ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
遂に物語も佳境に入ったということで、終わりが見えてきましたぞ。
ウラウラ島の大試練に挑戦するためにポータウンへと訪れたリーリエ。しまキングクチナシとの激闘を繰り広げ、ついに勝利を手にすることができたのであった。
「ふぅ……ガラにもなく熱くなっちまった。おじさん疲れちまったよ。」
「あの……クチナシさん。ありがとうございました!」
「礼を言う必要はないよ。ほら、とっととこっち来な。」
リーリエはクチナシに言われるままに近付く。クチナシはしまキングとして、大試練を突破したトレーナーに渡すある物をポケットから取り出す。
「こいつを受け取りな、ねえちゃん。あくタイプのZクリスタルだ。と言っても、純粋なねえちゃんには似合わねぇけどな。」
そう呟きながらクチナシはあくZをリーリエに渡す。リーリエはそんなことないです、と謙遜しながらクチナシに差し出されたZクリスタルを受け取った。
「あくZ、確かに受け取りました。ありがとうございます!」
「だから礼なんて……はぁ、まぁいいか。」
クチナシは頭を掻いて呆れながら少し照れくさそうに視線を逸らしてそう言った。
「あー、次は最後の島のポニ島だったか。アセロラに頼めばフェリーで連れてってくれると思うからほら、さっさと行きな。」
「は、はい!失礼します!」
リーリエは頭を下げ、去り際にもう一度ありがとうございましたとお礼の言葉を言う。その言葉を聞いたクチナシは彼女が去ったのを確認してから溜息を吐く。
「ったく、最近の若いやつは。あんちゃんそっくりでやり辛いったらありゃしない……。」
クチナシはやれやれ、と頭を掻いてボヤキながら小さく不敵な笑みを浮かべるのであった。
無事クチナシの大試練を突破したリーリエは、アセロラの待つエーテルハウスへと帰還した。
「アセロラさん、ブルンゲルさんを貸していただいてありがとうございました!」
「うん!ブルンゲルの乗り心地よかったでしょー?」
アセロラの言う通りブルンゲルは乗り心地がよく、思わず眠ってしまったと話すリーリエ。「あはは、やっぱりー」、と笑うアセロラにリーリエも恥ずかしくなって顔を赤くしたのだった。
「それで、クチナシおじさんとの大試練はクリアしたんだよね?ちゃんと真面目にバトルしてくれた?」
「はい、じわじわと攻める戦術に苦戦しましたが、なんとか勝つことができました。」
「そっか。まぁ無事大試練乗り越えられたようでなによりだよ。」
アセロラはふにゃっとした笑顔のまま安堵した表情を浮かべる。リーリエが大試練を乗り越えられたことはもちろんだろうが、どちらかと言うとクチナシがちゃんと大試練をしてくれたことに対しての方が大きいだろう。もはやどちらが保護者なのか分からないが……。
「あっ、そうそう!リーリエに伝えることがあったんだ!」
「伝えること、ですか?」
アセロラは思い出したように手をポンッと叩く。
「ついさっきルザミーネさんから連絡があったんだ。」
「お母様から?」
「うん。なんでもリーリエにエーテルパラダイスに来てほしいってさ。」
突然エーテルパラダイスに来てほしいと母親からの伝言があったと言うアセロラ。急にリーリエを呼び出すということは緊急の用件でもあるのだろうか。
兄であるグラジオは以前“かがやきさま”についての資料を探していた。そしてウルトラ調査隊はUBの痕跡を探し、エーテル財団と空間研究所が協力してウルトラホールの調査も行っていると言う。もしかしたらUBに関して何かわかったのか、それともまた彼らがやってきてしまうのか。いずれにしても、リーリエには何か嫌な予感がしてぞわりと背筋に寒気がきた。
「私は長いことここを離れられないけど、エーテルパラダイスまでは送っていけるから。貸出のフェリーで付き添ってあげるよ。」
「……ありがとうございます。」
リーリエは緊張のため喉をゴクリと鳴らし、アセロラに連れられてエーテルパラダイスへと足を踏み入れるのであった。
リーリエはアセロラに連れられてエーテルパラダイスに辿り着く。連れてきてくれたアセロラに別れを告げて懐かしのエーテルパラダイス内部に入っていく。
「リーリエお嬢様、お待ちしてました。」
「ビッケさん!」
ルザミーネ代表の秘書を務めているビッケが出迎えてくれる。ビッケは深々と頭を下げてリーリエを快く迎え入れる。
「もう、お嬢様はやめてくださいよ。いつも通り呼んでほしいです。」
「すみません。つい昔の癖でそう呼んでしまいました。」
恥ずかしそうにするリーリエに、ビッケも懐かしさを感じながらそう謝る。小さいころからのリーリエを知るビッケにとって、彼女もまた代表と同じく仕える人物なので仕方がないだろう。いわゆる職業病のようなものかもしれない。
「お話は代表の元にご案内しながらさせていただきます。」
「は、はい。でも突然呼ばれたので……なにかあったのですか。」
「なにかあった、と言いますか、これから起こるかもしれないと言った方が正しいですね。」
起こるかもしれない、と言う言葉にもしかしてUBが、と一番気になる点を尋ねてみる。するとビッケは首を横に振ってそれは違うと否定した。
「今回はUB……とは少し違います。とは言え私たちも詳しいことはまだ分かっていないのです。」
ビッケはだからこそ、と言葉を続ける。
「起こり得るかもしれない事態を、大事になる事前に対処しようと言うことになったのです。」
そう言ってビッケは立ち止まる。目の前には見覚えのある大きな扉。ビッケは大きな扉をノックすると、中からは「どうぞ」と女性の声が聞こえた。その言葉を聞いたビッケは「失礼します」、と扉を開ける。
「ご苦労様、ビッケ。」
そう労いの言葉をかけたのはエーテル財団の代表にしてリーリエの母親、ルザミーネであった。横には空間研究所のバーネット博士、それからルザミーネと対面するようにリーリエの兄であるグラジオや同じく島巡りをしているヨウ、ハウ、それから現メレメレ島しまクイーンを務めているミヅキの姿があった。
「お兄様、それにミヅキさん、ヨウさんにハウさんも呼ばれてたんですね。」
「俺は元々協力者だったからな。こいつらもついさっき来たところだ。」
「やっほー!リーリエー!」
「相変わらずだな、ミヅキは。」
「これでみんなそろったねー。」
ミヅキは友人であるリーリエに再会でき、いつものようにハグをしてスキンシップをする。リーリエも嫌なわけではないが、苦しいですとリアクションをとる姿はもはや彼らにとっては見慣れた光景である。
「と、ところでお母様、今回呼ばれたのは一体……。」
リーリエはハグしてくるミヅキと離れると、今回の詳しい用件をルザミーネに尋ねる。彼女の表情を見る限り、今回の件はかなり重大なようである。
「まずはこれを見て頂戴。」
そう言ってルザミーネはスクリーンにとある写真を映し出す。グラジオはその写真に見覚えがあった。
「これは以前にもグラジオに見せたものだけど、最近になってこの石板が見つかったの。」
その石板には中央には巨大なポケモンらしき存在。周囲にはアローラの島の守り神とUBの姿があった。リーリエ、ヨウ、ハウには中央の存在がなんとなくなんなのかが分かった。
「ウルトラ調査隊の人から話を聞いていたから分かると思うけど、中央に映っているのが“かがやきさま”よ。」
バーネットの言葉に3人はやっぱり、と心の中で思う。事情が分からないミヅキはかがやきさまについてルザミーネに尋ねることにした。
「かがやきさまってなんですか?」
「ウルトラ調査隊の人たちは知ってるかしら?彼らの世界に存在している、いわば神様みたいな存在と認識してちょうだい。」
ミヅキはその説明だけでなんとなく察しはついた。伊達に島巡りの達成やしまクイーンを務めているわけではない。
「お母様……もしかして……」
「ええ……UBとは違う存在だと思うのだけど、かがやきさまにもウルトラオーラを検知したわ。そのウルトラオーラが、次第に大きくなってきたの。」
ウルトラオーラが大きくなってきた。それはつまりどういうことなのか、5人はやはりと理解する。かつて味わった悪夢と同じ現象が、今起きようとしている可能性があるわけだ。
「そのウルトラオーラを俺たちで止めに行く、と言うわけだな。」
「その通りよ。ウルトラオーラが最も強く感じるポイントも把握済み。今からヘリで現地に向かうわ。そこには他の協力者も既にいるから、私たちも合流するわよ。」
そう言ってルザミーネは彼らを外のヘリポートへと案内する。用意されていたヘリに全員で乗り込み、協力者がいると言う現地まで向かうのであった。
リーリエたちを乗せたヘリはポニ島の上空にやってきた。更に高度を上げ。向かう先はポニの大渓谷そしてその先にある日輪の祭壇であった。
ヘリは日輪の祭壇上空にまで辿り着く。既にここには協力者がやってきているとのことで、リーリエは祭壇の上にいた人影に気付き覗いてみる。するとそこには見覚えのある人影が3名見えた。
ヘリは祭壇の上に無事着陸する。着陸したのを確認したリーリエは、現地にいた協力者の元へと駆けだした。そこにいたのは……
「シンジさん!」
「リーリエ、君も来たんだね。」
そこにいたのはチャンピオンであるシンジであった。そしてその横にはウルトラ調査隊のダルスとアマモの姿があった。
「久しぶりだな、リーリエ。」
「久しぶり!おねーちゃん!」
ダルスとアマモも久しぶりに出会ったリーリエに挨拶する。リーリエもお久しぶりですと頭を下げて挨拶する。
「ルザミーネ代表、お疲れ様です。ご足労いただき感謝します。」
「こちらこそ、ですが問題はこれからですから。」
ルザミーネとダルスは業務上の付き合いと言うことで握手を交わす。協力関係にあるエーテル財団とウルトラ調査隊代表の挨拶みたいなものだろう。
「リーリエ。」
「は、はい。お母様、なんでしょうか?」
「あなたに来てもらったのは、あなたとシンジ君の協力が必要だからよ。」
「私とシンジさんの……ですか?」
リーリエはそんな母親の言葉に疑問を抱く。困惑して理解できていないであろうリーリエに、シンジは歩み寄ってあるものを差し出した。
「リーリエ、これに見覚えあるでしょ?」
「っ!?こ、これって……」
シンジが差し出したのは月の模様が描かれた青色の笛。リーリエにとって思い出深いその笛は、絶対に忘れることのできない懐かしの笛であった。
「月の笛……ですね。」
「うん。これを使って、もう一度ほしぐもちゃんを呼び出す必要がある。」
シンジはリーリエに説明をする。ウルトラホールを通ることのできる唯一の存在。当然膨大なウルトラオーラも所持しており、日輪の祭壇に顕現させることによってウルトラオーラをより強くさせて“かがやきさま”のウルトラオーラとの反応を煽ると言う考えだ。
「……分かりました。」
「みんなも、万が一にも戦闘が始まってしまう可能性があるから、覚悟と準備だけはしておいて。」
シンジの言葉にグラジオを始め、トレーナーたちは頷いて返事をする。いつになく真剣な表情をするシンジの顔を見て、全員から笑顔が少なくなっているのが分かる。
リーリエはシンジから月の笛を受け取り、右側にある月の模様が描かれた床へと立つ。対してシンジは太陽の笛を手に、左側の太陽が描かれた床の上に立った。
リーリエとシンジは互いに目を合わせて意思を通じ合わせる。他のみんなは二人の様子を見守り無事にいくことを祈るばかりである。
シンジとリーリエは同時に笛を吹く。綺麗な二人の奏でるハーモニーが日輪の祭壇を包み込む。久しぶりに吹いたため不安だったリーリエだが、シンジと一緒に吹くことに安心感を覚えてその不安は杞憂となった。
二人は笛による演奏を終える。暫くすると、空から太陽がこちらにゆっくりと降りてくる錯覚が見えた。まるで太陽にも思えるそのシルエット、太陽の化身とも呼ばれる伝説のポケモン、ソルガレオの姿であった。
初めて見るミヅキ、ヨウ、ハウ、それからグラジオもその姿には感動するばかりである。
「……ほしぐもちゃん、お久しぶりです。」
『……グゥ♪』
その大きくも逞しい図体からは想像できないであろう仕草をソルガレオはとる。リーリエと額を合わせすりすりと甘えている様子であった。ソルガレオ、もといほしぐもちゃんにとって彼女は母親、または親友のような立ち位置なのかもしれない。
そんな和やかな雰囲気を漂わせる彼女たちをよそに、バーネットは慌てた様子で大きな声をあげていた。
「ルザミーネ!ウルトラオーラの反応が!」
「っ!?もう来たの!?思っていたより早いわね。」
ソルガレオのウルトラオーラに呼応されるかのように、もう一つのウルトラオーラが更に増大していった。想定以上のウルトラオーラが機会を通して感じ取られ、その直後に空が暗くなっていき空間にパリンッとヒビが入ったのが確認できた。
ヒビは徐々に割れ目が広がっていき、そのヒビを広げるように大きな手が引き裂いた。ビリビリと感じる緊張感、なにものにも勝る不安と恐怖、紛れもなくあれはUBたちの世界と繋がっているウルトラホールである。
『……シカ……リ』
「あれがか……かがやきさま?」
「ああ、我々の世界に存在しているはずのかがやきさま。またの名をネクロズマだ。」
そこから姿を現したのは禍々しくも巨躯と巨椀を持つ黒い存在、ネクロズマであった。
ようやくUSUMのメインにやってきました。ここまで長かった……。
ここからまた長くなりますが、頑張って完走目指しますのでよろしくお願いします!
あっ、先日プリコネで実装されたクリスマスリノちゃんクッソ可愛かったです。天井覚悟だったけどおはガチャと現在開催中の無料10連で2人出るとは思わなかった。私が実況者だったら間違いなく低評価案件。