ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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スイレンの試練を書いていて思ったことがあります。

……カキとマーマネの試練どうやって書こう
もういっその事バトルだけ書く?マオの試練ならまだしも、あの二人の試練は……ねぇ?


水の試練!強襲、オニシズクモ!

オハナタウンで野生のロコンさんを巻き込んだ騒動に遭遇した私は、そこで元スカル団幹部のプルメリさんと再会し、彼女の案内で牧場の先にある次の目的地、スイレンさんの待つ水の試練を行うせせらぎの丘に辿り着きました。

 

「水の試練はこの先、ですね」

 

せせらぎの丘には大きな門があり、それは明らかに試練の場所であることを示していました。

 

私はその門の前に立ち、一度深呼吸をしました。ジム戦の時と同じで、この緊張感は未だ慣れることはありません。

 

私が緊張する中門の先へ進もうとすると、その先から小さな人影がこちらへと近付いてきました。その人物の正体が分かった時、その方はにこやかな笑顔で私に呼びかけてきました。

 

「リーリエさん、お待ちしてましたよ。」

 

後ろで小さく跳ねた青いショートヘアに黄色の網のようなカチューシャ、腰紐にぶらさげたキャプテンの証、間違いなく水の試練を担当しているスイレンさんでした。

 

「スイレンさん、お久しぶりです!」

「ええ、UBの騒動の時はゆっくり話せなかったですからね。」

 

普段は優しく温厚なスイレンさん。今も私に呼びかけている時は優しい声色で話しかけてくれています。

 

「そんなに緊張しないでください。試練と言っても、特別難しいことするわけではありませんよ。」

「あはは、なんだかカントーの時の癖が抜けなくて……」

 

アローラでの生活も長かったとはいえ、以前までカントーで過ごしていたのでそちらでの感覚が身についてしまっているようです。どちらかと言えばポケモントレーナーの性、みたいなものかもしれませんが。

 

「では、早速試練を受けますか?一度入れば、試練が終わるまで出ることは出来ませんが。」

「……はい、大丈夫です!」

 

元より私もポケモンさんたちも覚悟はできています。私たちの気持ちをスイレンさんに伝え、私はスイレンさんの案内によりせせらぎの丘へと入っていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スイレンさんの案内で連れてこられた場所は、大きな水辺のエリアでした。そこにはラプラスさんが二匹いて、取り付けの椅子がついているところを見るとスイレンさんのライドポケモンのようです。

 

「それではこれより、スイレンの水の試練を始めます。」

 

スイレンさんは私の方へと振り向き、その試練の内容を口にしました。

 

「リーリエさんにはこれより、ここで私、スイレンと一緒に釣りをしてもらいます。」

「つ、釣り、ですか?」

「はい、釣りです。」

 

その内容は私にとって少し予想外のものでした。イリマさんの試練ではシンプルにぬしポケモンさんと戦う事でしたので、てっきりスイレンさんの試練も同じようにぬしポケモンさんとバトルするものかと思っていました。

 

「えっと、スイレンさんと釣りで勝負するってことですか?」

「いえいえ、単に私とのんびり釣りに付き合ってもらうだけです。もちろん試練が無事終われば試練突破の証であるこのみずZを差し上げます。」

 

そう言ってスイレンさんはみずZを私に見せつけます。例え試練がどんな内容であったとしても、ここのキャプテンは紛れもなくスイレンさんです。

 

「わ、分かりました。スイレンさん、それでは一緒に釣りをしましょう!」

「ふふふ、ええ、楽しい釣りをしましょう。もしかしたら、カイオーガが釣れてしまうかもしれませんよ?」

「え?カイオーガさん!?」

 

カイオーガと言えばホウエン地方にて海を広げたと言われる伝説のポケモンさんです。そんなポケモンさんが釣れたら確かにすごいです。あっ、いえっ。

 

「って、スイレンさん、伝説のポケモンさんでもあるカイオーガさんが釣れるなんてありえませんよ。」

「ふふ、さぁ、どうでしょうね?」

「……え?」

 

スイレンさんは含みのある笑顔でそう呟きます。えっと、冗談、ですよね?

 

私はどこか不安な気持ちを抱きながらスイレンさんの水の試練に挑むことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は現在、スイレンさんと共にラプラスさんの背中に座り釣りをしている最中です。ですが……

 

「な、中々釣れませんね」

 

私はハナダシティの釣り大会以外で釣りをしたことがありません。言ってみれば全くの素人です。

 

「ふふ、釣りは焦ったらダメですよ。静かに待てば、自然と釣れるようになります。」

 

スイレンさんはそう言って静かに釣り糸を垂れ下げています。実際、スイレンさんは私と違って少しずつ水ポケモンさんを釣り上げています。

 

水ポケモンさんが釣れるたびに優しく言葉をかけ、軽く食べ物を与えてそのまま逃がしています。その姿から、余程水ポケモンさんが好きなんだという事が伝わってきます。

 

「あの、スイレンさん?」

「なんですか?リーリエさん」

 

スイレンさんと釣りをしている最中ですが、失礼ながらも私は一つ気になったことがあったので尋ねることにしましたた。

 

「すいません、試練はいつ行うのでしょうか?」

 

先ほどから結構時間が経ちますが、ずっとこうして釣り糸を垂らしているだけで一向に試練らしいことが始まる気配がありません。スイレンさんには申し訳ありませんが、流石にこれが試練には思えませんでした。

 

「試練なら、もう始まっていますよ?」

「えっ?」

 

私は驚き、変な声をあげてしまいました。試練の代名詞とも言えるぬしポケモンさんの姿も見えませんし、釣りをするだけでみずZが貰えるとも思えません。それに先ほど、スイレンさんは釣りの勝負をするわけではないともおっしゃっていましたし……。

 

「リーリエさん、釣りにとって一番大事なことは何だか分かりますか?」

 

スイレンさんからそのような問いが返ってきました。私は慌ててその答えを探しますが、答えを見つけることができません。

 

そんな私は見て、スイレンさんは微笑みかけながら答えました。

 

「釣りにとってポイントや道具なども確かに大切なものですが、それ以上に、常に冷静であること、それがとても重要なことです。」

「冷静であること?」

「はい、焦ってしまっては、例え餌に食いついたとしてもすぐ逃げられてしまいます。釣りとは、心を静かにして冷静に数少ないチャンスを待ち続けるものです。それは、ポケモンバトルでも同じですよ?」

「ポケモンバトルでも……」

 

スイレンさんにそう言われて、なんとなくその意味が分かりました。ポケモンバトルで焦ってしまえば状況の判断ができず負けてしまいます。釣りも同じように、常に冷静でなければ釣れるものも釣れなくなってしまいますね。

 

「おや?」

「スイレンさん?どうかしましたか?」

 

スイレンさんが何かを見つけたように声を出し、私はそんなスイレンさんにどうしたのかと尋ねてみました。するとスイレンさんは前の方へと指をさし、私もそちらの方へと目を向けました。

 

「あそこに大きな水しぶきが出ていますね。もしかしたら、あそこに“いきのいいかいパンやろう”が溺れているかもしれません。」

「か、かい……?」

「リーリエさん、早くあそこに向かってその正体を確認してきてください!」

「は、はい!」

 

スイレンさんが何を言っているのか少しわかりませんでしたが、確かにスイレンさんの指差した方には大きな水しぶきがありました。

 

私はラプラスさんに指示を出し、その場所へと向かい釣り糸を垂らそうとします。しかし……

 

「あ、あれ?」

 

傍に近寄った瞬間にその水しぶきは収まってしまいました。私は一体何だったのかと考えますが、その時どんどん辺りが暗くなっていきました。

 

「っ!?もしかしたらこれって!」

 

私はそれが何かを気付き、すぐに後ろを振り向きました。するとそこには目を疑うほど巨大なオニシズクモさんの姿がありました。その姿は紛れもなくぬしポケモンさんの姿でした。

 

『ビビッ!?大きすぎてコワイロ!でも、僕もポケモン図鑑だロ!』

 

そう言って怯えた様子を見せながらも、ロトム図鑑さんはオニシズクモさんの解説をしてくれました。

 

『オニシズクモ、すいほうポケモン。みず・むしタイプ。面倒見がよく、弱い仲間を守る。頭部の水泡は自分の身を守るだけでなく、食事をする時にも利用する。』

 

オニシズクモさんの特性は確かすいほう。水タイプの技の威力を上げ、炎技のダメージを軽減させる特性だったはずです。

 

「ここは水辺。でしたらここはシンプルに!お願いします!マリルさん!」

『リルル!』

 

私のポケモンさんたちは主に素早さやフィールドを駆使して戦うことが多いです。ですが水辺ではその能力を存分に発揮することができません。

 

だったら水辺でも本来の力を充分に発揮できるマリルさんが最も適任でしょう。

 

「行きますよ!マリルさん!アクアテールです!」

『リィル!』

『オズっ!』

 

マリルさんは尻尾に力を込めてアクアテールを振り下ろします。しかしオニシズクモさんはその攻撃をあっさりと片腕で弾き飛ばしました。

 

『グモッ!』

「っ!?来ますよマリルさん!」

 

オニシズクモさんが態勢を低くしました。それは間違いなく攻撃の態勢へと移行する合図でした。私はマリルさんに注意するように呼びかけます。

 

次の瞬間、オニシズクモさんは動き出しました。しかし大きく鈍重そうな見た目とは裏腹に、水面を滑るようにしてこちらとの距離をあっさりと縮めていきます。

 

「は、早い!?」

『グモォ!』

『リル!?』

 

その動きの速さに私もマリルさんも驚き怯んでしまい、オニシズクモさんの大きな一撃、アクアブレイクを受けてしまいました。

 

「マリルさん!?」

 

大きく飛ばされたマリルさんは水面に叩きつけられダメージを負ってしまいました。

 

マリルさんはすぐに水面に浮かびあがり、私に大丈夫だと声をかけてくれます。それを見て私は一安心し溜息をつきました。

 

(しかしあのオニシズクモさん、素早いうえに一撃がかなり重いです。あまり長期戦にしてしまうのはかえって不利ですね。)

 

長期戦になればなるほどこちらが不利になってしまうのは明らかです。なるべく接近戦を挑もうにもパワーの差が明確に出てしまいます。

 

「でしたら今度はバブルこうせんです!」

『リル!』

『っ!』

 

今度はバブルこうせんで遠距離戦を仕掛けます。しかし今度はオニシズクモさんが動く気配はありません。

 

どうしたのか、と一瞬思いましたが、次の瞬間にオニシズクモさんが虹色に光り輝きオニシズクモさんの狙いが分かり、慌ててマリルさんに回避の指示を出しました。

 

「マリルさん!すぐに躱してください!」

『リルッ!?』

『っ!』

 

私の指示が間に合い、オニシズクモさんの攻撃を間一髪で回避することができました。

 

今のはオニシズクモさんのミラーコートです。ミラーコートは受けた特殊技のダメージを相手に反射する強力な技です。今のが当たっていたら一溜りもなかったでしょう。

 

ですがこれはいよいよ困りました。近距離戦を挑めばパワー負けをしてしまい、遠距離戦であればミラーコートで反射される。まるで隙がありません。

 

(特に厄介なのはあの素早い動きですね。あの動きをなんとかしなくては……)

 

例えパワーで勝ったとしても、あの素早い動きを捉えることができなければ結果は同じです。

 

私がそう悩んでいると、モンスターボールが揺れ動きました。

 

「え?あなたも手伝ってくれるのですか?」

 

モンスターボールは頷くように今度は縦に揺れ動きました。私はポケモンさんがそう答えてくれているのだと感じ、だったらここはお願いしようとモンスターボールを上に投げました。

 

『チラチ!』

 

そのポケモンさんはチラチーノさんでした。チラチーノさんはラプラスさんの背中に登場し、私の方へ向き微笑みました。

 

「マリルさん、チラチーノさん!行きますよ!」

『リル!』

『チラチ!』

 

マリルさんとチラチーノさんは元気よく頷き返事をしてくれました。オニシズクモさんは静かにこちらを見据えています。

 

「チラチーノさん!スピードスターです!」

『チラッ!』

 

チラチーノさんはスピードスターを繰り出しました。水上では本来の素早さを活かせないため、殆どこの技しかだせないでしょう。

 

スピードスターは特殊技ですが、オニシズクモさんはミラーコートで反射することなく、右腕でその攻撃防ぎました。

 

「今です!アクアテール!」

『リルッ!』

 

アクアテールで逆側から強襲をしかけます。しかしオニシズクモさんは後ろに滑って動きその攻撃を回避しました。

 

アクアテールは空を切り、水面を思い切り叩きつけました。大きな水しぶきが立ち上がりました。それを見た私は……。

 

(水しぶき?波?そうです!これならもしかすれば!)

 

私はあることを思いつき、それを実践しようと考えます。

 

今度はオニシズクモさんが再び態勢を低くくして攻撃の合図を出しています。そして水面を勢いよく滑りマリルさんに突っ込んできました。

 

「チラチーノさん!マリルさんを援護してください!もう一度スピードスターです!オニシズクモさんの目の前を狙ってください!」

『チラッ!』

 

オニシズクモさんに直接当てても効果は薄いと考え、オニシズクモさんの目の前にスピードスターを着弾させました。オニシズクモさんはその攻撃に怯んですぐに後ろに下がり態勢を整えました。流石に状況判断が早いですね。

 

ですがその行動が私にとっては逆に好都合な動きです!

 

「マリルさん!水面に向かって全力でアクアテールです!」

『リィル!』

 

マリルさんは今度はアクアテールで水面に向かって振り下ろしました。先ほどよりも威力を増して放たれたアクアテールは、更に大きな水しぶきを上げて大きな波を引き起こしました。

 

『グモッ!?』

 

その波によりオニシズクモさんは態勢を崩します。

 

オニシズクモさんは水面を滑ることにより本来以上の素早さを得ていました。ですがそれはあくまで静かな水面であったからに他なりません。波によってその状況が覆った今、オニシズクモさんは先ほどのような機動力を得られません!

 

「これで決めます!マリルさん!アクアテール!チラチーノさん!スイープビンタです!」

『リルッ!』

『チラッチ!』

『っ!?グモォ!』

 

マリルさんとチラチーノさんは同時に接近して近接攻撃を仕掛けます。その攻撃に対して、オニシズクモさんは焦りとびかかるで反撃をしてきました。

 

ですが本来の機動力を失い、自分のフィールドでもある水面から離れたことにより攻撃力も大幅な低下を見せ、チラチーノさんのスイープビンタ、マリルさんのアクアテールと交わり、相打ちとなって墜落しました。

 

墜落したオニシズクモさんは、そのまま目を回して戦闘不能状態となりましたが、私はそれ以上に墜落してしまったチラチーノさん、マリルさんの事が心配になり慌てて呼びかけていました。

 

「チラチーノさん!マリルさん!大丈夫ですか!?」

『リル!リルル!』

『チラァ』

 

私が呼びかけると、マリルさんがチラチーノさんは水面に連れ出してくれました。チラチーノさんもまだ元気そうな表情で笑いかけてくれました。その姿を見て、私は一安心することができました。

 

マリルさんはそのままチラチーノさんを私のところまで連れてきてくれて、私はチラチーノさんを引き上げました。

 

「あらら、濡れちゃいましたね。後で体洗わないといけませんね。」

『チラッ♪』

 

私はチラチーノさんの体をタオルで吹きながらそう言うと、チラチーノさんは嬉しそうにそう返事をしました。綺麗好きのチラチーノさんは定期的に洗ってあげているのでいつも綺麗な毛並みを保つことができているのです。それに綺麗にしてあげないと不機嫌になってしまうので注意しないといけませんしね。

 

「おめてとうございます、リーリエさん。まさか私の育てたオニシズクモを倒してしまうとは」

「あっ、スイレンさん!」

 

スイレンさんが拍手をしながらこちらに寄ってきました。キャプテンであるスイレンさんも祝福してくれているようです。

 

「これで私、スイレンの試練は無事達成です。冷静な判断、戦術、コンビネーション、どれもお見事でした。それでは、試練達成の証、このみずZを差し上げます。どうぞお受け取り下さい。」

「ありがとうございます!みずZ、ゲットです!」

『リルル!』

『チラチ!』

 

オニシズクモさんはとても強敵でしたが、マリルさんとチラチーノさんのお陰で無事水の試練を達成することができました。

 

「アーカラ島の試練はここは初めてですか?」

「はい、スイレンさんの試練が最初の試練でした。」

「でしたら次はカキの試練が近いですね。彼の試練はヴェラ火山です。」

「ヴェラ火山、ですか。」

 

カキさんは炎タイプの使い手。炎タイプらしい熱く険しい場所での戦いになりそうですね。

 

「分かりました!次はカキさんの試練を目指します!」

「はい、頑張ってください。あっ、その釣り竿は是非持っていってください。」

「えっ?い、いいんですか?」

「はい、カイオーガがかかっても折れることが無い自慢の釣り竿ですよ。」

 

カイオーガがかかっても折れない……そ、それも冗談、ですよね?

 

最後まで笑顔で冗談(?)を言うスイレンさんに呆気にとられ、私は戸惑いながらも次の目的地となったヴェラ火山へと向かう事にしました。




カキとマーマネの試練は追々考えるとして、今日はガンダムマキブの発売日で早速プレイしましたが、久しぶりにアケコン触ってかなり腕が落ちてました。昔ゲーセンでやってた時よりも下手糞で辛い……。

にしてもダイマ構築強いっすね。カバルドン入れとくと初手で出てきやすくなるゴリランダー誘って狩れるのは気持ちいいです。ただなぜかピカチュウ入れた時のパーティの方が勝率高いのが気になるところですが。しかもピカチュウ絶対選出だと勝てる不思議……。(ピカチュウの避雷針、技範囲知られてない問題)

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