ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
正直あまり期待はしてませんでしたけど、ポケモン連れ歩きシステムが復活したのが最高すぎました!しかもポケモンスナップとかいうかつての超名作が新作として復活するもよう。ヒバニーを確認したので第八世代のポケモンまで実装確定。最高すぎかよ増田ァ!
取り敢えずストーリーは終わったから次は図鑑埋めと新技習得したゴリランダー辺りの厳選かな。
「シンジ様!お願いです!私とバトルをしてください!」
眠れない夜、泊っている寮から少し離れた場所でシンジさんとナタリアさんを見かけた私は、悪いと思いながら物陰から2人の会話を聞いていました。
すると、ナタリアさんがシンジさんに頭を下げてお願いごとをしていました。
(ナタリアさんとシンジさんがバトル……ですか?)
いけないこととは分かっていましたが、それでも二人の会話の内容がどうしても気になってしまったので、私は物陰からじっと2人の様子を見届けていました。
どうやらナタリアさんはシンジさんとのポケモンバトルが望みだそうです。シンジさんは優しい顔から一転、少し険しい顔をしてナタリアさんにあることを尋ねました。
「ナタリアちゃん……だっけ?理由を聞かせて貰ってもいいかな?」
「もちろん!シンジ様と戦って、もっともっと腕を磨きたいからですわ!そして、私の実力をシンジ様に認めていただきますわ!」
シンジさんはナタリアさんの話を聞いて少し悩む素振りを見せました。その後、再びナタリアさんの目と視線を合わせると、軽く溜息をついてから答えを出しました。
「バトルしないと納得しない、って顔してるね。仕方ない。本当はあまりバトルしないようにしてるんだけど、今回は特別にそのバトル、受けてあげるよ。」
ただし、他の人には内緒でね、と言う条件を付け、シンジさんはバトルを承諾しました。ナタリアさんもシンジさんの返答に感謝し、お互いに距離を離してバトルの準備をしました。
「ルールは1対1のシングルバトル。どちらかのポケモンが戦闘不能、またはバトル続行不能と判断したら終了。それでいいね?」
「もちろんですわ!」
そしてシンジさんはモンスターボールを取り出し、そのモンスターボールを投げてポケモンさんを繰り出しました。そのポケモンさんは……。
「行くよ!イーブイ!」
『イッブ!』
シンジさんの持っている手持ちの中で唯一進化していないポケモンさんであり、色違いでもあるイーブイさんでした。
「イーブイ?ニンフィアではないんですの?」
「うん。でもこの子も僕の自慢のポケモンだからね。油断してると、痛い目に合うよ?」
『イブイ!』
(ニンフィアでなくても、あのシンジ様のポケモンです。決して弱いはずはありませんわ。)
「でしたら私はこの子で行きますわ!ユキメノコ!出番ですわよ!」
『メノォ!』
シンジさんのイーブイさんに対し、ナタリアさんの繰り出したポケモンさんはユキメノコさんでした。
ユキメノコさんのタイプはゴーストタイプ。イーブイさんのノーマルタイプの技を無効化でき、ユキメノコさんのゴースト技もイーブイさんに効果はありません。
ですが、ユキメノコさんは同時にこおりタイプも所持しているため相性としてはユキメノコさんの方に分があるでしょうか。
そして早くもシンジさんとナタリアさんのバトルが始まりました。
「さあ、いつでもいいよ。」
「それでは遠慮なく攻めさせていただきますわ。ユキメノコ!まずはあられですわ!」
『メノォ!』
ユキメノコさんは早速得意のフィールドに変更しました。霰状態にすることで、ユキメノコさんの特性であるゆきがくれが発動し、それを利用する戦術に私たちも苦戦させられました。
(シンジさんはどのように対処するのでしょうか?)
私はシンジさんがこの戦術をどう打ち破るのか、それに興味が湧いてきました。恐らくシンジさんであればこの厄介な戦術も突破できるでしょう。
『イブ!?』
イーブイさんは霰の中に姿を消してしまったユキメノコさんに戸惑っています。シンジさんの手持ちの中ではあまり戦い慣れていないそうなので仕方ありません。
「落ち着いて、イーブイ。僕がついてるから。」
『イブ?……イブッ!』
シンジさんの一声で先ほど戸惑っていた姿が嘘のように、今度はイーブイさんの表情が一変し、凛々しい顔へと変化しました。
「目で見ようとしたらダメだよ。冷静に、僕の言うことに従って動けば大丈夫だから。」
イーブイさんはシンジさんの言葉に頷き、目を閉じました。相手の姿が見えないとは言え、この状況で目を閉じるのは自殺行為にも近いことでしょう。
ですがそれは逆に、イーブイさんがシンジさんの事を心から信頼している証拠であるとも言えます。
イーブイさんはその場から動くことなくユキメノコさんの動向を様子見しているようです。今のところ、シンジさんもイーブイさんに指示を出す気配はなさそうです。
その時、ナタリアさんの方が先に動き始めました。
「ユキメノコ!こおりのつぶて!」
ユキメノコさんは静かにこおりのつぶてを放ちました。ですがイーブイさんからは完全に姿が見えず、死角からの攻撃です。これに対しシンジさんたちのとった行動は……。
「ジャンプして躱して!」
『イブ!』
イーブイさんはユキメノコさんの攻撃をジャンプして回避しました。シンジさんのとった行動はシンプルに相手の攻撃を回避することだけでした。
ユキメノコさんの攻撃は地面に着弾し、その衝撃がイーブイさんの周囲を包み込みます。これで更に視界は悪くなってしまったでしょう。
しかしイーブイさんは再び先ほどと同様に動きを止めています。耳だけが僅かに動き、目は閉じてシンジさんの指示を待っております。
霰がイーブイさんの体に降りかかり、僅かですがイーブイさんの体力を蝕んでいきます。ですがイーブイさんはそのダメージに対して表情一つ変えず、微動だにしていません。
「ユキメノコ!れいとうビーム!」
ユキメノコさんは続いてれいとうビームを攻撃する。姿が見えないため、再び死角からの攻撃がイーブイさんに襲い掛かります。
「もう一度躱して!」
『イッブ!』
イーブイさんは再び攻撃を躱しました。れいとうビームが地面に着弾し、更に土煙が舞い視界を悪くしていきます。
(これでは結局防戦一方です。霰でダメージも蓄積されてしまいますし、シンジさんの狙いは一体?)
シンジさんには何か狙いがあるはずです。攻撃するタイミングを見計らっているのは分かりますが、この状況からどう攻め入るのでしょうか。
今もユキメノコさんは品定めでもするかのようにイーブイさんの周囲を回って様子をうかがっている事でしょう。ゆきがくれでその様子は外からでも見えませんが。
ですがそんな時、シンジさんとイーブイさんが遂に動き出しました。
「そこだよ!イーブイ!シャドーボール!」
『イッブイ!』
『メノオ!?』
イーブイさんのシャドーボールが土煙ごと貫き、ユキメノコさんにクリーンヒットしました。ゴーストタイプであるユキメノコさんに対して、同じゴーストタイプのシャドーボールは効果抜群です。ユキメノコさんの様子からも、相当なダメージが見受けられます。
「ゆ、ユキメノコ!?」
(どうして的確に攻撃を当てられたの!?しかも今のダメージでユキメノコの体力も大きく削られてしまわれましたわ。これではZ技は……)
まさかの展開にナタリアさんは明らかに動揺している様子です。その瞬間、先ほどまで自分のフィールドでもあった霰が静かに消え去ってしまいました。
「っ!?しまった!?」
「今だよ!アイアンテール!」
『イブッイ!』
『メノォ!?』
絶妙なタイミングで切れてしまった霰に戸惑っているナタリアさんに大きな隙が生じ、イーブイさんのアイアンテールがユキメノコさんに直撃しました。
アイアンテールははがねタイプの技。こおりタイプのユキメノコさんに効果抜群です。先ほどのシャドーボールのダメージもあり、今のダメージで戦闘不能となりました。
「ユキメノコ!」
「ユキメノコ、戦闘不能。勝負ありだね。」
勝負はシンジさんの勝利で終わりました。ナタリアさんは珍しくガックリと膝をつき、ユキメノコさんをモンスターボールへと戻しました。
「よく頑張ったね、イーブイ」
『イブー♪』
シンジさんはイーブイさんの頭を優しく撫でてあげます。イーブイさんも気持ちよさそうな声を出しています。
「どうして、ですか?どうしてユキメノコの場所が分かったんですか?」
「見えるようにした、それだけだよ。」
「見えるように、した?」
シンジさんはナタリアさんの質問にそう簡単に答えました。一体どういうことなのかと、ナタリアさんも首を傾げました。
「ユキメノコの攻撃で土煙があがる。確かに視界は奪われてしまうけど、ユキメノコの影が少し浮かんで見えるようになるんだ。」
「影?」
私もナタリアさんもその言葉で納得しました。
霰状態では確かに姿が見えませんが、土煙とユキメノコさんの姿が重なり、影としてイーブイさんから姿が僅かに見えた、という事でしょう。投影みたいなもの、と言うべきでしょうか。
「音を聞いてどこから攻撃が飛んでくるかを判断し観察、そしてチャンスがやってきたら反撃、難しいようだけどシンプルな作戦だよ。」
「……はぁ、流石チャンピオンですわ。どんな時でも冷静に、美しく勝利を決める。完敗ですわね。」
ナタリアさんは敗北を認め、そのまま立ち上がりました。
「やっぱりシンジ様は凄いですわね。ですが、あなたのこと、決して諦めませんから!」
「え?う、うん。」
ナタリアさんはシンジさんにお礼を言って頭を下げ、その場から走り去っていきました。一方のシンジさんは頭に疑問符を浮かべて首を傾げていますが。
「ふぅ……」
その後、シンジさんは息を吐き、私のいる方へと視線を向けてきました。
(ん?あれ?シンジさん、こっち見てます?)
「そこに誰かいるんでしょ?出てきても大丈夫だよ。」
(うっ、バレてたみたいです。これは潔く出るしかなさそうです。)
まさかシンジさんにバレているとは思いませんでしたが、バレてる以上ここは出るしかありません。
「やっぱりリーリエだったんだね。」
「あ、あはは。すいません、シンジさん。盗み見るような真似をしてしまって。」
「いや、いいよ。気にしてないから。」
そんな私を咎めることなく、シンジさんは優しくそう言ってくれました。
「リーリエ。彼女についてどう思う。」
「え?どうって、どういうことですか?」
「リーリエから見て、ナタリアちゃんはどんなトレーナーに見えた?」
シンジさんからそんな問いが返ってきました。シンジさんがそういう質問をする、という事は何か意味があるのでしょうけど。
「どんなトレーナー、ですか。ユキメノコさんの特徴を活かして相手を追い詰める、強かな方だと思いましたけど。」
「……そうだね、リーリエの言う通りだ。」
シンジさんはそう言っていますが、イマイチその返答には満足していない様にも見えます。一体シンジさんはどんな答えを望んでいたのでしょうか。
「あ、ごめん。そんなに深く考えなくていいよ。ただ、一トレーナーとしての見解を聞いておきたかっただけだから。」
「そ、そうなんですか?」
どうやら深読みしすぎたようです。ちょっと緊張しすぎているのでしょうか?チャンピオンとしてのシンジさんに会うのは初めてだったので、自然と強張ってしまっていたようです。
「力とかの強さよりも、ポケモンを信じる心が一番大事。それを彼女に伝えたかったんだけど、それを言う前に行っちゃったからね……。」
「あ、あははは……。」
出会って間もない私でもなんとなく分かりますが、多分ナタリアさんはかなりせっかちな方のように思えます。言い方は悪いかもしれませんが、人の話を聞いて無い節がありますし……。
「さあ、リーリエ。今日はもう遅いから早く戻って寝た方がいいよ。明日からまたZ技の講習とかもあるんだから。」
「あっ、そうですね。では失礼します。」
私はシンジさんにそう言われ、すぐ寮に戻り眠りにつくことにしました。もう少しだけ、有意義なキャンプの授業は続きそうです。
強か、か。確かに彼女は強いけど、まだトレーナーとして足りないものも多く感じた。それを自分で見つけない限り、僕や四天王のみんなのところまで辿り着くことはできないかな。
「ようやく見つけた。君がアローラのチャンピオンか?」
「おにーさん!こんばんはー♪」
「……ふぅ、今夜はお客さんが多いね。」
「君をチャンピオンと見込んで、頼みがある。手を貸してほしい。」
「頼み事?」
やっぱり僕、厄介事に巻き込まれやすい体質なのかな?でも、人が困ってたら見過ごすなんてことはできないし、仕方ないよね。
『イブ?』
ゲーム大全してて思ったのは、意外とマンカラが面白くて得意だけど、遊戯王以外のカードゲーム(花札、トランプなど)の運が壊滅的に悪いということです。遊戯王だとあんなに運命力あるのに何でやろか……。