ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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アニポケに再登場したポッチャマの露骨なカラコンが気になる。ダイパ時代はもっと目が黒かったのに

UNITEのカイリュー強すぎ


ほしぐもを救出せよ!いざ闇の世界へ!

ソルガレオと融合したことで本来に近い力を取り戻したネクロズマ。そんな強大なネクロズマに追い詰められるリーリエたちであったが、彼女たちのピンチを救ったのはかつてリーリエと共に旅をした仲間、ハクリューの進化した姿であるカイリューであった。

 

「カイリューさん……本当にハクリューさんなのですか?」

『バウゥ♪』

 

カイリューは困惑するリーリエにぎゅうっと抱き着いた。手加減してくれているとは言え、カイリューほどの巨体に抱きしめられたらさすがに苦しい。しかしその行動がカイリューがハクリューだという事の証明になった。

 

「カイリューさん、お久しぶりですね。ありがとうございます!」

『バウ!』

「感動的な再会のところ悪いけど、今はそれどころじゃないみたいだよ。」

『ラリオーナ!!』

「っ!?」

 

シンジの言葉にリーリエはハッとなりネクロズマに目を向ける。ネクロズマは再び咆哮をあげる。しかし今度は攻撃の為でなく、ネクロズマが咆哮した瞬間に周囲に変化が訪れた。

 

ネクロズマが開けた大きなウルトラホールの周りに、次々とウルトラホールが出現していく。さらに次第に空が暗くなっていき、太陽の光が薄くなっていった。そしてポニ島周辺だけが、まるで夜のように暗くなってしまった。

 

「代表!大変です!」

「どうしたの!?」

「ウルトラオーラの反応が急激に上がってきているわ!間違いなくウルトラビーストの反応よ!」

「なんですって!?」

 

ビッケとバーネットの報告を聞き、ルザミーネは驚愕の声をあげる。ネクロズマとソルガレオが融合し互いウルトラオーラが調和され、膨れ上がったウルトラオーラに反応したUBが再びこのアローラに現出しようとしているのだ。

 

ネクロズマはソルガレオと言う目的を達成したからなのか、そのまま振り向き自分の通って来たウルトラホールに帰って行った。

 

「ま、待ってください!」

 

当然リーリエの静止も届かず、ネクロズマはウルトラホールの内側へと消えて行った。

 

「そ、そんな、ほしぐもちゃんが……」

「ウルトラオーラ、さらに増大を確認!この世界に現れるのも時間の問題です!」

 

このままではUBたちがこの世界にやってきてしまい、ほしぐもちゃんを助けるどころの話ではなくなってしまう。それどころが、太陽の使者であるソルガレオがこの世界から消えてしまったことで、太陽の光も弱まりつつある。ヘタをすれば、このアローラもダルスの世界と同じ運命を辿ってしまうことになりかねない。

 

この状況を打開する方法はないのだろうか、と考える中、ダルスが自分のモンスターボールを手にした。

 

「……一つだけ方法がある。」

 

そう言ってダルスはモンスターボールを投げた。その中から現れたのは、大きな翼を持ち夜空にも似た模様をしたポケモンであった。

 

『マヒナペェ!』

「このポケモンに乗って行けばいい。」

「このポケモンは……ルナアーラ!?」

 

ルザミーネはそのポケモンの名を口にする。ルナアーラ……ソルガレオの対となる月の使者と呼ばれているポケモン。そう、以前空間研究所でダルスとアマモが話していたポケモンだ。二人がこの世界に来るために乗って来たポケモンである。

 

「なるほど、確かにこいつがいればウルトラホールを通ることができる。」

「ただしこのルナアーラには戦闘能力がほとんどない。この世界で言うライドポケモン的な存在だと思ってくれ。」

 

どうやらほしぐもちゃんのような伝説のポケモンとしての特殊な能力は備わっていないようだ。しかし我々の目標はあくまでネクロズマを追いかけるためなので特に問題はないだろう。

 

「しかし我々の予備の防護スーツは2着までしかない。ウルトラホールを通れるのは二人までだ。」

「男女兼用でサイズもフリーだから、誰でも着られるよ!」

「僕が行くよ、もう一人は……」

「……私が行きます。」

 

シンジが前に出てソルガレオの救出を買って出る。それに続いて名乗りをあげたのはリーリエだった。リーリエの回答に慌ててミヅキが抑止した。

 

「待ってよ!リーリエが行くのは危険すぎるよ!ここはしまクイーンの私が!」

 

親友であるリーリエに危険な目にあわせるわけには行かないと前に出るミヅキ。しかしリーリエは、そんなミヅキに対して静かに首を横に振る。

 

「ミヅキさんのお気持ちは嬉しいです。ですが、ほしぐもちゃんは私の友達です。それにほしぐもちゃんは私を守ってくれました。今度は私が助けたいんです!」

「リーリエ……で、でも!」

 

立場上、そして何より親友としてリーリエを止めたかった。しかし彼女の決意が灯った眼差しを見て、ミヅキはこれ以上の言葉が出てこなかった、

 

「…………」

 

グラジオはそんな妹の顔を見て、何かを思ったように目を瞑る。

 

「……シンジ」

「グラジオ……」

「リーリエを、よろしく頼む。」

「……分かった」

「グラジオ!?」

 

ミヅキは兄であるグラジオの言葉に目を見開いた。この場において誰よりもリーリエを止めるであろうと思っていた人物が言う言葉とは思わなかったからだ。

 

グラジオ、シンジ、リーリエを見たヨウ、ハウも、これ以上自分たちが口を挟むことは何もないと、彼らに激励の言葉を送る。

 

「俺たちも行きたいけど、ネクロズマたちのことは任せた!」

「アローラのことはおれたちに任せてよー!」

「ヨウ……それにハウまで……」

 

リーリエたちとの付き合いは短いが、ヨウとハウまでそう言っては、自分もこれ以上何も言えなくなってしまう。

 

「……分かったよ。シンジ君!必ずリーリエを無事に返してよね!怪我させたらただじゃ済まないんだから!」

「分かってる。リーリエも、ほしぐもちゃんも必ず守ってみせる。今度こそ、必ず。」

 

ミヅキは覚悟を決めてリーリエの事をシンジに託す。シンジもその言葉を受け取り、頷いて互いに拳を突き合わせる。共に島巡りをクリアしたライバルとして、ミヅキもまた彼の事を信じている証であった。

 

「シンジ君」

「ルザミーネさん?」

「行く前にこれを持って行って頂戴。」

 

ルザミーネはシンジにある物を手渡す。それはアローラのトレーナーにとって必要不可欠となるもの、Zリングであった。しかし通常のZリングとは異なり白ではなく黒色で、中央の窪みの形状も少し変化していた。

 

「それは私たちエーテル財団が新しく開発しているZリングよ。本来Z技とは、アローラの太陽や海、自然の恵みから力を授かってより強力なものに変化する。」

 

ルザミーネの説明にシンジは頷く。

 

「だけれどダルスさんたちの世界では自然環境はほとんど失われてしまっているわ。このZリング、Zパワーリングはそんな環境でも強力なZ技を使えるように調整しているわ。まだ未完成だけれど、問題なくZ技を使用することはできた。よければ使ってくれるかしら?」

 

確かにそう言うことであればネクロズマとの戦いで強力な武器になる。それにこれは一つの実験にもなり得る。自然環境が失われてしまったあちらの世界で扱うことができれば、Zパワーリングは次世代のZリングとして活用できるだろう。

 

シンジはルザミーネからZパワーリングを受け取り、感謝の言葉を告げた。

 

「ありがとうございます、ルザミーネさん。」

「あなたに……そしてリーリエに、守り神の御加護があらんことを。」

「お母様……」

 

ルザミーネは両手を合わせて二人の無事をアローラの守り神たちに祈る。リーリエはそんなルザミーネに心の中で感謝し、昔の様な優しい姿が見れてよかったと心の底からそう思う。

 

「では二人とも、このスーツを着てくれ。これがあればウルトラホール内でも問題なく活動可能だろう。」

「さっきも言った通りサイズはフリーだから、誰が着ても大丈夫だよ!」

 

ダルスはシンジとリーリエに自分たちの着ているスーツと同じものを手渡す。

 

ダルスは高身長でアマモはかなり小柄だ。対してシンジとリーリエはダルスより少し低い、平均的な少年少女の身長だ。カントー育ちのシンジの方がやや低いぐらいだろうか。

 

フリーサイズと言うのであれば、成長期の彼らでも問題なく着用することが可能だろう。

 

シンジとリーリエは受け取ったスーツを着用する。アマモの言った通り、着用した瞬間二人のサイズに自然とピッタリ一致した。少しピッチリし過ぎて違和感を感じるが、必要なことなのでこの際仕方がないことである。

 

「カイリューさん、お願いがあります。」

『バウッ?』

「また、私と一緒に戦ってくれませんか?あなたの力が必要なんです。」

『……バウッ♪』

 

リーリエの頼みにカイリューも元気よく頷いてリーリエに抱き着いた。カイリュー自身、久しぶりにリーリエに会えたこと嬉しいのだろう。

 

「あはは、苦しいですよカイリューさん。でも、私も嬉しいです。また、よろしくお願いしますね!」

『バァウ!』

 

リーリエはかつて彼を入れていたモンスターボールを取り出しそれをカイリューに向ける。パカッと開いたモンスターボールにカイリューは入っていき、再びリーリエの手持ちへと加わるのであった。

 

「……ありがとうございます、カイリューさん。」

 

これから一緒に戦ってくれること、そして何よりさっきピンチを助けてくれたこと。その両方に対しての感謝の言葉をカイリューに伝える。カイリューはボール越しに頷き、ボールが揺れることでリーリエに自分の気持ちを伝え返すのであった。

 

「それではルナアーラ、彼らを乗せてくれるか。」

『マヒナぺ!』

 

彼らの準備が整ったと確認したダルスは、ルナアーラにそう頼んだ。ルナアーラもその頼みを承諾すると、彼らを自分の背中に乗り水平態勢になる。

 

しかしその時、慌てた様子でビッケは衝撃の報告を告げたのであった。

 

「ウルトラオーラの反応最大!!UB、来ます!」

 

リーリエたちが出動しようとした刹那、ビッケの報告と同時に無数のウルトラホールから多数のUBたちが一斉に出現した。その数は数えきれないほどで、ウルトラホールまでの道が埋め尽くされていた。

 

「っ!?このままでは!」

「マズいよマズいよ!これじゃあルナアーラが通れないよ!」

 

どうすればいいかとダルスが思案するが、それよりも先にグラジオたちが動いていた。

 

「ルカリオ!クロバット!出番だ!」

『バウッ!』『クロッ!』

「ライチュウ!ウインディもお願い!」

『ライライ!』『ガウッ!』

「ピカチュウ!ウォーグル!行くぞ!」

『ピッカァ!』『ウォー!』

「オンバーン!クワガノン!頼むよー!」

『バオォン!』『クワッ!』

「私も戦うわよ!ピクシー!ムウマージ!」

『ピックシィ!』『マァジ!』

 

グラジオたちだけでなく、ルザミーネも自分のパートナーポケモンたちを出して臨戦態勢をとる。そしてグラジオは、シンジたちに叫びこれからのことを伝える。

 

「シンジ!リーリエ!ここは俺たちが道を切り開く!だからお前たちは俺たちの作った道を突き進め!」

「グラジオ……」

「お兄様!」

「大丈夫だ、ここは俺たちがなんとかするさ。アローラの運命は、お前たちに託したぞ。」

 

グラジオの覚悟の言葉にシンジとリーリエも重く受け止め、必ずほしぐもちゃんも救いアローラの運命も救って見せると頷いて応えて見せた。そんな二人の表情を見て、グラジオたちも僅かに微笑みUBたちのことを見据えた。

 

「ルカリオははどうだん!クロバットはアクロバット!」

「ライチュウ!エレキボール!ウインディ!かえんほうしゃ!」

「ピカチュウ!10まんボルト!ウォーグル!ブレイブバード!」

「オンバーンはばくおんぱー!クワガノンは10まんボルトー!」

「ピクシー!マジカルシャイン!ムウマージはシャドーボール!」

 

全員が一斉にUBを攻撃する。しかしUBたちはその攻撃を次々と避けて行った。しかしその反面、ウルトラホールに続く中央の道が綺麗に開けたのであった。

 

「今だシンジ!リーリエ!」

「うん!行くよ、リーリエ!」

「はい!お願いします!ルナアーラさん!」

『マヒナペェ!』

 

ルナアーラは直後シンジたちを乗せたまま飛び上がり、ウルトラホールまでの道を中央突破して飛び込んでいった。ウルトラホールへと飛び込んだシンジたちの姿は、一瞬で消え失せたのだった。

 

「……頼むぞ、二人とも。」

「アローラを、私たちの世界を、かがやきさまをお願いします。」

 

ダルスとアマモは、ただただ二人の事を信じて祈るしかできなかったのであった……。




カイリューパーティ入り

一部公式設定などは改変

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