ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
因みに今回の話はかなり短めでございます。
先日、マリルさんとチラチーノさんのお陰でスイレンさんが担当する水の試練を無事突破することができた私、リーリエです。
その日、ポケモンセンターにて一日を過ごし疲れを癒し、次の目的地であるカキさんの火の試練が行われるヴェラ火山へと向かっているところです。
「ロトム図鑑さん、ヴェラ火山とはどういったところなんですか?」
『ヴェラ火山はその名の通り火山だロ。火山と言うだけあって、ブーバーやヤトウモリのような炎タイプのポケモンが多く生息しているのが特徴なんだロ。今では火山活動も収まってるから、安心してほしいロ!』
ロトム図鑑さんの説明に、私は理解しなるほど、と頷きました。
カントー地方に行く前は私もアローラ地方で少しは旅をしていましたが、当時は余裕もなくシンジさんの島巡りについて行ってたわけでもないのであまりアローラ地方に詳しいわけではありません。
カキさんは炎ポケモンさんの使い手でもあり、火の試練であるため当然ぬしポケモンさんも炎タイプで間違いありません。熱いバトルで苦戦を強いられることは覚悟しておくべきでしょうね。
『ビビッ?あそこに誰かいるロ?』
「えっ?誰でしょうか?」
私はロトム図鑑さんが指摘した場所に目を向けました。ロトム図鑑さんは私の懐へと戻り、私はその人物の元へと歩みを近づけました。
するとその人物の正体は、私も以前お世話になったよく知る人物とそのパートナーのポケモンさんでした。
「ハプウさん!」
「む?おお、リーリエではないか!久しぶりじゃのお!」
「はい!お久しぶりです!バンバドロさんも、ご無沙汰しております!」
『バドォ!』
その人物とは、ポニ島のしまクイーンを務めているハプウさんでした。
ハプウさんは私が以前アローラに滞在していた時に、シンジさんと共に太陽の笛の件でお世話になったことがあります。その際にポニ島の守り神、カプ・レヒレさんに認めてもらい、ハプウさんのお爺様である先代のポニ島しまキングの座の後を継ぎ、しまクイーンとして勤めることとなった方です。
その実力はしまクイーンとしてだけでなく、一人のポケモントレーナーとして一流の腕の持ち主です。当時私も成り行きでシンジさんとハプウさんの大試練を見物することになりましたが、その時の戦いは素人である私の眼から見ても素晴らしいものでした。
ハプウさんの操るポケモンさんはバンバドロさんを初めとし、地面タイプのポケモンさんで構築されております。
地面タイプと言うだけあり、重量感あるポケモンさんのプレッシャーと圧倒的なパワーに、シンジさんも苦戦を余儀なくされておりました。私もいずれしまクイーンとしてのハプウさんと戦う事になるでしょう。
その時が楽しみでもありますが、同時に不安でもありますね。それまでに、私ももっともっと腕を磨かなければなりません!
「ところでリーリエはどうしてここに来たのじゃ?」
「はい、私は今島巡りの真っ最中でした、つい先日スイレンさんの試練をクリアしてきたところです。」
「ほう、あのスイレンの試練を突破したのか。あそこは島巡りを始めたばかりのトレーナーにとって、最初の難所と言われる程の試練じゃ。それを突破し太という事は、リーリエも立派なトレーナーの仲間入りをしたという事じゃな。」
「い、いえ、そんな大げさな。」
謙遜することはない、とハプウさんはカッカッカッと笑い飛ばします。恐縮ではありますが、ハプウさんほどのトレーナーさんに褒められると、私としても悪い気はしません。むしろ嬉しい気持ちでいっぱいです。
「ハプウさんは何故このアーカラ島にいるんですか?」
「わしは実家で育てたポニ大根をすぐそこの“スーパーメガやす”に売りに行ったところじゃ。」
ハプウさんの実家は農家を営んでいて、その中でもポニ島の名物でもあるポニ大根は絶品なのだそうです。通常の大根よりも大きく、大根なのに甘みが強くみずみずしい食感、そしてどんな食事にも合うことで評判なのだそうです。私も一度食べてみたいものです。
「しかし懐かしいのお。以前、わしとシンジが出会ったのもこの辺じゃったぞ。」
「シンジさんとハプウさんが出会ったところなんですか?」
「うむ。あの時、スカル団に虐められておったフワンテを助けるため、何も言わずとも手を貸してくれたのがシンジじゃった。思えば、あの時からシンジからは只者じゃない雰囲気を感じたの。」
シンジさんがハプウさんと出会った場所。その場所で今度は私がハプウさんと再会した。なんだか因果と言いますが、なにかしらの縁みたいなものを感じますね。
「おっと、それよりリーリエよ。どうやら客人のようじゃ。」
「客人?」
私はハプウさんの指差した方角へと目を向けます。するとそちらから、またもや見たことのある2人の人影がこちらへと近付いてくるのが分かりました。
「む?またもや君と会うとは、運命の巡り会わせ、と言うやつかな?」
「おねーさんやっほー♪こんなところで合うなんて奇遇だね!」
その人物とは、ウルトラ調査隊ののダルスさんとアマモさんでした。
「ふむ、なんじゃ、リーリエの知り合いか?」
「はい、紹介しておきますね。こちらはウルトラ調査隊の……」
「ダルスだ」
「私はアマモ!」
「ウルトラ調査隊か。わらわはハプウ!まぁ、リーリエの友人じゃよ。よろしくの。」
「うむ、こちらこそ、よろしく頼む。」
ダルスさんとハプウさんは握手を交わし、お互いに自己紹介を終えると、ダルスさんは私の方へと視線を直しました。
「先日は有益な情報、感謝する。おかげで調査が捗っているよ。」
「え?えっと……。」
私は何のことだか分からず、咄嗟に疑問符を浮かべてしまいました。そんな私に、アマモさんが補足で簡単に説明をしてくれました。
「ほら、チャンピオンのおにーさんの事教えてくれたじゃん?あれのお陰で私たちの調査も捗ってるんだよねぇ♪」
「チャンピオンのおにーさん……シンジさんの事ですか?」
「そうだ。キミと別れたあと、我々は彼と接触することができ、事情を説明したら快く調査の協力に乗ってくれたよ。」
「おにーさんすっごく優しくてね?お仕事が無い時だけだけど、私たちの調査に前向きに協力してくれてるんだぁ!」
「そうだったんですか。それは良かったです!」
お忙しい中、シンジさんはウルトラ調査隊の皆様のお手伝いを買って出てくれたのですね。私では役不足かもしれませんが、シンジさんであれば心配の必要はないくらい適任でしょう。……過労で倒れないかが少々心配かもしれませんが。
「シンジに調査を依頼?いったいどういう事じゃ?」
「ハプウさんは知らなかったですね。実は……」
事情を知らないハプウさんに、私は以前空間研究所で聞いた話をお伝えしました。
「なるほど、この世界とは対になっている裏の世界、UB、かがやきさま、また厄介なものに巻きこまれてしまったものじゃのぉ。シンジもリーリエも。」
「あ、あははは……」
シンジさんだけでなく、私も同じように厄介事に巻きこまれていると判別され、思わず乾いた笑いが出てしまいました。まぁ、否定はできませんけど……。
「それと、今我々の他に怪しい動きをしている者がいる可能性がある。」
「え?ダルスさんたちの他にウルトラオーラの調査をしている人がいるってことですか?」
「この前おにーさんと一緒に森の中を調査してたんだけどね?大きなウルトラオーラの発生源を調べてたら、直前まで誰かがその場所にいた形跡があったんだよねぇ。」
「あの量のウルトラオーラが一部回収されていた。本来この世界の人間にとって価値の無いものなのだが、もし悪用するものがいるとすると……いや、考えすぎか。」
「いざとなったらチャンピオンのおにーさんがいるから大丈夫だよ。それに、この世界には他にもすごいトレーナーさんが大勢いるし!」
「それもそうだな。今気にしても仕方ないか。」
ウルトラオーラが回収されていた?使い道のないはずのウルトラオーラを集めている人物がいる?……なんでしょう。何故だか心当たりがある気がします。それも身近に……。
「ふむ、怪しい人物か。わしの方でも少し調べてみよう。」
「そうか、それは助かる。もし何かあればエーテル財団の方へと知らせてくれ。我々はもう少しこの周辺を調べたら別の場所に行く。」
「またねー、おねーさん♪バイバーイ!」
アマモさんが元気よく手を振り、ダルスさんと共にこの場を後にしていきました。この調子だとまたいずれ再会することになるでしょうね。
「ではわらわもこの辺で失礼するかの。実家に残してきたポケモン達も待たせているしのぉ。」
「そうですか。分かりました。」
「うむ。リーリエはこのまま島巡りを続けるんじゃろ?」
「はい!次はカキさんの試練に挑むつもりです!」
「そうかそうか。いずれわしにも挑戦するつもりじゃろう。その時を楽しみに待っておるよ。またの!」
『バドッ!』
ハプウさんはそう言ってバンバドロさんに跨り、バンバドロさんと共にポニ島へと帰っていきました。
『ビビッ、怪しい人ロカ。なんだか怖いロネ。』
「そ、そうですね。私たちも気を付けていきましょうか。」
私の心当たりも、気のせいだという事にして心の奥底にしまい、今は自分のやるべきことに集中しようと再び歩き出すことにしました。
次のウルトラ調査隊登場は暫く後かと思われます。多分アーカラ島ではこれがラストかと。
現在行われているピカチュウレイドで雑に色違い夢ピカ様を6体ほどゲットしました。その内の一体はマスターボールで捕まえると言う暴挙に出ました。私は一体何をしているんだ(冷静)
にしてもピカチュウの相方でもあるエアームドは何故おいかぜを没収されてしまったのか