ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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最近色々とやりたいことが多すぎて困ってます。ポケモン剣盾や小説執筆は当然として、スマブラ、遊戯王、ゼノブレ、ゲーム大全、久しぶりの風花雪月、なんとなくで今更始めたスプラ2etc

因みにポケモン剣盾前シーズンの最終レートは約8,000位くらい(詳しくは見てなかった)、最高レートは2,712位でした。

ゲッコウガの再来withエースバーン


最後の課題!ついに始動Z技!

先日のチーム課題から数日が経過しました。

 

その間も色々な課題がありました。トレーナーズスクールのようにポケモンさんの基礎知識を学んだり、バトルなどを抜きにして様々なポケモンさんたちと触れ合ったりと、まるで初心の頃に帰ったかのような経験をすることができてある意味で新鮮な体験でした。

 

そしてポケモンZキャンプ最終日が近づいた今日、以前ククイ博士がおっしゃっていたその日がやってきました。

 

「みんなアローラ!今日もなかよくする、をバッチリしてるかい?」

 

ククイ博士の挨拶に、皆さんが元気よく挨拶をしました。

 

朝食を食べ終わったみんなは、現在ククイ博士の指示により、とある一室に呼び集められ集合しています。当然私の他にも、ヨウさんやハウさん、ナタリアさんたちも椅子に座りククイ博士の言葉を聞いております。

 

「さて、ポケモンZキャンプも残すところ後僅か。この間に全員が成長していることを、ボク自身も実感できているよ。」

 

ククイ博士はそう言って、今日行う課題の内容を続けて告げました。

 

「今日行う課題は、みんなお待ちかね!アローラのトレーナーにとって欠かせないもの、Z技だ!」

 

ククイ博士の言葉にみんなが一斉に歓声をあげました。

 

Z技。ポケモンさんと心を一つにし、アローラに伝わる試練を突破したトレーナーのみが扱うことのできる強力な技です。

 

「この中にも既にZ技を使用したことがあるもの、あるいは見たことがあるものもいるだろう。だが、この課題でZ技の強力さ、Z技の奥深さをより知ってほしい、そうボクは思っている。」

 

ククイ博士はその後、「そして」と更に言葉をつづけました。

 

「今まで頑張ってきた君たちに、今日は一つ、ボクからの大きなサプライズを用意したよ!」

 

以前ククイ博士が少しだけ口にしたこと、用意しているサプライズの事でしょう。私たちにも知らされていないそのサプライズは、私たちにとっても文字通りの大きなサプライズとなりました。

 

「さあ、入ってきてくれ!」

 

ククイ博士のその言葉と同時に、一人の人影が私たちの目の前にやってきました。サプライズとは誰かゲストを呼んだことなんだと察した私たちですが、その正体を知った瞬間に驚きのあまり、全員が口を開き唖然とし、一斉に驚愕の声をあげました。

 

「今日の特別ゲストだ!」

 

だってその人物は、アローラのトレーナー全員の目標であり、憧れでもあり……

 

「アローラ初代チャンピオン、シンジだ!」

 

私にとって、とても大切な人なのですから。

 

「初めましての人は初めましてかな?アローラチャンピオンのシンジです。」

 

シンジさんの登場により皆さんがボソボソと慌ただしい様子で話し始めます。

 

「本物のチャンピオン!?」とか、「えっ、嘘っ!?」とか、「後でサイン貰おう!」といった会話が耳に入ってきます。当たり前のように感じていましたが、シンジさんがいつも傍にいて助けていただいてた私はとても恵まれていたのですね。信じられないことが当たり前のように経験していると、なんだか感覚がズレてしまいます。

 

「今日から最後の課題、チャンピオンに色々とアドバイスを貰う予定だ。滅多にない経験だ。みんな、この機会を有効に活用して課題に臨んでほしい!」

 

ククイ博士の最後の挨拶に全員が先ほど以上に大きく元気な返事をしました。チャンピオンに会えたことが余程嬉しいのでしょう。私としても、島巡りをしている段階でシンジさんに会えるとは思ってはいなかったので嬉しい気分もありますが、今は挑戦者としての再会なので、なんだか新鮮な不思議な気分です。

 

「じゃあ早速だけど、みんな外に出てもらってもいいかな?」

 

シンジさんの言葉に全員返事をして頷き、部屋から退室し外の砂浜へと向かうことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンジさんの指示に従い、外の砂浜に集合した私たち。そこに用意されていたものは、練習用の頑丈な的でした。剣道の練習で使うような的、と言えば伝わるでしょうか。

 

「百聞は一見に如かず、僕が今からZ技を実際に使ってみせるよ。」

 

そう言ってシンジさんは自分のポケモンさんを出しました。そのポケモンさんは当然……

 

『フィーア!』

 

シンジさんのパートナーでもあるニンフィアさんです。ニンフィアさんの登場によりトレーナーたちはより一層盛り上がりを見せました。なんだか皆さんの目的が変わりつつある気がしますが……。

 

「よし、ニンフィア、準備はいい?」

『フィア!』

 

シンジさんとニンフィアさんは互いに目を合わせ、それを合図にZ技の態勢に入りました。

 

Z技共通の手を目の前でクロスするポーズを取ります。シンジさんの腕にあるZリングにはめ込まれているZクリスタルが輝き、その後に取ったのはノーマルタイプのZ技のポーズでした。

 

シンジさんがそのポーズを取った後、全力のZオーラがニンフィアさんを包み込みます。そしてニンフィアさんは的に向かって勢いよく走り始め、全力の力を解き放ちました。

 

 

 

 

 

 

 

――ウルトラダッシュアタック!

 

 

 

 

 

 

ニンフィアさんの全力は練習用の的に直撃、その衝撃はとてつもなく大きく、離れて見学していた私たちにまでその衝撃が及ぶ程でした。私たちはその衝撃に耐えるので精一杯でした。

 

その衝撃から、ニンフィアさんの全力のZ技がどれほど強力な物かが伝わります。練習用の的が原型を留めていないことがその証拠です。本物のポケモンさんが受ければ一撃で戦闘不能になりそうです。

 

「本物のZ技はこんな感じだよ。どうだったかな?」

 

シンジさんの言葉に全員が口をそろえて凄かった、等の言葉にならない感想を口にしていきます。単純ではありますが、実際にその言葉が最も適切だと私も思ったほどです。

 

「Z技は、自分のパートナーとの絆が最も重要なんだ。自分のポケモンの事を理解し、気持ちを一つにしないと強力なZ技は発動できない。そのことを頭の中に置いておいてほしい。」

 

シンジさんの言葉に全員「はい!」と答えました。チャンピオンの言葉ですから誰の言葉よりも重みを感じられるのでしょう。

 

「みんなにはここに用意した練習用のZクリスタルで練習してもらうよ。本来のZクリスタルに比べれば力も抑え気味だけど、それでもZ技の練習には充分な力を使うことができるから思う存分練習してね。」

 

そう言ってシンジさんの元にある段ボールに詰められていたのは大量のZクリスタルでした。それらは全てZクリスタルのデータを基に練習用として量産されたもの、所謂レプリカと呼ばれるものだそうです。

 

皆さん、シンジさんの合図とともにZクリスタルを受け取りに行きました。私も同じように受け取り、自分のZリングへとはめ込みました。

 

「みんな受け取ったかな?みんな、まずは思うようにZ技を使ってみて。分からなかったり教えてほしいことがあれば、僕から教えるから遠慮なく言ってね。」

 

そして各自、人数分用意されていた練習用の的を相手に、Z技の練習を始めるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンジさんの実践を見てから、発動自体は容易なのではないかと思う人も多かったようですが、実際にはそう上手くはいかないものです。多くの人がZ技を発動することができず、Z技のオーラを纏うものの技を出すことができなかったり、技の途中で力が途切れてしまったりと、様々なトラブルに見舞われました。

 

そんなトレーナーたちのところへとシンジさんは近づき、それぞれに最適なアドバイスを送っていました。そのアドバイスを聞いたトレーナーたちは、言われた通りにするとZ技の発動に成功していました。

 

威力は先ほどのシンジさんと比べるとかなり控えめですが、それでもZ技を発動させることができた感動にトレーナーたちは喜びを露わにして、練習を継続していました。

 

「では私たちもやりましょうか!シロン!」

『コォン!』

 

そう言って私たちはシンジさんから預かった練習用のZクリスタルを使い構えました。

 

シンジさんから貰った本物のクリスタルもありますが、流石に練習もなしに本気のZ技を使用するのは無謀でしょう。

 

シロンはノーマルタイプの技を覚えていないので、私が使用するのは氷タイプのZ技です。

 

私は教えていただいた氷タイプのZ技のポーズを取ります。すると、Z技のオーラがシロンを包み込みました。

 

(よし、いい調子です!これなら……)

 

私はそのままZ技のポーズを成功させ、シロンと共に全力のZ技を放ちました。シロンの足元から氷の柱が現れ、シロンを高く持ち上げました。

 

シロンはZ技のオーラを身に纏い力を集約します。しかし、その力を一気に解き放とうとした時でした。

 

『コォン!?』

「あっ!?シロン!」

 

シロンは慣れないZ技の為か、態勢を崩してしまいZ技は不発に終わってしまいました。シロンの足元から出てきた氷の柱も消え去り、シロンは地上まで戻されてしまいました。

 

「シロン!大丈夫ですか!?」

『コォン』

 

心配で近寄る私に、シロンは笑顔を見せて無事だと答えました。どうやらシロン自身には特に影響が及んだわけではなさそうです。

 

「リーリエも苦戦してるみたいだね。」

「あっ、し、シンジさん!」

 

私が苦戦しているのを見かねたシンジさんが声を掛けてくれました。私は突然のことで驚き、少々声が上ずってしまいました。

 

「良ければもう一回リーリエのZ技見せてくれるかな?」

「は、はい、分かりました!」

 

私はシロンと目を合わせ、もう一度Z技に挑戦してみるという合図を出してチャレンジしてみました。

 

ですが結果は先ほどと同じで、シロンのZ技は不発に終わってしまいました。

 

「はぁ、はぁ、やっぱりダメでした。何がいけないんでしょうか?」

『コォン……』

 

Z技の反動による体力と気力の消耗だけが私たちを襲います。そんな私たちに、シンジさんが口を開きアドバイスを与えてくれました。

 

「リーリエ、君はZ技を使おうとするときに何を考えてる?」

「え?」

 

シンジさんの質問に一瞬私は戸惑っていました。私はシンジさんの質問の内容を考え、答えを出して返答しました。

 

「今よりももっと強くなりたい、とかですかね……。すいません、自分でも必死で少し曖昧です。」

「そうだね。多分、リーリエは強くなりたいという気持ちが強すぎて却って焦ってるんじゃないかな。」

「そう……かもしれません。」

 

シンジさんの指摘に私はなんとなくですが納得しました。Z技を発動しようとしている時、私は心の奥からの気持ちが昂ってしまった感じがします。

 

上手く言葉にできませんが、シンジさんに早く追いつきたい、もっともっと強くなりたいという気持ちが心にあることは自分でも理解できます。それがZ技に悪影響を及ぼしているのかもしれません。

 

「Z技を発動するときは、まず自分自身が落ち着かないといけないよ。」

「は、はい。ですが……」

「言われても難しいよね。そんな時は、自分のポケモンのことだけを考えるといいよ。」

「ポケモンさんのことを?」

 

私はシンジさんの言葉に疑問符を浮かべて首を傾げました。シンジさんはそんな私にその理由を教えてくれました。

 

「うん。Z技は確かに強力な技。でもその力の源は、なによりもトレーナーとポケモンの絆なんだ。トレーナーはポケモンの事を考え、ポケモンはトレーナーの事を思う。それこそが何より大切なことだよ。」

「トレーナーはポケモンさんの事を、ポケモンさんはトレーナーの事を……」

『コォン』

 

シンジさんはそう語ると、屈んで足元にいるニンフィアさんの頭を撫でました。

 

「僕もバトルの時、ピンチに追い込まれたりすると気持ちが焦っちゃうときがあるんだ。絶対勝ちたい、負けられないって。でも、戦ってくれてるポケモン達の事を考えると、自然と落ち着くことができるんだよね。」

『フィーアァ♪』

 

シンジさんは優しい笑顔でニンフィアさんの頭を撫で続けます。ニンフィアさんも気持ちよさそうな声を出して微笑んでいました。

 

「これは僕の自論、って思うかもしれないけど、ポケモンの事が本当に大切なトレーナーなら、難しいことじゃないはずだよ。」

「……はい!それなら私、出来る気がします!」

 

シンジさんのアドバイスを受け取り、私は気を取り直してZ技に挑戦することにしました。

 

「行きますよ、シロン!」

『コォン!』

 

私は先ほどと同様に、Z技のポーズをとりました。すると再びシロンの足元から氷の柱が現れ、シロンを多角へと持ち上げました。

 

(トレーナーはポケモンさんの事を考え、ポケモンさんはトレーナーの事を思う。私は、シロンの事を信じています!)

 

私はシロンのことだけを考え、Z技に集中します。Z技のオーラが、シロンに集約されて行きました。

 

シロンは力を溜め込み、その力を一気に解放しようと力を込めました。そして……

 

「これが、私たちの全力です!」

『コォン!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――レイジングジオフリーズ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凍てつく氷のブレスがシロンから放たれ、練習用の的に直撃しました。その氷のブレス、氷タイプのZ技であるレイジングジオフリーズが練習用の的を氷漬けにしました。

 

威力はまだまだですが、それは紛れもなくZ技なのだと実感することができました。

 

「できました……Z技、使う事ができました!」

『コォン!』

 

シロンの足元に生えていた氷の柱も姿を消し、シロンは地上へと戻ってきます。その様子は力を使い消耗しているようでしたが、Z技の成功の喜びでお互いに吹き飛んでしまっていました。

 

「おめでとう、無事にZ技を発動することができたね。」

「はい!ありがとうございます!シンジさん!」

 

私はシンジさんに頭を下げてお礼を言いました。シンジさんの的確なアドバイスのお陰で、また一歩前進することができました。

 

「でも、これはあくまで一つの通過点に過ぎないよ。それを忘れずにね。」

「はい!」

「それじゃあ僕は他の子の練習も見てくるから、またね、リーリエ。」

 

シンジさんはそう言って私の元を離れていきました。正直言えば少し寂しいですが、シンジさんのチャンピオンとしての務めでもあるため仕方ありません。

 

親しいからと言って贔屓することはなく、誰にも平等に、優しく接する。やっぱりシンジさんはどんな時でもシンジさんなんですね。

 

私はシンジさんが去ってからも、シロンと共にZ技の練習に励みました。私とシロンの体力も消耗してしまうため、無理をせずに少しずつの範囲で、ですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早くも今日一日が終わり、皆さんが就寝についたころ、私は何故だか眠れずに少し夜風に当たるために外に出ていました。

 

するとふと、私の耳にある人物の声が入ってきました。その人物の声はなんとなく聞き覚えがありました。

 

私はゆっくりとその声が聞こえた場所まで近づき、物陰から少しだけ顔を出して覗いてみました。するとそこにいたのは、ナタリアさんとシンジさんでした。

 

(ナタリアさんとシンジさん?一体こんな夜更けに何を……)

 

私は何だか2人の会話が気になり、つい聞き耳を立ててしまいました。

 

そして、ナタリアさんのシンジさんに対するお願いが私の耳まで聞こえてきたのでした。

 

「シンジ様!お願いです!私とバトルをしてください!」




久しぶりに?チャンピオンに登場していただきました。今後もこんな形でちょっとずつ出番を与えていくと思います。

実際チャンピオンの仕事が明確に描写されたことが無いので分からないのでこんな感じでやってるんじゃないかなって感じです。

シンオウのチャンピオンは考古学者だし、カロスのチャンピオンは女優だし、ホウエンのチャンピオンは石マニアだし……。

若干中途半端な感じですが、次回は少しバトルを挟みます。

感想や意見、リクエストなどはいつでも受け付けておりますので気軽にどうぞです!

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