ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》   作:ブイズ使い

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タイトル通り、全く思いつかなかったので許してください。

バトル回は次回となります。

何故リーリエのパートナーをボーマンダにしたのかの経緯はと言いますと、最初はベトベターとかみたいな嫌われそうな毒タイプにしようと思ったのですが、それだとDPのヒカリと被ってしまうのでやめました。

他だと難しそうなのはと言えば凶暴なポケモンですが、ギャラドスは水ポケモンなので描写が難しいと考えたので、その他で強い、怖い、凶暴の三拍子が揃ったポケモンはと言えばボーマンダが閃いたのでボーマンダ様にしました。おや?向こうから破壊光線がムワアアアァァ!!


リーリエとボーマンダ!

ククイ博士主催のポケモンZキャンプに参加した私、リーリエとヨウさん、ハウさん。初日の課題はランダムで選ばれたポケモンさんと仲良くなるという一見簡単なものでした。

 

ヨウさんのパートナーは人見知りで怖がりのピチューさん、ハウさんのパートナーは気難しくて警戒心の高いイワンコさんでした。

 

私も皆さんに続いてポケモンさんを選ばなければ、と思ったのも束の間、選んだモンスターボールから出てきたポケモンさんはあの凶暴なことで有名なボーマンダさんでした。

 

ボーマンダさんは噂に聞いた通りの凶暴さで近付いた私を突然攻撃してきました。ヨウさんのピチューさんも怯え、ハウさんのイワンコさんは警戒した様子でボーマンダさんを見ていました。しかしボーマンダさんはソッポを向き、そのまま眠ってしまいました。

 

興味のなさそうに眠ってしまったボーマンダさんですが、そんな彼の表情には何か理由があるように感じました。ククイ博士の好意でポケモン変更の許可が出ましたが、私はそれを拒否しボーマンダさんと共に今回の課題に挑戦することにしました。

 

そんな時、一人の女性が姿を現し私に声を掛けてきました。その女性の名はナタリアさん。パートナーとなったミロカロスさんと共に自信満々な様子でした。

 

ナタリアさんはシンジさんの事をシンジ様と呼び強く慕っているようでした。しかしその口調はまるでシンジさんの事を何でも知っている、と言っているように聞こえ、私に対してもシンジさんには似合わないと言って来ました。

 

私としてもシンジさんと釣り合いがとれるなどとは思っていませんが、その言葉は私だけでなくシンジさんのことも甘く見ているように聞こえました。

 

私はそれを見逃すことができず、彼女の挑戦に乗りこのキャンプで勝負をつけると約束してしまいました。

 

なんだか挑発に乗ったみたいで情けないですが、それでも私は初めてできた自分のプライドに近いもののために彼女と勝負することになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポケモンZキャンプが始まってから早くも一日が経過しました。ナタリアさんとの勝負の約束をした私ですが、一つ困ったことがあります。

 

「リーリエ、まだボーマンダは言うこと聞いてくれないのか?」

「は、はい……」

 

あれから一日経ちましたが、ボーマンダさんは一向に言うことを聞いてくれる気配がありません。何度か話しかけたり、ボーマンダさん自身の事を質問してみたり、私のポケモンさんたちとも会話させてみたりしてみましたが、殆ど反応を示すことはありませんでした。

 

一瞬だけこちらをちらりと見た瞬間がありましたが、それはあくまで一瞬でありすぐに再び眠ってしまいました。思った以上に苦戦しています。

 

「おれはもうイワンコと仲良くなったよー」

「噛みつかれながら言っても説得力無いんだが」

「ははは……」

 

笑顔でそういうハウさんですが、ハウさんの腕にはイワンコさんが険しい顔で噛みついて離れない姿がありました。お世辞にも仲良くなっているとは思えず、私はただ苦笑いをするしかありませんでした。

 

一方ヨウさんは本人曰く、「まだ距離はあるが初日に比べたらマシだと思う」と言っていました。私に比べてヨウさんはピチューさんとの距離を縮めるのも時間の問題みたいですね。

 

「課題が始まったばかりとはいえあまり悠長にしている時間もないしな」

「そう、ですね……」

 

課題の二日目ですが、勝負するのはその5日目、つまり後4日後になります。残り3日でボーマンダさんとの関係をどうにか進展させなければなりません。

 

「今ボーマンダはどうしてるんだ?」

「動いてくれそうにないのでモンスターボールに入ってもらってます。モンスターボールに入ることには抵抗がないようなので。」

「そうか」

「じゃあさ、ボーマンダを散歩に連れて行くのはー?」

「いや、連れて行こうにも自分から動かなけりゃ意味がないだろ。」

「それもそうかー」

 

ハウさんが一つの案を出してくれましたが残念ながら却下されてしまいました。ボーマンダさんはボールから出してもすぐにその場で寝てしまうため連れ歩くことができません。結局振出しに戻ってしまいます。

 

「ロトム図鑑さん、なにかいいアイデアはないでしょうか?」

『いいアイデアロか?』

 

ロトム図鑑さんは悩む素振りを見せながら考えてくれました。暫くすると、アンテナが『ピコンッ』と立ち何か閃いたのか語り始めてくれました。

 

『だったらご飯をあげればいいロ!』

「ご飯、ですか?」

『そうロ!ポケモンフーズに興味を示さないポケモンはいないロ!』

 

『ボクは図鑑だから食べないけロ』と最後に呟いたロトム図鑑さんでしたが、確かにその案はいいかもしれません。

 

まだまだ新米ですが、私もシンジさんからポケモンフーズの作り方は教わっているので少し自信があります。少なくとも自分のポケモンさんたちは喜んで食べてくれました。

 

「では早速試してみます!」

 

私はロトム図鑑さんのアイデアに乗り、ボーマンダさんにポケモンフーズを与えることにしました。ヨウさん、ハウさんと共にキャンプ用のコテージからすぐに外に出て、ボーマンダさんをモンスターボールから出しました。

 

「出てきてください!ボーマンダさん!」

『ボダァ!』

 

ボーマンダさんは大きく咆哮したのち、以前と同じように地面に着地するとそのまま眼を瞑り寝てしまいました。

 

「リーリエがんばれー!」

 

(いまだに腕を噛まれている)ハウさんの応援を受け、私はボーマンダさんにゆっくりと歩み寄りました。

 

ボーマンダさんはチラリと目を開けこちらに興味を示した様子でしたが、それでもすぐに目を閉じて同じ態勢に戻りました。私は溜息を吐くように軽く深呼吸して、ボーマンダさんにポケモンフーズを差し出しました。するともう一度目を開け、興味を示してくれます。

 

「ボーマンダさん、私の作ったポケモンフーズです。食べてみませんか?」

『……』

 

ボーマンダさんはポケモンフーズの匂いを軽く嗅ぎますが、お気に召さなかったのかまた目を閉じて寝る態勢へと入ってしまいました。

 

「これでもダメですか……」

 

以前ハクリューさんのために作ったドラゴンポケモン用のポケモンフーズだったのですが、ボーマンダさんは気に入らなかったようです。ハクリューさんは美味しそうに食べてくれたのでいけると思ったのですが。

 

「気に入らなかったのか?」

「どうなんでしょうか。興味はあると思うのですが……。」

 

ポケモンさんは自分に興味を示した食べ物は先ず匂いを確認する、とシンジさんに教わりました。最初に見た目で気に入れなければ全くの興味を示さないそうです。

 

「美味しくないと思ったのかなー?」

「食べてもいないからそれはないと思うが……」

 

ハウさんとヨウさんも何故ボーマンダさんが食べてくれなかったのか原因を考えてくれます。こんな時シンジさんがいてくれたら分かるかもしれませんが……。

 

……いえ、こんなことではだめです!ポケモンさんの気持ちが分からなければシンジさんの背中どころか、立派なポケモントレーナーにすらなれません。自分で解決策を見出さなければ!

 

私は以前シンジさんに教えていただいた言葉を色々と思い返してみます。その中にボーマンダさんの気持ちを知るヒントがあるかもしれません。

 

……そう言えばシンジさんは、ニンフィアさんやイーブイさんと出会った頃の話を聞かせてくれました。

 

あの二匹は過去に受けた傷が原因でそれを救ってくれたシンジさんと仲良くなったそうです。もしかしたらボーマンダさんも過去に受けた傷が原因でこの様な状態になってしまったのかもしれません。そうであれば私が昨日感じたボーマンダさんの表情に対する違和感も納得がいきます。

 

でしたらここはあなたに少しお願いしてみます。

 

「マリルさん!お願いします!」

『リルル!』

 

私はマリルさんを出してみました。マリルさんは過去にトレーナーさんに捨てられてしまったところを私に拾われて仲間になりました。もしかしたらボーマンダさんの事が何かわかるかもしれません。

 

「マリルを出してどうするつもりだ?」

「少し話をしてもらおうと思います。なにかボーマンダさんの事が分かるかもしれませんから。」

 

私はマリルさんに目線にあうように屈み、マリルさんにお願いしてみました。

 

「マリルさん、ボーマンダさんと話をしてみてくれませんか?」

『リル?』

「もしかしたらボーマンダさん、何か以前に辛いことがあったのかもしれません。お願いできませんか?」

『リル!』

 

私がマリルさんにお願いして見ると、マリルさんは強く頷いて承諾してくれました。マリルさんはボーマンダさんに歩み寄ると、ボーマンダさんに話しかけました。

 

『リル!リルル!』

『マンダァ?』

『リルル!ルリ、リルルリ!』

『……ダァ!』

『リル!?』

「マリルさんっ!」

 

マリルさんはボーマンダさんに話しかけて聞き出そうとしますが、ボーマンダさんは力を溜め込みかえんほうしゃでマリルさんを攻撃しようとします。私は咄嗟にマリルさんを守るために、抱えてボーマンダさんの元を離れました。

 

ボーマンダさんの攻撃はマリルさんに当たることなく、地面に直撃して被害なく終わりました。

 

「マリルさん、大丈夫でしたか?」

『リルルルル……』

「ごめんなさい、マリルさん。怖かったですよね?ゆっくり休んでいてください。」

 

私の腕の中でブルブルと小さく震えて怯えるマリルさんに、私は謝りながらモンスターボールへと戻しました。マリルさんには本当に悪いことをしてしまいましたね。

 

『……ボダァ』

「?ボーマンダさん……」

 

またボーマンダさんは眠りの態勢に入りました。しかしその時の表情は昨日私が感じた時と同じ表情をしていました。

 

私は昨日のその時のことを思い返します。確かあの時もボーマンダさんはかえんほうしゃで私に攻撃をして、その時周りは警戒態勢に入っていたイワンコさんと、ボーマンダさんに怯えていたピチューさん……。

 

「……あっ!?」

 

もしかしたらと思い私は思わず声をあげました。しかしボーマンダさんが殆どの事に興味を示さないのは、これくらいしか理由が考え付きません。

 

「リーリエ、今ボーマンダに近付くと……」

「大丈夫です、私に任せてください。」

「いや、でも……」

『リーリエは一度言い出したら誰かさんと同じで聞かないロ。』

「まあいざとなったらおれたちが助ければ大丈夫だよー」

「……あ、ああ、そうだな」

 

ヨウさんはロトム図鑑さんとハウさんの説得に渋々と言った様子で納得してくれたようです。ヨウさんには心配をかけて申し訳ありませんが、ここはボーマンダさんのパートナーとしてなんとかしてあげたいんです。私の我儘ですいませんが、ここは譲ることはできません。

 

「ボーマンダさん」

『…………』

 

ボーマンダさんはまたチラリと目を開け私の事を見てきました。迫力はありますが、私は怯むことなくボーマンダさんに語り掛けました。

 

「ボーマンダさん、もしかして皆さんが怯えているのが嫌、なんですか?」

『ッ!?…………』

 

ボーマンダさんは一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに普段の顔に戻り、顔だけ起こして私を上から見下ろしてきました。

 

「もしそうなのでしたら、大丈夫ですよ、私はあなたの事を怯えたりしません。」

『…………』

 

ボーマンダさんは私の言葉を聞くと、その後に口を大きく開き攻撃の態勢に入りました。その攻撃は先ほどと同様にかえんほうしゃでした。直撃してしまったら一溜りもないでしょう。

 

「リーリエッ!」

「大丈夫です!大丈夫ですから。」

「り、リーリエ……。」

 

私は慌てて助けようと大声を出すヨウさんにそう呼びかけてストップをかけました。

 

力を溜め終えたボーマンダさんがかえんほうしゃのエネルギーを解放しました。そのかえんほうしゃは私の姿を包み込み飲み込む…………はずでした。

 

かえんほうしゃは私の横を通り過ぎ、そのまま背後の海に着弾しました。誰にも当たることなく、その攻撃による被害はゼロでした。

 

「……ボーマンダさん」

 

ボーマンダさんが私の気持ちを理解してくれたのかもしれないと判断し、再びポケモンフーズを手渡してみます。するとボーマンダさんは先ほどと同様に匂いを嗅ぎ始め、確認をとりました。

 

私はドキドキしながらボーマンダさんの動きを待ちます。そしてボーマンダさんは遂に、私の差し出したポケモンフーズを口にしてくれました。その後、ボーマンダさんは私の渡したポケモンフーズを全部食してくれました。

 

『……ボォダァ』

「ボーマンダさん」

 

私の渡したポケモンフーズを食べてくれたボーマンダさんは、またいつものように眠りについてしまいました。ですがボーマンダさんがポケモンフーズを全部食べてくれた、それだけでも大きく進展したように感じる事ができました。

 

「リーリエ!大丈夫だったか?」

「はい、なんとか。ボーマンダさんもポケモンフーズ食べてくれましたし。」

「いやー、ひやひやしたねー」

「全くだ。にしても一体何が原因だったんだ。」

 

私はボーマンダさんの心の中に秘めていたであろう感情をヨウさんとハウさんに説明しました。

 

ボーマンダさんは恐らく、自分の強すぎる力を怯えられるのが気に入らなかったのでしょう。

 

ドラゴンポケモンさんは成長が遅く、その分進化した後の成長はすさまじく大きいのだそうです。なので夢にまで見た翼を手に入れたが、その後の強大な力に周りのポケモンたちが怯えてしまったことにショックを受けて心を閉ざしてしまったものだと思います。

 

「それにしてもよく分かったな、そんなこと。」

「以前はピチューさんが、今回はマリルさんが怯えた時に違和感を感じたのでそうなのではないかと思っただけですよ。」

「直感ってやつか?」

「リーリエはポケモントレーナーとしての才能があるのかもねー!」

『それは言えてるロ』

「そう、なのでしょうか?」

 

イマイチ私自身ではそのような実感はありません。ただボーマンダさんの気持ちを理解したいがために必死だっただけですので……。

 

それはともかくとして、相変わらずではありますがなんとかボーマンダさんと少しだけでも距離が近付けたのではないかと思う事ができたのは今日の大きな進展です。時間は有限とは言えまだ猶予はあるので、この調子で少しでもボーマンダさんと距離が縮められればと思います。

 

それにしてもマリルさんには悪いことをしてしまいました。後でお詫びも含めてポケモンフーズをあげることにします。




リーリエはサトシやシンジみたいに主人公特有の直感タイプが少なからずあるということでどうかご了承いただきたく

シーズン3は無事にシングル、ダブル両方マスターに行けました。個人的にはマスターにさえ行ければ後は何でもいい程度でやってます。

そして明日は遂にポケダンDX発売日ですぞ!私的に一番楽しみにしていたので今からワクワクしています。ワクワクを思い出すんだ

最後にアンケート結果の発表となります。

やっぱりあのポケモン、が18票により選ばれました!これはつまり公表していないがあのポケモンと言ったらあれだろ、と読者には伝わっていると解釈してよろしいので?

因みにべベノム(アーゴヨン)は3票、ヌシにお任せは5票という結果になりました。投票してくれた方々、ありがとうございました!また機会があればアンケートするかもしれませんが、その時もよろしくお願いします!

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