ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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コジロウとチリーンみたく、実は私もニンフィアちゃんがガチ初恋だったりする。一目惚れではなく、XYで旅をしている時に段々好きになっていったパティーンですけど。

と言うか今回のプルメリ戦、かなり長くなってしまった。プルメリさんは好きなキャラだし、バトル回だから仕方ないとはいえ、こんな頑張ると大試練のバトルがががが……


VSプルメリ!巧妙なる毒の罠!

大試練を受けるためにアーカラ島南西のコニコシティへとやってきたリーリエ。しかしそこで再会したのは元スカル団の幹部であるプルメリであった。

 

リーリエを見かけたプルメリは彼女に話しかけ、2人は大試練の前にバトルをすることとなった。

 

リーリエはプルメリについて行き、コニコシティはずれまで案内された。そこでプルメリは空を見上げ、懐かし気にとあることを呟いた。

 

「懐かしいねぇ。あの時の事を思い出しちまう。」

「あの時……ですか?」

「ああ、姫さんはいなかったね。この場所、あたいが初めてあいつ、シンジと戦った場所なんだよ。」

「シンジさんと、プルメリさんが……」

 

そう、このコニコシティのはずれでシンジとプルメリが出会い、スカル団の因果によりバトルをすることとなった。思えばあの時から、自分の運命の歯車が動き出したのだとプルメリは思いふける。

 

「あたいはグズマ以外にバトルで負けたことがなかった。バトルにも、自分のポケモンたちにも自信があった。そんなあたいを狂わせたのが、現チャンピオンだったってわけさね。」

 

プルメリは2年前のことを思い出しながら語っていく。リーリエはそんな彼女の話を黙って聞いていた。

 

「まったく、今思い出すだけでも腹が立つね。このあたいが、まさかあんな子どもに負けちまうなんてさ。」

 

まるで愚痴るかのようにそう語るプルメリ。しかし彼女の顔には怒りの感情はなく、むしろどこか嬉しそうな声色をしているようにも思える。

 

プルメリはかつての出来事を語り終えると、リーリエの方へと振り返り彼女の眼を見つめた。

 

「ホント、あんたたちは似てるよ。姫さんのその眼、あの時のあの子にそっくりだよ。」

「?」

 

プルメリはリーリエに聞こえないくらいの小さな声でそう呟いた。プルメリの声を聞きとれなかったリーリエは首を傾げるが、そんな彼女をよそにプルメリはモンスターボールを構えた。

 

「細かいことは抜きにしようじゃないか。ポケモントレーナーならバトルで語れ、だろう?」

 

プルメリの言葉の意図を理解し、リーリエも頷いて自分のポケモンが入ったモンスターボールを構える。リーリエのバトルする意思を受け取ったプルメリは、今回のバトルのルールを説明する。

 

「ルールは2対2のシングルバトル。どちらかのポケモンが2対とも戦闘不能になったら負けっていうシンプルなバトルさ。異論はないね?」

「分かりました!私も全力で戦います!」

 

2年前に見た彼女の印象と全く違うリーリエを見て、プルメリは小さく微笑む。これなら楽しいバトルができそうだと、胸を高鳴らせながらモンスターボールを投げた。

 

「行くよ!ゴルバット!」

『カカッ!』

 

プルメリが繰り出したのはリーリエもよく見覚えのあるポケモン、ゴルバットであった。ゴルバットはズバットの進化形であり、各地の洞窟内で生息しているためとてもよく見かけることがあるポケモンだ。特に山や洞窟などが多い関係上、カントー、ジョウト地方では見かけない方が珍しいともいえるポケモンである。

 

「では私は、お願いします!マリルさん!」

『リルル!』

 

どく・ひこうタイプのゴルバットに対して、リーリエはみず・フェアリータイプのマリルを選出した。タイプ相性で言えばゴルバットの方が圧倒的に有利であるが、以前のシンジと似ている選出に思わず笑みが浮かぶプルメリ。これはゴルバットの事を舐めているから、と言うわけではなく自分のポケモンを信じているからこその選出である。

 

だからこそプルメリは「これは楽しい戦いになりそうだねぇ」と心の中で呟いた。

 

「ゴルバット!エアスラッシュ!」

『カッ!』

 

ゴルバットは翼を羽ばたかせて空気の刃を生成、エアスラッシュにより先制攻撃を仕掛ける。

 

「躱してください!」

『リル!』

 

マリルはゴルバットの攻撃をジャンプして回避する。攻撃後の隙を狙い、マリルはすかさず反撃に出た。

 

「バブルこうせんです!」

「あんたも躱しな!」

 

マリルはバブルこうせんで反撃するが、ゴルバットは自身の飛んでいるという特徴を活かしふわりと回避する。動きに無駄がなく、プルメリが如何によくポケモンを育てているかがよく分かる。

 

「続けてアクアテールです!」

『リルゥ!』

「どくどくのキバで受け止めな!」

『カカッ!』

 

マリルは尻尾に水を纏わせ振り下ろし追撃に入る。しかしプルメリのゴルバットは鋭い牙でマリルの尻尾を挟んで真っ向から受け止める。これにはリーリエとマリルも驚きの表情を浮かべた。

 

「まだまだ甘いね!そのまま叩きつけな!」

 

ゴルバットはマリルの尻尾をガッチリと掴み、地面に向かって勢いよく叩きつけた。その衝撃によるダメージもあるが、それに加えどくどくのキバによる追加効果、猛毒が入ってしまう。

 

どくどくのキバはヒットした相手に確率で猛毒状態にしてしまう追加効果がある。毒や猛毒は相手の体力を少しずつ削っていく状態異常だが、猛毒は毒と違いダメージ量が徐々に増えていってしまう。長期戦になればなるほど多くの体力が蝕まれ、非常に不利になってしまうだろう。

 

「マリルさん!大丈夫ですか!?」

『リル……リルッ!』

 

立ち上がるだけでも辛そうだが、リーリエに心配をかけまいと自分の体に鞭を撃って立ち上がり気合を入れる。

 

「へぇ~、見た目に似合わず根性あるじゃないかい。私のゴルバットの毒を喰らって立ち上がってくるなんてね。」

 

プルメリは嬉しそうにそう呟いてマリルの評価を自分の中で大きく上げる。これなら退屈はしなさそうだ、と容赦なくマリルに襲い掛かるのであった。

 

「ゴルバット!ベノムショック!」

『カッ!』

 

ベノムショックは毒状態の相手に対して効果が高く、ダメージが2倍となる技だ。現在のマリルは猛毒状態、この攻撃を受けてしまえば猛毒のダメージと合わせてかなり危険だ。

 

「マリルさん!バブルこうせん!」

『リルルル!』

 

マリルはベノムショックをバブルこうせんで防ぐ。その衝撃で互いの姿が隠れてしまい視界が悪くなってしまった。

 

「逃がすんじゃないよ!どくどくのキバ!」

『カッ!』

 

準備を整えさせる前に接近して一気に片づけようとどくどくのキバで畳みかけるゴルバット。しかし、砂埃がはれたそこには、マリルの姿が見当たらなかった。

 

「なに!?いったいどこに……っ!?あれは、まさか!?」

 

プルメリはマリルの元居た場所を凝視する。そこには不自然に濡れているへこみがあった。それを見たプルメリは、まさかと思い上を見上げた。

 

そこには猛毒状態になりながらもゴルバットを見据え、大きくジャンプしているマリルの姿があった。

 

マリルはゴルバットの視界から外れた瞬間、一瞬のスキを突いてアクアテールで地面を叩きつけ、その反動で大きくジャンプしたのである。リーリエとそのポケモンたちがいつも得意とする戦術だ。

 

「マリルさん!今です!バブルこうせん!」

『リィルゥ!』

『カカッ!?』

 

マリルはゴルバットの頭上からバブルこうせんを放つ。バブルこうせんはゴルバットに直撃し、ゴルバットはその勢いで地面にたたきつけられた。先ほどとは逆の光景にプルメリは驚くも、それでも胸の高鳴りを抑えることが出来ずに小さく微笑んでいた。

 

「ゴルバット、よくやったね、ゆっくり休みな。」

 

プルメリはゴルバットにそう優しい言葉をかけてモンスターボールへと戻す。彼女は見た目こそ怖いかもしれないが、根は優しく、自分のポケモンの事をなによりも大事にする立派なトレーナーなのである。

 

リーリエとマリルは追い詰められながらも勝てたことにお互い喜びをあらわにする。しかしマリルの体力もかなり削られてしまい、マリルは毒のダメージで膝をついてしまう。

 

「マリルさん!?」

 

苦しそうにするマリルが心配になりリーリエは急いで駆け寄る。そんな彼女に、プルメリはあるものを放り投げた。

 

「これ、その子に食わせてやりな。」

 

リーリエはプルメリの投げたものを受け取り確認する。するとそれはポケモンの毒状態を回復させるモモンのみであった。

 

「い、いいんですか?」

「気にしなくていいから、早く食わせてやりな。」

 

プルメリのその心遣いに感謝し、リーリエはマリルにモモンのみを食べさせる。モモンのみを食べたマリルの猛毒はみるみると引いていき、すっかり元気を取り戻した。もう毒の影響は全くなくなったようである。

 

『リル?リルル!』

「マリルさん、よかったです。プルメリさん!ありがとうございます!」

「礼を言われることじゃないさね。それに、毒が治った程度であたいの相棒に勝てるなんて思わないことだね!」

 

その言葉と同時にリーリエとマリルに大きな威圧感が襲い掛かる。次に出てくるのは間違いなくプルメリのパートナーであり切り札。そのポケモンの強さは、リーリエもかつて見たことがあった。

 

「出番だよ、エンニュート!」

『エェンニュ!』

 

『エンニュート、どくトカゲポケモン。どく・ほのおタイプ。ヤトウモリの進化形。現在メスしか見つかっておらず、オスのヤトウモリたちを引き連れて群れを作る。エンニュートのフェロモンガスは薄めることで香水としても利用できる。』

 

最後にプルメリが繰り出したのは彼女のパートナーにしてエースでもあるエンニュートだ。エンニュートはどく・ほのおタイプと言う珍しい組み合わせで、タイプの面でもフェアリータイプのマリルに対して有効である。ただしほのおタイプも持っているため、みずタイプのマリルの攻撃も有効となっているのだが。

 

しかし一番の警戒すべき点はタイプ相性ではなく、エンニュート自身の実力にある。以前リーリエはプルメリのエンニュートと、ミヅキがバトルをしているのを見たことがある。その時、エンニュートの素早くも柔軟な動きはとても記憶に染みついている。

 

エンニュートの厄介なスピードをなんとかして抑えつけなければ捉えることもままならないだろう。リーリエはそう考え、早速行動に移った。

 

「マリルさん!アクアテールです!」

『リルル!』

 

マリルはアクアテールを一点に集中させるのではなく、広範囲に薙ぎ払った。威力は多少分散してしまうが、広範囲に攻撃することでエンニュート側の逃げ場が少なくなりとれる行動が限られてくる。

 

「ジャンプして躱しな!」

『エンット!』

 

エンニュートは横から薙ぎ払われるアクアテールをジャンプすることで回避する。エンニュートにとっては横の逃げ道が防がれてしまったため、このように回避するしか手段がなかった。

 

「今です!バブルこうせん!」

『リルルル!』

 

狙い通り、とマリルはバブルこうせんでエンニュートを一直線に狙い定める。しかし、その狙いはプルメリにとっても同じであり、彼女はニヤリと口角を上げた。

 

「エンニュート!みがわりだよ!」

『ット!』

「なっ!?」

『リル!?』

 

エンニュートの使った技はみがわりであった。みがわりは自身の体力を削る代わりに、分身を生み出して代わりに技を受けさせる技である。エンニュートはみがわりを使い、マリルのバブルこうせんをあっさりと受け流す。

 

「どくづきだ!」

『……ットォ』

『リルルッ!?』

 

気付けばマリルの目の前にエンニュートの姿があった。マリルは衝撃の余り対応することができず、エンニュートのどくづきをもろに受けてしまう。

 

どくづきを受けたマリルは地面に叩き伏せられ、一撃で戦闘不能に陥ってしまう。毒や先ほどまでのバトルによるダメージがあったとはいえ、たった一撃を的確に決める程のスピードに、リーリエはただただ圧倒されるのみであった。

 

「も、戻ってください!マリルさん!」

 

お疲れ様でした、とマリルに一言かけるリーリエ。まさかマリルが全く手も足も出ないとは思わなかったため、動揺を隠し切れない。

 

「さぁ姫さん。次のポケモンを出しな。最も、スピード自慢のエンニュートに勝てる子がいるなら、だけどね?」

 

スピード自慢。確かにエンニュートの強力なみがわり、そしてそれを利用した驚異的なスピード戦術。どちらも一級品のものではあるが、それならこの子も負けてはいない、と最後のポケモンを繰り出すことを決意する。

 

「まだ、まだ負けていません!絶対プルメリさんに勝って、大試練も、グズマさんも突破してみせます!」

 

リーリエが見据えているのはこの戦いの勝利、そしてアーカラ島しまキング、グズマを倒すこと。負けることなど全く考えていない。

 

そんな顔を見たプルメリの中では、以前戦った島巡りのトレーナーの顔と、今のリーリエの顔が完全に一致していた。

 

「やっぱりそっくりだよ、あんたたち。」

 

そう呟いて一呼吸入れたあと、リーリエに向かって大きく叫んだ。

 

「だったら見せてみな!あんたの全力、あたいたちが受け止めてやるよ!」

『エットォ!』

 

プルメリとエンニュートの威圧感に耐え、リーリエは最後のポケモンを繰り出すのであった。

 

「行きますよ!チラチーノさん!」

『チラァ!』

 

リーリエが繰り出したのはチラチーノであった。チラチーノはノーマルタイプ、エンニュートはどく・ほのおタイプ。タイプ相性での優劣は殆どない。

 

更にエンニュートの持ち味はスピードであり、チラチーノもまたスピードが自慢のポケモン。これは実質、どちらが速いかを競うスピード対決であろう。

 

「さぁ、始めようじゃないか!エンニュート!どくづき!」

『エントッ!』

「躱してください!」

『チラッ!』

 

エンニュートは低い姿勢のはいよる素早い動きで接近し、どくづきを決めようとする。チラチーノはその攻撃を受ける前に回避した。チラチーノのスピードであれば、エンニュートにも互角に渡り合えるようである。

 

「チラチーノさん!スピードスターです!」

『チラチラァ!』

「そんな攻撃、あんたの尻尾でかき消しちまいな!」

『エットォ!トォ!』

 

チラチーノのスピードスターを、エンニュートは尻尾で撃ち返しかき消してしまった。当然ではあるが、スピードだけでなくパワー、テクニックも兼ね備えているようである。

 

「チラチーノさん!続けてあなをほるです!」

『チラッチ!』

 

チラチーノは隙を見て地中の中に姿を消した。しかしプルメリは慌てることなく、冷静にエンニュートに指示を出す。

 

「エンニュート、地面の音を感じ取りな。」

『エント!』

 

エンニュートは再び姿勢を低くして感覚器官を集中させる。地面と体を密着させることにより、地中の僅かな振動も感じ取ろうと言うのである。言うだけなら簡単ではあるが、相当バトルで慣れさせなければ到底できる事ではないだろう。

 

『……エット!』

「見つけたね。ドラゴンクロー!」

『チラァ!』

『エントッ!』

『チラッ!?』

 

エンニュートの足元から飛び出し直接不意打ちをするチラチーノ。しかし前もってチラチーノの気配を感じ取ったエンニュートは、飛び出してくる直前に僅かな動きでチラチーノの攻撃を回避した。これにはチラチーノも驚き、エンニュートのドラゴンクローを浴びてしまう。

 

「チラチーノさん!大丈夫ですか?」

『チラッチ!』

 

リーリエの声に答えチラチーノはすぐさま立ち上がる。どうやらダメージ自体はそこまででもないようである。それを見たプルメリは小さく舌打ちをした。

 

「チッ、浅かったかい。だがそう何度も幸運は続かないよ!エンニュート!はじけるほのお!」

『エットォ!』

 

エンニュートははじけるほのおで遠距離から攻撃する。チラチーノはその攻撃はジャンプして避けるも、地面に着弾し炎が弾け、チラチーノに掠ってしまう。

 

はじけるほのおは着弾点から周囲に対して僅かな炎ダメージが入ってしまう技である。ダメージは微量と言えど、蓄積されてしまえばバトルの結果にも関わってしまう。

 

はじけるほのおの追加ダメージで顔を歪ませるチラチーノだが、この程度では負けられないと力を振り絞る。

 

「負けないでくださいチラチーノさん!スピードスターです!」

『チラチッ!』

『エンット!?』

 

チラチーノはダメージを受けた状態から無理やり攻撃態勢に移行した。まさかの行動にエンニュートは驚き、対応が一手遅れてしまう。

 

「あの態勢から攻撃するとはね。いいねいいねぇ、楽しくなってきたよ!」

「チラチーノさん!スイープビンタ!」

『チラァ!』

 

攻撃で怯ませた隙に一気に接近して攻めに転じるチラチーノ。エンニュートも負けじと態勢をすぐに整え反撃に移る。

 

「エンニュート!みがわりからのどくづき!」

『エットォ!』

「そう来ると思ってました!チラチーノさん!」

『チラァ!』

 

エンニュートがみがわりを使いチラチーノの攻撃を受け流す。そしてチラチーノのサイドに回りどくづきの態勢に入った。だがその行動をリーリエは読んでいた。

 

チラチーノはエンニュートのみがわりを破壊する。その後、流れるようにエンニュートの方へと振り向き体を捻らせたのであった。

 

「なんだって!?」

『エンッ!?』

 

プルメリとエンニュートは目を見開いた。なぜならエンニュートの攻撃が、チラチーノの体を掠めていったのだ。チラチーノの体の油によるコーティングが、エンニュートのどくづきを受け流したのである。

 

そしてチラチーノのスイープビンタは連続技。みがわりに加え、スイープビンタの2撃目がエンニュートにヒットする。その攻撃を受けたエンニュートはカウンターの形となり、大きく後ろへと吹っ飛ばされた。

 

「エンニュート!?」

『え……とぉ……』

 

エンニュートは目を回している。先ほどのスピードスターに加え、みがわりによる体力の削りが大きく影響してしまい、戦闘不能状態となってしまったのである。

 

「……はっ、お疲れ様、エンニュート。あんたはよくやったよ。」

 

優しく微笑んだプルメリは、充分健闘したエンニュートをモンスターボールへと戻した。勝利に喜ぶリーリエは、すぐにチラチーノの元へと駆け寄った。

 

「チラチーノさん!よく頑張りましたね!えらいです!」

『チラァ♪』

 

リーリエは嬉しそうにチラチーノの頭を撫でる。チラチーノもこれには嬉しそうに満面の笑みを浮かべていた。進化前とは違って、かなり素直な性格になったようである。

 

「はぁ、まさかあたいが負けるなんてね。でも不思議だね。姫さんも、それからあの子も、ムカついたりしないんだからさ。」

「プルメリさん……」

「……いいバトルだったよ。姫さん、2年前の時とは見違えたね。全く、うちの馬鹿どもにも見習わせたいもんだよ。」

 

プルメリの言う馬鹿どもとは、かつてスカル団をやっていた時の下っ端たちのことである。どれだけ馬鹿をやったとしても、彼女にとっては大切な部下であり、子供のような存在である。だからこそ、今でも彼らの事は大切の思っているのであろう。

 

「でも気を付けなよ?グズマはあたいより強い。それに、あいつもバトルは少し、いや、かなり荒々しいからね。精々怪我しないようにするんだね。」

 

リーリエはプルメリの言葉に頷くと同時に唾を飲み込む。荒々しいバトル、グズマらしいと言えばらしいのだが、想像できない戦術に自然と緊張してしまう。

 

「まっ、今日はもう疲れたろうし、町に戻って一日ゆっくりと休みな。大試練は明日でも大丈夫だろう。」

「は、はい!私、必ずグズマさんに勝って見せます!」

 

そう言ってリーリエは手をグッと握り締めて決意をあらわし、明日に備えて休むことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふん、俺に勝つ、か、舐められたもんだな。」

 

そう言って、彼女たちの姿を見ていた影は笑いながら後ろを振り返った。

 

「クククッ、破壊を体現したグズマ様が、たっぷりと可愛がってやる。」

 

その影はその場を離れ、嬉しそうに、かつ不気味な笑みを浮かべながら奥へと去っていったのであった。




次回は恐らく大試練ですね、いよいよアーカラ島もラストスパートです。

そして明日は遂にモンハンライズ配信日ですよ。最近残業ばっかりだったので有休とったので、たっぷり遊ばせていただきます。

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