ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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実はリーリエの次に好きなのはプルメリ姐さんかもしれない


リーリエとプルメリ、エーテルハウスにて

現在では廃村となり、野生のポケモンの住処となっているカプの村で一時的に再会したシンジと別れたリーリエ。次の試練を受けるため、担当のキャプテンであるアセロラのいるエーテルハウスの前へと訪れた。

 

試練の直前ということで緊張で彼女の手が汗で少し湿っている。一度深呼吸をし、エーテルハウスの扉を叩こうとする。しかしその時、扉が自動的に開き、中から紫色を基調としたドレスを着た小柄の少女が先に扉を開けて姿を現した。

 

「あっ、アセロラさん。」

「ん?あー!リーリエじゃん!アローラ!久しぶりー!」

 

少女は久しぶりに出会ったリーリエにふにゃっとした明るい笑顔で挨拶を返す。この少女こそが試練のキャプテンであり、アローラ四天王の一人でもあるアセロラだ。リーリエも同じくアローラ、と彼女に挨拶を返す。

 

この見た目から想像もつかないだろうが、四天王であるが故に実力はアローラの中でも非常に高く、他の四天王にも引けを取らない。シンジに負けるまではチャンピオンになるのだという野心を抱いていたのだとか。

 

また、本人曰くアローラ王朝の末裔なのだとか。

 

「もしかしてアセロラの試練受けに来たの?でもごめんね、今からちょっと用事があるんだよねー」

「い、いえ、それは構わないのですが……何かあったんですか?」

「まぁちょっとしたいざこざ、と言うかいつものこと、と言うか……。大した問題じゃないからすぐに終わるよ。」

 

そんなに大したことではないと言うアセロラ。中で寛いで待ってていいよ、と手を振って慌てて走り去っていく。追いかけようにも、気付けばアセロラの背中はすでに見えなくなっていたためどうしようもない。

 

すぐに用事が終わるとのことなのでリーリエはエーテルハウスの中へと移動する。しかし、彼女がエーテルハウスに入ろうとした時、とある女性の声が彼女を呼び止めた。

 

「待ちな、姫様。」

「この声……プルメリさん?」

 

聞き覚えのある声、元スカル団幹部であるプルメリであった。どうしてここにいるのか尋ねると、プルメリは軽く笑った。

 

「なに、少し懐かしくなったからね。この辺りを巡回してたら偶々姫様を見かけただけさね。」

「懐かしい、ですか?」

「なぁ、姫様は覚えてるかい?ここでの出来事のことを……」

「……はい、もちろん覚えています。」

 

プルメリの声にリーリエは頷いてそう答えると、二人は懐かしい出来事を思い出しました。2年前にあった、少し苦い記憶を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2年前のエーテルハウス。子供たちとリーリエが見守る中、ミヅキはアシレーヌを、プルメリはエンニュートを従えて対峙していた。

 

「アシレーヌ!アクアジェット!」

『シレーヌ!』

 

アシレーヌは全身に水を纏い、勢いよくエンニュートに突撃する。その攻撃は素早く鋭く、確実にエンニュートを捉えていた。

 

「……遅いね。」

「え?」

 

アシレーヌの攻撃は確かにエンニュートを捉えていた。しかしアシレーヌが貫いたのはエンニュートではなく分身……つまりみがわりによって生み出された幻影だったのだ。その一瞬の隙にエンニュートは自慢の素早さでアシレーヌの背後に回り込む。

 

「どくづきだよ!」

『ニュット!』

「っ!?アシレーヌ!後ろ!」

『シレッ!?』

 

アシレーヌはミヅキの声に反応するが振り向いたときには既に遅く、エンニュートのどくづきが腹部に直撃する。

 

フェアリータイプのアシレーヌに対してどくタイプのどくづきは効果抜群。アシレーヌは大きく突き飛ばされ、壁にぶつかり衝撃が走る。戦闘でのダメージも含めかなり蓄積してしまい、これ以上の戦闘は困難な状態となる。

 

「アシレーヌ!?」

 

パートナーのアシレーヌが心配になりミヅキは急いで駆け寄り状態を確認する。ダメージがかなり溜まっており、その上最後のどくづきで毒状態となってしまってこれ以上動くことも難しい。

 

「勝負ありさね。予定通り、姫様は貰っていくよ。」

「待って!それだけは!?」

 

ミヅキが戦っていた理由。それはスカル団がリーリエを連れ去るために訪れたためだ。シンジはタイミングの悪いことに現在アセロラの試練を受けにいっている最中だ。そのため、自分がリーリエを守るしかないとプルメリと戦うことにした。

 

しかし幹部と言うだけありプルメリの実力は相当なもので、善戦したもののミヅキは彼女に敗北してしまった。普段はバトルを楽しむことに全力を尽くすミヅキだが、今はそんな余裕すらなくなり彼女は悔しさのあまり歯を食いしばってしまう。

 

『し……レヌっ!』

「っ!?アシレーヌ……」

 

アシレーヌは限界近い体力になりながらも自分の体に鞭を打って立ち上がる。そんなアシレーヌを見てプルメリは『へぇ~』と称賛の声を漏らす。

 

「その根性は認めるよ。お望み通り、トドメを指してあげるさ。」

『エット!』

 

そう言ってプルメリとエンニュートはゆっくりと歩み寄る。アシレーヌも立ち上がったはいいものの、毒のダメージを合わさり思う様に体が動かない。もうダメか、と思ったその時、彼女たちを庇う人物の姿があった。

 

「まっ、待ってください!」

「り、リーリエ!?」

 

その人物とはミヅキが守るべき対象、リーリエであった。リーリエは両手を広げ、ミヅキたちを守るようにプルメリの前に立ちはだかる。

 

「わ、私を連れて行ってください。だから、これ以上ミヅキさんやここの子どもたちには手を出さないでください!」

 

子どもたちは揃って「お姉ちゃん!」と心配そうに言う。ミヅキも「それはダメだ」と彼女を止める。

 

リーリエもやはり恐怖があるのか、手足が小さく震えている。ポケモンを持たずトレーナーではない彼女にとって、プルメリとエンニュートの前に立つのは勇気のいる行為だろう。

 

そんなリーリエを見たプルメリは……

 

「姫様……あんた、中々肝が据わってるじゃないか。」

 

「うちの連中にも見習ってほしいもんだね」、と誰にも聞こえない声で呟く。

 

「いいよ。これ以上その子や子どもたちには手を出さないさ。お前たち、姫様を丁重に連れて行き。怖がらせるんじゃないよ。」

『へい!姉御!』

 

プルメリの指示に従い、下っ端たちはリーリエを連れて行こうとする。その姿を見たミヅキは、もう一度リーリエの名前を呼んだ。

 

「リーリエ!!」

「ミヅキさん……」

 

リーリエはミヅキの方へと振り向き、最後に言葉を伝えた。

 

「守って下さって、ありがとうございます。ですが、私なら大丈夫ですから。……シンジさんに、よろしく伝えておいてください。」

 

そう言って、リーリエはいつもの笑顔ではなく、無理に作った笑顔のままスカル団に連れて行かれた。ミヅキはその姿を見て、あまりの悔しさ、自分の弱さに苛立ちを感じて涙を流した。

 

「さて、後はあの子を待つとするかね。あいつとも、決着を着けなくちゃ行けないからね。」

 

そう言ってプルメリは、シンジの試練が終わるまでエーテルハウスの前でエンニュートと共に待機することにしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あの時の姫様、正直凄いと思ったよ。」

「すごい……ですか?」

「ああ、あたいらの前に飛び出すバカなんか今までいなかったよ。どいつもこいつもあたいらと目を合わせただけでビビッちまうからね。」

 

独特なメイクのせいもあるだろうが、目を合わせた者たちは誰しもがプルメリたちの威圧感に負けてしまい目を逸らしてしまう。しかしあの時のリーリエは目を逸らすどころか真っ直ぐとプルメリの目を見て立ち向かった。

 

あの時のリーリエは尊敬に値するレベルだったと彼女は素直に告白する。リーリエもそんなことはないと、照れながら謙遜する。

 

「いや、ホントのところさ……あの時あんたを素直に連れて行くの、戸惑ったんだ。」

「え?」

「姫様みたいないい子を連れて行くのは、あたいにとっても苦痛だったのさ。でもあたいはあいつ……グズマの役に立ちたいとも思った。それに、裏で糸を引いてたエーテル財団にもビビっちまってた。結局、あんたよりもあたいの方が弱い臆病者だったってことさね。」

「プルメリさん……」

 

今更だがと、プルメリは当時の心境を告白する。そんな彼女の心境を聞いたリーリエは、首を振り彼女の考えを否定する。

 

「いえ、そんなことはありませんよ。」

「あっ?」

「プルメリさんはトレーナーとしてとてもすごい実力を持っていました。当時トレーナーじゃなかった私でも分かりました。」

 

リーリエは「それに」と話を続ける。プルメリはそんな彼女の話を静かに聞いていた。

 

「プルメリさんはとても優しい方です。」

「はっ?あたいが優しいだって?何言ってんだい……。」

「確かにスカル団は悪いことをしていたかもしれません。ですが、プルメリさんは私に対して決して酷いことをしようとはしませんでした。コニコタウンでの時も、とても優しく接してくれました。それに、優しいことが何よりの強さだって、私は知っていますから。」

「……はっ、ホント、あんたはすごい姫様だよ。」

 

リーリエの言葉を聞いたプルメリが小さくそう呟く。よく聞き取れなかったリーリエはなんと言ったのか聞きなおすが、プルメリは何でもないとはぐらかす。

 

「許してもらおうなんて思ってないよ。でも、さ……もしあたいに出来ることがあればいつでも言いな。罪滅ぼしなんて綺麗なもんじゃないけど、出来る限り手伝ってやるさね。」

「プルメリさん……」

 

言っていたことが気恥ずかしくなったプルメリは、顔を赤くしながらリーリエから目線を逸らす。

 

(……やっぱりあたいはまだまだ弱いね。) 

「……あんたの王子様にもよろしく伝えておいて欲しいね。次やる時は絶対に負けないってね。」

「はい、必ず伝えておきます。」

 

その言葉を聞いたプルメリは彼女に背中を向け、手を軽く上げてその場を去る。その背中を見たリーリエは、「やっぱり優しい人だな」と心の中で思ったのであった。

 

そんな彼女を見届けると、少し離れたところからリーリエの名前を呼ぶ声が聞こえた。そちらの方を振り向くと、先ほど出かけたアセロラが小走りで近付いてくる姿が確認できた。

 

「お待たせ―!って、こんなところで何してるの?」

「いえ、ちょっと知り合いの方と立ち話ししてて……」

「ふーん、そうなんだ。」

「ところで、用事は終わったのですか?」

「うん!ばっちり解決してきたよー!」

 

ブイサインをして柔らかい笑顔を見せるアセロラ。無邪気で子どもっぽい笑顔を見せるアセロラからは、四天王やキャプテンの面影はまるで見えない。寧ろ試練に挑む緊張感が解れて、和やかさすら感じてしまう。

 

「よーし!じゃあ早速試練に向かおうか!」

「えっと、すぐに受けても大丈夫なんですか?」

「さっきも言ったけど大した用事じゃないからね。リーリエがいいなら全然構わないよ。」

 

アセロラの言葉にリーリエは改めて覚悟を決め、試練に挑む決意を決める。

 

「はい!ではよろしくお願いします!」

 

そう決意の秘めた言葉をアセロラに伝えると、アセロラは試練を行うためにリーリエを案内するのであった。




2周年リーリエが出たと聞いて可愛かったのでポケマスを始めた男。

22連でリーリエが出たのでリセマラの必要ないな、と思ったら他11連でマジコスダンデ、11連でN様、更に11連でマジコスグリーン*2&リーフと言う神引きをしてしまいました。ポケマスの排出率神すぎでは?

UNITEにニンフィアが追加されるのはもしかしたらスマホ版配信時にマンムーと同時実装かも?
先日実装されたカメックス君は普通に使いやすくて強かったです

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