ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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今回は久しぶりにまさかのあの子登場!


カプの村、そして再会!

ウルトラ調査隊のダルスさんとアマモさん、ポニ島しまクイーンのハプウさんと別れた私は、次の試練を目指して旅を続けています。

 

私が先を目指して旅を続けていると、辿り着いた先は荒れ果ててしまっている土地でした。いえ、土地が荒れていると言うよりも、あったはずの建築物が荒れてしまっている、と言った方がいいのでしょうか。元々は村があったのでしょうか……。

 

そんな荒地の中央に、誰か膝をついて屈んでいる人の影がありました。その人物の周辺には、小さなポケモンさんたちが囲んでいる様子が見られます。私は何をしているのかとゆっくりと近付くと、その人物は私のよく知っている方でした。そしてその方が私の存在に気が付くと、立ち上がりこちらへ振り向きました。

 

「リーリエ、もうここまで来たんだね。」

「し、シンジさん?どうしてここに……」

「ここはポケモンリーグのあるラナキラマウンテンの麓だからね。僕も用事があってここによく来るんだ。」

 

そう言えばシンジさんは普段ポケモンリーグで特訓やお仕事をしていることも多いと聞きました。であればラナキラマウンテンの麓まで降りてきても何らおかしなことはありませんでしたね。

 

「シンジさん、ここのポケモンさんたちは……」

 

私と目があったポケモンさんたちは、表情を変えてその場から急いで離れて行ってしまいました。

 

「す、すいません。驚かせてしまいましたか……」

「ああ……ここの子たち、ちょっと訳アリ、なんだよね。」

 

シンジさんは私に、ここの荒地とポケモンさんたちの事情について説明してくれました。

 

ここは元々カプの村、と呼ばれていて、ウラウラ島の守り神、カプ・ブルルさんを始めとしたアローラの守り神さんたちが姿を見せていた村だったそうです。ですがとある事情で守り神さんたちの怒りを買ってしまい、村が崩壊し荒地となってしまったのだそうです。

 

ただ、今では村の名前しか残っていないそうで、記録は残されていないようです。真相は闇の中、と言うことでしょうか。

 

ここにあるポケモンさんたちは、それぞれ色々な事情があるそうです。親を失くしてしまった子、群れからはぐれてしまった子、トレーナーに捨てられてしまった子などが集まっているそうです。よく見ると、ボクレーさん、サンドさん、ヤングースさんにバニプッチさんと、小さなポケモンさんばかりが集まっています。

 

住処の無いこのポケモンさんたちを、ポケモンリーグとエーテル財団が協力してこの付近で保護しているそうです。そう言えばこの近くにエーテル財団のエーテルベースがありました。普段はこの子たちも隠れて過ごしているみたいですが、シンジさんたちが様子を見に来た際には近付いてくれるくらいには懐いてくれたそうです。きっとシンジさんの作ったポケモンフーズを食べて気に入ったのでしょう。実際、今は私に警戒しているのか、壁に隠れてこちらの様子を伺っています。

 

「ここの子たちはまだ子どもだからね。昔の出来事がトラウマで、どうしても警戒心が強くなっちゃったんだよね。」

「そう……だったんですね。」

 

その話を聞いて、私は少し前のあったポケモンさんの事を思い出しました。エーテル財団に保護された、ロコンさんのことです。今頃、どこで何をしているのでしょうか。元気にしているといいのですが……。

 

私が以前出会ったロコンさんの事を思い出していると、私の元に一匹のポケモンさんが近付いてきました。そのポケモンさんの姿を確認すると、私は驚きのあまり「えっ?」と声を漏らしてしまいました。

 

「ロコン……さん?」

 

そこにいたのはアローラの姿をしたロコンさんでした。偶然の一致か、ロコンさんのことを考えている時に出会ったため驚いてしまいましたが、まさかあのロコンさんの訳がないと思いました。

 

しかし、そのロコンさんは私の匂いを嗅いで何かを確認する仕草をとります。ロコンさんの確認が終わると、ロコンさんは先ほどの不安そうな表情から一転し、明るい笑顔を浮かべて私の足に擦り寄ってきました。

 

「もしかして……あの時の、ロコンさんですか?」

『コォン!』

 

まさか、と私は自分の眼を疑いました。ですがロコンさんのこの嬉しそうな顔、間違えるはずがありません。忘れるはずがありません。間違いなくこの子は以前、エーテル財団に保護されていたロコンさんです。ロコンさんも私の事を覚えていてくれたことが、とても嬉しく思えます。

 

「珍しいね、この子が人に懐くなんて。」

「この子、私が以前お世話したことがあるロコンさんなんです。」

 

私がその時のことを説明すると、シンジさんもなるほど、と納得してくれました。

 

「そっか、この子も大変な目にあったみたいだけど、リーリエみたいなトレーナーに会えてよかったね。」

「あはは、偶然ってなんだか不思議ですね。」

 

同じアローラを旅しているとは言え、同じ個体のポケモンと再会する確率などほぼゼロに近いです。まさかの重なった偶然に、私は感動すらも覚えました。

 

ロコンさんが私に擦り寄る姿を見ていた他のポケモンさんたちも、次々と姿を見せて私に歩み寄ってきてくれました。ロコンさんの姿から、私の警戒心を少しは解いてくれたみたいです。

 

私は歩み寄ってくれたポケモンさんの頭を優しく撫でてあげました。するとポケモンさんたちは目を細めて、表情を柔らかくしていました。

 

「この子たちも、少しずつでも心を開いてくれたら嬉しいですね。」

「うん。それに、これで少しはロコンもみんなと打ち解けるかな。」

「え?もしかして……」

「このロコン、中々みんなとの輪に入れなくてね。でも、これで少しはみんなと打ち解ける機会ができたと思うんだ。これもリーリエのおかげだね。」

「そ、そんな、私は何も……」

「何もしてなくても、それが間接的にであっても、リーリエのした行いがポケモンたちの為になってるんだ。もっと誇ってもいいと思うよ。」

 

シンジさんにそう言われて、私は思わず顔が熱くなるのを感じました。恐らく今は恥ずかしさのあまり顔が赤くなってしまっているでしょう。嬉しいのですが、非常に恥ずかしいです。

 

「っと、そろそろ僕も時間が来ちゃったな。」

 

どうやらシンジさんも次のお仕事の時間が来てしまったそうです。久しぶりに話ができてうれしかったですが、シンジさんもチャンピオンとしての務めがあるので仕方ありませんよね。

 

「リーリエ、次はアセロラの試練だよね?」

「は、はい、そうですね。」

 

次に私が挑戦するのはアセロラさんの試練。アセロラさんは四天王と言う立場ではありますが、同時に今でもウラウラ島キャプテンとしても務めているそうです。

 

「アセロラの試練はその……まぁ少し独特だけど、リーリエなら大丈夫……だと思う。」

 

なんだか珍しくシンジさんにしては歯切れが悪い気がします。とは言え試練の内容をチャンピオンの口からは直接言えないでしょうし、仕方がないことなのだと思いますが。

 

「アセロラは今でもすぐそこにあるエーテルハウスで暮らしているから、行けば試練受けさせてもらえると思うよ。」

 

エーテルハウスはエーテル財団が運営している施設で、ポケモンさんや孤児たちを保護する施設として、アセロラさんも暮らしているそうです。

 

「もうすぐ島巡りも終盤……僕の手伝えることはないけど、その先で……僕は待ってるからね。」

「っ!?は、はい!必ず辿り着きますから、待っていてください!」

 

私のその言葉を聞いたシンジさんは、小さく笑みを浮かべてポケモンさんに挨拶し、カプの村を後にしました。そんなシンジさんの背中を見た私は、少しだけポケモンさんに触れ合い、またねと挨拶をして先を目指しました。

 

シンジさんの言う通り島巡りも終盤に差し掛かっています。アセロラさんの試練を突破し、大試練、そして必ずアローラリーグまで辿り着いて見せますから!




久しぶりにポケモン対戦したら、相棒の色ニンフィアちゃんが5戦連続で大活躍したおかげであっさりマスターに上がれました。しかもザシアン相手にも頑張ってくれました。やっぱり相棒は最高やね!UNITEにもニンフィアちゃん実装はよ

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