない!ワタクシの野望を達成するまで、ワタクシは!ワタクシだけがポケモンを使えればいいのです!」

 

その一言がまさにゲーチスの野望を物語っていた。自分だけがポケモンの力を使えればいい。この世界において、その野望こそがある意味一番の恐怖である。

 

ゲーチスは諦める気など毛頭なく、他のポケモンが入ったモンスターボールを手にしていた。消耗してしまっているリーリエたちにこれ以上バトルを続けられるのか不安に駆られてしまうが、そんな時一人の男性の声が聞こえたのだった。

 

「やれやれ……あなたは“そちら”でも相変わらずですか。」

「っ!?貴様は!?」

 

そこに現れたのは変わった機械的な白衣を装着し眼鏡をかけた金髪、長身の男性。あまりの異質な姿に、リーリエは自分の知っている人だと見間違えるはずもなかった。

 

「あなたは……アクロマさん!」

「リーリエさん、お久しぶりですね。」

 

島巡りの時に一度だけあっただけではあるが、それでも彼の特質な姿を忘れることなどできるはずもなく彼女に記憶には残っていた。しかしこの男はどうやらゲーチスの事を知っているようで、彼は再びゲーチスを見つめる。

 

「アクロマ……まさか貴様がここにいるとは……」

「……わたくしは二度とお会いしたくはなかったのですがね。人の事は言えませんが、あなたのやっていることにはわたくしでさえも反吐がでますよ。」

「貴様に言われる筋合いなどない!ワタクシは、ワタクシの野望を完遂させる!例え別の世界であったとしても、ワタクシだけが!」

 

ゲーチスの変わらぬ執着心にアクロマは呆れて溜息をついた。その様子を見たアクロマは、「かわいそうな人ですね」と一言呟いた。

 

「手を差し伸べてくれる相手がいなかったあなたはどこまでも可哀想な人です。最も、いたとしても救いはなかった、ですけどね。」

 

アクロマはどこか悲しそうな表情を浮かべてそう呟いている。ゲーチスはそんな彼に対してイラつきを隠せない。

 

「黙れ!貴様のようなマッドサイエンティストに何が分かる!貴様も全員纏めて!」

「あなたはこの世界にいるべき人間ではない。在るべき場所へと帰りなさい!」

「っ!?ふざけるな!ワタクシは!ワタクシは!」

 

アクロマはその言葉と同時に機械を作動させた。するとゲーチスとキュレムの身体が光に包まれ次第にその場から姿を消した。その現象を見たリーリエたちは驚いていたが、それと同時にその現象に見覚えがあった。

 

そう、先ほどからRR団のメンバーが忽然と姿を消した現象と全く同じなのである。つまり先ほどから彼らを消滅させていたのはアクロマだったのである。

 

「……お前は一体?」

「わたくしはただの科学者ですよ。今は、ね?」

 

精一杯絞り出したグラジオの一言に意味深な発言をするアクロマ。まるでかつてはただの科学者ではなかったかのような物言いである。

 

しかし彼が先ほどから自分たちを助けてくれていたのは事実。これ以上彼の素性に対して聞くのは野暮であろうと、グラジオは退いたのであった。

 

だがそれでも気になることはあったため、リーリエが彼に一つだけ質問を投げかける。

 

「あの……彼らは一体……」

「ああ……彼らは別の世界から来た人間ですよ。」

 

その言葉を聞いてリーリエたちは驚くことはなかった。先ほどから彼らの言葉を聞いてどこかそうなのではないかと頭の中で考えていたからだ。ウルトラホールの件もある以上、信じられない話ではなかったと言うのも一つの要因である。

 

「特にゲーチスはわたくしとも縁の深い人物でしてね。わたくしが最もこの世で嫌う人物ですが、同時に野心に見合った実力を持つ恐ろしい人物ですよ。」

 

ゲーチスの事をそう評するアクロマは、リーリエに近付くと先ほど操作した機械を手渡した。

 

「あなたにこのアクロママシーン1102号を渡しておきます。」

「アクロママシーン……ですか?」

「ええ。わたくしが新たに開発した装置ですが、これを使用すれば彼らを元の世界に戻すことができます。UBやウルトラオーラを利用して制作したのですが、上手く起動してよかったです。」

 

アクロマは笑顔で自分の作った機械を自慢げに語った。それと注意点として、相手は異常な力を持っているため戦闘で抵抗する力を失わせてから使用するようにと忠告する。

 

「今のわたくしではあなた方の力になることはできません。ですがUBを撃退することのできたあなた方であれば問題ないでしょう。それでは、わたくしはこれで失礼させていただきます。」

 

アクロマはそう彼女たちに激励すると、足早にその場を去っていった。リーリエはアクロマから受け取ったアクロママシーンを見つめると、これで新たな希望が訪れたと前を見つめる。

 

「行きましょう!今度こそお母様を助けます!」

 

リーリエの言葉に全員が頷き前へと進む。遂に残るはラスト一人、RR団の首領である黒幕のみである。リーリエたちは自分の信じるポケモンたちとともに、最後の戦場へと向かうのであった。




ブラックキュレム(A170)の登場
個人的にはホワイトキュレムの方が好き。と言うか一番好きな伝説がホワイトキュレムと日食ネクロズマ。やっぱり合体はロマン!

ポケモン最新作、ストーリーが非常に面白く新ポケモンも好きなんですけど、過去作にあった便利機能が消されててバグが多い挙句、パフォーマンスまで重いと不満点も結構多いのが……。恐らく新型switchに合わせて作ったと思うんですけど、だったらせめて設定でパフォーマンスを下げさせてほしかった……。あとニンフィアからマジカルフレイムを奪ったのは許されない。アプデで色々と改善して欲しいところ。

今日からモンハンもアプデだし、明日からはイーブイのテラレイドだし、色々と忙しくなります。

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