ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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アニポケでセレナ再登場しましたけど、可愛いというよりすっごい美人になってましたね。あとニンフィアかわいい。

今回は軽く振り替える冒険のまとめ回です。長編アニメ(特にジャンプ)ではよくある話。


歩んできた道、そして約束

リーリエは大きく深呼吸をする。今現在、彼女はウラウラ島にあるラナキラマウンテンへとやってきている。

 

「……よし!行きましょう!」

『ビビッ!案内ならボクに任せるロ!』

 

リーリエは深呼吸で最後の試練を前にして昂る気持ちを落ち着かせ、ラナキラマウンテンを登り始める。ラナキラマウンテンは気候が温暖であるアローラの中でも唯一冷えこむ場所であるため、寒さ対策に厚着をしてきているため問題はない。

 

方向音痴である彼女は一人で歩くといつの間にか迷ってしまう特殊能力にも似たものがある。マッピング機能があるロトム図鑑がいれば、方向音痴の彼女であっても安心である。

 

しかし一部に雪が積もっているため、足場は普通の山よりも悪くなってしまっている。そのため滑って転ばないように慎重に歩みを進めていく。

 

「山を登ると、なんだかあの時のことを思い出しますね。」

 

あの時とは、神経毒にかかってしまった母親を救うため、虹色の羽を求めてシロガネ山を登った時のことである。その時は生まれたばかりのシロンが一緒にいたものの、トレーナーとしては旅に出ていなかったため右も左も分からない時期であった。

 

道中なんどもポケモンに襲われたり、迷子になってしまったりと、今思い出しても少し恥ずかしさがある一方で、いい経験でもありいい思い出として彼女の脳内に刻まれている。

 

不思議な現象、不思議な存在に導かれながらもリーリエは無事虹色の羽を入手し、神経毒に侵されてしまった母を助けることに成功する。

 

それからしばらくして、リーリエはトレーナーとしてある程度の知識をオーキド博士の研究所で学んだ。元々本を読むのは好きだったし、知識を取り入れることは彼女にとって何よりも楽しい時間であった。

 

そしてアローラを発ち2年の時が過ぎ、遂に彼女は決意するポケモントレーナーとして旅立つことを決意する。

 

「不思議と、色々なことを思い出しますね。」

 

ラナキラマウンテンを登っていると、リーリエは脳裏に過去に経験した色々な出来事がまるで昨日のようによみがえってくる。旅をしていた期間は決して長くはないが、それでも旅の道中様々な経験をしたのは記憶に新しい。

 

旅に出たのはいいものの、彼女自身の方向音痴によってトキワの森で迷子になってしまう。そんな彼女はスピアーの縄張りに入ってしまい、彼らの怒りを買って襲われてしまう。

 

そんな時、アローラで出会った憧れのトレーナー、恩人、大切な人物に助けて貰い、再会することとなった。彼はリーリエと交わした約束、“いつか一緒に旅をする”と言う約束を果たすために遥々反対側であるアローラからカントーまで来てくれたのだ。

 

リーリエは近くで見てきた彼の姿に憧れた。誰よりも強く、ポケモンたちと心を通わせ、どんな時でも決して諦めない勇気を持った彼は、リーリエにとって何よりも強く輝いていた。そんな彼に少しでも近づくために、一緒に戦えるようになるために、今度は自分が守れるように強くなりたいと願うようになった。

 

元々はポケモン達が傷ついてしまうポケモンバトルが苦手と言っていたリーリエも、彼と、そして自分のポケモン達と関わっていく内にポケモンバトルの良さに惹かれていく。傷付くだけではなく、ポケモンと絆を深め、戦った相手と称賛し分かち合う、それが何よりも素晴らしく心地よいものだと気付くことができたのだ。

 

それからリーリエはカントー地方のジム巡りに挑むことを決意した。ジムリーダーは一つのタイプに特化したエキスパートトレーナーたちで実力もある手練ればかりであったが、共に旅をした彼の助言ととポケモン達、そして彼女自身が成長していき、カントー地方8つのジムを攻略、バッジをゲットすることができた。

 

ジムバッジを8つ揃えたトレーナーが行きつく先、それは強者のみが集うトレーナーたちの夢の舞台、ポケモンリーグである。そこで待ち受けていたのはかつて解散したロケット団の用心棒として雇われていたハジメ、マサラタウンで育った双子のトレーナーであるコウタとコウミ、そしてリーリエの初めてのライバルであるブルー。他にも多くのトレーナーが集まっており、誰もがジム巡りをクリアしてきた猛者ばかりであった。

 

様々な激闘を繰り広げた結果、リーリエ準々決勝にてブルーに勝利するも、準決勝においてコウタに敗北してしまう。内容は非常に白熱し、どちらが勝手もおかしくない戦いであったが、惜しくも敗れ初のリーグ戦はBEST4と言う結果に終わり、彼女のカントーでの旅は幕を閉じることとなる。

 

カントーリーグが終わり、彼女はこれから何をすればいいか迷ってしまう。ただひたすら上を目指すために戦ってきたため、自分のこれからの目標を一時的に見失う。しかし彼に諭され、リーリエはまた次の目標を改めて見つめることができた。そしてリーリエは、彼とある約束を交わすこととなる。

 

『……島巡りを達成したトレーナーはジム巡りと同じでアローラリーグに挑戦することができるんだ。』

 

『そのアローラリーグで優勝すると、アローラ地方最強のトレーナー…………チャンピオンと戦う事ができるんだ。』

 

『……アローラの最高の舞台で待ってるよ。』

 

彼との約束。それが彼女の心に再び火を灯す結果となった。彼は2年前の約束、共に旅をする約束を果たしてくれた。ならば今度は自分の番だ。今度は自分が、彼との約束を果たすために彼の元まで辿り着き、約束を果たすべきなのだと。

 

「そう……その約束があったからこそ、私は……」

 

彼との約束を改めて思い返すリーリエ。彼との約束があったから彼女は頑張れた。彼との約束があったから彼女は様々な苦難を乗り越えることができた。

 

彼女は次の目標ができ、今まで以上に意気込んでいた。しかしそんな彼女たちの元に新たな試練が訪れてしまう。かつてリーリエの母親を苦しめることになったUBの再来だ。

 

リーリエは彼と共にアローラに2年ぶりの帰還をする。その際、新たなライバルであるヨウ、ハウと出会った。以前彼と同じく島巡りをし、現しまクイーンとして活躍しているミヅキの幼馴染。ジョウト地方にトレーナー修行に出ていたため、彼らも久方ぶりの故郷への帰還であった。

 

そして彼らと共に、リーリエは過去に苦しめられたUBたちと対峙する。UBの存在はリーリエにとってもトラウマであったがヨウやハウ、ミヅキ、兄であるグラジオ、そして彼と共に乗り越え、アローラと自分の大切な人たちを守ることができたのだった。それは、彼女自身の精神的、そしてトレーナーとしての成長を示しているようであった。

 

UBを無事に退けた彼女は、本格的に島巡りを始めることとなる。島巡りの日に出会ったウルトラ調査隊の二人。謎の集団ではあるが、彼らとの出会いが後の新たなる危機の前触れでもあった。そして彼女の島巡りはメレメレ島から始まり、最初の試練、イリマの試練が彼女の行く手を阻む壁となった。

 

初めての試練、そしてジム巡りとはまた違う戦いや環境に戸惑いながらも、リーリエは初めての試練を突破する。その先に待ち受けていたのは、新しくしまクイーンへと就任し、友人でもあるミヅキとの大試練バトルだ。

 

ミヅキが使うポケモン達はかつて彼女が島巡りの時から旅をしていたパートナーたちで、リーリエも当然苦戦を強いられるが、リーリエとポケモンたちも過ごしていた時間は決して負けていない。激闘の末、初の大試練バトルは無事勝利と言う結果に終わり、メレメレ島での島巡りは終わり、舞台はアーカラ島、ウラウラ島、そしてポニ島へと移行することとなる。

 

「スイレンさん、カキさん、マオさん、グズマさん、マーマネさん、アセロラさん、クチナシさん……どの試練も、一筋縄でいくものではありませんでした。」

 

リーリエは今まで突破した試練の内容を思い出していく。それぞれの試練の特徴も異なり、独特なものもあったが、彼らが丹精込めて育てたぬしポケモンはどれも協力で。トレーナーとの戦いとは違った経験を積むことができた。そして大試練で対峙したしまキングのグズマ、クチナシは両者共強敵で、何度も追い詰められたがポケモンたちの頑張りのお陰で苦戦しつつも突破することができた。

 

そして最後の大試練が行われるポニ島。しかし大試練を前に、リーリエたちの前に新たなる脅威が姿を現した。

 

ウルトラ調査隊、ダルスとアマモの世界における神にも等しいかがやきさまと呼ばれる存在、その名はネクロズマ。

 

ネクロズマは太陽の化身と呼ばれる伝説のポケモン、ソルガレオのウルトラオーラに呼び寄せられアローラまでやってきた。ソルガレオの強大な光の力を自らの力にするために。

 

彼女たちは必死の抵抗をするものの、ネクロズマの力があまりに強すぎたためまるで歯が立たなかった。リーリエたちのポケモンは傷付き、彼女を守るためにソルガレオが前に出た。ネクロズマはソルガレオの力を吸収し、融合、寄生することで不完全であった力を取り戻し力を解放する。

 

ネクロズマはUBたちを呼び寄せ、アローラに再び災厄を訪れさせる。リーリエと、もう一人の少年が月の化身、ルナアーラと共にネクロズマの後を追いかける。

 

ウルトラ調査隊の故郷にある大都市、ウルトラメガロポリスにてリーリエたちはネクロズマと対峙する。疲労から休んでいたネクロズマは、体を起こして敵と認識したリーリエたちに対して戦闘態勢をとり、アローラの未来を賭けた最後の戦いが幕を開けた。

 

戦いは今までにないぐらい壮絶を極めた。更に真の力を解放したネクロズマは、アローラの時以上の力を持っていて、彼女たちの全力でさえ太刀打ちできないでいた。

 

しかしアローラから伝わる希望の光、Z技が残されていた。アローラから預かった希望、想いを全て乗せてZ技を放ち、遂にネクロズマからソルガレオを引き釣り出すことに成功した。

 

少年は救出したソルガレオと共に再びZ技を使う事を決意する。しかしZ技はトレーナー自身の体力を消耗してしまう諸刃の剣。2度目の、それも伝説のポケモンと使用するZ技には光の力が足りなかった。そんな彼に、リーリエが手を差し伸べる。

 

二人は絆の力を合わせ、全力のZ技を解き放った。ネクロズマの闇に呑まれた力を返り討ちにし、ネクロズマの暴走を止めることができた。そしてネクロズマは、かがやきさまとしての力を取り戻し、ウルトラ調査隊の世界と、アローラの未来を守ることができたのである。

 

アローラへと無事帰還を果たしたリーリエ。残る試練、マツリカの試練に挑戦する。

 

マツリカはフェアリータイプの使い手で、ダブルバトルと言う特殊なルールによる戦いであった。彼女の洗礼された連携攻撃に、リーリエは次第に力の差で押されてしまう。

 

そこに乱入してきたぬしポケモンのアブリボン。通常サイズよりもかなり大きく、他のぬしポケモンと同様強力な力を所持していた。対峙しただけでもその威圧感が伝わるほどに。

 

しかし苦戦しながらもリーリエは勝利を掴み、全ての試練をクリアするのであった。残されたのはポニ島の大試練、ハプウとの戦いのみ。

 

ハプウは前しまキングの孫であり、しまクイーンとしての日は浅いもののトレーナーとしての実力は想像を超えるものであった。それこそ、四天王クラスと言ってもいいほどの強敵だ。

 

じめんタイプを好んで使用するハプウは、巧みな戦術と力強い攻撃に強固な防御、一片の隙もない洗礼されたバトルに、リーリエは翻弄されてしまう。

 

しかし彼女のパートナーでもあるフシギソウが追い詰められたその時、彼の体を光が包み込み姿を変えた。フシギソウがリーリエの願いに答えるために進化し、フシギバナとなったのである。

 

ハプウのエースであるバンバドロに立ち向かうフシギバナ。力と力のぶつかり合いに、戦場には緊張が走り続ける。だが勝負には必ず終わりが来るものである。

 

フシギバナとバンバドロ、両者一歩も引かない攻防であったが、フシギバナのZ技が炸裂し勝敗が決する。結果、フシギバナの勝利となり、リーリエはこの瞬間、全ての大試練を突破したのであった。

 

それはつまり、アローラ最高の舞台へと参加する資格を得たことを意味した。そして今……

 

 

『ビビッ!出口だロ!』

「っ!?」

 

リーリエの目先に光が見え、居ても立っても居られなくなったリーリエは思わず駆け出した。山を登り、洞窟を抜け出したその先には……

 

「あれが……」

『そうだロ。あれこそが、アローラで最も高く、トレーナーたちが憧れる夢の場所だロ!』

 

リーリエの目の前に広がるのは、大きなドーム状の建物。遠くから見るよりもそれは大きく、見ているだけでも緊張してしまう場所であった。

 

アローラポケモンリーグ。ククイ博士が夢にまで見た最高の舞台であり、彼が作り上げたトレーナーたちの夢でもある舞台がそこにはあった。そしてなにより、リーリエにとって約束の場所であり、目標の終着地点でもある。

 

「ようやく……ようやくここまで来ることができました。今度は、私が約束を果たす番です。シンジさん!」

 

リーリエは目標としてきた人物の名を口にし、歩みを進める。手をギュッと握りしめ、約束の舞台へと足を踏み入れた。リーリエの真なる最後の戦いが、ここに始まる。




ようやくアローラリーグまで辿り着きました。もう少しで本編も完結するのでヌシも頑張ります!

レジェンズアルセウスに関しては、私が2周目をクリアしてから書くつもりです。キャラの設定とかその他もろもろ、一度纏めないと書けないので。ただ主人公のポケモンはもしかしたらニンフィアのみになるかも?

理由は色々とありますが、セキさんとカイさんの相棒がリーフィア、グレイシアであること。それとテルショウの二人を出す関係上、片方の相棒がピカチュウならもう片方の相棒はお察し。

シンジが最終戦で使うブイズはニンフィア、イーブイに加え残り4匹は誰がいい?(投票数の多い順に選ばれます)

  • シャワーズ
  • サンダース
  • ブースター
  • エーフィ
  • ブラッキー
  • リーフィア
  • グレイシア

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