ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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最近中々日常ネタが思いつかなくて困ってます。いっその事挟まずに島巡りを進行させるのも手ですけど……


ピッピの看病、リーリエ頑張ります!

私、リーリエはウラウラ島の試練であるマーマネさんの試練を無地突破することができ、一度マリエシティに戻っている最中です。

 

その道中、お昼時になったので自分のポケモンさんたちはモンスターボールから出し、お昼の時間にすることにしました。

 

いつも私がお昼の準備を始めると、皆さん率先して準備を手伝ってくれます。お皿を並べてくれたり、軽く飾りつけをしてくれたりと、みんなでお昼を彩るのは私にとっても非常に楽しい時間です。

 

とは言え皆さんはポケモンフーズで、用意するお昼ご飯は私のみなので基本的には簡単なものを用意します。なのでそれほどお昼に手間と時間をかけることはありません。

 

私は手早くご飯の準備をすると、皆さんの分のご飯を分け、私も席についていただきますをすることにしました。

 

皆さんが美味しそうにポケモンフーズを食べてくれるのを見ると私も嬉しくなり、安心して自分もお昼ご飯を食べることができました。今日の出来も中々良いと自画自賛しながらも、お昼を食べ終えました。と言ってもまだまだシンジさんには程遠い腕前ですけど。

 

私がご飯を食べ終えると、丁度皆さんも食べ終えるタイミングでした。しかしその様子を見て、私は一つ明らかに可笑しいと感じる事がありました。

 

それはピッピさんの皿のポケモンフーズがあまり減っていないことでした。ピッピさんは食欲旺盛で、見た目は小さいながらも私のポケモンさんたちの中では一番食事をとる子です。多く盛り付けても食べるスピードがとても速いので、これは変だと思いピッピさんの元へと歩み寄りました。

 

「ピッピさん、どうかしたんですか?」

『ピィ……』

 

ピッピさんに話しかけても、俯いたまま元気がありません。普段は好奇心も旺盛で非常に元気があり、正直手を焼くことが多い子なので、明らかに様子が違います。

 

「ピッピさん、少し失礼しますね。」

 

私は恐る恐る手をピッピさんの額に触れました。すると嫌な予想は当たってしまい、ピッピさんの額から熱を感じてしまいました。間違いなくピッピさんは風邪を引いてしまっています。

 

「大変です!ロトム図鑑さん、この近くにポケモンセンターは!?」

『検索したけロ、近くにポケモンセンターはないロ』

「そ、そんな……」

 

緊急事態時にポケモンセンターがないと聞いて私はどうするべきかと焦ってしまいまいます。こういう状況になったことがないので、全く気持ちが落ち着きません。

 

そんな私に、ロトム図鑑さんが声をかけてきてくれました。

 

『しっかりするロ!リーリエが焦るとポケモンたちも心配するロ。見たところ症状は酷くないロから、冷静に適切な処置をすれば大丈夫だロ。』

「ロトム図鑑さん……」

 

私はロトム図鑑さんの言葉を聞いて自分のポケモンさんたちを見渡します。シロンにフシギソウさん、マリルさんとチラチーノさんもこちらを不安そうに見つめてきていました。

 

そうですよね。こんな時だからこそ、私がしっかりしないといけないですよね。

 

ピッピさんのために、と私は意を決し頬を2回程たたいて気合を入れなおしました。

 

「がんばリーリエ、です」

 

私はそう口にしながらピッピさんの頭を優しく撫で、早速行動に移ります。

 

ひとまずピッピさんの体を休ませるために布団を敷いてその上にゆっくりと寝かせます。ピッピさんが肩で息をしているところを見ると、体が疲労しているのが伝わります。見てるだけで心が苦しくなってしまいます。

 

(えっと……こういう時は確か……)

 

私は小さい頃の記憶を思い出します。私が熱を出した時、お母様が看病してくれたことがありました。かなり昔のことですが、その時のことは私の記憶の片隅に残っていました。

 

熱で体が熱くなっているのでまずは体を冷やす必要があります。幸いにも近くに川があったので、バケツに冷たい水を汲んできました。

 

私はタオルを水で濡らし、ピッピさんの額に優しく乗せました。余程体温が熱かったのか、ピッピさんは少しだけ表情が柔らかくなりました。

 

(次は……)

「コォン」

 

次はどうするべきかと考えます。するとその時、シロンが私に声をかけてきました。どうしたのかと尋ねると、シロンはバケツの方に目を向けました。その様子をみて私はシロンが何を言いたいのかが分かりました。

 

「……!?分かりました!シロン!バケツの水にれいとうビームです!」

『コォン!』

 

シロンはバケツの水をれいとうビームで凍らせてくれました。しかしそれだけでは全ての水が凍っただけなのでサイズが大きすぎます。なのでここは!

 

「フシギソウさん!はっぱカッターです!」

『ソウ!』

 

フシギソウさんははっぱカッターで凍った水を細かくサイコロ型に刻んでくれました。これでこの氷も扱いやすくなります。

 

私は氷を別のタオルで包み、枕代わりにピッピさんの下に敷きました。よく見るとピッピさんは熱で汗をかいていたので濡らしたタオルで汗を拭ってあげました。

 

『ピィ……♪』

 

さっきに比べればピッピさんも落ち着いてきたようです。表情も柔らかくなり少しですが笑顔が戻ってきました。

 

『チラチ♪』

「チラチーノさん?」

 

ピッピさんの笑顔を見たチラチーノさんは、ピッピさんの横に寝転がり、自分の柔らかい尻尾を布団代わりにして乗せてくれました。ピッピさんも気持ちよさそうにして安心した顔になりました。

 

「ありがとうございます、チラチーノさん」

『チラッ♪』

『リルリル!』

 

私がチラチーノさんに感謝すると、マリルさんが私の手を引っ張ってきました。どうやら自分も何かお手伝いがしたい、と言っているようです。

 

とは言えこれ以上何を頼もうか、と私が考えていると、ロトム図鑑さんがとある提案をしてくれました。

 

『熱で風邪を引いたポケモンにはオレンのみと火傷に効くチーゴのみを粉末状にしてポケモンフーズに混ぜると効果があるらしいロ!』

「チーゴのみ、ですか。」

 

オレンのみはまだストックがありますが、チーゴのみは持っていないですね。でしたらここはマリルさんにお願いしましょう。

 

「マリルさん、このチーゴのみを探してきてくれますか?」

『リルル?』

 

私はロトム図鑑さんに表示されたチーゴのみの画像をマリルさんに見せました。するとマリルさんは強く頷いて「任せて!」というような表情で探しに行ってくれました。

 

「フシギソウさんもマリルさんに付いていってあげてくれますか?」

『ソウソウ』

 

私の言葉に頷いてフシギソウさんはマリルさんの後を付いていきました。面倒見のいいフシギソウさんが一緒なら問題ないでしょう。

 

「あっ、また汗かいてますね。」

 

気付けばピッピさんがまた汗をかいていたので、タオルで汗を拭います。その様子を見たシロンは、ヒンヤリとした尻尾で軽くピッピさんに触れてあげました。

 

「シロンも、ありがとうございます。」

『コォン』

 

みんながピッピさんの為にと自分から積極的に動いてくれるのが嬉しくて、私は思わず笑みが零れました。

 

ピッピさんの面倒を見ながら暫く待つと、マリルさんとフシギソウさんが戻ってきました。マリルさんの手には間違いなくチーゴのみが握られていました。どうやら無事近くで見つけることができました。

 

「マリルさん、フシギソウさんもありがとうございます」

『リル♪』

『ソウ』

 

私はマリルさんからチーゴのみを受け取り、2人の頭を撫でてあげました。フシギソウさんは恥ずかしそうにしていましたが、マリルさんは嬉しそうに声を出しながら喜んでくれました。

 

私は早速オレンのみとチーゴのみをすり潰し、それをピッピさんのポケモンフーズに振りかけました。

 

「ピッピさん、少しだけいいので食べられますか?」

『ピィ……?』

 

私は一粒だけピッピさんの口元に持っていきました。ピッピさんは目を開けてポケモンフーズを口に入れてくれました。

 

『ピィ……♪』

 

ピッピさんは笑顔でそのポケモンフーズを食べてくれました。

 

「ここに置いておくので、調子がよくなったら食べてくださいね」

 

私はピッピさんの横にポケモンフーズを置きました。今無理やり食べさせるよりも、ピッピさんの体調がよくなってから自分のペースで食べて貰う方がいいでしょう。

 

そして少し元気を取り戻したピッピさんの様子に安心した私は、気付かぬうちに自分のポケモンさんたちと一緒にピッピさんの傍で一緒に眠ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日一日を私とポケモンさんたちは野宿して過ごし目を覚ましました。眠気で目を擦り、徐々に頭が覚醒していくとハッとなって、ピッピさんはどうなったのかと心配になりピッピさんの姿を確認します。

 

しかし布団の上にはピッピさんの姿はなく、チラチーノさんが眠っているだけでした。どこに行ったのかと辺りを見渡してみると、少し離れた場所で見覚えのあるピンク色の背中が見えました。明らかにそれはピッピさんの姿でした。

 

「ピッピさん?」

『ピィ?』

 

私の声に反応したピッピさんがこちらへと振り返りました。ピッピさんは先日までの体調不良の様子は見受けられず、ピッピさん用に用意したポケモンフーズを食べていました。それもどうやら完食したようで、満面の笑みでこっちに歩み寄ってきました。

 

「もう、ピッピさん、姿が見えないから心配したんですよ?」

『ピッピ♪』

 

小走りで走ってくるピッピさんを受け止めると、ピッピさんは嬉しそうに微笑んでいました。昨日まであれだけ辛そうだったのに、一日だけで風邪が治ってしまうとは驚きです。

 

ですがピッピさんの風邪が長引くことがなくて安心しました。私はその結末に安堵し、ピッピさんの頭を撫でました。

 

ですが風邪が治った反動か、すぐに色んな所へと走りだしてしまいます。元気になったのはいいことですが、毎回好奇心旺盛なピッピさんを止めるのは少し疲れてしまいます。その度にフシギソウさんの力を借りることになるのですが、それでもそんな当たり前の日常が私にとってはとても充実したものに感じる事ができるので内心とても嬉しいです。




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