ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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実はゴーヤが大好物。トマト以外の夏野菜は大好き。


ウルトラ調査隊、ウラウラ島にて

ハプウのパートナー、バンバドロに跨り険しい道を渡るリーリエ。多少トラブルはあったものの、無事に渡り切り山場を乗り切った彼女は、バンバドロから降りてハプウにお礼の言葉を伝えた。

 

「ハプウさん、おかげで助かりました!ありがとうございます!」

「気にしなくてもよい。結果的にわらわも助けてもらったからの。困ったときはお互い様、じゃからな!」

 

リーリエの言葉にハプウは笑顔でそう答える。見た目が幼いことも相まって、彼女を見ただけではしまクイーンだとは思えないだろう。

 

「むっ?あそこにいる二人組は……」

 

リーリエはハプウの指さした場所を見てみる。するとそこには、見覚えのある二人が何かを見て考え込んでいた。その二人の見た目は、遠目から見ても分かるぐらい特徴的なものなので見間違えるはずはない。一度出会えば忘れることもないだろう。

 

リーリエとハプウは二人の様子が気になり、知らない仲でもないためその二人組に近づいて行った。

 

二人組は近づいてきたリーリエ、ハプウに気づいたようでこちらを振り向く。

 

「む?ああ。リーリエと……ハプウだったか。こちらの世界的な挨拶だとアローラ、でいいのか?」

「アローラ!おねーちゃんたち♪やっほー♪」

「アローラ、です!」

「うむ、アローラ。確か……ダルスとアマモじゃったな。」

 

その二人の正体はウルトラ調査隊のダルスとアマモであった。アローラ式の挨拶で対応するところを見ると、大分このアローラに慣れてきたようである。ハプウはともかく、彼らのことと彼らの住む世界の話を聞いたリーリエにとってはそう感じられた。

 

「ところで、お二人はここで何をしているのですか?」

 

リーリエにそう尋ねられ、ダルスは先ほどまで見ていた資料を二人に見せる。その資料には、あるポケモンたちの画像とその詳細などが載せられていた。

 

「これは……?」

「UBに関する資料だ。エーテル財団のトップ、代表から支給されたのだが、これにはアローラ各地で出現したUBの情報が記録されている。もちろん、UBの出現場所もだ。」

「ということは……」

「ああ、これで我々の目的であるウルトラオーラの調査も捗る。非常に助かっている。」

 

彼らの最大の目的は、自分たちの世界に光を取り戻す方法、光をかがやきさまを救う方法を見つけること。関係性の深いUBのことを調査すれば、解決に繋がるのではないかと考えている。

 

だからこそダルスたちはウルトラオーラの反応を辿りこの世界にやってきた。そのうえこの世界は彼らのいる世界とは裏の世界。彼らの世界が闇の世界なら、この世界は光の世界。UBがやってきた理由の一つにも関係しているのかもしれない。

 

「ウルトラホールが開いた際、このハイナ砂漠と呼ばれている場所にもUBが出現したとのことだ。ウルトラオーラの反応も強く、これから調査するつもりだ。」

 

では私も、とリーリエも手伝おうとするが、彼女の言動をハプウが制止した。

 

「リーリエ、このハイナ砂漠は砂嵐が酷く、道を知らなければ迷子になってしまうのじゃ。おぬしのような方向音痴では……」

「うっ……そ、それは……」

 

ハプウにそう言われてしまうと、リーリエは自信を失くしてしまう。実際彼女自身、自分が方向音痴なのだということを自覚してしまう。街中にある分かりやすいはずの建物に行こうとしたら道に迷ってしまい、以前はポケモンセンターの中でも迷ってしまったことがある。ここまでの方向音痴は、他には中々みないであろう。

 

「気持ちは嬉しいけど、そこまで長い事調査するつもりはないから大丈夫だよ。」

「ああ、我々はあくまでUBが存在した形跡とウルトラオーラの検出、及び回収をするだけだ。すぐに任務は終了する。」

「そ、そうですか。そう言うことでしたら……」

 

自分に出来ることは何もないだろうと感じたリーリエは一歩下がる。しかしそんなダルスたちに、ハプウがある提案を持ち掛けた。

 

「代わりにわらわが案内しよう。」

「む?よいのか?」

「なに、用件は済んだし、多少の寄り道くらいわけでもないからの。それにわしのバンバドロであれば砂漠なぞ全くの問題ではないからな。」

 

確かにそうであれば我々も心強いと、ダルスはハプウの提案に快く承諾した。実際問題、砂漠は素人が入るのは少々危険な場所だ。ポケモンとトレーナーの力を借りることができるのであればそれに越したことはない。

 

では早速、とハプウがバンバドロに乗るようにダルスを誘うが、その前にとリーリエに対してダルスはとある話を持ち掛けた。

 

「……キミはUBのある伝承をしっているか?」

「え?UBさんの伝承……ですか?」

 

リーリエの返答にダルスは頷くと、その様子では知らないのだろうと察し、伝承の一節を語る。

 

「異世界の魔物訪れしとき、新たな災厄の兆しなり」

「新たな災い……それって!?」

 

察しのついたリーリエにダルスは再び頷いて答えた。

 

異世界の魔物、それはアローラにとって紛れもなくUBのことであろう。そしてダルスの口にした新たな災厄。その言葉を聞いたリーリエは、マリエの図書館で読んだ本の内容を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

おおぞら より

 

ひかりのりゃくだつしゃ あらわれ

 

せかい やみに つつまれる

 

たいようを くらいし けもの うばい

 

たそがれの たてがみ となる

 

 

 

わかものと まもりがみ

 

いしを つかい ひかりを はなち

 

たいようを くらいし けものと

 

ひかりのりゃくだつしゃを わかちて

 

アローラの やみを おいはらう

 

 

 

 

 

 

 

太陽を喰らいし獣とはソルガレオのこと。そして光の略奪者、世界を闇に包む、と記載されていた。詳しいことまでは不明な点が多いが、それでもなんとなく察しはつく。

 

その上ダルスのいた世界には一切の光がないと言う。太陽の光に照らされているアローラと比較すると、ゾッとして額から冷や汗が滴り落ちる。

 

UBだけでなく、この後、そう遠くない未来に何か良からぬことがアローラに訪れてしまうのではないか、そう感じてしまう。

 

「我々もどうなるかは分からないが、それでも、一つだけ確信をもって言えることがある。このアローラを、我々と同じような世界に変えるわけにはいかない。」

「このアローラ、みんなすっごく優しくてあったかいもんね♪」

「……出てこい、べベノム。」

『べ~べべ~♪』

 

ダルスはべベノムをモンスターボールから出す。べベノムは上機嫌でモンスターボールから飛び出す。外に出られたのが嬉しいのか、笑顔で空を遊泳している様子がなんとも微笑ましい。見たことのないべベノムに、珍しいポケモンじゃのぉ、とハプウは興味深そうに眺めていた。

 

「べベノムがこれだけ嬉しそうにしているのは久しぶりだ。」

「私たちの世界だと時々悲しそうな顔してるもんね。」

「そうなんですか?」

「ああ。もしかしたらべベノムは我々の世界で何が起きているのか、何が起きようとしているのかを察知しているのかもしれない。全ては憶測にしかすぎないがな。」

 

そう言ってダルスはべベノムを手元に手繰り寄せる。べベノムも嬉しそうにダルスの頭にちょこんと乗っかる。どうやら現在トレーナーとなっている彼にも十分に懐いているようだ。

 

「我々はトレーナーとしての実力は皆無だが、最悪の未来を回避するために出来る限りのことをするつもりだ。」

「自分の世界のためってのもあるけど、このアローラも守りたいからね。」

「幸い我々にはエーテル財団、空間研究所のバーネット博士、それにチャンピオンのシンジも協力してくれている。札は充分に揃っている。」

「だからおねーちゃんも、島巡りだっけ?全力で頑張ってね♪アマモも応援してるから♪」

 

ダルスの決意、アマモの激励を受け取り、リーリエも笑顔になって返事をする。二人はどのような状況に追い詰められようとも、決して折れたりなどしていない。その決意と覚悟の強さは、自分もよく分かっている。その強さは、どんな逆境でも押し返すことができると知っているから。

 

「では我々はそろそろ行く。」

「またね~おねーちゃん♪」

「リーリエも島巡り、頑張るんじゃぞ!」

 

そう言って手を振りハイナ砂漠へと向かうダルスとアマモ、そしてハプウ。リーリエも手を振り、ここから目指す自分の道のりの先を見つめた。

 

アローラの危機が訪れるとして、今自分に出来ることは何もない。ならば今自分に出来ることは、トレーナーとしての腕を磨くこと。今よりももっともっと強く、そして目指す人の背中に追いつけるよう、リーリエは再び歩みを進めるのであった。




ポケモンUNITEにおいてマスターランクに到達しました。ただマスターランクの人も結構カオスっていうかなんと言うか……

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