ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
多少キャンプの話で無理やり島巡りを延ばそうとしましたが、寧ろ長くしすぎた感もあるので少しここから早足で進むかもしれません。ご了承ください
ヨウさんがピカチュウさんをゲットして暫くが過ぎました。今行っているキャンプの課題、三人一組で過ごすという項目も最終日が近付いております。
『ピッカチュウ!』
『ニャット!』
「ピカチュウとニャヒートも随分打ち解けたみたいだな。」
ピカチュウさんは今他のポケモンさんたちと仲良く遊んでいます。
本来臆病な性格であったピカチュウさんは、当然初めの頃は怯えてしまっていてヨウさんの傍から離れることがありませんでした。
ですが他のポケモンさんたちが仲良く遊んでいるのを見ていて気になりはじめたピカチュウさんは、徐々にニャヒートさんをはじめ、気付けば私たちのポケモンさんとも仲良くなることができていました。ピカチュウさんも、今では明るくポケモンさんたちと遊んでいる姿を見ると、臆病だった彼の姿は中々想像できません。
「よかったねー、ピカチュウがみんなと仲良くなれてー!」
「そうですね。私やハウさんのポケモンさんとも仲良くしてくれているみたいですし。」
「ああ。これでピカチュウも色んなポケモンと仲良くなってくれればいいんだけどな。」
「ところでさー、今日は何するー?」
ピカチュウさんの話をしている最中、ハウさんが最もな疑問を投げかけてきました。
「そうだな……特にこれと言って考え付くことはないんだよな……。」
ハウさんの疑問にヨウさんはそう言って頭を抱えます。
今回の課題でチーム戦をするのは明日です。実質、三人で過ごすのは今日がラストとなるでしょう。
「リーリエは何かやりたいことはないか?」
「私ですか?そうですね……。」
と言っても私もすぐに思いつくことはないんですよね。
他のチームの方々はチーム内でバトルをしたり、近辺で新しいポケモンさんを仲間にしてみたりと色々と手広く行動しているようです。
私たちも他のチームの方々のように過ごすのも悪くはないと思いましたが、それよりも私たちは私たちらしくポケモンさんたちと仲良く過ごす方が性に合っている、という事でどちらかと言えばのんびり過ごすことにしています。
それに今回の課題はみんなで強くなる、ではなくてみんなとの交流を深めることが目的、とククイ博士もおっしゃっていました。ククイ博士自身も気負うことなく、気軽にキャンプに参加してくれればそれでいいと言っていました。
ですが折角三人でいるのにこのままボッとしている、と言うのも勿体ない気がします。キャンプが終わってしまえば次にいつ会えるか分かりませんし、折角ですので軽くどこかへ……。
「あっ、そうです!」
「ん?リーリエ、なにか思いついたのー?」
「ちょっと行ってみたいところがありまして、折角ですので三人で行ってみませんか?」
「そうだなー。特に予定があるわけでもないし、このまま最終日を迎えるのも少し名残惜しい気もするしな。折角だしリーリエの思いついた場所に行ってみるか!」
そう言って私たちはとある場所に向かい出かけることにしてみました。
「リーリエ、ここって」
「はい!空間研究所です!」
そう言って私たちが辿り着いた場所はバーネット博士の職場でもある空間研究所です。
「へぇ~、バーネット博士にいつでも立ち寄っていいよ、って言われたんだー」
「はい、キャンプ中も集まりがない時は基本空間研究所にいると言っていましたし。それに私、ここの研究に色々と興味ありまして。」
「確かにUBは興味深いよな。まぁ俺本読むのは少し苦手だけど……。」
「おれもじっとしてるのはあまり得意じゃないかなー。でもUBがどうなったのかも気になるよねー。」
空間研究所で行われている研究内容は、主に地球外生命体ともいえるUBの詳細、及びウルトラホールと呼ばれる不思議な空間の研究です。
ただ空間研究所での研究はあまり公にされてはいないそうです。UB自体が未だ不明慮な点が多く、そのような謎の生命体の事を公にしてしまえばパニックになってしまう恐れもあります。また、トレーナーによっては興味を持たれてしまい、UBを捕獲しようと奮起してしまうトレーナーも増えてしまう事でしょう。強大なUBの存在に魅了されてしまう人も現れる事でしょう。
そうなってしまうと危険な存在でもあるUBの怒りを買い、人間に危害を及ぼしてしまう可能性も出てしまいます。お母様がウツロイドさんの神経毒にやられてしまったのがいい例です。
だからこそ、バーネット博士はここで密かに研究を続け、エーテル財団と協力することで事前にUBへの対処法を模索しているのだそうです。二度とお母様のような犠牲者を出さないために。
私たちは受付の方にバーネット博士の名前を出し、研究所の内部へと入れてもらいました。私たちはエレベーターへと乗り込み、バーネット博士の仕事場である研究階層へとやってきました。
エレベーターの扉が開き、部屋の奥へと足を進めます。するとそこにはバーネット博士と、2人の見覚えのある人物がいました。
「なるほど、そんなことがあったのですね。」
「やっぱりすごいねー!この世界の技術って!」
長身の男性と小柄な女性、それに他で見ることの無い変わった衣装。間違いなくその二人は……。
「ダルスさんにアマモさん?」
「むっ?ああ、君か。また会うとは、奇遇だな。」
「おねーちゃんまた会ったねー!元気―?」
その2人は紛れもなくウルトラ調査隊のダルスさんとアマモさんでした。お二人が以前会う約束をしている人、と言うのはどうやらバーネット博士の様です。
「やぁ、リーリエいらっしゃい!ウルトラ調査隊の人たちと知り合いだったのね。」
「はい、バーネット博士。以前メレメレ島を巡っていた時に偶然知り合って、UBの事などを少し話したんです。」
「そうなのね。この人たちは決して悪い人たちではないし、エーテル財団の紹介で私の元に訪れたそうなの。私もエーテル財団から連絡を受けて、今UBがこのアローラにやってきた時のことを話していたところだったの。」
私はバーネット博士の話を聞きなるほど、と頷きました。その後、ウルトラ調査隊の方々と面識のないヨウさんとハウさんが彼らの事を尋ねてきました。
「すまない、君たちとは初対面だったな。私はダルス。ウルトラ調査隊と言う組織で活動している。」
「私はアマモだよー!ダルスと同じでウルトラ調査隊なんだ。おにーさんたちは?」
「俺はヨウ。リーリエと同じで島巡りをしているトレーナーです。」
「おれはハウ!おれも島巡りに挑戦してるんだー!よろしくねー!」
ハウさんの挨拶にアマモさんも再びよろしくね、と挨拶を返します。なんだかどことなくハウさんとアマモさんは同じ雰囲気を出している気がします。逆にダルスさんとヨウさんも雰囲気が似ている気がしますが。
「ねぇ、ダルス君。もしよかったらあなたの目的、彼女たちにも話したらどう?彼女たちは島巡りをしているトレーナーだし、腕前も私が保証するわよ?」
「……そうだな。我々の世界の事情に他者をあまり巻き込みたくはないが、そうも言っていられないか。」
「ダルスさんたちの目的、ですか?」
ダルスさんの表情から察するに、余程深刻な内容なのでしょう。ダルスさんは今まで話さなかった事情を、私たちに話してくださいました。
「まず、君たちはこの世界が別の世界が存在しているとしたら信じるだろうか?」
「別の世界?」
「それってどういうことー?」
ダルスさんは疑問符で問いかけるハウさんの問いに答えてくれました。
「我々はこの世界とは別の世界からやってきた。ウルトラホールの向こう側に存在する世界、そう、君たちがUBと呼ぶ生命体が存在している世界から。」
「っ!?UBの世界からですか!?」
私は衝撃の事実に驚きのあまり声をあげてしまいました。それはヨウさんとハウさんも同じようで、目を見開き驚きを隠せない様子でした。
「そうなんだー。おねーちゃんたちの過ごすこの世界とは全く違う、別の可能性を辿った世界なんだ。」
「リーリエたちに分かりやすく伝えるなら、平行世界、パラレルワールドと言った方が分かりやすいかしら。」
「パラレル……ワールド……」
「それって漫画とかでよく出てくる?」
バーネット博士は分かりやすく補足をし、ヨウさんの質問に頷くことで肯定しました。
漫画とかでもよく出てくる単語、平行世界。それはあらゆる可能性の世界。例えば誰かと出会った世界、出会わなかった世界。例えばある出来事が起きた世界、起きなかった世界。例えば何かが失われてしまった世界、失わなかった世界。そう言ったあらゆる可能性が文字通り平行し、無数の可能性が連鎖されてできる世界のこと。
平行世界の可能性は無限大。私たちの過ごす世界で何かが起こるたびに、いえ、何かが起こらなくともそれらの可能性が広がり続け、平行世界が生まれ続けて行きます。この世界の私たちは今空間研究所にいますが、別の世界の私たちはもしかしたらこの場所にはいないかもしれません。もしかしたら私はヨウさん、ハウさんとは別の人といるかもしれません。そんな可能性の世界を、私たちは知る由もないので考えてもキリがありませんが。
「私たちの世界はウルトラメガロポリス、と呼ばれている。とは言え、こちらの世界には殆ど名が残されていないそうだが……。」
ダルスさんたちの世界はウルトラメガロポリスと言う名前の世界だそうです。ダルスさんが最後の方で呟いた言葉は少々聞き取ることができませんでしたが。
「こっちの世界に来て驚いたんだー!だって私たちの世界と違って明るいんだもん!」
「そっちの世界だと暗いのー?」
「ああ。太陽なんてものも初めて見た。俺たちの世界は、一言で言えば暗黒で覆われている。」
ダルスさんのその言葉は私たちにとって衝撃的なものでした。私たちの暮らすこの世界とは全く別に、そのような世界が存在しているとは想像もしていませんでした。
「心配することはない。常に暗黒だからと言って我々の世界が滅びる、と言ったことはない。」
「でも太陽の光もないからこの世界みたいに植物とかは成長しなくなっちゃったんだよねぇ。」
アマモさんの話によると、植物だけでなくポケモンさんたちの生活する環境も厳しくポケモンさんの数も大幅に激減してしまったようです。みんなウルトラホールを通り、別の世界で自分に合った生活環境を探し求めているのだそうです。
「そんな世界からダルスさんたちはどうやってこの世界に?」
「ああ、我々はとあるポケモンの力を借りてウルトラホールを通ってきたんだ。この世界に、我々の世界を照らす希望の光があると聞いてな。」
あるポケモン、私はその言葉を聞いてふと一匹のポケモンさんの姿が思い浮かびました。私にとってとても身近であり、その上とても大切なポケモンさんです。
「そのポケモンは我々の世界では“月を誘いし獣”と呼ばれているが、この世界ではこう呼んだ方がいいか。」
――――ルナアーラと
その言葉と同時にヨウさんとハウさんは再び驚きの表情を浮かべました。ですが私はなんとなくそんな気がしておりました。ウルトラホールを自在に行き来できるポケモンさんは、UBを除けばソルガレオさん、ルナアーラさん、すなわちほしぐもちゃんしかいません。
「我々の世界ではソルガレオ、ルナアーラは崇められる存在だ。彼らの力を借りることで、このアローラの地まで来ることができた。」
ダルスさんは自分たちの世界に起きた悲劇的な出来事を話してくださいました。
ダルスさんたちの世界では、かがやきさまと呼ばれる存在が世界を照らしてくれていたそうです。
ですがある時、悲劇は起こりました。世界を照らす光の神のようなかがやきさまは、突然荒神として暴走を始めてしまったそうなのです。
記録によれば、先人たちの過ちによりかがやきさまの身体の一部が欠如してしまい、膨大な光エネルギーの制御はできない状態へと陥ったことが原因とされているようです。それにより、かがやきさま自身に不純物が蓄積してしまった結果、ダルスさんたちの世界は闇の世界となり常に暗黒が支配する世界へと豹変してしまったそうです。
「我々ウルトラ調査隊は、かがやきさまを鎮める方法を長年模索し続けた。その結果、この世界、光の世界のポケモンとトレーナー、彼らの力を合わせることで世界は再び光をもたらす。そう記録されていたのだ。」
「ポケモンさんと、トレーナーが?」
「どういうことだろー?」
私たちはその言葉に意味がイマイチ分からず頭を悩ませます。トレーナー本人である私たちが分からないのであればこれ以上悩んでいても仕方ない、そうダルスさんは結論づけてある質問を投げかけてきました。
「一つ、君たちに尋ねておきたいことがある。」
「なんですか?」
「私たちね、ちょっとある人探しもしてるんだ♪」
「とはいえ自分たちも面識は全くない。だから君たちに尋ねておこうと思ってな。」
「その探している人って誰?」
「おれたちが知ってる人だったら教えられるよー!」
ヨウさんとハウさんの返答にダルスさんたちは一呼吸おいて、その人物のこと口にしました。その人物とは……。
「このアローラで最強のトレーナーは誰だ?」
「……え?」
アローラで最強のポケモントレーナー。そんな人、たった一人しか思いつきません。
「えっとねー、記録ではトレーナーとポケモンが力を合わせてって言ったでしょ?だったら最強のポケモントレーナーだったら、何かの手掛かりになるかなぁ~って思ったんだ。」
「我々ではこの世界はおろか、ポケモンの知識すらマトモにないからな。」
「最強のトレーナーって言ったら一人しかいないだろうな。」
「そうだよねー。当然その人はアローラのチャンピオンでしょー!」
「ほう?チャンピオンか。」
「はい、その人の名前は、アローラ地方の初代チャンピオン、シンジさんです。」
私はその最強のトレーナーに当てはまる人物の名を口にしました。少なくとも私の中では最強と呼べるトレーナーであることは間違いありません。
「へぇ~、そんなすごいトレーナーさんがいるんだぁ♪」
「チャンピオン、か。彼はどこにいるか分かるか?」
「すいません、シンジさんはチャンピオンとしてのお仕事で忙しく、普段連絡が取れないので。」
「ふむ、確かにチャンピオンとなれば当然と言えば当然か。」
「仕方ないね。自分たちの足で探すしかないみたいだね。」
「まぁ時間がないわけではない。この世界の情報も集めつつ探すとするか。」
そう言ってダルスさんとアマモさんは気を取り直して、手掛かりとなりえる存在でもあるシンジさんを探すことを次の目的と決めました。
私はその時、ふと気になったことがあったのでそのことをダルスさんたちに尋ねることにしてみました。
「そういえば、ベベノムさんはどうしたのですか?」
「あぁ、ベベノムは」
「この中だよ♪」
「あっ、これって。」
「うむ、君たちのよく知っている、モンスターボールと呼ばれるものだ。」
そう言ってアマモさんが出してきたのは、一つのモンスターボールでした。どうやら、ベベノムさんは今このモンスターボールの中で休んでいるようです。
「エーテル財団から支給されたんだ。全面的にバックアップさせていただく、とのことだそうだ。」
「私たちこの世界では異端児だからねぇ。アローラの人たちがみんな優しくて助かるよ♪」
アマモさんはいつものように笑顔でそう言ってくれました。その言葉に私も同意です。私もこのアローラの人たちに親切にしていただき、色々と助けられていましたから。
「さて、そろそろ私たちは行くとする。と言っても、暫くはこの街に滞在するつもりだが。」
「そうだね。アーカラ島だとここが一番大きな街みたいだしね。」
「何かあったらまたここに来るといいよ。可能な限り私たちもククイ君も協力させてもらうわ。」
「ありがとうございます、バーネット博士。では、我々はこれで。」
「お姉ちゃんたちもバイバーイ♪」
そう言って手を振り、アマモさんとダルスさんは空間研究所を去っていきました。この調子だと、また旅先で会いそうな気がしますね。
「さて、リーリエたちは私たちの研究所の見学にでも来たのかな?」
「はい、折角カンタイシティにいるのでバーネット博士への挨拶も兼ねて研究所をみてみたいなと思いまして。」
「そう、普段ここを立ち寄る人なんていないしね。好きなだけ見て行っていいわよ!質問があればいくらでも答えるわ。」
私たちはバーネット博士の心遣いに感謝し、お言葉に甘えて研究所を見学させていただくことにしました。興味深い研究内容などもあり、私にとっては有意義な時間となりました。
ハウさんは意外にも興味津々な部分もありましたが、ヨウさんは暫くすると飽きてしまったのか欠伸をしたりと少々退屈な印象でしたが。それでもUBの話となるとすぐに食いついていましたけど。やっぱりポケモンさんの事となると退屈となることはないみたいです。そればかりはトレーナー共通ですかね。
私たちは空間研究所の見学を満喫いたしました。しかし、ここで聞いたダルスさんたちの世界の問題に、私たちが更に深く巻き込まれて行くことになるとは、この時はまだ思いもしませんでした。
既にルザミーネさんは救っており、UBも出てきているので原作とは所々違います。オリジナル設定や独自解釈なども出てくると思うのでご覚悟下さいませ。
ところで最近はガチパを組んでやっていますが、サニーゴが結構気に入っております。
パーティはサニーゴ、ドリュウズ、ギャラドス、ヒートロトム、ブラッキー、ニンフィアとなっております。
最初は対面構築のゴリラパ使ってみたんですけど、あまりにも悲惨な結果だったのでサイクル戦で有利をとりやすい対面操作構築にしたらかなり勝率上がりました。私には交代読みとかの方が性に合ってるみたいです。
最近では動画上げるわけでもないのにゆっくり実況とか作ったりしてます。私の会社に今作から入った初心者の方もいるので色々解説ついでに作ってますけど。
あっ、次回は多分トリプルマルチバトル回となります。XYのサマーキャンプ回的なあれです。