ポケットモンスターサンムーン~ifストーリー~《本編完結》 作:ブイズ使い
今回は前回の続きと次週への伏線的な回なので短めです。
ん?バレンタインだって?なにそれおいしいの?あっ、ママンから貰ったチョコは美味しかったです。
「はぁ、負けちゃったー」
ミヅキさんが肩をガクッとして落ち込みます。その姿はしまクイーンと言うよりも一人のトレーナーとしての姿でした。
「まさかこんなにリーリエが強くなってたなんて思わなかったなぁ。でも楽しめたからいいや!」
ミヅキさんはそう言って明るい笑顔を見せて、ライチュウさんに『お疲れ様』と言葉をかけてモンスターボールへと戻しました。なんだかジム戦みたいで私も疲れました。
「はぁ、フシギソウさん、お疲れ様でした、ゆっくり休んでください。」
『ソウソウ』
私はその場でヘタッと力が抜け座り込みフシギソウさんをモンスターボールへと戻しました。本当にお疲れ様でした、フシギソウさん、マリルさんも。
私がポケモンさんたちに感謝していると、ミヅキさんがモンスターボールを懐にしまいこちらに歩み寄ってきました。
「リーリエもお疲れ様。楽しいバトルだったよ。ほら、立てる?」
「は、はい、ありがとうございます。」
私はミヅキさんの差し伸ばしてくれた手をとり足に力を入れて立ち上がりました。バトルに集中していて忘れてしまっていましたが、私たちのバトルを見ていた村の方々から大きな拍手が送られてきました。今思えば恥ずかしいですが、リーグ戦の時みたいな気分になれてちょっと嬉しいです。
「お疲れ様ー、2人とも。いいバトルだったよー」
「ああ、リーリエのバトルも参考になったしな。いいバトルだった。」
「お二人とも、ありがとうございます。」
拍手して舞台の上に歩み寄ってくれるハウさんとヨウさんにもお礼を言いました。
「ほら、リーリエ。私に勝った証として、これを受け取ってよ。」
「え?これって……」
私はミヅキさんが差し出してきたものを受け取りました。そのキラキラと光る物を受け取ると、ミヅキさんがそれについて説明してくれました。
「かくとうZだよ。おじいちゃんが挑戦者に渡しなさいって言ってたんだ。ほら、私って他のしまキングとかキャプテンと違って色々なタイプのポケモン使うから。」
私はその言葉を聞きミヅキさんの差し出したZクリスタルを受け取りました。
「ありがとうございます!ミヅキさん!かくとうZ、ゲットです!」
こうして私は無事大試練を突破し、かくとうZをゲットすることができました。
「今度戦うときはアローラリーグでのリベンジかな?」
「アローラリーグ……」
「今年も当然開催されるからね。アローラ最強を決める祭典、そしてチャンピオンへの挑戦権をかけた戦いの舞台!そんな熱い舞台で私はリーリエにリベンジする!そのために、もっともっと強くなって見せるから!」
「っ!?はい!私ももっともっと強くなって見せます!」
「おっと、ミヅキだけじゃないぜ?俺もいるからな。」
「おれのことも忘れないでよー?」
そうです、シンジさんへの、チャンピオンへの挑戦を目指しているのは私だけじゃないんです。ミヅキさんにヨウさん、ハウさん、それからお兄様や島巡りに挑戦している全てのトレーナー、全員がアローラのトップを目指しているんです。私もうかうかしてはいられません!
「あっ、そうだ。リーリエ、この後どうするの?」
「え?この後、ですか?」
私が心の中でこれからの意気込みを掲げていると、ミヅキさんが急に私にこの後のことを尋ねてきました。メレメレ島の大試練も無事突破しましたし、その後やることと言えば……。
「えーと、やっぱり次の島であるアーカラ島でしょうか。一番近い島ですし……」
それにあの島にはバーネット博士の研究所やスイレンさん、マオさん、カキさんの試練、待ってることが山ほどありますから。
「だったらさ!みんなで一緒に行こうよ!アーカラ島に!」
「え?でもミヅキさんはしまクイーン……」
「大丈夫大丈夫!少しだけだからさ!それに、ククイ博士が面白いことやるらしいよ?」
「面白い事……ですか?」
「いいからほらほら!早く早く!」
「えっ!?ちょ、ちょっとミヅキさん!?」
「やれやれ、相変わらずだねーミヅキは」
「久しぶりにリーリエに会えて嬉しいんだろうな。まっ、俺たちも行こうぜ?」
「そうだねー」
私は再び半ば強引な形でミヅキさんに連れられ、リリィタウンを後にしました。強引ではありますが、それでもなんだか嫌な気分にはなりませんでした。
以前の私では味わうことの無かった経験。友達と一緒にこのようにして騒げるのは、なんだかとってもいい気分でした。
「ククイ博士ー!」
「ん?おお、来たね、ミヅキ、リーリエ。それからヨウにハウも一緒か。」
私がミヅキさんについて行くと、そこはハウオリシティの乗船場でした。そこにはククイ博士が待っており、ヨウさんとハウさんも私たちのすぐ後に到着しました。
「早速アーカラ島に向かうのか?」
「はい!お願いします!」
「よしきた!僕のヨットを用意してるから、早いところ乗ってくれ!」
そう言って博士の指を指した方角を見ると、そこには一艇のなヨットがありました。ですがそのヨットはお世辞にもいいものとは言えず、どちらかと言えば博士の研究所みたいと言いますか……。
「なんだかそのヨットボロボロだねー。ホントに大丈夫なのー?」
私たちが言いにくい事を平気と口にするハウさん。しかし当人の博士はと言うと。
「はっはっは、キツイ事言ってくれるじゃないかハウ。」
博士はハウさんの言葉を簡単に笑い飛ばし、自分のヨットをバンバンと叩きながら話しました。
「このヨットは僕の自慢のヨットさ。君たちの思っている以上に、ボスゴドラのアイアンヘッド並に丈夫なんだぜ?」
そう言って博士はヨットに乗り込みました。博士があれだけ自信満々に言うのであれば心配ないと思います。
普段は少しあれな部分もありますが、それでも博士の言葉はいつも信頼できるに値するものだと思っています。ヨットの事も心配する必要はないでしょう。
私たちは博士の言葉を信じ、全員でヨットに乗り込みました。大分ふらつきはしますが、それでもヨットは倒れることなく安定しました。これだけの人数を乗せても転倒しないのは、博士の言葉に嘘偽りのない証拠ですね。
「じゃあ出発するからしっかり掴まってるんだぞ?」
博士のその合図とともに出発しました。見た目とは裏腹に安定した状態で結構なスピードを出すことができています。
「あー!キャモメだー!」
「おっ、こっちにはメノクラゲもいるぞ!」
「タマンタさんもいますね!」
「トサキントにアズマオウも!」
まるで遊泳するかのように水ポケモンさんたちが私たちの周りに次々と姿を現していきます。このルートはよく船が通るからかこの辺りのポケモンさんたちは人慣れしているみたいですね。
気付けばこの辺一帯は水ポケモンたちで溢れていました。これだけの種類のポケモンさんたちがみれれば時間の流れもあっという間な気がします。
「おっ、見えてきたぞ!次の君たちの目的地であるアーカラ島だ!」
いつの間にかかなりの時間が流れていたようで、気が付けばすでにアーカラ島の姿がはっきりと見えてきました。私たちは荷物を持ちアーカラ島に上陸する準備をしました。
「よし!アーカラ島到着だ!」
ククイ博士のお陰で無事アーカラ島へ到着した私たちをそれぞれ荷物を持ち、アーカラ島へと足を踏み入れました。
「よっと」
「おい、それってヨットと掛け声をかけてるのか?」
「せいかーい!」
ハウさんの行動に『はぁ~』と呆れ気味に息を吐くヨウさん。私はただただ苦い笑い声を出すしかありませんでした。
「そう言えばみんなは明日のキャンプに参加するのかい?」
「キャンプ?」
ククイ博士の口にしたキャンプと言う単語に疑問を抱き私は博士に何のことかわからず聞き返していました。するとその質問に先に答えたのはククイ博士ではなくミヅキさんでした。
「さっきもいったでしょ?ククイ博士が面白い事をやるって。」
「ああ、島巡りを始めたばかりで右も左も分からないトレーナーや、強くなりたいと思うトレーナーもいる。そんなトレーナーたちのためにこのカンタイシティでキャンプを開くって訳さ。キャンプを通じてトレーナー同士交流を深めたり、情報の交換、知らないポケモンと関わることもできるし、一石何鳥ってことだ。まあ簡単に言えば、一時的なポケモンスクールだと思って貰えればいいかな。」
そう言えば先ほどミヅキさんがククイ博士が面白いことをやると口にしていましたね。面白いことってこのキャンプのことだったんですね。
でもこれは自分自身を成長させるチャンスでもあります。まだ私はZ技のこともよく理解できていません。できれば私も参加したいところです。
「あの、それって私も参加できますか?」
「もちろんだ!トレーナーだったら誰だって歓迎さ!」
「じゃあ私、参加してみたいです!」
「俺も参加します!」
「おれも参加するよー」
「よし、全員決まりだな!」
こうして後日開催されるククイ博士主催のキャンプ参加することに決定しました。
「ん~!私はしまクイーンの仕事あるからねー。折角だしブティック寄ってから帰ろうかなー。あっ、リーリエも折角だしどう?今日は女の子同士で楽しもうよ!」
「あっ……はい!是非!」
こうして私は今日の最後をミヅキさんと一緒にお買い物をして楽しむことにしました。今日は試練続きやミヅキさんとのお買い物で疲れました。
ですが明日からはククイ博士のキャンプが待っています。スケジュール的にはハードになりそうですが、その分ワクワクしている自分がいます。このキャンプで自分自身を成長させて、アローラリーグへと近付いて見せます!
がんばリーリエです!私!
今更感ありますがなんとなくポケモン的な同人ゲーの幻想人形演舞-ユメノカケラ-のフランちゃん戦を投稿しました。本家もあれだけCPUの難易度上げてもいいのよ?