ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
ポケモンリーグアローラ大会、その予選が始まり、予選方法はバトルロイヤルと言う異質なルールで決定されることとなった。
無数の参加者たちが自分の信じるポケモンを繰り出し、合計16人まで減った時点で予選終了となる。そして今、バトル開始の宣言が出され運命を決める予選が遂に幕を上げたのであった。果たして生き残るのは誰なのか、注目が集まるのだった。
「行きますよ!シロン!」
『コォン!』
リーリエとシロンも意気込みはバッチリ。そんな彼女たちに異を唱えるかのような声が彼女たちの耳に入ってきた。
「ホイーガ!ポイズンテール!」
男性トレーナーの指示が聞こえ、同時にホイーガが回転しながら突進してきてポイズンテールを放ってくる。
「かわしてこおりのつぶて!」
『コン!』
シロンはホイーガの攻撃をジャンプで回避し、ポイズンテールは地面に直撃してしまう。その隙を見逃さず、シロンのこおりのつぶてがホイーガに直撃してホイーガはその場に倒れたのだった。
「ホイーガ!戦闘不能!」
審判であるミヅキがそう宣言すると、ホイーガとそのトレーナーは退場し、大きな電光板の参加人数カウントが一人減少する。審判はしまキング、しまクイーンが担当しており、ミヅキの他にクチナシ、ハプウに加え意外にもグズマも審判として参加している。本人はあまり乗り気ではなかったが、しまキングとしての仕事なので半分嫌々ではあったが。
兎に角このようにして、本戦への参加人数を絞っていく、と言う形である。不意打ちやタッグ、集中狙い、様々な策が飛び交うだろうが、リーリエは無事この予選を突破することができるだろうか。
リーリエが奇襲するトレーナーとポケモンを迎え撃っている中、ヒナとドレディアも別のトレーナーとバトルをしていた。
「ドレディアちゃん!はなびらのまい!」
『ディアァ!』
ドレディアの華麗な舞が、対面していたドロバンコを巻き込み突き飛ばした。ドロバンコはその攻撃によりノックダウンし、目を回して倒れるのだった。
「ど、ドロバンコ!?」
「ドロバンコ、戦闘不能」
審判であるクチナシの判断によりドロバンコは戦闘不能とみなされ予選敗退。リーリエもその様子を横目で見ていて、あの時からヒナは大きく成長したのだと実感していた。
「この調子で行こう!ドレディアちゃん!」
『ディア♪』
ヒナとドレディアは今のバトルで勢いづくことができ、このバトルロイヤルを絶対に勝ち抜くと意気込む。
そしてまた、他の場所でも次々とバトルは繰り広げられていたのだった。
「ガオガエン!DDラリアット!」
『ガウゥ!』
3組の敵に囲まれていたヨウとガオガエンだが、一斉に攻撃を仕掛けてくるタイミングでDDラリアットで返り討ちにする。手を伸ばして回転するガオガエンに弾き返され、全員がその場に倒れ伏せた。
「ジュナイパー!かげぬい!」
『ジュッパァ!』
ジュナイパーは相手の攻撃が届かない遠距離から弓矢を放つ。彼の的確な射撃は空中にいるエアームドを綺麗に射抜き、撃ち落として戦闘不能にするのであった。
ヨウ、ハウも問題なく戦闘を仕掛けてくる相手を次々と迎え撃つ。時には協力し、息のあったコンビネーションを見せて周囲の参加者を驚かせていた。
そんな中、今度はヒナとドレディアも複数の相手に囲まれている状況であった。相手はアリアドス、イノムー、カエンジシだ。くさタイプに対して有利な三体。恐らく同じく有利な相手を一緒に狩ろうという魂胆なのだろう。
「ドレディアちゃん!フラフラダンス!」
『ディアディーア』
ドレディアは自慢の踊り、フラフラダンスを披露する。フラフラダンスは周囲にいる敵を一斉に混乱状態にする効果を持つ技である。これによりアリアドス、イノムー、カエンジシも釣られて踊ってしまい、混乱状態となってトレーナーの指示も届かなくなってしまった。
「今ですよぉ!はなふぶき!」
『ディアァ!』
ドレディアは無数の花びらを文字通り吹雪のように舞い散らす。花びらの吹雪がアリアドスたちを一気に巻き込み、彼らは花びらごと壁に叩きつけられるのだった。
「ちっ、アリアドス、イノムー、カエンジシ、戦闘不能だ。」
少し不機嫌な様子を見せたグズマにより、三体の戦闘不能が確認された。ピンチを脱したヒナは『よし!』とガッツポーズを取ってしまった。それが一瞬の油断を招き、次のピンチを生んでしまう結果となった。
「テッカニン!シザークロス!」
『テッカ!』
「っ!?しまった!」
その油断を見逃さず、テッカニンが目にも止まらない素早さでドレディアの背後へと回っていた。多くの参加者たちを倒せば倒すほどライバルの数は減っていく一方、逆に目立ってもしまうため他の参加者たちのヘイトを買ってしまうことにもなる。それが今回は仇となったのだ。
「くっ!」
非常にマズいと歯を食いしばるヒナ。そんな彼女に、聞き覚えのある少女の声が聞こえてきたのだった。
「シロン!れいとうビームです!」
『コォン!』
れいとうビームが横から勢いよく飛んできてドレディアの背後を取ったテッカニンを吹き飛ばし凍らせた。これもまた、グズマの判断により戦闘不能とみなされまた一人参加人数が減ったのである。
「ヒナさん!大丈夫ですか?」
「り、リーリエさん!あ、ありがとうございます!」
「約束しましたから。必ず本戦で会いましょう!」
「はい!」
そう言ってお互いハイタッチをし、約束することでその場を別れた。ヒナもリーリエとの約束を果たすために勝ち残ることを心の中に決め、ドレディアと一緒に走り出す。同じようにリーリエも、シロンと共に走り続けていた。
「ガメノデス!ロックブラスト!」
「シロン!こおりのつぶてです!」
ガメノデスがシロンを対象にロックブラストで攻撃してくる。シロンは飛ばしてくる複数の岩をこおりのつぶてで迎え撃ち、凍らせることでその攻撃を阻止する。
「ムーンフォースです!」
『コォン!』
今度は飛び上がり、ムーンフォースによる追撃を浴びせた。その攻撃にガメノデスは溜まらず仰向けで倒れ、目を回すのであった。
「ガメノデス、戦闘不能じゃ!」
今度はハプウの判断によってガメノデスが戦闘不能と判断された。リーリエだけでなく、他の参加者たちの戦いもあってそろそろ参加人数が半分近くにまで減ってきていた。
「そろそろ残されている方たちは強者ばかりのはずです。ここからが……っ!?」
ここからが本当の戦いだと改めて気を引き締めているリーリエ。そんな彼女に前に、見覚えのある人物がやってきて立ち止まった。片目を隠す髪が、会場を吹く風でなびきチラリとその瞳を覗かせた。
「…………」
「……お兄様」
リーリエ、そしてその兄であるグラジオ。二人は暫くの間見つめ合う。そんな二人に二体のポケモンが飛びかかった。
「ブーバーン!ほのおのパンチ!」
「エレキブル!かみなりパンチ!」
「シルヴァディ!ブレイククロー!」
「シロン!れいとうビーム!」
向かいから攻撃してくるブーバーンに対してシルヴァディがブレイククロー、エレキブルに対してシロンがれいとうビームで反撃する。シルヴァディのブレイククローが懐に直撃し、ブーバーンはその巨体ごと簡単に押しのけられた。エレキブルはれいとうビームにより氷漬けにされ、地上に墜落してお互いに戦闘不能と判断された。
「……絶対本戦まで勝ち上がれ。」
「……はい。必ず。」
今は兄妹、と言う関係ではなく互いの実力を認め合うライバル同士。戦いに相応しいのはこの場所ではなく本戦と言う大きな会場だ。リーリエとグラジオは本戦まで勝ち残ることを誓い合い、それ以上何も語ることなく別れたのだった。
リーリエ、グラジオ、ヒナ、そしてヨウとハウ、この5人がそれぞれ戦っている一方、別の人物もまた予選を勝ち残っているのだった。
「エンニュート!はじけるほのお!」
『エンット』
エンニュートのはじけるほのおが対峙するマシェードに直撃し、その一撃で戦闘不能となる。さらにはじけるほのおの追加効果で、隣接しているフラージェスに対しても追加ダメージが入ったのだった。
「今だよ!どくづき!」
『ニュット!』
はじけるほのおの追加効果で怯んだフラージェスに素早く近付き、エンニュートはどくづきを喉元に突き刺した。効果抜群である鋭いどくづきを受けたフラージェスは、堪らず毒状態となり戦闘不能となるのだった。
「ふんっ、マシェード、フラージェス、戦闘不能。」
「他愛もないね。にしてもあんたがこんなことしてるなんて、なんだか笑っちまうね。」
「うるせぇ。俺様だって好きでこんなことしてるわけじゃねぇ。」
「ま、あたいも人の事は言えないだろうけどね。」
「……違いねぇ。」
同じ元スカル団であるグズマ、そしてプルメリ。今ではお互いしまキング、島巡りの挑戦者と、スカル団とは全く反対の行為をしていることに自然と笑いが込み上げてくる。
「まあ、せいぜい無様に負けないように頑張るんだな。」
「ああ、そうさせてもらうさね。」
元スカル団の相棒であったが故、なんだかんだで理解しあっている二人はそれだけの言葉を交わすと別れ、それぞれの仕事に戻る。スカル団としてではなく、グズマはアーカラ島を代表とするしまキング、プルメリは島巡りの挑戦者である一人として。
その後も激しいバトルロイヤルは続き、そして……
「シロン!ムーンフォースです!」
シロンのムーンフォースがアブソルに直撃。その一撃でアブソルは戦闘不能となり、同時にピーッ、と言う高い笛の音が会場に鳴り響いた。
その合図と同時に掲示板を見てみると、そこには16の数字が浮かび上がっていた。つまりこれで選ばれし本戦参加者が16人揃ったということである。
「そこまで!残った参加者が、明日から行われる本戦への参加者となる!」
ククイの言葉に参加者は全員周りを見渡す。そこに立っていた中にはリーリエを含め、ヒナ、グラジオ、ヨウ、ハウ、さらにはプルメリの姿もあった。他にも参加者はいるが、恐らくこの6人の中からチャンピオンへの挑戦権が得られるトレーナーが現れることだろう。
参加者たちはバトルを終え、最後まで頑張ってくれたポケモン達を労いながらモンスターボールへと戻して休ませる。自分たちも同じく疲れを癒すため、全員ホテルに戻って体を休めることにしたのだった。
「今日は疲れましたね、リーリエさん。」
「はい。ですがお互いに勝ち残れてよかったですね。」
リーリエとヒナは同じ部屋で休んでいた。体の汗を流すためにお風呂を済ませ、それぞれ大会登録したポケモン図鑑に連絡がくるのを待っていた。
リーグ委員会から、大会の本戦で戦うトーナメント表のデータが送られてくるのだと伝えられた。夜になった現在、二人はその知らせを今か今かと緊張しながら待っていた。
すると二人のポケモン図鑑から通知音が鳴り、連絡が来たのだと図鑑を開いて目を通す。そこにはトーナメント表が表示されていて、1回戦から順に記載されていたのだった。
参加人数は16人。つまり初戦の戦いは8回戦に分けられて行われる。1回戦はヨウの戦いだ。そしてハウは3回戦となっており、二人が勝てば準準決勝でお互いに戦うこととなる。
グラジオは7回戦、プルメリは8回戦で戦い、この二人も準準決勝で争う。しかし問題は5回戦目の戦いであった。
「っ!?まさか……」
そこに記載されていた名前、それを見てリーリエとヒナは目を見開いた。そこに記載されていたのは……
リーリエVSヒナ
そう書かれていたのだった。本戦一戦目から、リーリエとヒナは争う事となるのである。
衝撃の事実にリーリエは驚きを隠せない。しかしヒナは……。
「リーリエさん!」
「ヒナさん?」
「手加減……しませんから!」
「……はい!私も手加減はしません!」
ヒナは憧れの人とのバトル。リーリエはその先に待つ約束。互いに願いを叶えるため、明日の試合では全力で戦う事を誓い合う。リーリエとヒナ、ライバル同士の熱い戦いが今、幕を開けようとしていた!
UNITE新シーズンでマスターになるまで苦労した
シンジが最終戦で使うブイズはニンフィア、イーブイに加え残り4匹は誰がいい?(投票数の多い順に選ばれます)
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シャワーズ
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サンダース
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ブースター
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エーフィ
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ブラッキー
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リーフィア
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グレイシア