ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
モンハンライズの体験版が面白くてずっとやってます。一度データ削除すればプレイ回数リセットできるのに、設定する意味あったのだろうか。
そして次回のシーズンは竜王戦ルール。(育成が)しんどいな
島巡りに挑戦し、ついにアーカラ島の試練を3つ突破することができたリーリエ。その一方で時は少し遡り、ウルトラ調査隊の面々はアーカラ島の調査を続けていた。
「ふむ、ここにも僅かだがウルトラオーラの痕跡が残っている。」
ダルスの持っている特殊な計測器に、微量ではあるが反応が出ているのが見えた。これはここにもウルトラホールが少なからず出現したという証拠である。
「ふふとふぁふぃーふとっふぇふぉんふぁとふぉふぉにもふぇるんふぁふぇ」
「……何を言っているかわからん。飲み込んでから話せ。」
「(ゴクン)UBってこんなところにも出るんだね」
「……ちゃんと噛め。」
「もー、いちいちうるさいんだからダルスは。お母さんみたいなこと言わないでよー。」
「お前が下品すぎるだけだ。もう少し真面目に……」
ウルトラ調査隊の二名、ダルスとアマモがそんな言い合いをしていると、横からもう一人の少年の声が仲裁に入る。
「あはは、まあまあ、そんなに根を詰めても成果はでませんよダルスさん。」
「しかし、忙しい中チャンピオンにも手伝ってもらっているのだ。効率よく進めなければ……。」
その少年の正体はアローラのチャンピオン、シンジであった。ククイ博士主催のZキャンプが終わって以降、こうして時間を見つけては2人の調査を手伝っているのだ。
実際、“この世界”のアローラに疎い二人では調査するにしても滞りができてしまうだろう。そのため、アローラに詳しく、ポケモンバトルの腕に関しても間違いのないシンジが彼らの調査の助手として抜擢されたというわけだ。
チャンピオンとしての仕事もあり忙しい身ではあるが、アローラや彼らの世界の平和を守るためであればシンジにとってこの程度の労力は惜しく感じなかった。
「僕の事だったら気にしなくていいよ。ダルスさんもたまには肩の力を抜いたほうがいいと思いますよ。」
「そういうものだろうか。」
ダルスは自分の世界を守らなければならないという使命感がゆえに常に緊張感を持っている。しかし過去にもチャンピオンとしての重荷を感じていたシンジも、彼の気持ちを理解することができた。だからこそ彼の緊張を解すためにアドバイスを与える。
「ねぇねぇ、(モグモグ)この食べ物って(モグモグ)なんて言うんだっけ?」
「だから食べながら喋るなと……」
「ああ、それはマラサダって食べ物だよ。僕の友人も大好きで、アローラでは定番のおやつだよ。」
「そうそう!変わった名前だけどおいしいね♪(モグモグ)」
ダルスの忠告などお構いなしと言わんばかりにマラサダを頬張り続けるアマモ。そんなアマモのことをシンジは笑顔で見守っていた。
「チャンピオンはアマモに甘すぎる。」
「シンジでいいですよ。あんまりその呼ばれ方慣れないので……」
「ならば我々に敬語は不要だ。その方が話しやすいだろう。」
「じゃあじゃあ私チャンピオンのことお兄ちゃんって呼ぶ!ダルスと違って優しいし♪」
「……否定はしないが、違っては余計だ。」
そんなやり取りをみてシンジは、まるで兄妹のようだと心の中で思っていた。なんだかんだでこの二人は仲が良いのだろう。喧嘩するほど仲がいい、とはよく言ったものである。
「あっ、ダルスもマラサダ食べてみる?おいしいよ♪」
少し遠慮していたダルスだが、アマモにしつこく言われ仕方ないと言いながらマラサダを受け取り口にする。すると先ほどまで強張っていた表情が少しだけ緩んだ気がした。
「ね?おいしいでしょ!」
「……確かに美味いな。外の生地に反し中はふんわりとしていて、甘く香りもいい。アローラでは食べ物も興味深いものだな。」
さすがのダルスでも美味しいものを食べれば少しだけでも笑顔を浮かべることができるようだ。先ほどまでとは違い、彼の表情からは喜びの感情を感じることが出来る。食事とは不思議なものだ。
「……ねぇ、折角だからここら辺で少し休憩しない?」
「いや、しかし……」
シンジの提案に対しダルスは否定しようとするも、彼の意思とは裏腹にギュルギュルと森に音が響く。まぎれもなくこれはダルスのおなかの虫である。
「……少し休息するとしよう。」
「私もお腹すいたー!」
先ほどあれだけマラサダを食していたアマモも元気よく手を挙げて。見た目は小さいが胃袋はまるでブラックホールのようである。
そんな彼らのために、シンジはちょっとまっててっと言って料理の準備にとりかかる。
旅慣れしているシンジは手慣れた動きでキャンプの準備を進める。今までの旅で長いこと1人旅をしていたためこういったことにはすでに慣れきってしまっている。
「さてと、みんな出てきて!」
『フィア!』
『イブ!』
『エフィー』
『ブラッキ』
『グレイ!』
『ダース!』
シンジはモンスターボールをいっぺんに投げる。中から出てきたのはニンフィア、イーブイ、エーフィ、ブラッキー、グレイシア、サンダースの6匹だ。
「さあみんな!お手伝いお願いね!」
シンジの一声にポケモンたちは大きく返事を返す。いくら手慣れているといっても、やはり一人で準備するのは手間ではあるし、三人分ともなると時間もかかってしまう。
とは言え、元々シンジは自分のポケモンたちと一緒に準備をするこの時間も好きなのだ。一人で旅をしていた時もよくポケモンたちとこういった些細なことでも協力していた。かくいう彼のポケモンたちも、自分のトレーナーと一緒に何かするのが好きなようであるが。
「ほう、ポケモンと人間が協力して作業をする、か。実に興味深いな。」
「私たちの世界には“もういない”からね~。ポケモンってすごいんだね♪」
そんな彼らをダルスとアマモは少し離れた距離から見守っている。ダルスは興味深そうに顎に手を当てて頷き、アマモはシンジの事を羨ましがっている様子で見ている。
シンジに促され二人は椅子に座り大人しく待つ。しばらくすると二人の前に完成した料理をニンフィアとエーフィが運んできてくれた。
「これは?」
「カレーライスだよ。」
二人の前に運ばれてきた料理はみんな大好な一般的家庭料理、カレーライスと呼ばれるものである。子供から大人まで人気があり、嫌いな人は殆どいないであろう料理だ。
「ん~!おいしい!」
「こらアマモ、食べる前には」
「ダルスも食べてみてよ!すっごく美味しいよ♪」
ダルスはアマモに対して溜息をつきながらも、カレーライスを口に運ぶ。すると表情を変え、マラサダを食べた時と同様に自然と笑みを零した。
なんだかんだいいつつも、ダルスは次々とカレーライスを食していく。その姿をみたアマモも、なんだか嬉しそうに笑っていた。
「おかわりもあるから、どんどん食べても大丈夫だよ。」
「本当!?やったぁ♪」
「……ありがとう、シンジ。」
シンジの言葉にアマモは喜びをあらわにし、ダルスも嬉しそうに感謝の言葉を告げる。二人はこの世界の優しさに触れ、必ず自分の使命を成し遂げようと心の中で誓ったのであった。
一方そのころ、エーテルパラダイスの地下ではある人物の計画が着々と進んでいるのであった。
「もう少し、もう少しです。あと少し集まれば、私の計画は……」
薄ら笑いを浮かべ、その男は自らの計画を画策していく。のちに大きな事件が引き起こされることを、まだ誰も知らない。
普段面倒だと思うことでも、ポケモンと一緒だったらなんでも楽しく感じるんだろうなぁ