ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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2週間サボってしまいました、はい。すいません(土下座

意外とヨウ君のバトルが長引いてリーリエのバトルが書けなかった。元々こんな展開にする予定なく簡易的に終わらせる、又は部分的に終わらせる予定だったんですけど……。どうしてこうなった。


ヨウとピチュー!絆の証明!

ククイ博士主催のポケモンZキャンプに参加した私たち。約5日間に渡り各自が貸し出されたポケモンさんたちと交流を深め、その最終日が訪れました。

 

この課題の最終日にはトレーナーとポケモンがどれだけ仲良くなったかを確認するためにバトルを行なうことになっています。どのトレーナーの方も準備万端といった様子でバトルの時を今か今かと待ちわびている様子でした。

 

一方、私はというと……

 

「リーリエ、ボーマンダの様子はどう?」

「正直微妙なところです。あの時よりはマシになったと思いますが……。」

 

ヨウさんとハウさんが私の様子を気にして話しかけてくれました。ですが自分自身、私とボーマンダさんの溝はまだまだあるような気がします。

 

もちろんあの時以降、私の渡すポケモンフーズは食べてくれたり、最初は嫌がっていたブラッシングなども拒絶することはなくなっていましたが、それでも未だにそっけない態度をとられたり眠っていたりと大きな進展は見られません。

 

正直言えばこのままバトルをしていい結果が残せるとは思いません。

 

「だいじょーぶだいじょーぶ!なんとかなるってー」

「お前は相変わらず楽観的だよな……。まぁでも、ハウの言う通りかもしれないな。難しく考えずに何とかなるって思っておいた方が結果もついてくるんじゃないか?」

「そう……ですね。分かりました!前向きに考えてみます!」

 

確かにハウさんとヨウさんの言う通りです。不安に考えていたって仕方ありません。それに、シンジさんもお二人と同じことを言うに違いありません。

 

私がボーマンダさんの入ったモンスターボールをギュッと握りしめると、ククイ博士が集合したトレーナーたちの前に立ち挨拶を始めました。

 

「みんな!今日はいよいよ預けたポケモンたちとどれだけ交流を深められたかを確認するため、参加者同士でバトルをしてもらおうと思う。みんなはポケモンたちと仲良くなれたかな?」

『はーい!』

 

参加者の全員がククイ博士の問いに元気よく返事を返す。その声を聞いたククイ博士は笑顔で言葉をつづけた。

 

「よし!いい返事がきけて僕も嬉しいよ!じゃあこれからルールを説明するよ!」

 

ククイ博士はそのままこれから行なうバトルのルール説明を始めました。

 

「ルールは当然一対一のシンプルなバトル。どちらかが戦闘不能、または審判が判断したタイミングで終了。それとこれは参加自由のバトルだ。バトルをしたい人から手を挙げて指名された人からバトルをすることにしようと思う。」

「はいはいはーい!おれやりたーい!」

 

ククイ博士が簡単なルールの説明を終えると、すぐにハウさんが手を挙げて挙手しました。

 

「おっ?メガトンパンチ級にやる気があるじゃないか、ハウ。よし!早速ハウにバトルをしてもらおうか!」

「やったー!」

 

ハウさんの勢いを買いククイ博士は最初の対戦にハウさんを指名しました。そんなハウさんに続き他の人も次々と手を挙げました。その中の一人がハウさんの対戦相手に指名され、他の方々も早速それぞれバトルを開始することになりました。

 

「ではあなたたちのバトルの審判は私、バーネットが担当するわ。2人とも、準備はいいわね?」

『はい!』

 

審判を務めるバーネット博士にハウさんと対戦相手の男の子が同時に返事をし、バーネット博士の指示の元モンスターボールからポケモンを繰り出しました。

 

「いっくよー、イワンコ!」

『ワン!』

「行くよ!ケララッパ!」

『ケラッパ!』

 

ハウさんは通常よりも気性の荒いイワンコさん、そして対戦相手の方はツツケラさんの進化系であるケララッパさんでした。タイプ相性ではイワンコさんの方が有利です。

 

ですが人のことは言えませんが、ハウさんとイワンコさんのことは少し心配です。私ほどではないにしろ、イワンコさんもハウさんに懐いているとは言い難い様子でした。果たしてハウさんの言うことを聞いてくれるかどうかが不安です。

 

しかし私の抱いていたこの不安も、ハウさんの指示によりすぐに杞憂となって消えました。

 

「イワンコ!いわおとしー!」

『ワウ!』

 

ハウさんの指示に従いイワンコさんは自身の周囲に細かい岩を作り出し、ケララッパさんに向かって一斉に飛ばしました。

 

「ケララッパかわせ!」

『ラッパッ!』

「ケララッパにうまい事躱されてしまったけど、イワンコはハウの言うことを聞いたな。」

 

ヨウさんの言う通り、イワンコさんはハウさんの言うことを聞いて攻撃を仕掛けました。どうやら私たちが心配するほどではなかったようです。

 

「ケララッパ!タネマシンガン!」

『ラッパパパパ!』

 

ケララッパさんは口をラッパの様にして、口先から細かいタネを連続でマシンガン状にイワンコさんに向けて放ちました。

 

「イワンコ!かわしながらとつげきー!」

『ワン!』

 

イワンコさんはケララッパさんのタネマシンガンを走りながら回避して段々と距離を縮めていきます。イワンコさんの動きは早く、ケララッパさんの怒涛の攻撃もあっさりと躱され驚きのあまりケララッパさんは攻撃を中断してしまいました。

 

「今だ!たいあたりー!」

『ワウ!』

『ラッパァ!?』

「し、しまった!?」

 

ケララッパさんはそのまま腹部にイワンコさんの重い一撃を受け撃ち落とされました。まだ戦い慣れていないであろう対戦相手のトレーナーさんは、ケララッパさんが傷ついたことで大きく戸惑いを見せてしまいます。

 

それと同時にケララッパさんはその場で倒れ、戦闘不能状態となってしまいました。

 

「そこまで!この勝負、ハウとイワンコの勝ち!」

「やったー!勝ったー!」

 

勝負はハウさんとイワンコさんの快勝です。快勝とは言え、先日出会ったばかりのポケモンさんと息の合わせたバトルができるのは流石ハウさんと言ったところですね。

 

「あーあ、負けちゃった。でもありがとう!おかげで勉強になったよ!」

「こっちこそありがとうねー!今度会ったら自慢のポケモンでバトルしよー!」

 

ハウさんと対戦相手のトレーナーさんはお互いの健闘を称え握手を交わしました。最初はポケモンが傷つくという理由であまりバトルは好みませんでしたが、今ではこういったトレーナー同士の交流も含め、ポケモンバトルにはいいこともあるのだという事がよく分かるようになってきました。

 

「いえーい!勝ってきたよー!」

「しかしハウ、どうして急にイワンコが言うこと聞くようになったんだ?」

「えーっとね、このイワンコ、好戦的だけどただ単にバトルがしたくてストレスが溜まってたみたいでねー?フクスローと戦わせている内に言うこと聞くようになったんだー!おかげでフクスローも強くなったよー!」

「そうだったのか、って、イワンコに後頭部噛まれながら喋っても説得力ないけどな。」

「あ、アハハハ……」

 

以前と同様にイワンコさんに後頭部を噛まれながら笑って語っているハウさんに、私は苦笑を浮かべるしかありませんでした。

 

「っと、次は俺の番だな。ハウには負けられないからな、きっちりと勝ってくるさ。」

「がんばれー!ヨウー!」

「頑張ってくださいね!ヨウさん!」

 

私とハウさんの応援を受けてヨウさんは軽く微笑みフィールドに準備万端と言った様子で立ちました。反対側には同じく準備を終えたであろう対戦相手のトレーナーさんが立ちモンスターボールを構えました。

 

「じゃあ続けてバトルを始めるよ?さあ2人とも、ポケモンを出して!」

『はい!』

「頼むぞ!ピチュー!」

『ピチュピッチュ!』

「行くぞ!ガーディ!」

『ガァウ!』

 

ヨウさんはピチューさん、そして対戦相手のトレーナーさんはウインディさんの進化前であるガーディさんを繰り出しました。

 

ヨウさんは私たちと別で特訓している時に、ピチューさんの臆病な性格が治ったのだと言っていましたが、それが実際にどうなのかこのバトルで確かめたいと思います。

 

「ピチュー!でんきショック!」

『ピッチュゥ!』

 

ピチューさんがヨウさんの指示に従い頬の電気袋からでんきショックを放出しました。ヨウさんの言った通り、ピチューさんの心配は皆無のようでした。

 

「ガーディ!こうそくいどう!」

『ガウ!』

 

しかしガーディさんはこうそくいどうを使い素早い動きでピチューさんの攻撃を躱してピチューさんの目の前まで移動しました。ピチューさんも素早さについていけずに目を見開かせています。

 

「今だ!ひのこ!」

『バウ!』

『ピチュ!?』

「ピチュー!」

 

ピチューさんはガーディさんのひのこを無防備に受けてしまいダメージを負ってしまいます。ヨウさんの呼びかけにピチューさんは応答し、すぐに立ち上がることができました。どうやらダメージ自体はそこまでないみたいです。

 

「続けてかみつく攻撃!」

『ガァウ!』

「ピチュー!躱して!」

『ピチュ!?ピッチュ!』

 

ピチューさんはヨウさんの言葉を聞き、耳をピクリと動かして反応しガーディさんの攻撃を躱しました。

 

「ピチュー!ほっぺすりすり!」

『ピチュ!ピチュピチュピチュ!』

『ガッ!?』

「なっ!?し、しまった!」

 

ピチューさんは自身のほっぺを擦り静電気を強くし、そのほっぺを直接ガーディさんに擦り付けました。

 

その直後、ガーディさんの動きが極端に鈍くなりました。ほっぺすりすりは可愛らしい見た目とは裏腹に、相手に当てると追加効果により相手を麻痺状態にしてしまう強力な技です。

 

先ほどはガーディさんの動きが早かったため攻撃を容易に避けられてしまいました。それ故に動きを制限してしまえば正確に攻撃を加えることができるとヨウさんは判断したのでしょう。

 

「ピチュー!もう一度でんきショック!」

『ピッチュー!』

『ガウッ!?』

 

動きが鈍くなり麻痺の効果で怯んでいるガーディさんに、ピチューさんの攻撃がクリーンヒットしました。どうやらガーディさんは思い通りに動くことができない様子です。

 

「もう一度でんきショックだ!」

『ピィチュー!』

「くっ!負けるなガーディ!ひのこ!」

『ガウ!』

 

ガーディさんは先ほどのダメージを食いしばってひのこにより反撃しました。一瞬互いの威力は互角に思えましたが、すぐのその差が表れてガーディさんのひのこがでんきショックを押し返す結果となりました。

 

『ピチュ!?』

「ピチュー!」

 

ひのこに押されピチューさんは驚き力負けしてしまいガーディさんの反撃を受けてしまいました。今のダメージでかなり傷付いてしまっている様子です。

 

「くっ、ピチュー!大丈夫か!?」

『ピッ……チュ……』

 

ピチューさんはなんとか立ち上がろうとしますが、それでも体はボロボロで立つのがやっとの様です。これ以上の継続は不可能と判断したのか、審判を務めていたバーネット博士が手をあげて口を開きました。

 

「そこまで!この勝負は……」

『ピッ……チュ!ピチュウウウウウ!』

『っ!?』

 

ピチューさんは大きく声を張り上げ、その声に驚いた全員がピチューさんの方へと視線を集めました。

 

その瞬間、ピチューさんの姿が青白く光り輝きました。その姿に誰しもが『まさかっ』と感じたことでしょう。

 

「これは……進化の光!?」

 

ククイ博士の言った通り、この光りは紛れもなく進化の光です。ポケモンさんが条件を満たした際に新たな姿へと変わる進化の光。まさかこのタイミングで進化することになるとは誰も思わなかったことでしょう。

 

ピチューさんの姿が少しずつ変化していき、徐々にその姿が完成へと近づいていきます。そしてその光が解き放たれた時、ピチューさんは別のポケモンさんの姿へと変わっていました。

 

『ピカッチュ!』

「こ……これって……」

 

その姿は説明不要な程誰もが知っているポケモンさんの姿、ピカチュウさんでした。寧ろ知らない人はいないであろう有名なポケモンさんでしょう。ですが本当に驚くべきことは……。

 

「ピカチュウへの進化条件はトレーナーへのなつき度……まさかこの課題中に進化することになるとは……」

 

そう、ピチューさんがピカチュウさんへと進化する条件、それはトレーナーへのなつき具合です。ピチューさんは元々ヨウさんのポケモンさんではありません。それなのに進化したという事は、それだけヨウさんを信用しヨウさんの期待に応えようとピチューさんが努力した結果でしょう。

 

「っ……ピカチュウ!まだ戦えるか!?」

『ピカッピカチュウ!』

 

ピカチュウさんはヨウさんの声に答えると同時に強力な電気を放ちました。先ほど受けたダメージを感じさせないほどの力をその電気から感じ取ることができました。

 

ピチューさんはまだ幼いという事もあり電気を溜め込むのが下手であり、時には自分の電気に驚いてしまう事もあると言います。ですが進化したことでそう言ったこともなくなり、より強力な電気を溜め込むことができるようになったのでしょう。

 

「っ!?ガーディ!ひのこ!」

『ガウッ!』

「ピカチュウ!お前の全力を見せてやれ!10まんボルト!」

『ピッカヂュウウウウ!』

 

進化したことで電撃の威力が強力になり、ピカチュウさんの10まんボルトはガーディさんのひのこを容易く跳ね返しました。ガーディさんもその光景に驚きを隠せず、抵抗できないまま10まんボルトの直撃を浴びてしまいました。

 

「ガーディ!?」

『ガッ……ウ……』

「そこまで!ガーディ戦闘不能により、ヨウとピカチュウの勝ち!」

 

「やったぁ!よくやったぞ!ピカチュウ!」

『ピカチュ!ピッカチュウ!』

 

ピカチュウさんは喜びのあまりヨウさんの元へと飛び込み、対するヨウさんもピカチュウさんの事を抱きしめました。その姿を見ていると、レンタルされているというよりも自分のポケモンさんのように見えてしまいます。

 

「いやぁ、ヨウ!ギガインパクト級に素晴らしいバトルだったぞ!」

「ククイ博士っ!ありがとうございます!あっ、でもすいません、ピチューを進化させてしまって」

「ははっ、なぁに、気にすることはないさ。それだけピチューは君のことを信頼していたということだろう。それだけでこの課題には意味があったという事さ。寧ろ僕は感謝したいくらいだ!」

 

博士は満足した笑みを浮かべてヨウさんの事を称えています。この課題の目的は借りたポケモンとの仲を深めること。ピチューさんの進化はそれを証明するに足りるものだった、という事なのでしょう。

 

「ちょっと!あなたっ!」

「えっ?」

 

他の方々と同じように私もヨウさんの事を称えていると、少し甲高い声が私の耳へと入ってきました。そちらの方へと振り向くと、そこには既にバトルフィールドでスタンバイしているナタリアさんの姿がありました。

 

「何をぼさっとしているの?次は私たちの番でしょう?さっさと準備をしなさい!」

「っ!?は、はい!」

 

そうです、ヨウさんやハウさんのバトルだけではありません。次は私の番ですっ!

 

「リーリエ!頑張れよ!」

「がんばってー!リーリエー!」

「はいっ!行ってきます!」

 

ヨウさんとハウさんの声援を受け、私は一歩前に歩みだしました。今度は私の戦いを見せる番です。

 

がんばリーリエです!私!




投稿期間空きすぎではござらんか?我ながら何をやっているだー!

投稿期間を守れる人は尊敬します

私は基本仕事以外では自室に引きこもっているので世間を騒がせている某ウイルスの心配はほぼないです。やっぱ自分の部屋が一番よね。

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