ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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あけおめことよろ!

前回は投稿場所間違えましたが、番外編の前に投稿設定する関係上仕方がないということでどうか許してください


ソルガレオVSネクロズマ!欠けていく太陽!

これから訪れる可能性のある災厄を事前に食い止めるため、シンジとリーリエ一同はポニ島にあるポニの大渓谷頂上、日輪の祭壇に集まった。

 

シンジとリーリエはかつてほしぐもちゃんを目覚めさせた方法、太陽の笛と月の笛を同時に吹くことでこの場にほしぐもちゃんを呼び出した。

 

その後、現れたほしぐもちゃん、ソルガレオに呼応するように漆黒の鎧を纏うかのような禍々しいポケモンが空間を引き裂いて姿を現す。ウルトラホールを潜り抜け、姿を現したそのポケモンの名を、ウルトラ調査隊のダルスが呼んだのだった。

 

「あれがかがやきさま……君たちの世界で言うならば、ネクロズマだ。」

「あれが……かがやきさま?」

「ネクロズマさん……と言うのですね。」

 

かがやきさま……ダルスたちの話ではあちらの世界にとって神様にも近い存在、いわば光の神とも呼ぶべき存在だと聞いている。しかしかがやきさま、ネクロズマからはそのような雰囲気は一切感じない。寧ろ邪悪な、体が震える恐怖のような感覚が全身に伝わってくる。

 

その時リーリエたちはダルスたちの話を思い出す。突然、かがやきさまは光を失ってしまい、荒神として暴走を始めてしまったのだ。それが原因で、ダルスたちの世界からは光が失われ、闇の世界として何年も太陽の光すら届かない世界となってしまったのだ。

 

ネクロズマはウルトラホールを更に広げ、遂には突き破りアローラの世界に顕現する。その禍々しい姿に、この場にいる全員が身震いをしてしまう。UBととは更に異なる別の恐怖、非にならない恐怖が感じ取れる。

 

『っ!?ラリオーナ!』

「!?ほしぐもちゃん!」

 

かがやきさま、ネクロズマを見た瞬間にソルガレオは彼が危険な存在だと察知し、リーリエたちの前に守るように立ち塞がる。ネクロズマは自分を見据えるソルガレオを、空から真っ直ぐと見下ろしていた。

 

次の瞬間、ソルガレオとネクロズマの姿が一瞬で消える。空では白と黒、二つの光がぶつかり合い、ガキンッガキンッと金属音に近い鈍い音が辺り一面に広がる。リーリエやグラジオはおろか、チャンピオンであるシンジにすらも目で追いかけるのがやっとと言うスピードだ。どちらが優勢なのかが全く分からない。

 

刹那、この状況に変化が訪れる。彼らの目に映った光景は驚くべきものであった。

 

なんとソルガレオがネクロズマに叩き伏せられ、身動きが取れない状況となっていた。伝説のポケモンであり、太陽の使者とも言われるソルガレオが負けるなど、彼らにとっては想像もしていなかった状況だ。

 

しかし、リーリエはその状況を見てあることを思い出した。それはウラウラ島の霧の中で見た幻影だ。

 

あの時見た光景、この後に起こる出来事は彼女にとって非常に恐ろしいものであった。もしあの光景が現実のものになってしまうのだとすれば、それはなんとしてでも止めなければならない。

 

気付けばリーリエはモンスターボールを手に取り、ネクロズマの前に投げたのだった。

 

「シロン!れいとうビームです!」

『コン!コォォォン!』

『!?』

 

シロンはモンスターボールから飛び出した瞬間、れいとうビームでネクロズマに攻撃を仕掛ける。ネクロズマはその攻撃を咄嗟に躱し、ソルガレオは彼の手から解放される。

 

「それ以上、ほしぐもちゃんに手出しはさせません!」

『ラリ……っ』

『っ!?シカ……リ……!』

 

ネクロズマは自分の目的を邪魔されたことにより、妨害してきたリーリエ、シロンを敵と認識する。ネクロズマは次の瞬間、シロンに向かって攻撃を放つ。

 

『コン!?』

『ラリ……』

「シロン!?」

 

ネクロズマの攻撃、プリズムの様に光が反射しながら直線的に放たれる光線がシロンに迫る。ソルガレオが反射的に動こうとするも、ネクロズマとの戦いで体力を消耗してしまったためすぐに動くことは出来なかった。今度はネクロズマの攻撃がシロンに襲い掛かろうとしていた。

 

その時、二つの攻撃が交差し、ネクロズマの攻撃を相殺する。シロンの前には、二匹のポケモンが頼もしく彼女を守るように立っていた。

 

『フィア!』

『シヴァア!』

 

そこに立っていたのはシンジの相棒、ニンフィアとグラジオの相棒、シルヴァディであった。先ほどの攻撃はニンフィアのムーンフォースと、シルヴァディのエアスラッシュだったのだ。

 

「リーリエ、僕たちも戦う!」

「これ以上、奴の好きにさせるわけには行かないからな。」

「シンジさん!お兄様!」

「私たちも!アシレーヌ!お願い!」

『シレェヌ!』

「ガオガエン!出番だ!」

『ガオゥ!』

「ジュナイパー!行くよー!」

『ジュッパ!』

 

リーリエ、シンジ、グラジオに続き、ミヅキ、ヨウ、ハウもそれぞれのパートナーポケモンを繰り出す。島巡りの経験を経て、いつの間にかヨウとハウのニャヒートとフクスローも進化を遂げていたようだ。

 

シロン、ニンフィア、シルヴァディ、アシレーヌ、ガオガエン、ジュナイパーが弱ったソルガレオを守るように、強大な敵であるネクロズマに対峙する。ネクロズマはシロンだけでなく、この場にいる全ての存在を敵と認識した。

 

ネクロズマは体を丸め、手をクロスさせて力を溜める。その行動を見て、ダルスはすぐに声をあげる。

 

「皆!来るぞ!注意しろ!」

 

次の瞬間、ネクロズマは先ほどよりも広範囲に光線を放つ。光の屈折を利用しているのか、その軌道はまるで読むことができず祭壇全域に広がっていた。

 

シロンたちも必至に避けながら攻撃をして対抗する。しかし攻撃は一向に弱まることなく、全員が防戦一方と言った状況だ。必死に防御を繰り返すが、遂にはその攻撃がシロンに掠り僅かに被弾してしまう。

 

「っ!?シロン!」

 

被弾し倒れてしまったシロンにリーリエは心配で駆け寄った。そんな二人に、ネクロズマの攻撃が反射して襲い掛かった。

 

「ニンフィア!」

「シルヴァディ!」

『フィーア!』

『シルヴァ!』

 

リーリエはシロンを庇う。そんな二人を守るため、ニンフィアとシルヴァディは立ち塞がりそれぞれ対抗する。ニンフィアたちに続きアシレーヌたちもリーリエたちを守るために動いた。

 

ニンフィアのシャドーボール、シルヴァディのマルチアタック、アシレーヌのうたかたのアリア、ガオガエンのかえんほうしゃ、ジュナイパーのかげぬい、それぞれの攻撃でネクロズマの攻撃を食い止める。しかしそれでもなお、ネクロズマの攻撃は勢いが収まることを知らない。まるでネクロズマ自身が暴走しているかのようであった。これが荒神と言われたネクロズマの所以なのだろう。自分自身でも力を制御していない様に感じられる。

 

どれだけ対抗しても、こちらの体力が消耗していく一方であった。ニンフィアたちも疲労が溜まり、肩で息をしているのが分かるほどだ。そして遂に包囲網が突破されてしまい、一つの攻撃がリーリエたちに向かっていった。

 

『リーリエ!?』

 

全員が慌ててリーリエの名を呼ぶ。急いで守ろうと動くが、ネクロズマの素早く鋭い攻撃には間に合わない。リーリエも恐怖からシロンを守りながら目を瞑る。全域に大きな爆発音が広がった。

 

全員がリーリエの安否を心配する。衝撃が晴れると、そこにはリーリエがシロンを守っている姿がしっかりと映っていた。彼女たちはどうやら無事のようだ。

 

一向に痛みが来ないことをおかしいと感じ、何があったのかとリーリエは目を開ける。するとそこには、リーリエの盾になるソルガレオの姿があった。

 

「ほ、ほしぐもちゃん!」

 

その光景をみたリーリエは一瞬で理解した。自分が守ろうとしていた存在であるソルガレオが、身を挺して自分の事を守ってくれたと言う事実に。

 

ソルガレオはネクロズマの攻撃によるダメージでその場に膝をついてしまう。その様子を見たネクロズマがソルガレオの前に降り立ち、頭部をその巨腕で抑えつける。

 

「ほしぐもちゃん!やめてください!」

「くっ!ニンフィア!」

「シルヴァディ!」

『フィア!』

『シヴァ!』

「アシレーヌ!お願い!」

「ガオガエン!」

「ジュナイパーも!」

『シレヌ!』

『ガオ!』

『ジャパァ!』

 

ソルガレオを助けるためにニンフィアたちも一斉に動き出す。攻撃を繰り出そうとするも、その直前にネクロズマがもう片方の巨腕を振り払う。その巨腕によって風圧が発生し、ニンフィアたちを一斉に吹き飛ばす。先ほどの攻防により体力を失ってしまったニンフィアたちは成すすべもなく倒れてしまう。

 

「ニンフィア!?」

 

シンジも含め、全員がパートナーポケモンに駆け寄る。彼らのポケモンたちとは言え、ネクロズマの攻撃には耐え切れなかったみたいで全員が力尽きてしまっている。

 

「っ、ニンフィア、戻って休んでて。お疲れ様。」

「シルヴァディ、よく頑張ったな。」

「アシレーヌ、ありがとう。」

「ガオガエン、戻って休んでて。」

「ジュナイパー、おつかれさま。」

 

最後まで頑張ってくれたパートナーポケモンをそれぞれのモンスターボールに戻す。戦闘不能になってしまった彼らを、これ以上ネクロズマとの戦闘に出すわけにはいかない。

 

しかしネクロズマは敵がいないと分かった瞬間、意識をソルガレオのみに向ける。ネクロズマの背部から三角柱の形をした白いコアのようなものがゆっくりと飛び出した。

 

そのコアはネクロズマから離れると、今度はソルガレオに近付いていく。そしてコアがゆっくりとソルガレオの頭部に埋め込まれていった。

 

「っ!?ダメ!ダメです!待ってください!」

 

リーリエの叫びも虚しく、無慈悲にソルガレオの内部にネクロズマのコアが埋め込まれた。それと同時に、ソルガレオとネクロズマを眩い光が包み込んでいた。あまりの眩しさに全員が目を塞いだ。

 

「なんだ、この光りは!?」

「くっ、ほしぐもちゃん、ほしぐもちゃんは!?」

 

グラジオとシンジは慌てて状況を確認する。すると目の前には、ソルガレオでもネクロズマでもなく、別の存在がいたのだった。

 

いや、正確にはソルガレオのような何かであった。姿形は確かにソルガレオそっくりだが、その姿は眩く光り輝き、頭部や背中など、一部にはネクロズマを思わせるアーマーのようなものが装備されていた。

 

「っ!あれはまさに、ソルガレオとネクロズマが融合した姿。闇の力を持ったネクロズマが、ソルガレオの太陽の力を取り込んだ姿だ。」

「つまり、あれがかがやきさまってこと、だよ。」

 

ダルスが冷や汗を流し、アマモからも笑顔が消える。リーリエも、以前見た光景を思い出して顔色が絶望に染まってしまう。結局守るべき存在を守れなかったことが、とても悔しく感じていた。それと同時に、ネクロズマの存在がより恐ろしく感じられる。

 

『ラリオーナ!!』

 

ソルガレオの力を取り込んだネクロズマが咆哮する。そして咆哮と同時に額に太陽のマークを浮かび上がらせて、空に飛び上がった。

 

「っ!?まずい!みんな逃げろ!」

 

誰かが危険を察して必死に声を荒げて呼びかける。その声を聞いた全員が避難しようとするが、逃げるにはすでに遅すぎた。

 

太陽の力を手に入れたネクロズマは、かつての力を取り戻しつつあった。故に先ほどまでのような不安定な力ではなく、ソルガレオの太陽の力により制御ができる上さらに強大な力になっていた。

 

ネクロズマは力を溜め込み、その力を解き放つ。まるで流星のように勢いよく一直線に突っ込んできた。ソルガレオのみが覚えるとされているメテオドライブである。

 

もはや成す術はないのか、と思ったその時、横から現れた何かが彼の攻撃を遮った。その何者かは、驚くべきことにネクロズマのメテオドライブを正面から受け止め抗っていた。

 

『っ!?バァウ!』

 

ネクロズマの攻撃を受け止めていた“ポケモン”の全身を赤いオーラが包み込む。そのポケモンの筋肉が隆起し、ネクロズマの攻撃に抗いついには弾き飛ばしたのだった。ドラゴンタイプの強力な技、げきりんだ。

 

「あ、あなたは……。」

 

凄まじい力を見せたポケモンにリーリエは問いかける。リーリエの声を聞いたそのポケモンはゆっくりと振り向く。そのポケモンの正体とは……。

 

『バウ!』

「え?カイリュー……さん?」

 

リーリエの目の前に現れたポケモンはドラゴンポケモンのカイリューであった。なぜこんな場所にカイリューが、なぜカイリューが我々を守ったのか疑問だ。

 

そんなカイリューの姿を見たシンジは、とある違和感を覚えた。このカイリューはどこか懐かしい感じがすると本能的に感じたのだ。

 

「このカイリュー……もしかして……」

「!?もしかして!あなたは、ハクリューさん!?」

『バオゥ♪』

 

シンジの一言でリーリエは察した。このポケモンはかつて自分の仲間であり、故郷の仲間たちを守るために別れたハクリューなのだと。リーリエのその言葉に、カイリューは嬉しそうに頷くのであった。




以前から考えていましたがこのタイミングでカイリューを登場させました。以前のアンケートの段階で分かっていた人は分かっていたと思いますが。

アニポケBWのリザードンもオープニング的にこんな感じで登場して欲しかった願望も反映されてます。

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