ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
あとダイパリメイク決定おめでとう!賛否両論あるけど、私はリメイクしてくれるだけで嬉しいです。ダイパは何がいいって、BGMや地下炭鉱にポケッチ、なにより当時イノムーやトゲチックとかの既存ポケモンに追加された新たな進化先が衝撃的でしたからね。それらも懐かしみながらプレイしたいです。
それに追加してレジェンズアルセウスとか、来月はポケスナもあるし、やっぱりポケモンとゲーフリは最高だぜ!
あっ、誤字報告してくださる皆さま、いつもありがとうございます。お優しい読者様ばかりでとても助かってます。
カンタイシティで暴れていたバルジーナに遭遇したリーリエは、四天王カヒリと出会い四天王の凄さを知った。そんな彼女と、大試練が終わった後にカヒリの実家であるホテルでもう一度会うことを約束。そしてリーリエは大試練へと挑戦するため、目的地であるコニコシティに向かっていた。……のだが?
『……リーリエ?』
「……なんでしょうか、ロトム図鑑さん」
『迷ったロネ?』
ロトムに図星を指摘されてギクッ、と反応してしまうリーリエ。そんなことない、と否定するも説得力がなくロトムには呆れられてしまった。
現在彼女たちはディグダが掘ったと言われているディグダトンネルと言う洞窟を通っている。コニコシティに向かうにはこの道しかなく、洞窟であるため視界は少々薄暗い。
ディグダの掘ったこの洞窟は中が結構入り組んでおり、ディグダトンネルを通るものは迷う者は少なくない。しかしリーリエの方向音痴は筋金入り。以前にマリエシティに大きく目立つように建てられている図書館でさえ、辿り着くのに時間がかかってしまったほどだ。
『仕方ないロ。やっぱりここはボクが案内するロ!』
「い、いえ、しかし」
『このままでは一日中洞窟で彷徨うことになるロ。大人しく言うことを聞いておいた方が身のためロヨ?』
「……はい///」
リーリエは大人しくロトムの言うことに従う。彼女はカントーでの旅も含めトレーナーとしての実力も、人間としても大きく成長することができた。しかし、方向音痴だけはどうしても直らない。
どうにか方向音痴も直したいと思いロトムの案内を拒否したのだが、結局同じところを何度も何度も行ったり来たりを繰り返してしまっていたため、結局ロトムの案内に従う他なかった。
「それにしてもロトム図鑑さんはよく迷いませんね。」
『ボクは図鑑機能だけじゃなくて、地図や記録もデータとして残されているんだロ。一度シンジと歩いた道だから簡単に消えることはないロ!』
ロトムは一度シンジと島巡りを体験し、彼の旅を最後までサポートした経歴がある。リーリエも彼の島巡りに少しだけ同行したことはあるが、それはほんの一部分だけにすぎない。だからこそ少し気になる部分があったのでロトムに尋ねてみた。
「ロトム図鑑さん、シンジさんとこの場所を旅した時のこと、聞かせてくれませんか?」
『ビビッ?いいケロ、やっぱりシンジの旅が気になるロ?』
ロトムの問いにリーリエは頷く。2年前に島巡りをしていたシンジが紡いだ旅路。憧れの存在であり、島巡りを成功させ、その上チャンピオンになった偉大な先輩の旅の話であれば参考にならないわけがない。
それにリーリエ自身、ただ純粋にシンジが経験した島巡りの話が気になる、と言うのも理由として大きい。折角当時近くで見てきたロトムとも旅をしているのだから、こういった機会に話を聞いておきたい。
『分かったロ!じゃあここであった出来事について少し話すロ!』
そうしてロトムは以前シンジと経験した島巡りの話を懐かしみながら話始めたのである。
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3つの試練を突破したシンジは、大試練の行われるコニコシティへと向かう為にディグダトンネルを通り抜けようとしていた。
「確かここ、ディグダトンネルって言ったっけ?」
『そうだロ。ここはディグダが掘ったと言われている洞窟ロ!」
まるでカントーにあるディグダのあなみたいだ、と自分の故郷のことを思い出す。彼の故郷でもあるカントー地方にも、このディグダトンネルと同様、ディグダが掘ったとされているディグダのあなと呼ばれる洞窟がある。あちらはシンプルな一本道だが、こちらはまるでディグダの巣穴のように道が分かれていて下手をすれば迷ってしまいそうな構造だ。
『ビビッ?なんだか奥から声が聞こえるロ?』
奥から声が聞こえたと言うロトムはシンジの懐へと潜り込む。空洞となっている洞窟内では少しの声でも周囲に響き渡るのでよく聞こえる。どうやら言い争いをしているようだ。
2人の男性が文句を言うような口調で、その言葉に1人の女性が声を荒げて反論しているようである。その声の正体に少しずつ近づいていくと、見覚えのある少女と男たちが向かい合っていた。
「ミヅキ?それにスカル団、だっけ?」
「あっ!?シンジ君!ちょうどいいところに来てくれた!」
シンジに気付いたミヅキがそう言うと、スカル団員の下っ端たちは眉間にしわをよせて渋い顔をする。どうやらまたよからぬことをしようとしているようである。
「実はこの人たちがこの洞窟内にいるディグダたちを捕まえて悪さをしようとしているみたいなんだよね。」
「ああ、だから珍しく怒鳴ってたんだね。」
普段温厚なミヅキが声を荒げていた理由を知ったシンジは、確かにそういうことなら自分も黙ってはいられないとスカル団に向かい合う。
「ちっ、仕方ねぇ。邪魔するならお前ら二人とも始末してやる!行くぞヤトウモリ!」
「カリキリ!出番だ!」
『ヤット!』
『キィリ!』
スカル団の下っ端たちはモンスターボールを投げ、ヤトウモリ、カリキリを繰り出した。悪事を働くのであれば容赦しないと、シンジとミヅキも自分のポケモンを繰り出す。
「ブラッキー!お願い!」
「ピカチュウ!行くよ!」
『ブラッキ!』
『ピカッチュ!』
対してシンジはあくタイプのブラッキー、そしてミヅキはでんきタイプのピカチュウを繰り出す。
先手必勝、と言わんばかりにスカル団の下っ端たちは同時に指示を出して動き始め攻撃を仕掛けてきた。
「ヤトウモリ!ピカチュウにヘドロばくだん!」
『ヤットォ!』
「カリキリ!ブラッキーにきりさく!」
『カッキィ!』
ヤトウモリはヘドロばくだんでピカチュウに、カリキリはブラッキーにきりさくで攻撃してきた。ピカチュウとブラッキーはその攻撃を冷静にジャンプして回避する。
「ブラッキー!シャドーボール!」
「ピカチュウ!10まんボルト!」
『ラッキ!』
『ピィカチュウ!』
ブラッキーはシャドーボール、そしてピカチュウは10まんボルトで反撃をする。互いの攻撃はヤトウモリ、カリキリに命中し確実にダメージを与える。
「チィ!ヤトウモリ!ピカチュウにはじけるほのお!」
『ヤトゥ!』
『ピカッ!?』
『ブラッキ!?』
ヤトウモリははじけるほのおでピカチュウに攻撃する。ピカチュウに命中したはじけるほのおは、文字通りその場で弾けてブラッキーに僅かだが着弾しダメージを与えた。
はじけるほのおはダブルバトルの時にこそ効果を発揮する技。命中した相手とは別にポケモンにも僅かだがダメージを与える追加効果を持っている。そのため、ピカチュウの傍にいたブラッキーにもダメージが入ってしまったと言うわけだ。
「ご、ごめんシンジ君!」
「気にしなくていいよ。ブラッキー、まだまだ平気だよね!」
『ブラッキ』
ブラッキーはダメージを受けながらもシンジの問いに答える。ブラッキーはまだまだ平気、と言う顔をしており、いつものように冷静で落ち着いた表情は一切変わっていない。
「カリキリ!ブラッキーにシザークロス!」
『カッキ!』
カリキリはブラッキーにシザークロスで狙いをつける。シザークロスはむしタイプの技であるため、ブラッキーに対しては効果抜群である。
「ブラッキー!あやしいひかり!」
『ブラッキ』
ブラッキーはあやしいひかりを額の模様から発生させる。あやしいひかりを見たカリキリは、シザークロスの構えをしたまま空中で混乱してしまう。
あやしいひかりを受けたポケモンは混乱状態となってしまい、混乱状態となったポケモンは我を失い誤って自分を攻撃してしまうことがある。この効果によりカリキリは迂闊に攻撃をすることができない。
「今だミヅキ!」
「まっかせて!ピカチュウ!アイアンテール!」
『ピッカチュ!』
『カッ!?』
『ヤット!?』
ピカチュウのアイアンテールが混乱中のカリキリにクリーンヒットする。混乱中のカリキリはその攻撃に全く反応することができず、アイアンテールで吹き飛んだカリキリは、後続にいたヤトウモリごと倒れる。
今の強力な一撃が決め手となり、下っ端のヤトウモリとカリキリは目を回して戦闘不能となっていた。下っ端たちは慌ててヤトウモリとカリキリをモンスターボールへとしまう。
「くっそ!邪魔しやがって!これだから島巡りの奴らは!」
「ただで済むと思うなよ!覚えてやがれー!」
そう捨て台詞をはいて下っ端たちは逃げていく。彼らは一瞬のうちに姿が見えなくなり、逃げ足だけは一級品のように速かった。
「もう悪さしないでよねー!」
逃げ足の速い彼らには届いていないかもしれないが、一応念押しの意味も込めてミヅキはスカル団たちにそう呼びかけた。まぁこれだけでやめるのであれば最初から悪さなどしていないのだろうが。
「全く、Z技使うまでもなかったね。っと、シンジ君、ありがとう!加勢してくれて助かったよ!」
「いや、僕としてもスカル団の行為は見過ごせないからね。」
シンジとミヅキは戦ってくれたポケモンたちに一声かけてモンスターボールへと戻す。ブラッキーとピカチュウは、どことなく嬉しそうな顔をしながらモンスターボールの中へと戻っていった。
「それにしてもスカル団、ディグダたちを乱獲しようとするなんて、どうするつもりだったんだろう?」
「ポケモンたちを捕まえて戦力とするのか、それとも島巡りのトレーナーたちの妨害をしたいのか。イマイチ目的が掴めないね。」
今までもスカル団たちの妨害は所々あったが、その度にシンジもミヅキもそれぞれ返り討ちにしていた。彼らは島巡りのトレーナーたちを極端に嫌っているが、その奥でどのような目的を抱いているのかはいまだによく分かっていない。
そもそも特に目的もなく自由気ままな行動をとっている可能性も否定できないのだが……。
「さて、もうすぐ大試練だね!私は先に行くから、次に会ったらバトルしようね!」
「うん、分かった。その時には僕も腕を上げてるように頑張るよ。」
ミヅキは手を振ってディグダトンネルを抜けていく。「僕たちも行こう」、とシンジはロトムと共にコニコシティへと足を進めるのであった。
その後、早くもミヅキとコニコシティで再会するのだが、彼女はブティック、ポケモン用のアロマ、レストラン、更には宝石店と、コニコシティに入り浸りであったため、シンジに大試練を先に越されたのであった。
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『当時の話はザっとこんな感じロ。』
リーリエはその話を聞いてスカル団の存在を思い出していた。そう言えば2年前、彼らが悪事を働いていたなと懐かしむ。彼らの目的がまさか最終的にあのような形で自分に関わってくるとは考えもしなかったが。
「ロトム図鑑さん、もしよければこれからも機会があればシンジさんたちの島巡りの話を聞かせてくれませんか?」
『もちろんお安い御用だロ!ボクもあの頃の話、いっぱいいっぱい話したいロ!』
リーリエのお願いをロトムは快く承諾する。記録を残すことに特化したフォルムのロトム図鑑であるが故か、過去に経験したことを話すことがなによりも好きなようである。
『ビビッ!出口が見えてきたロ!』
ロトムが指し示した方角を見ると、そこには光が差し込んでいた。間違いなく洞窟の出口である。
洞窟を出ると、晴れ渡る空に飛び回る野生のポケモン達の姿、そしておいしい空気を感じる事ができた。やはりアローラの空気は素晴らしいとリーリエは心の中で感じる。
憧れのシンジ、そしてそのライバルであるミヅキも歩いた道。彼らに追いつくため、自分たちも行こうと一歩踏み出すリーリエ。次に目指すは大試練のあるコニコシティ。さぁ、アーカラ島の冒険もいよいよ大詰めだ!
多分シンジの冒険は作り直さず、このようにちょくちょく回想で挟んでいく方針にシフトすると思います。この方が話の内容考えるの楽だし、同時進行できるし、リーリエの島巡りと話も被らないしで書けますから。まだシンジ君の冒険書き直すと私のモチベも続かなさそうですしね……。