ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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SM最難関と言われるみんなのトラウマ。ラムのみ持っている関係で私的にはウルトラネクロズマよりしんどい説ある


アセロラの試練!恐怖の跡地とぬしポケモン!

スカル団元幹部であるプルメリと少し懐かしい話をしたリーリエ。とある用事を済ませたというキャプテン、アセロラに案内されたのは、エーテルハウスから少し南に行ったところに広がる小さな浜辺であった。

 

リーリエはアセロラの案内の元、とある建物の前へとたどり着いた。

 

「アセロラさん、ここは……」

 

しかし建物と言っても原形はあまり残っておらず、窓はほとんど割れていて、建物の一部も崩壊していた。むしろ建っているのが不思議なぐらいだ。

 

「ここは昔のスーパーメガやすの跡地。カプの村が無くなったのと同時にここも潰れたんだけど、今では試練の場所として活用させてもらってるんだ。」

「と言うことはもしかして」

「そっ!ここがアセロラの試練の場所、メガやす跡地だよ!」

 

アセロラがリーリエの方へと振り向いて笑顔で答える。リーリエはやっぱり、と思う一方、こんな不気味さを感じる場所に入るのかと少し戸惑う。見た目はまるで事故物件のそれである。普通の人からはあまり近寄りたくない場所であろう。

 

不安そうにするリーリエだが、彼女の懐にある一つのモンスターボールが軽く揺れた。

 

(シロン?)

 

それはシロンの入ったモンスターボールであった。シロンが直接口にしているわけではないが、リーリエにはシロンの考えていることがなんとなく伝わってきた。

 

(私が付いているから大丈夫……ですか?)

 

リーリエがそう心の中で考えると、リーリエに伝わったのと同様にシロンにも伝わった。シロンはリーリエに対しモンスターボールを再度小さく揺らすことで返答する。

 

(……そうですね。私にはシロンが、みんなが付いています。大丈夫、もう大丈夫ですよ。)

 

シロンの勇気づけに、リーリエは不思議と心の中で感じていた恐怖が無くなっていった。トレーナーとポケモンの絆はやはり素晴らしいものだと改めて感じる事ができた。

 

「……アセロラさん。試練の内容教えてもらってもいいですか?」

「試練の内容はね……このメガやすにいるポケモンをポケファインダーで撮影することだよ!その正体を突き止めれば、試練クリアを認めるからね!」

 

ポケファインダーとは、ロトム図鑑に搭載されているカメラ機能である。主にポケモンの生態などを図鑑に記録するために使用する機能だが、今回はその機能を使った試練のようである。

 

『ビビッ、撮影は任せるロ。』

 

ロトムがリーリエに一言そう言うが、どことなく元気がない様子である。彼女もそのことに気付き大丈夫かと一声かけるが、ロトム図鑑は問題ないとだけ言って懐に戻った。

 

「特に危険はないと思うけど、バトルになるとは思うから気をつけてねー。」

 

アセロラに見送られながら、リーリエはモンスターボールを握りしめて試練の場であるメガやす跡地へと足を踏み入れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アセロラさんの試練を受けるためメガやす跡地(実質廃屋ですが)に入った私は、一度深呼吸して気持ちを落ち着かせます。

 

建物の一部が崩壊していたため察しはついていましたが、内部もスーパーとしての面影は残っているものの、やはりと言うべきかかなりボロボロになっていて文字通りの廃墟となっています。雰囲気的にも、何かが出てきそうな不気味な印象です。

 

「ふぅ……出てきてください、シロン」

『コォン!』

 

深呼吸をして少し落ち着いた私は、モンスターボールからシロンを外に出しました。私が不安に感じていたのを察したシロンは、すぐに私に元へと歩みより擦り寄ってきてくれました。

 

『コォン』

「ありがとう、シロン。私はもう大丈夫ですよ。」

『コォン♪』

 

シロンの頭を撫でながら私はそう伝えました。私の言葉に安心したのか、シロンも私に微笑みかけてくれました。やっぱり、パートナーと気持ちを分かち合うことはとても素晴らしいことですね。

 

私とシロンがそんなやり取りをしていると、ロトム図鑑さんがゆっくりと懐から出てきました。

 

『ビビッ、ではボクを使って色々と撮影してみるロ。』

 

今回の試練内容はロトム図鑑さんに搭載されている機能、ポケファインダーを使って撮影することです。なのでロトム図鑑さんが出てくるのは分かるのですが、何となくロトム図鑑さんが少しブルブルと震えている気がします。

 

「ロトム図鑑さん、もしかして体調が優れないんですか?」

『ち、違うロ!ボクはいつでも体調万全だロ!』

「で、ですが……」

『……リーリエには敵わないロね。』

 

体調は万全だと言うロトムさんですが、やはり心配になり私はもう一度尋ねました。すると諦めたようにロトム図鑑さんは話始めました。

 

『実はボク……お化けとか怖いのが苦手なんだロ。』

「怖いのが苦手……ですか?」

 

図鑑になる前のロトムさんは確かでんき・ゴーストタイプのはずです。自分自身がゴーストタイプでもお化けが怖いと感じるとは……個体差があるのか、フォルムチェンジの影響なのか。ロトム図鑑さんには悪いですが、少し興味深いと感じてしまいます。

 

『リーリエは勇気を出しているのに、ロトムとして情けないロ。』

「そんなことないですよ。私もシロンも、ロトム図鑑さんがいてくれて心強いって思ってますから。」

『ビビッ、リーリエはやっぱりいい子だロ。これはボクも負けていられないロ!早速ポケファインダーでバンバン撮っていくロ!』

「はい!」

『コン!』

 

そうして私はポケファインダーを起動したロトム図鑑さん、シロンと共にメガやす跡地内部の探索を始めました。しかしその時、近くの空のダンボール箱に違和感を感じました。私が恐る恐る確認すると次の瞬間、段ボール箱が不自然に浮かび上がりました。

 

「ひゃ!?」

『ビビビビッ!?』

 

私とロトム図鑑さんは驚きのあまり変な声を出してしまいました。そんな私たちに、シロンは声を張って呼び掛けてくれました。

 

『コン!コォン!』

「!?そ、そうです!ポケファインダーで……」

 

私はハッなりロトム図鑑さんを構えました。シロンのおかげで少し冷静さを取り戻した私がポケファインダーを向けると、そこには一匹のポケモンさんの姿が映し出されました。

 

「これは……ゴースさん?」

 

そこに映っていたのはガスじょうポケモンのゴースさんでした。肉眼では目視できませんが、ポケファインダーにはハッキリとその姿が映っていました。

 

私は試練を果たすためにポケファインダーでゴースさんの姿を撮影しました。するとそれに気づいたゴースさんは姿を現し、こちらへと襲い掛かってきました。正体がポケモンさんだと分かれば、怖くはありません!

 

「シロン!こなゆきです!」

『コォン!』

『ゴォス!?』

 

こちらを襲ってきたゴースさんにシロンのこなゆきが直撃しました。ゴースさんはその攻撃によって堪らず慌てて撤退しました。

 

「驚かせてしまってごめんなさい。」

 

いえ、驚いたのは私たちの方だとは思いますが……。

 

私たちは改めて探索を続けます。商品棚も倒れていて、メガやす内はかなり散らかってしまっています。そんな中で、一つだけカタカタと何かが動く物音が聞こえました。

 

私はその正体が気になり振り向くと、そこには倒れていたカートがひとりでに起き上がり、こちらに勢いよく突っ込んでくるのが確認できました。

 

『コン!』

 

私の危機を察知したシロンは私の前に飛び出し、こちらに突っ込んでくるカートを尻尾で叩き落としました。

 

「ありがとうございます!シロン!」

『コォン♪』

 

危ないところを助けてもらい私はシロンに感謝しました。それと同時に、私を襲った何者かの正体をポケファインダーで確認します。

 

『ゴスト!』

 

そこに映っていたのは先ほどのゴースさんの進化系、ゴーストさんでした。私がゴーストさんを撮影すると、ゴーストさんは悔しそうな表情を浮かべながらこちらに襲い掛かってきました。

 

「シロン!れいとうビームです!」

『コォン!』

 

ゴーストさんにシロンのれいとうビームがヒットしました。ゴーストさんはそのままの勢いで壁にぶつかり、そのままゴースさん同様に撤退していき再び姿を隠しました。これでもうゴーストさんたちは襲ってくることはないでしょう。

 

ですがゴース、ゴーストさんと続けば、次のポケモンは大体想像がつきます。

 

私がそう考えていると、商品棚に残されていたヌイコグマさんを模したぬいぐるみが浮かび上がり、こちらへと向かって飛んできました。

 

「ひゃあ!?」

 

私はまた思わず変な声を出してしまいつつもぬいぐるみをよけることができました。

 

「し、シロン!ムーンフォースです!」

『コン!』

 

シロンはムーンフォースを解き放ち、その攻撃でぬいぐるみを撃墜しました。ぬいぐるみには悪いと思いましたが、現在は試練に挑戦しているため致し方ありません。

 

申し訳なさを感じながら、私はポケファインダーで正体の確認を行います。そこにいたのは……

 

『ゲンガー!』

 

そこにいたのは私の予想通り、ゴーストさんの進化形であるゲンガーさんでした。ゲンガーさんはゲラゲラとこちらを煽るように笑っていました。

 

ゲンガーさんはゴースさん、ゴーストさんに比べてかなりの強敵なはずです。私は警戒し、シロンと共にいつでも戦えるように臨戦態勢をとりました。

 

ゲンガーさんも私たちを敵とみなしたのか戦う構えを取ります。互いに覚悟を決めていざバトルが始まろうとしたその時……。

 

『ゲンガ!?』

 

ゲンガーさんは何かに気付いたのか、驚く表情を見せました。その後、ゲンガーさんは怯えるようにすぐに飛んで姿を消してその場を後にしました。

 

「ゲンガーさん……どうしたのでしょうか?」

 

突然ゲンガーさんが消えたことに私は戸惑うことしかできませんでした。

 

『コォン』

「シロン?どうかしましたか?」

 

シロンも何かに気付いたようで私に声をかけてきました。シロンが奥の方へと歩いて行ったので、私もシロンの後を追いかけて奥へと向かいました。

 

するとそこには一つの扉がありました。スーパーにはよくあるなんの変哲もない普通の扉ですが、私は不思議とその扉に違和感を感じ惹かれてしまいました。

 

私はその違和感に釣られ、そのままシロンと共に中に入っていきました。

 

「ここは……」

 

扉の奥はかなり狭い部屋になっており、荷物などは一切置かれておりません。しかし、壁には複数の写真が貼ってありました。その写真の殆どにはカントー地方の有名なピカチュウさんの姿が映っておりました。時々ピントがぶれていましたが、その特徴的な色と姿は間違えることはありません。

 

その中にあるピカチュウさんと少年の写真も不思議と気になりましたが、じっくりと見る間もなくロトム図鑑さんのポケファインダーが自動的に機能しました。

 

「ロトム図鑑さん?どうかしたんですか?」

『…………』

 

尋ねてみるものの、ロトム図鑑さんは一切返事を返すことがありません。自動的に起動しているため、怖くて気絶しているとは考えにくいです。

 

もしかしたらここにも他のポケモンさんが映るのかもしれない、と考え、私はロトム図鑑さんを構え周囲を確認するためにその場をゆっくりと回りました。

 

すると、そこには一匹のポケモンさんが映り込みました。一瞬ポケファインダーにはピカチュウさんが映ったように見えましたが、ポケファインダーを外して確認してみると別のポケモンさんでした。そのポケモンさんとは……。

 

『ミミッキュ!』

 

ピカチュウさんにそっくりな皮を被ったポケモンさん、ばけのかわポケモンのミミッキュさんでした。しかしそこにいたミミッキュさんは通常のサイズよりも一回りか二回りほど大きく、威圧感もかなり感じられました。間違いなくこの子がぬしポケモンです。

 

『ミミッキュ!』

「ひゃ!?」

 

ミミッキュさんが突然オーラを纏い、私はその圧力に負けて小さな部屋から外に飛ばされてしまいました。ミミッキュさんも私を追いかけ、小部屋から広い場所へと移動しました。

 

「っ!?シロン!」

『コォン!』

 

シロンに合図を出すと、シロンも私の前に出て戦う態勢をとりました。私たちの事を敵と判断したミミッキュさんは、皮の内側から黒い手の様なものを伸ばして攻撃してきました。ゴーストタイプの技、シャドークロ―です。

 

「躱してください!」

 

シロンは私の指示通りに回避しました。ミミッキュさんの手は床に突き刺さり、その衝撃すら私たちに届いてきました。相当な威力を持っていることはすぐに伝わります。

 

『ミミッキュ!』

「シロン!まずは動きを止めます!こなゆきです!」

『コォン!』

 

ミミッキュさんはシロンに向かって一直線に突っ込んできました。私はまずミミッキュさんの動きを抑えるためにこなゆきで攻撃しました。

 

しかし驚くべきことに、ミミッキュさんはシロンのこなゆきを物ともせずにシロンに接近してきました。ミミッキュさんはシロンを怒涛の近接攻撃で攻め込んできました。フェアリータイプの技、じゃれつくでしょう。

 

シロンはじゃれつくのフィニッシュで床に叩きつけられてしまいました。その後ミミッキュさんは着地すると、皮の上部分がポキッと傾きました。

 

その姿を見て私は本で読んだ知識を思い出しました。ミミッキュさんの特性は“ばけのかわ”。相手の攻撃を一度だけ無効化する特性です 。先ほどのこなゆきが効かなかったのもその特性が原因でしょう。

 

「シロン!大丈夫ですか!?」

『こ……ン!』

 

シロンも確実にダメージは貰っている様子ですが、それでも立ち上がり私の声に答えてくれます。そんなシロンに休む暇も与えず、ミミッキュさんは猛スピードで突進してきました。

 

今度はミミッキュさんは自身の尻尾を振りかぶってきました。くさタイプの技、ウッドハンマーです。

 

「シロン!かわしてください!」

『コォン!』

 

シロンは辛うじてミミッキュさんの攻撃をかわし、ミミッキュさんのウッドハンマーは空を切りました。と言ってもシロンのダメージは先ほどのじゃれつくでかなり奪われてしまっています。それだけミミッキュさんの攻撃力は非常に高いと言うことの証明になります。

 

「シロン!こおりのつぶてです!」

『コン!』

 

シロンは無数のこおりのつぶてで反撃をします。しかしミミッキュさんはシャドークロ―で全て防ぎました。無数に放ったはずのこおりのつぶては一つ残らず割られてしまい、ミミッキュさんにはダメージが入っている様子はありません。

 

「シロン!ムーンフォースです!」

『コォン!』

 

こうなったら自身の最大火力、ムーンフォースで攻めようと判断する。シロンはムーンフォースの力を解き放ちミミッキュに向かって攻撃する。

 

しかしミミッキュさんはウッドハンマーを振りかざしました。その強力なウッドハンマーでムーンフォースすらも弾き返し、威力を上げて反撃してきました。

 

『コォン!?』

 

シロンはギリギリでその反撃をかわし、なんとか大ダメージは逃れました。しかし手数の多いこおりのつぶて、威力の高いムーンフォースすらも通らないとなると、もはや最後に残されたのはあの手しかありません。

 

「ミミッキュさんを倒すには、Z技しかなさそうですね。」

 

しかしZ技は強力な分隙も晒してしまう諸刃の剣です。タイミングを見誤れば反撃を喰らい一溜りもありません。ですが相手のミミッキュさんには全ての技が通用しません。どうやって隙を見つけ出そうかと試行錯誤します。

 

その時私は一瞬思い出しました。あの時、ミミッキュさんの使ったシャドークロ―の威力を。

 

「……ミミッキュさんの隙を突くには、あの手しかありません。」

 

少しリスクはありますが、これしかないと踏んでシロンの名前を呼びました。

 

「シロン!」

『……コォン!』

 

私と目を合わせたシロンは、私の事を信じて頷いてくれました。私とシロンの信頼があれば、必ず成功するはずです!

 

『ミミッキュ!』

 

ミミッキュさんは上空に上がりシャドークロ―で降下しながら攻撃を繰り出してきました。

 

「(一か八かですが……)シロン!れいとうビームです!真下に撃ってください!」

『コン!』

 

シロンは真下にれいとうビームを放ち、その勢いを利用して体を浮かせました。それと同時に床は氷漬けになりました。ミミッキュさんのシャドークロ―は高威力を保ち床の氷を砕きました。

 

『ミミッキュ!?』

 

ミミッキュさんの砕いた氷は、破片となりミミッキュさん自身に降りかかりました。私の狙いはこれにあります。

 

シロンのれいとうビームで凍った床をミミッキュさんの力で砕くことができれば、ミミッキュさんの自滅を誘えるのではないかと考えました。しかしこの作戦には一つ懸念点がありました。

 

もしこの作戦でミミッキュさんが自滅しなかった場合、シロンは大きな隙を晒してしまい恰好の的となってしまい反撃は免れません。失敗していたら、逆にシロンがやられていたことは間違いありません。

 

私はミミッキュさんがひるんだことを確認し、シロンに合図をとりました。

 

「シロン!」

『コォン!』

 

私の合図を受け取ったシロンも構えを取り、私はシロンと心と息を合わせてポーズを取ります。こおりタイプのZ技のポーズです。

 

「これが私の……私たちの全力です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

――レイジングジオフリーズ!

 

 

 

 

 

 

 

シロンの足元から氷の柱が立ち上がり、シロンを高く持ち上げました。シロンの体内に力が溢れ、シロンはその集中した力を一気に解放しミミッキュさんに向かって解き放ちました。

 

氷の破片で怯んだミミッキュさんは反応に間に合わず、Z技がミミッキュさんに突き刺さりました。Z技がミミッキュさんを凍りつかせ、氷がバラバラに砕け散りました。

 

「っ!?はぁ……はぁ……シロン!大丈夫ですか?」

『こぉ……ん……』

 

シロンの元気もかなり無くなっていますが、まだ戦闘不能には至っていません。

 

しかし体力も限界に近くなり、ほぼ戦闘不能と大差ありません。少なくとも戦闘続行は不可能と思っていいでしょう。

 

この一撃でミミッキュさんを倒すことができていなければ、これ以上シロンは戦うことはできません。爆風が晴れるまで、私はシロンと共に願うことしかできませんでした。

 

しかし晴れると、そこにはもはやミミッキュさんの姿は見当たりませんでした。私たちは驚きのあまり声も出ませんでした。

 

「ミミッキュさんはどこに……」

 

まわりを見渡してみましたがミミッキュさんの姿が見当たりません。一体どこに行ったのかと思いましたが、これ以上襲ってくる様子はないとなると、恐らくミミッキュさんを倒すことができたのでしょう。あれだけ攻撃的なミミッキュさんが戦える状態で攻撃をやめるなんて思えませんから。

 

私はこれ以上ここに長居するわけにはいかないと、シロンと共にメガやす跡地を後にすることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!出てきた出てきた。おーい!」

 

リーリエが外に出ると、アセロラが笑顔でこちらに手を振っている姿が確認できた。リーリエは手を振り返してシロンと共に彼女の元へと近付く。

 

「お疲れ様ー!その様子だとかなり苦戦したみたいだねー。」

「はい。でも写真はとることができました!」

 

「じゃあ早速だけど見せて!」と言うアセロラにリーリエはポケファインダーを起動したロトム図鑑を渡した。アセロラはロトム図鑑を受け取ると、撮った写真を次々と眺めていく。

 

「ふむふむ、ちゃんと撮れてるみたいだね。いいよいいよ!」

 

そう言いながら上機嫌に写真を眺めていくアセロラ。しかしその途中、顔をしかめて少し不思議そうな表情を浮かべた。

 

「あれ?この写真、なんだかブレててよく見えないね。」

「え?」

 

そんなはずは、とリーリエも一緒にポケファインダーを覗き込む。するとそこに映っていたのはリーリエが戦ったミミッキュの僅かな姿だけで、しかも写真のピントは全く合っていなかった。

 

「でも確かに撮影していた時はちゃんと撮れていました!このスーパーの奥の小部屋で!」

「……ん?奥の小部屋?」

 

小部屋と言う言葉にアセロラは目を見開いて首を傾げた。次の言葉にリーリエは唖然とするしかなかった。

 

「いや、このスーパーに小部屋なんてないはず……そもそも奥に部屋なんて……」

「……え?でも確かに私は……」

 

アセロラの話を聞いてリーリエはふと思い出す。そう言えばあの小部屋に入る際、謎の違和感を感じたことを。しかも小部屋に入った後、ロトム図鑑が自動的に起動したことを。そして直前に出会ったゲンガーが突然逃げ出したことを。

 

それらの現象を思い出し、リーリエとアセロラはお互いに背筋に嫌な汗を掻く。自分の体験したことは、現実なのか幻想なのかが分からなくなり、リーリエの頭は真っ白になったのであった。

 

暫く時間が経過し、落ち着いたアセロラは、リーリエに試練突破の証としてゴーストZを渡した。これにより、リーリエは無事アセロラの試練突破を認められたのだった。

 

そんな彼女たちを、あるポケモンが静かに草の茂みから眺めていたのには、誰も気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マタ……アソボウネ……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ゲーフリの闇……私は大好きです


明日はようやくテイルズの最新作(steam版)配信日。実はテイルズシリーズが大好き

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